「教えてヒョンゴ先生。『太王四神記』の冒頭、神話部分がよくわかりません。ぶっちゃけ、いらないんぢゃないですか、アレ?」

「そんなことを言ってはいけません。物事にはすべからく因果というものがあってだね、現在の事象を語るために過去の要因を説くことが必要なのだよ」

「教えてヒョンゴ先生。神話部分はまあそんなこともあったのかふーんで済むけど、その直後のチュシンの星が現れたときの怒濤の出来事、アレ、いくらなんでもありえなくね? タムドクとヨン・ホゲが産まれたまでは良くても、あと一気に四神器がどーなったかまで描くのは乱暴すぎるんじゃ? 主役ふたりの他に、神器×4で、しかもその4人の家族まで一気に出てくるんで、ありえない人口登場密度なんだけど?」

「このジェットコースターについて来てこそ、本物のタカラヅカファンなのだ。……まあここだけの話、そんなもんわかってなくても、ストーリー自体は単純だから、気にしなくてよろしい」

「教えてヒョンゴ先生。チュシンの星が現れたときに、タムドクとヨン・ホゲが産まれて、そのときすでにキハは妹を隠したりしてたんだよね? ……て、キハってそんときいくつですか? てゆーかキハって、実はすげー年増?」

「そ、それは、言ってはならないことだ。タムドクと書庫ではじめて会ったときのキハがものすごーく若い少女ぶっていたことなんかは、考えてはいけないことなのだ」

「教えてヒョンゴ先生。タムドクが生まれた日に、スジニはすでに生まれていて、姉のキハが抱いて隠しても大丈夫なくらい、ある程度育っていたわけですよね。ということは、スジニって、タムドクと同い年か、年上?」

「そ、それは、言ってはならないことだ。物語の性質上、タムドクとヨン・ホゲがいちばん年少になってしまうが、ロマンが壊れるから、考えてはならない。スジニは少女、タムドクに子ども扱いされる少女。たとえ演じている人の学年が研12とか今年で13とかでも、スジニは少女。いいね、わかったね?」

「教えてヒョンゴ先生。公式HPのあらすじに、孤独なタムドクを幼い頃から理解し支えたのは、神官キハだった。ってあるけど、いったいいつ幼いタムドクをキハが支えていたんですか? 書庫で出会って出会った瞬間誰にも言ってはいけない秘密をぺらぺら喋って、父王の寝所にまで連れて行ってたけど、実はあの場面だけで10年くらい時間が経ってたんですか?」

「え? い、いやそれは先生も知らなかったっ、2回観劇したあとに人から言われてはじめて知った……てゆーか、HPのあらすじなんかはじめて読んだよ。そ、そうだね、きっとあの出会い場面のキハの少女ぶりっこからして、タムドク10歳、キハ16歳とかで、出会って話している数分間で実は10年の月日が流れ、心を許したタムドクが『本当はチュシンの日に生まれたんだ、でもこれはナイショだよ♪』と打ち明けるんだ。父王は10年間病に臥せっていたんだよ」

「奥が深いですね! あの数分間で10年の時の流れを示していたなんて。毒殺に10年もかかっていたんじゃあ、悪者のヨン夫人も業を煮やして悪者医者に早く殺してしまえとせっつきますよね!」

「うむ、その通りだ。ちなみにその間ずーっと私たちコムル村の者たちはどこぞの宿場だかにいたことになるが……細かいことを、気にしてはいけない」

「教えてヒョンゴ先生。幼なじみだと銀橋でじゃれ合わなければならないの? なんかすごく既視感があるんですけど」

「たしかにどこかで見たような気はするし、とくに片割れはついこの間『俺たちはVieil Amiだ』とか言っていたよーな気がするが、気にしてはならない。そんなこと言ったら最後のクレーン朱雀ちゃんはどこの昇天シーンだとか、幕が下りたあとに下手セリから2番手がキラキラ衣装で登場して主題歌ソロで銀橋とか、キリがないので、却下」

「教えてヒョンゴ先生。ヒョンゴ先生ってじつは、越後の縮緬問屋のご隠居ですよね?」

「スジニが助さんで、ヒョンミョンが格さん? 玄武の杖が印籠? ボタンひとつで光ります? ……先生も、あの衣装デザインの本音を聞きたいところです」

「教えてヒョンゴ先生」

「ストーリーへのツッコミは、面倒くさいのですべて却下。他のことにしてください」

「じゃあ先生、作品中、いちばんのナルシストは誰ですか?」

「難しい質問ですね。三つ編みがチャームポイントのプルキルと、一筋の乱れ髪にこだわりアリのイルスが強いかもしれませんが、実のところチョロが最強でしょう。自分の素顔を見た瞬間の彼の『これが俺の顔?』という台詞のあとに、心の声『……美しい(はぁと)』が聞こえてきますからね」

「教えてヒョンゴ先生。コ将軍って、どんだけ人望ナイんですか? 将軍なのに、タムドクのもとへ馳せ参じるとき単独って……部下のひとりも従ってくれなかったんですよね?」

「新公学年でありながらトップスターの師匠にナチュラルに見える、あの得難い才能のヒゲぶりを賞賛するべきであり、無粋なツッコミをしてはいけない。パソン姐さんの作る鎧が12枚しか出来ない以上、コ将軍に部下を連れてこられても困るのだから、アレでいいんだ。また、組長と並んで遜色ないチョ・ジュドのヒゲぶりとか、部族長たちとか、花組ヒゲ部の若手たちは有望だよ」

「……戦力的に役立たずのヒョンゴ先生が鎧を着るのをやめれば、ひとり戦士を連れて行けたのでは?」

「先生も必死に戦ってるんですっ。たとえ女の子のスジニに守られていても、腰の剣を一度も抜くことが無くても、鎧ぐらい着たっていいぢゃないですかっ。普段が謎の神学生か、越後の縮緬問屋のご隠居なんだからっ。かっこいい衣装も着せてよねっ!」

「教えてヒョンゴ先生。魔術師プルキルって、2千年も生きてて、小さな高句麗ひとつ征服できず、やっていたことは秘密組織の総統って、なんかショッカーレベルなんですけど、まあそれはいいとして、結局のとこ、最後アレどーなったんですか?」

「………………まあその、なんだ。最後に愛は勝つってことで。先生、原作のドラマ見てないからわけわかんないけど、まあハッピーエンドだからいいじゃんってことで」

 
 まとめ。

 『太王四神記』は、愉快です。

 それだけわかっていれば、ヨシ。愉しむ上での合い言葉は、「細かいことは、気にすんな」です。

 まとぶさんとゆーひさんが、すげーかっこいいです。えりたんが素敵です。
 ま、そーゆーことで。

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