1時間半と5分が。@新人公演『Paradise Prince』
2008年10月24日 タカラヅカ 新人公演『Paradise Prince』は、ラスト直前で大いにとまどった。
銀橋で愛を歌う1組のカップル。
ハワード@みーくんと、ローズマリー@せーこちゃん。
ハワードがものごっつーオトコマエで。
少女マンガに相応しい美青年で。
対するローズマリーは、単体で見るとちょいゴツいんだが(笑)、長身の男の横に立つとかわいらしくて。
少女マンガに相応しいあどけなさを持つ金髪美女で。
このふたりが、愛を語り、愛に生きることを決める。
確かな歌唱力、感情豊かな演技。
わきあがる拍手。その音と温度。
そして、暗転。
あー、いいお芝居観たね。主演ハワード@みー、ヒロインはローズマリー@せーこだっけ。
……あれ? なんか、ちがったよーな?
アタマが混乱しているうちに再びライトがさんさんと輝き、舞台にスチュアート@大ちゃんたちが登場してわいわいやっている。
あ、そっか。そーゆー話だったっけ。
…………。
それまでのスチュアートの物語と、ラストのハワードの銀橋と、あらゆる意味で、乖離し過ぎ。
芝居好きのわたしは、ハワードに全部持って行かれて、ナニを観たのかわかんなくなった。
それまでの1時間半の記憶が、ハワードとローズマリーの5分に塗り替えられてしまった。
純粋に、技術ってのはすごいもんなんだな。
それまでは、ごくふつーにきれーな若者たちの物語を眺めていたのに。物語の主軸が、技術の有無、実力の有無でどーんと大きく動いてしまった。ぶれてしまった。
そもそも景子たんの物語は、いつも蛇足が多い。
本筋が終わった後の後日談が絶対にある。
『Paradise Prince』に至っては、後日談がアダルト・カップルと主役カップルの10年後と、2つもある。
ハワードとローズマリーの後日談はたしかに良いエピソードだが、スチュアートとキャサリンの物語的には不要なんだよね。
本公演は主演のタニちゃんとウメちゃんの輝きとスター力が、専科さんふたりの確かな演技力・歌唱力に負けることがないので、並列されていても蛇足感はあるにしろ問題なかったけど。
新公は……。
もともと蛇足で、本筋からすれば「ソレ、別の話だから。いらないから」なものであるだけに、主演カップルより実力のある人たちが演じてしまうと、さらに異次元、別世界。つか、作品を壊してしまう。
こまったもんだな。脚本の粗が目立っちゃったよ、景子せんせ。
みーちゃんとせーこちゃんは、共に主演経験者(せーこはバウヒロ)。一度でも「真ん中」を経験した人は強いね。見せ方や在り方を知り、ちゃんと「芝居」をしている。
ふたりがうまい人たちだということはわかっていたが、それにしてもあそこまで場をさらっていかなくても……(笑)。
さて、大ちゃんは2度目の主演。
前回台詞をきちんと言うこともままならなかった彼なので、いろいろ心配もしたが(笑)、どーしてどーして、よくやっていた。
てゆーかやっぱきれいだ、この子。
タニちゃんの衣装を着て「残念」にならない稀有なスタイルと美貌の持ち主。
スチュアート役は等身大の青年なので、男役スキルはあまり必要ない、持ち味だけで勝負可能。
表情はあまり多くないし、どういうキモチでそーゆー表情しているのかわからないことも多いんだが、場数を踏めばその辺は変わっていくのだろうと思う。
わたしはキャラクタとしての鳳翔大くんを知らないのだが、なんつーか、「いっぱいいっぱいに見えない」ところが、愉快な子だな、と。
新公主演者はふつーかなりテンパってるもんだが、大ちゃんってぎりぎりでキリキリ舞いしているように見えない(笑)。たぶん緊張していっぱいいっぱいになっているのだろうと推測するが、見た目にはわからない。他の人は知らないが、わたしには。
……とゆーところが、おもしろい。
なんかすごーく個性的なキャラとか、演じてみてほしいな。あ、歌はたしかにものすごかったので、がんばってほしいですが(笑)。
とにかく、見るたびにきれいになっていってるよね。目に入るたびにそう思える貴重な人。
キャサリン@愛花ちさきちゃんは、ふつーにうまかった。
だけどこーゆー現代物だと、華の有無が大きく関わってくるんだなと、再確認。植爺芝居みたいに、ヒロインは身分に関係なくいちばん豪華なドレスを着せてもらったりしないので、自分で輝かないといけない。
後半、モブの中に混ざるとキャサリンがどこにいるのかわからなくて困った。
で、このちさきちゃん、なんか「誰かに似てる、誰だっけ」と思って見ていたんだが、途中で「水しぇんに似てる!」と思い至った。
面長の輪郭と、なによりドナルドダック系の口が似てるの。斜めから見たアゴのラインとか。水くんが女だったら、で、お目々ぱっちり系メイクをしたら、こんな感じ?
