歌で綴られる英雄譚。@新人公演『太王四神記』
2009年1月20日 タカラヅカ 本日は本公・新公ダブルヘッダ。
本公演の最後のパレードで、花組が好きだ、今の花組が好きだ、と、なんか泣きたくなった。
や、今に限定しなくても、いつだって好きなんだけどさ。
最近続くいろんな発表、いろんな変化で、不安が尽きないんだ。
今の花組が好きだよ。
わたしだけでなく、いろんな人たちが、いろんな組のファンたちが、みんなそれぞれそう思っていると思う。
それはさておき、新人公演『太王四神記』。
まだ本公演の感想をまともに書いてないんでアレだが、キモチがアツいうちに新公を書いておく。
演出は生田大和。生田せんせで思い出すのは『ファントム』新公なんだが、あのちまちましたカットぶりからすれば、なかなか大胆につぎはぎするようになったなあ。
まず、神話とタムドク誕生時の神器と守り主の話は全カット。初日に観て「いらないんぢゃね?」と思ったところを本当に潔くカットしていた。で、なくても問題なかった(笑)。
せり上がりヒョンゴ@真瀬の語りも最小限に、子どもタムドク@姫花、子どもヨン・ホゲ@イブの「自主練」から物語スタート。
前景の背後で盆を回して次の場面までのロスタイムを無くしたり、間を省略したのちの場面と場面をつなぐために立ち位置や登場位置を左右ひっくり返したり、細かいことやってる(笑)。
新公のいちばんの感想は、年齢設定の正しい『太王四神記』だわ、てことだったり(笑)。
や、わたしは原作知らないけど、舞台を観るだけでも本公演の主人公たちの年齢設定には「?」が飛び交っていたので。
キハが、タムドクより年上だった。
キハ@ののすみの第一声から、「え?」と思ったのは、その大人っぽさと、知性。
タムドク@だいもんとはじめて出会う書庫の場面で、明らかにタムドクより年上の女性だった。
子犬のような瞳(笑)の少年王子になつかれ、思案しながらも心を寄せていく知的な女性。
反面、タムドクの幼さが気になった。
こんなに子どもでええんかいな、と思っていたが。
この物語は、タムドクの成長物語なんだ。と、思わせる、無邪気な少年から大人の男へ、王者へのあざやかな変貌。
キハとの年齢差は、あとになればなるほど気にならなくなる。タムドクが急激に大人びていくからだ。
傷つくたびに、障害に出会うたびに、彼は大人になっていく。あるときを境に変わるのではなく、なめらかに、されどハイスピードで、彼は人生を駆け抜けていく。
そして、スジニが、少女だった。
元気で健気な少女。アニメ的というか、記号として役割のわかりやすい女の子。
キハより年下だとわかるし、タムドクに「妹」と言われても違和感がない。
タムドクと同い年くらいだから幼すぎる気もするが、タムタムだって最初はえらく幼かったわけだし、彼の急激な成長を鑑みればスジニはこれくらいの年齢でいい。
でもって、パワーバランスも、ある意味正しい?
主人公は圧倒的にタムドクであり、2番手は、タムドクの敵であるプルキルだった。
神話時代からタムドク誕生までがカットされているので、プルキルの出番は少なくなっており、ホゲの出番はほぼそのままなんだが、プルキル@まぁくんが2番手に見えた。
主人公が最終場面で対決する相手が2番手、つーのは、ヅカ的に正しいんぢゃね? ……プルキルの最期の描き方は、本公以上にどうかと思うが。
ヨン・ホゲは、ふつーの人だった。
ホゲ@鳳くんは、王としての器などまーーったく持っていないのに、プルキルに操られ、自滅していく様が、哀れだった。
明らかにふつーの人、なんで王様になれるなんて思っちゃったんだろう、という場違い感は「英雄タムドクの物語」としてはぜんぜんアリだと思う。
本公演の年齢・パワーバランスを否定するわけではなく、こういうのもアリか、という意味っす。
両方楽しめてお得。
最初のうち、タムドクがえらく幼い作りだから、わたしはけっこうがっかりしていた。
何度となく書いてきたが、女性である以上「少年」は演じやすいんだ。男役としての技術が拙い人でも、子役なら誤魔化しが利く。
だいもん、子役ばっかやらされていたから、もう大人の男はできなくなっちゃったのかな。満を持しての新公主役で、こんなかわいらしい少年を演じられてもなー。
とまあ、油断していたら。
彼は、どんどん加速していった。
歌声の、圧倒的な力。
歌える子だとはわかっていたけれど、そこに感情がのり、芝居が加わると、爆発的な力になる。
2幕のキハを想って歌う歌、語りのような独り言のようなつぶやきからはじまり、魂の絶唱に至る昂揚ときたら!
