未だに『愛と死のアラビア』勝手に改造計画の続きっす。
 舞台はカイロです。
 
 はい、お色気場面です。ナイリの誘惑場面です。

 ナイリはいいキャラクタだと思うし、派手に登場してトマスに狙いを定めたことを台詞にして言っているのだから、彼女のエピソードがないのはおかしい。
 色っぽく踊るナイリのもとへ呼び出されたトマスがやってきて、たじたじになったり軽くいなしたりしつつ、決して誘惑には乗らない。ナイリの動向にはらはらする侍女@すみか&ハルちゃんも出番ができるし、他の女の子たちもバックで踊り、舞台全面を使い、とにかく色っぽく華やかなシーンに。
 きちんと会話させて芝居にすると時間がかかるので、半分イメージ映像っぽく、時間の経過や出来事をデフォルメして表現。
 ダンスだけでなく、台詞も多少交え、ミュージカルっぽく。
「誰か他に心に決めた女性がいるの?」……詰め寄るのはナイリでもいいし、高みの見物をしているトゥスンかドナルドでもよし。
 そんな人はいない、と言いつつ、トマスはアノウドを思い出す。どうしているだろう、心細い思いや、不自由な思いをしていないだろうか、と思いやる。
 派手派手押せ押せのナイリと対比し、舞台の一方にピンスポをあて、つつましく清楚に踊るアノウドを出す。

 女の子たちの出番はできるし、色恋によるアレコレはヅカである以上なくてはならないサービスシーンだし、誘惑に屈しないことでトマスのかっこよさもアピールできるし。

 トゥスンは途中早々に手を振るとかわっかりやすく「サヨナラ、砂漠へ帰るよ」とやり、舞台半分にエジプト兵士たちを行進させ、そこにトマスが絡むなりして「仕事もしてます」アピール。

 空いている花道に、アジズ@王子を出してワナワナさせておき、悪役マムルーク@マメ&ふみかは反対側花道で「エジプト軍が強くなりすぎるのは困る!」「あのトマスという男、なんとかしなければ」と状況説明。

 いちばん大きなセリが回りながら上がってくるとそこはトマスの部屋、で前景からトマスだけが残ってイブラヒム登場。
 トゥスンのスーダン遠征の話はせずに、アノウドだけを引き会わせる。

 アノウドを10ヶ月間、トマスが放置していた、というはトマスの人格に関わるので、修正。
 どれくらい放置していたか言及せずに、ただ「お久しぶりです、奴隷としてお仕えします」をやればいい。
 トマスはちゃんとアノウドを思っていたし、ナイリの誘惑も拒絶していた。よーやく再会したっつーに「ご主人様」とやられ、大ショック。
 銀橋へ出て歌っていいが、歌詞は変更。「絶好調に恋人同士なのに、がーん」という歌ではなく、ショックゆえに自分の気持ち気づく歌にする。
 アノウドのこと愛してんじゃん、俺。でも彼女奴隷とかお仕えしますとか言うし。それがイスラムだっての? 彼女を愛するってのは、彼女の信仰ごと愛するってことだし。大体俺イスラム教徒じゃないし。なにもかもチガウし。どーしろっての。混乱するトマス。
 本舞台隅ではアノウドが「愛しています。でも言葉にしてはならない、奴隷でもいいからそばにいたい」と歌う。
 それぞれ別に歌い、最後に「愛しているけれど、伝えてはいけない」という意味の歌詞をきれーにハモって切なく盛り上げる。

 ふたりの歌が終わると入れ違いに、本舞台にエジプト兵たち登場で、さきほどの訓練ダンスを続けて踊る。
 苦悩のトマス、それでも兵士たちの間に入り、「仕事もしてます」アピール。
 ただだらだらダンスが続くのはヨクナイので、ダンス場面自体は決して長くなく、物語も同時に進めること。
 兵士たちと笑いあったり、人気者な感じも出す。脇の下級生たちにも出番出番。細かくチーム分けして、客席から「あの子かっこいい」とチェックしやすく(笑)。ドナルドもちらりと出てきてトマスに手を振って行ったり。
 ナレーションが入るのはココ、「訓練将校として務めてもう10ヶ月経った。イギリスとの戦争は終わったが、和平交渉は進んでないし、私が祖国へ帰れるかは神のみぞ知る」てなヤツね。
 兵士たちが口々にトマスの名を呼ぶ。「神のみぞ知る……神は、ひとり……」群衆の中、つぶやくトマス。わざとらしいくらい、兵士たちがトマスになついている様子。「ずっと我々の元にいて下さい」とか言わせる(笑)。とにかくたくさんの兵士たちがわらわらと。声を掛けてはまた訓練ダンスに戻る、の繰り返し。
 「今、私はここで生きている……」ここがトマスの「居場所」となっていることを表現。

 兵士たちが訓練をしている間、イブラヒム登場。わざわざ屋敷を訪ねていって、ではなく、あくまでも訓練中に通りかかった風で、トマスにトゥスンのスーダン遠征のことを告げる。「トゥスンの身にナニか?!」のやりとりは、いらん。なんでそう無駄に「引き」を作ろうとするんだ。
「スーダン遠征に、トゥスンと一緒に行きたい」
「よほどトゥスンのことが気になるんだな」
「何故か気に掛かる。それは兄上とて同じでしょう」
「…………」(図星を指されて咳払い)
 とゆー流れで十分。この会話は銀橋で。渡りきらずに途中で引き返す感じ。
 彼らが話しているうちに本舞台では訓練をしていた兵士たちがぱぁっと散って所定位置に着き、セットが上から下から出てきて謁見の間に変化していく。トゥスンとベドウィンたちもセットの転換と共に堂々と登場、観客に「あ、あの人たち出てきた」とわかりやすく。
 イブラヒムから助言を得て、トマスはムハンマド・アリに直接スーダン遠征参加を願い出ることにする。前に書いた通り、イブラヒムとの友情関係をここで表現。や、彼はクールでわかりにくい男だけれど、トマスのこと好きだよなー、と。つーことで、イブラヒムと一緒に本舞台へ戻る。

 本編の、兵士たちの制止を振り切って謁見の間に乱入するトマス、てのがわからない。アレ、なんのためにあるの?
 正規軍将校なんだし、最初からあの場にいてもいいじゃん。これも谷的「引き」なんだろうけど、無意味。

 イブラヒムとトマスが本舞台へと移動しているのにかぶせて、ムハンマド・アリがトゥスンに遠征命令を下す。や、時間ないですから、さくさくと。
 で、トマスがソレにまぜてくれとムハンマド・アリに頼む。

 はい、ここで一区切り。
 こっからが中詰め。「イギリスの脱走兵なんか信じられるか、けっ」とアジズが難癖を付けたことにより、トマスの演説スタート。どこの国の人とか関係ない、神はひとり、みんなちがっても、心を通じ合わせることはできる。

 トマスがエジプトを第2の祖国として愛し、改宗することを、歌を交えて壮大に。

 トマスが国と民族の違いを乗り越え、人間同士として理解し、共に生きようとする様を、派手に感動的に盛り上げる。
 全員で合唱だ、高らかに人間愛を、生きる喜びを歌え。
 ひとは、わかりあうことができる……一笑に付してしまうよーな青いテーマを真正面から歌えるのはタカラヅカの醍醐味だ。はい、中詰め完了。

 翌日欄へ続く。


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