さらにわたし、せーこちゃんがゆみこっぽく見えていたので、「女装した雪1と2が揃っている?!」と、ひとりツボに入っていた。
……nanaタンに言っても共感は得られなかったので、わたし限定の感想だと思います、はい。
勝手にわたしひとりで一方的に、親近感持つことにします、はい。
ちさきちゃんの舞台姿をしみじみ眺め、目元と顎のラインあたりに、若き日の叶刑事を彷彿とする、往年の『特捜最前線』ファンなわたし。(吉野×叶とゆーカップリングの同人誌、持ってたなあ……・笑)
アンソニー@かちゃは、ひとことで言うと、赤面度が足りない。
なんか、ふつーの人でした。
恥ずかしいくらいの人でないと、あの役はつまんないんだなー。
内面を掘り下げる役ではなく、記号としてアニメ的な悪役だから、インパクト勝負。見た目で「説明不要」とすべてをねじ伏せなければならない。
『殉情』でふつーの若者としてあんなにかっこよかったのに、スーツ姿になるとやはり衣装に「着られている」感が強く、技術がないわけではないのに「女の子の男装」になってしまう。体格のハンデが大きいのかな。
きれいだしうまいのに、それが舞台で活きないことがはがゆい。
アンソニーの愛人コンビ、ヴィクトリア@藤咲えりちゃんとシャルル@七海ひろきくん。
ふたりともうまいし、きれい。
藤咲えりちゃんは「こわい女」が板に付いていて、この役がこんなに似合ってていいのか?と心配した(笑)。
七海くんはふつうにきれいで……あれ、そーいやいつぞやの新公でも彼のことを「きれい」と書いたよーな。きれいな人だということはわかっているし、芝居もバウで見ているので、あとはなにかプラスアルファが欲しかったんだが、ソレには至らず。本役はカラダのデカさだけでインパクトになるが、ふつーサイズでふつーにきれーな七海くんはソレだけだと弱いっす。
アンソニー様が地味なふつーの人になっていた分、愛人たちもふつー度が増してしまった気がする。
続く。
銀橋で愛を歌う1組のカップル。
ハワード@みーくんと、ローズマリー@せーこちゃん。
ハワードがものごっつーオトコマエで。
少女マンガに相応しい美青年で。
対するローズマリーは、単体で見るとちょいゴツいんだが(笑)、長身の男の横に立つとかわいらしくて。
少女マンガに相応しいあどけなさを持つ金髪美女で。
このふたりが、愛を語り、愛に生きることを決める。
確かな歌唱力、感情豊かな演技。
わきあがる拍手。その音と温度。
そして、暗転。
あー、いいお芝居観たね。主演ハワード@みー、ヒロインはローズマリー@せーこだっけ。
……あれ? なんか、ちがったよーな?
アタマが混乱しているうちに再びライトがさんさんと輝き、舞台にスチュアート@大ちゃんたちが登場してわいわいやっている。
あ、そっか。そーゆー話だったっけ。
…………。
それまでのスチュアートの物語と、ラストのハワードの銀橋と、あらゆる意味で、乖離し過ぎ。
芝居好きのわたしは、ハワードに全部持って行かれて、ナニを観たのかわかんなくなった。
それまでの1時間半の記憶が、ハワードとローズマリーの5分に塗り替えられてしまった。
純粋に、技術ってのはすごいもんなんだな。
それまでは、ごくふつーにきれーな若者たちの物語を眺めていたのに。物語の主軸が、技術の有無、実力の有無でどーんと大きく動いてしまった。ぶれてしまった。
そもそも景子たんの物語は、いつも蛇足が多い。
本筋が終わった後の後日談が絶対にある。
『Paradise Prince』に至っては、後日談がアダルト・カップルと主役カップルの10年後と、2つもある。
ハワードとローズマリーの後日談はたしかに良いエピソードだが、スチュアートとキャサリンの物語的には不要なんだよね。
本公演は主演のタニちゃんとウメちゃんの輝きとスター力が、専科さんふたりの確かな演技力・歌唱力に負けることがないので、並列されていても蛇足感はあるにしろ問題なかったけど。
新公は……。
もともと蛇足で、本筋からすれば「ソレ、別の話だから。いらないから」なものであるだけに、主演カップルより実力のある人たちが演じてしまうと、さらに異次元、別世界。つか、作品を壊してしまう。
こまったもんだな。脚本の粗が目立っちゃったよ、景子せんせ。