ぞくぞくした。
てゆーかもー、あちこち泣かされた。
歌で芝居することを知っている声だ。
饒舌な歌声。
前へ出、表現しようとする声。
決して派手ではないんだけどね。
堅実な「表現者」の歌声だった。物語好き、芝居好きの人間としては、この歌声が綴る、この歌声が表現する「物語」に、つい引き込まれる。
課題は、ビジュアルかなあ……。
本役さんの髪型を踏襲するのではなく、とにかく「自分に似合うモノ」で勝負してもよかったんじゃないだろーか。
てゆーかだいもん、公称身長169cmなんだね……まとぶさんと同じで、ゆーひさんより1cm低いだけなんだ……いやその、触れぬが華だとわかっちゃいるが、花組生え抜きさんの公称身長と、組替えさんの公称身長には深い溝があるなと。
キハはなんかあちこち、こわかった。
ののすみに操られる役とか狂っちゃう系の役やらせちゃダメだよ、やりすぎちゃうよこの子(笑)。
本当のキハと、操り人形キハの差がすごい。
あ、今人形スイッチ入った、てときの顔が、生理的にぞわっとする。
お告げの舞を舞うときとか、笑ってんですけど、この人。心の壊れた笑顔がめちゃくちゃこわい。
精神ヤヴァイときはともかくとして。
大人の女性として少年タムドクの前に現れるのが、いいなと思う。
ヨン夫人を自害へ追い込んだことで自分を責めるタムドクに、彼が「欲しかった言葉」を投げかける姿の力強さ。
タムドクにとって、この女性が「救い」であることがわかる。
また彼の、おどおどとした抱擁がイイしな(笑)。そのあとに、年上の彼女にイイカッコするために「ひとりで街へ行く練習しないと、君を案内できない」と言うあたりの、台詞のつながりがなめらかだ。うんうん、がんばれ少年。
『太王四神記』で年下の男の子との恋、を楽しむことが出来るとは思わなかったわ。
彼はかわいい年下の男の子。彼はわたしに恋して、どんどん大人になっていく。
かわいこちゃんだと油断していたら、はっとするほど豊かな大人の男性になって、いつの間にかわたしが彼の一挙手一投足にどきどきしている……!
てな感じっすか?(笑)
他の子の感想は別欄へ続く。
本公演の最後のパレードで、花組が好きだ、今の花組が好きだ、と、なんか泣きたくなった。
や、今に限定しなくても、いつだって好きなんだけどさ。
最近続くいろんな発表、いろんな変化で、不安が尽きないんだ。
今の花組が好きだよ。
わたしだけでなく、いろんな人たちが、いろんな組のファンたちが、みんなそれぞれそう思っていると思う。
それはさておき、新人公演『太王四神記』。
まだ本公演の感想をまともに書いてないんでアレだが、キモチがアツいうちに新公を書いておく。
演出は生田大和。生田せんせで思い出すのは『ファントム』新公なんだが、あのちまちましたカットぶりからすれば、なかなか大胆につぎはぎするようになったなあ。
まず、神話とタムドク誕生時の神器と守り主の話は全カット。初日に観て「いらないんぢゃね?」と思ったところを本当に潔くカットしていた。で、なくても問題なかった(笑)。
せり上がりヒョンゴ@真瀬の語りも最小限に、子どもタムドク@姫花、子どもヨン・ホゲ@イブの「自主練」から物語スタート。
前景の背後で盆を回して次の場面までのロスタイムを無くしたり、間を省略したのちの場面と場面をつなぐために立ち位置や登場位置を左右ひっくり返したり、細かいことやってる(笑)。
新公のいちばんの感想は、年齢設定の正しい『太王四神記』だわ、てことだったり(笑)。
や、わたしは原作知らないけど、舞台を観るだけでも本公演の主人公たちの年齢設定には「?」が飛び交っていたので。
キハが、タムドクより年上だった。
キハ@ののすみの第一声から、「え?」と思ったのは、その大人っぽさと、知性。
タムドク@だいもんとはじめて出会う書庫の場面で、明らかにタムドクより年上の女性だった。
子犬のような瞳(笑)の少年王子になつかれ、思案しながらも心を寄せていく知的な女性。
反面、タムドクの幼さが気になった。
こんなに子どもでええんかいな、と思っていたが。
この物語は、タムドクの成長物語なんだ。と、思わせる、無邪気な少年から大人の男へ、王者へのあざやかな変貌。
キハとの年齢差は、あとになればなるほど気にならなくなる。タムドクが急激に大人びていくからだ。
傷つくたびに、障害に出会うたびに、彼は大人になっていく。あるときを境に変わるのではなく、なめらかに、されどハイスピードで、彼は人生を駆け抜けていく。
そして、スジニが、少女だった。
元気で健気な少女。アニメ的というか、記号として役割のわかりやすい女の子。
キハより年下だとわかるし、タムドクに「妹」と言われても違和感がない。
タムドクと同い年くらいだから幼すぎる気もするが、タムタムだって最初はえらく幼かったわけだし、彼の急激な成長を鑑みればスジニはこれくらいの年齢でいい。
でもって、パワーバランスも、ある意味正しい?
主人公は圧倒的にタムドクであり、2番手は、タムドクの敵であるプルキルだった。
神話時代からタムドク誕生までがカットされているので、プルキルの出番は少なくなっており、ホゲの出番はほぼそのままなんだが、プルキル@まぁくんが2番手に見えた。
主人公が最終場面で対決する相手が2番手、つーのは、ヅカ的に正しいんぢゃね? ……プルキルの最期の描き方は、本公以上にどうかと思うが。
ヨン・ホゲは、ふつーの人だった。
ホゲ@鳳くんは、王としての器などまーーったく持っていないのに、プルキルに操られ、自滅していく様が、哀れだった。
明らかにふつーの人、なんで王様になれるなんて思っちゃったんだろう、という場違い感は「英雄タムドクの物語」としてはぜんぜんアリだと思う。
本公演の年齢・パワーバランスを否定するわけではなく、こういうのもアリか、という意味っす。
両方楽しめてお得。
最初のうち、タムドクがえらく幼い作りだから、わたしはけっこうがっかりしていた。
何度となく書いてきたが、女性である以上「少年」は演じやすいんだ。男役としての技術が拙い人でも、子役なら誤魔化しが利く。
だいもん、子役ばっかやらされていたから、もう大人の男はできなくなっちゃったのかな。満を持しての新公主役で、こんなかわいらしい少年を演じられてもなー。
とまあ、油断していたら。
彼は、どんどん加速していった。
歌声の、圧倒的な力。
歌える子だとはわかっていたけれど、そこに感情がのり、芝居が加わると、爆発的な力になる。
2幕のキハを想って歌う歌、語りのような独り言のようなつぶやきからはじまり、魂の絶唱に至る昂揚ときたら!
ぞくぞくした。
てゆーかもー、あちこち泣かされた。
歌で芝居することを知っている声だ。
饒舌な歌声。
前へ出、表現しようとする声。
決して派手ではないんだけどね。
堅実な「表現者」の歌声だった。物語好き、芝居好きの人間としては、この歌声が綴る、この歌声が表現する「物語」に、つい引き込まれる。
課題は、ビジュアルかなあ……。
本役さんの髪型を踏襲するのではなく、とにかく「自分に似合うモノ」で勝負してもよかったんじゃないだろーか。
てゆーかだいもん、公称身長169cmなんだね……まとぶさんと同じで、ゆーひさんより1cm低いだけなんだ……いやその、触れぬが華だとわかっちゃいるが、花組生え抜きさんの公称身長と、組替えさんの公称身長には深い溝があるなと。
キハはなんかあちこち、こわかった。
ののすみに操られる役とか狂っちゃう系の役やらせちゃダメだよ、やりすぎちゃうよこの子(笑)。
本当のキハと、操り人形キハの差がすごい。
あ、今人形スイッチ入った、てときの顔が、生理的にぞわっとする。
お告げの舞を舞うときとか、笑ってんですけど、この人。心の壊れた笑顔がめちゃくちゃこわい。
精神ヤヴァイときはともかくとして。
大人の女性として少年タムドクの前に現れるのが、いいなと思う。
ヨン夫人を自害へ追い込んだことで自分を責めるタムドクに、彼が「欲しかった言葉」を投げかける姿の力強さ。
タムドクにとって、この女性が「救い」であることがわかる。
また彼の、おどおどとした抱擁がイイしな(笑)。そのあとに、年上の彼女にイイカッコするために「ひとりで街へ行く練習しないと、君を案内できない」と言うあたりの、台詞のつながりがなめらかだ。うんうん、がんばれ少年。
『太王四神記』で年下の男の子との恋、を楽しむことが出来るとは思わなかったわ。
彼はかわいい年下の男の子。彼はわたしに恋して、どんどん大人になっていく。
かわいこちゃんだと油断していたら、はっとするほど豊かな大人の男性になって、いつの間にかわたしが彼の一挙手一投足にどきどきしている……!
てな感じっすか?(笑)
他の子の感想は別欄へ続く。
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