「この公演で、地味にいちばん株を上げたのは、王子かもしれないねえぇ」

 と、『銀ちゃんの恋』DC千秋楽、わたしとnanaタンとユウさんはしみじみ言ってました。

 カンペを手にしてはいるのだけど、それを開くことはなく、公演の長としての挨拶、花組の今後の予定、退団者の紹介まで全部やってのけた。
 紙に書かれた原稿を読むだけなのにカミカミで、場をドン引きさせる長ばかり見てきた者にとって、すべてを「そつなくこなす」初公演長の王子の株は上がりまくり(笑)。

 ジェンヌの本拠地は大劇場である以上、すべてのジェンヌに大劇場で緑の袴姿で卒業して欲しいと思っているけれど、王子の言葉を聞きながら「本公演以外の退団も、ソレはそれでアリなのかもな」と思った。

 『銀ちゃんの恋』で退団する3人、ちなちゃん、よしやくん、ちゃー。
 出演者勢揃いのラストに、胸に花を付けて現れた3人を、長の王子がひとりずつ紹介していく。
 この紹介がさ、ただ名前を呼ぶだけではなく、「こんな子だった」と王子の言葉で語られるの。がんばりやさんだとか、いつも元気でとか。わたしの海馬ではとても記憶できなかったんだが、お仕着せの原稿ではなく、「組の上級生の目線」による、ひとりずつの紹介だったの。

 本公演での退団時も、退団者からの手紙をカーテン前で組長が読み上げるよね。雪組ではそれだけでなく、ナガさん目線による解説もある(これがすごくスキ。ナガさんあったかい)。
 でもこのとき、語られている当人、退団者はその場にいない。袴に着替えているわけだから。

 それが、他劇場公演ではカーテンコール挨拶まんまで最後だから、退団者たちもずっと舞台にいる。
 ひとりずつ順番に「この子は、こんな子だった。こんなにステキだった」と、王子がその子の目を見ながら語る姿が、すごく良かった。
 よしやくん、ちなちゃん、そしてちゃーが、すごくくすぐったい、だけどきらきらした目で王子を見ているの。なにを言われるのか、言ってもらえるのか、期待のこもった目で見ているの。気恥ずかしそうであり、たまらなくうれしそうであり。

 そんな彼らの姿が、ものすごく、気持ちいい。
 ステキ。
 愛しい。

 キレイゴトかもしれないけれど、わたしが「夢の世界」タカラヅカに求めるもののひとつが、まちがいなくそこにあった。

 そして繰り返されるカーテンコールで、出演者みんなではじけきって踊って、退団者ももみくちゃになって笑って。
 遊んで。

 整然と迎える本拠地でのサヨナラももちろんいいけど、こーゆーのもアリだよなあ。
 と、思った。

 しあわせであれ。
 今も、そしてこれからも。ずっとずっと。


 しかし王子、みわっちDSやまりんサロンコンサートの案内はしてくれたのに、まっつと一花の出演するトド様DSのことはきれーにスルーしてたね……。花組公演ぢゃないけど、組子が出演するのに~~。

 
 タカラヅカ・スターであるがゆえの強烈な光で君臨する銀ちゃん@ゆーひくんを見て、それでも彼の「影」が薄くなったわけではないんだな、と思う。

 ゆうひくんの持つ、独特の陰と淫の魅力は別に変化していない。
 銀ちゃんは反省の色もなく大暴れしているのに、時折見せる暗さ、鋭さはゆーひくんならではの色だからだ。

 影の濃さはそのままに、光が濃くなったんだなー。
 今までは光もあんましあたってないのに、影ばっか濃くて大きかったからなあ。バランス悪くて脇にいるしかなかったんだよなあ。
 物理法則として、濃い影は強い光のもとにできなくては、おかしい。影だけ濃かったときは、法則からはずれていたためにいびつさが際立っていた。
 今、影の濃さに等しいだけの、正しい光が存在している。コントラストの美しさ、ルールに則った安定感。
 スターとして、真ん中に相応しい人になったよなあ。

 いや、真の真ん中向きな人は、もう少し影を小さくカラダの下に隠してしまうべきなんだろうけど。
 トウコちゃんみたいに光と同じ量の影をまとう人がアリなんだから、ゆーひくんの濃い影もアリかなー、と。

 声が涸れているのが気になった。出番と台詞量でいけば『THE LAST PARTY』の方がすごかったと思うが、なにしろ怒鳴り芝居だからなー、銀ちゃん。みつるも大変そうだったし、みんな体当たりだぁ。

 
 カテコでうっかりと、ヒゲのダンディ@ふみかのウィンクくらって、息が止まりました……。
 あああ、いいカンパニーだなあ。

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