みーちゃんとせーこちゃんは、共に主演経験者(せーこはバウヒロ)。一度でも「真ん中」を経験した人は強いね。見せ方や在り方を知り、ちゃんと「芝居」をしている。
ふたりがうまい人たちだということはわかっていたが、それにしてもあそこまで場をさらっていかなくても……(笑)。
さて、大ちゃんは2度目の主演。
前回台詞をきちんと言うこともままならなかった彼なので、いろいろ心配もしたが(笑)、どーしてどーして、よくやっていた。
てゆーかやっぱきれいだ、この子。
タニちゃんの衣装を着て「残念」にならない稀有なスタイルと美貌の持ち主。
スチュアート役は等身大の青年なので、男役スキルはあまり必要ない、持ち味だけで勝負可能。
表情はあまり多くないし、どういうキモチでそーゆー表情しているのかわからないことも多いんだが、場数を踏めばその辺は変わっていくのだろうと思う。
わたしはキャラクタとしての鳳翔大くんを知らないのだが、なんつーか、「いっぱいいっぱいに見えない」ところが、愉快な子だな、と。
新公主演者はふつーかなりテンパってるもんだが、大ちゃんってぎりぎりでキリキリ舞いしているように見えない(笑)。たぶん緊張していっぱいいっぱいになっているのだろうと推測するが、見た目にはわからない。他の人は知らないが、わたしには。
……とゆーところが、おもしろい。
なんかすごーく個性的なキャラとか、演じてみてほしいな。あ、歌はたしかにものすごかったので、がんばってほしいですが(笑)。
とにかく、見るたびにきれいになっていってるよね。目に入るたびにそう思える貴重な人。
キャサリン@愛花ちさきちゃんは、ふつーにうまかった。
だけどこーゆー現代物だと、華の有無が大きく関わってくるんだなと、再確認。植爺芝居みたいに、ヒロインは身分に関係なくいちばん豪華なドレスを着せてもらったりしないので、自分で輝かないといけない。
後半、モブの中に混ざるとキャサリンがどこにいるのかわからなくて困った。
で、このちさきちゃん、なんか「誰かに似てる、誰だっけ」と思って見ていたんだが、途中で「水しぇんに似てる!」と思い至った。
面長の輪郭と、なによりドナルドダック系の口が似てるの。斜めから見たアゴのラインとか。水くんが女だったら、で、お目々ぱっちり系メイクをしたら、こんな感じ?
さらにわたし、せーこちゃんがゆみこっぽく見えていたので、「女装した雪1と2が揃っている?!」と、ひとりツボに入っていた。
……nanaタンに言っても共感は得られなかったので、わたし限定の感想だと思います、はい。
勝手にわたしひとりで一方的に、親近感持つことにします、はい。
ちさきちゃんの舞台姿をしみじみ眺め、目元と顎のラインあたりに、若き日の叶刑事を彷彿とする、往年の『特捜最前線』ファンなわたし。(吉野×叶とゆーカップリングの同人誌、持ってたなあ……・笑)
アンソニー@かちゃは、ひとことで言うと、赤面度が足りない。
なんか、ふつーの人でした。
恥ずかしいくらいの人でないと、あの役はつまんないんだなー。
内面を掘り下げる役ではなく、記号としてアニメ的な悪役だから、インパクト勝負。見た目で「説明不要」とすべてをねじ伏せなければならない。
『殉情』でふつーの若者としてあんなにかっこよかったのに、スーツ姿になるとやはり衣装に「着られている」感が強く、技術がないわけではないのに「女の子の男装」になってしまう。体格のハンデが大きいのかな。
きれいだしうまいのに、それが舞台で活きないことがはがゆい。
アンソニーの愛人コンビ、ヴィクトリア@藤咲えりちゃんとシャルル@七海ひろきくん。
ふたりともうまいし、きれい。
藤咲えりちゃんは「こわい女」が板に付いていて、この役がこんなに似合ってていいのか?と心配した(笑)。
七海くんはふつうにきれいで……あれ、そーいやいつぞやの新公でも彼のことを「きれい」と書いたよーな。きれいな人だということはわかっているし、芝居もバウで見ているので、あとはなにかプラスアルファが欲しかったんだが、ソレには至らず。本役はカラダのデカさだけでインパクトになるが、ふつーサイズでふつーにきれーな七海くんはソレだけだと弱いっす。
アンソニー様が地味なふつーの人になっていた分、愛人たちもふつー度が増してしまった気がする。
続く。
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