さて、『第95期宝塚音楽学校文化祭』の感想をざーーっと。

 2年連続で友会で、自分で当たりました、去年も今年も初日初回公演。友人たちに頼んでいた他公演ははずれているので、この回がいちばん当たりやすいのかなあと思ってみたり。初日の緊張好きだから、いいんだけど。

 プログラムは「清く正しく美しく」1曲だけ日舞、予科生コーラス4曲、クラシック・ヴォーカル男役ソロ1曲、娘役ソロ1曲、タカラヅカ・メドレーでほぼ全員ワンフレーズだけでもソロあり、メドレーでソロがまるっと1曲あったのは男役ひとり、娘役ひとりのみ。ここまでが第1部。

 毎年、「清く正しく美しく」ソロを歌う娘役さんがたのしみのひとつである。
 これぞタカラヅカの娘役、という、澄んだ美しいソプラノで、清らかに歌い上げるわけだから。
 これを聴くと、「タカラヅカっていいなあ。きれいだなあ」という気持ちになる。
 今年もまた、きれいな娘役さんが美声を披露してくれた。
 この彼女が今回の挨拶をする生徒さん、つまり成績4番の子ですな。

 2列目センター通路脇だったりしたので、前方定位置に立っているコーラス隊の顔はかえってよく見えず、動き回る舞踊隊の方が見えたので、おとなしく日舞を眺める。
 気になる顔立ちの子が何人かいる。……ひとりはまっつに似ているために気になるわけだが、あまり目立つわけでもない。
 やっぱ濃い顔立ちの子の方が目にとまりやすい。
 あと、柚長似の大人っぽい美形の娘役がいて、その徒っぽい姿に見ほれる。(曲は「清く正しく美しく」ですってば!)

 なんか目に付く、目に入る顔立ちの長身の男役がいて、ものすごく美形というわけじゃないのに、どうしてだろう、と思っていたら、その子がクラシック・ヴォーカルの男役ソロだった。
 ああそうか、「男役」として型ができあがっているんだなと思う。学生っぽい他の子に比べて、劇団下級生って感じだ。

 この長身男役くんは、その直後のヅカメドレーでも初っぱなからデュオとして登場、一気に顔を覚えた。ええ、デュオのコンビの彼も特徴のあるオデコくんなので、よーーっくわかる。
 長身くんとオデコくんはその他の場面でも、やたらいい位置にいたので優秀な人たちなのかな? それともたんにわたしの記憶に残っているだけ?

 例年ならばもう少しヅカメドレーで目に付く人がいるもんなんだけど、今回はあまりこれということもなく。
 日舞でわたしの目を引いた人が、歌ではあまり活躍していないため個別認識に至らないためだろう。
 また、みんなふつーにきれーだってのも、印象が平板になるかな。去年とか、まずビジュアルでびっくりする子とかいたもんな。

 毎年観劇しているだけに、構成の「お約束」みたいなものも見えてきて、メドレーのトリを飾る「ディーン」男役ソロ、の演出は「狙って」いることがわかる。
 舞台いっぱいにキャスト全員で歌う前曲から、わらわらと人が舞台からはけていくと、舞台最奥に男がひとり佇んでいる。後ろ姿ですよ、背中ですよ。
 曲は「ディーン」ですよ、ええ、とことんヅカ的二枚目曲です。
 ここで、振り返りからはじまるわけですよ、歌唱が。

 とことんヅカっぽく。
 男役っぽく。
 二枚目スターっぽく。

 この演出には、ツボ直撃。これがヅカ舞台以前の文化祭であることや、やっているのが男役スキルの低い学生であること、それでもまぎれもなく「タカラヅカ」であることに、ウケる。
 そうそう、ヅカはこうでなくっちゃ!みたいな(笑)。

 そして、ここまで演出して、盛り上げて、振り返ったその男役が。

 …………ごめん、ここでもまた、ウケた。

 美形の多い95期で、たぶんほんとーにただ顔だけで判断すると、いちばんきっとええっと個性的な感じの彼です。

 ヅカメドレー14曲で、男役ソロはたった1曲、ソロを歌えるのはたったひとり。
 その特別なスターが、ええっと、なんつーんですか、みやたんに似ているのですよ。
 風早優氏。
 元雪組の個性派男役。

 さあトップスター登場ですよ!てな演出で、背中からの振り返りで、そこにはみやたん。

 でもってこのみやたんが、熱唱するわけですよ、「ディーン」を。
 これまたクドく、ネツっぽく、身を振り絞るかのように。

 うん。
 男役のソロ曲は、全編通して2曲のみ。
 クラシック・ヴォーカルはほんとうに歌のうまい人が、歌う場なんだろう。
 そして、ヅカメドレー内のソロは、歌唱力も考慮されているにしろ、男役度の高さが関係している、んだろうなと。
 ただ出てきて突っ立って歌う、のではなく、踊って歌うコンサートの中のプログラムとして、「演出」が加わっているわけだから。

 クラシック・ヴォーカルの長身くんも男役度は高いと思うんだが、このみやたんくんのエグ味は、また格別。や、誉めてます。顔立ちなんて今後化粧でどーとでもなるんだから、この若さでこの芸風は将来有望ですよ(笑)。

 みやたんショック冷めやらