『スカーレット・ピンパーネル』新公の日、わたしはひさしぶりに友人のBe-Puちゃんとクリスティーナさんとお茶をしていた。
 Be-Puちゃんはトウコちゃんファンなので星組公演期間はムラでよく会うが、クリスさんは数年ぶり。

「それで緑野さんは今、ご贔屓とかいるの?」
 と聞くクリスさんに、わたしが答えるより先に、
「いるよ。花組の未涼亜希っていう、変な顔の人」
 と、Be-Puちゃんが答える。

 むきーっ。変な顔って言うなーっ。

 クリスさんはもちろん、「花組の未涼亜希」を知らない。首を傾げる彼女に、わたしは持っている写真を見せる。これが未涼亜希ね、おぼえてね(笑)。

「今そこのスカステの画面で、『なみだのでるうた』とかゆーのやってて、それに出てるから、あとで見ようよ。変な顔だから」
 と、Be-Puちゃん。

 むきーっ。変な顔って言うなーっ。

 わたしががるがる異を唱えるのを、Be-Puちゃんは「まぁまぁ(笑)」と軽くいなす。 

 わたしとBe-Puちゃんは顔の好みが正反対で、わたしの好みの顔はことごとく彼女の好みに合わないの(笑)。
 一緒にヅカビデオ上映会とかしょっちゅーしてたんだけど、いちいち感想が逆でねぇ。
 画面に春野寿美礼が映ると、
「かわいー」
「変な顔ー」

 と、同時に言っていたもんだわ……ふっ。もちろん、わたしが前者、Be-Puちゃんが後者ね。

 Be-Puちゃんはチャーリーとトウコちゃんのファン。目が大きく派手な美人顔でないと、きれいと認めてくれない……(笑)。

 
「ところで緑野さん、今回の新公についてなんかぎゃーぎゃー言ってたけど、あれって紅ゆずるって子が主演だからよね?」
 と、Be-Puちゃん。
 彼女もクリスさんも本公演だけ、新公は観ずに帰る予定。
 わたしそんなにぎゃーぎゃー言ってましたっけ? 言ってたかもしれん。
 うん、ベニーが主演だっつーんで、張り切ってた。
 そしてBe-Puちゃんは無名(だった)下級生のベニーのことは、カケラも知らなかった。初日観劇後、「紅ゆずるってどこに出てる?」と聞かれ、「スカピン団のいちばん背の高い子」と教えてあげなきゃならなかったくらい。

 『ヘイズ・コード』の柚長の秘書役だったとか言ってもおぼえてないBe-Puちゃんは、それでも本公演に通ううちに、ベニーの見分けが付くようになったらしい。

「緑野さんの、好きそうな顔」

 にやりと笑って言う。

 「好きでしょ? 好きよね? なんで新公主演ってひとりで騒いでんのかわかったよ。顔かー」……って、ナニひとりで納得してんのよ、そっちこそ。
 ベニーの顔も名前も知らないクリスさんに、またしても「緑野さんがいかにも好きそうな顔の子で」としたり顔で解説するし。
 もちろんBe-Puちゃんはカケラもベニーの顔を良いとは思わないよーで、新公主演にも興味はなく、「新公、たのしんできてね!」と快く送り出してくれました。

 好きに決まってるだろう、あんな顔(笑)。

 オサ、水、おっちょん、まっつ、うきょーさん……ブログをはじめた当初にどっかに書いたおぼえのある「好き顔」のラインに、もちろん入りますよ、ベニー。

 Be-Puちゃんはヅカ友ではなく、ヅカ以前からの友人。うん、ぴっちぴちに若い頃からの友人。
 今のようにネットがあるわけではなく、会にも入っていないわたしがヅカを語り合える人が欲しい場合、現在進行形の友人にヅカにハマってもらうしかないじゃん?
 思惑通りヅカ落ちしてくれたけれど、Be-Puちゃんとはほんとに好みがかすらなくて。好きな組も贔屓もすれ違いまくりだわ。
 無駄につきあい長いから、言いたい放題だしな、お互い。

「でもさーあたしら、男の好みもかすらないから、安心してつきあえるんだよね〜〜」

 と、いつだったかオトコマエにハンドル握りながらBe-Puちゃんが言っていたことを、思い出す。
 うん。
 リアル生活でも、わたしたちがひとりの男を取り合うことだけはありえないから、安心だよね(笑)。

 そしてBe-Puちゃんは今日も旦那ののろけを真顔でするのだった……。
 しあわせそうでなにより。
 しかし、あんだけつるんでいたはずのあたしたち、どこで人生分けたんだろうね?

 
 ……い、いいのよ。
 あたしは今日もまっつまっつ言って生きるからっ!!


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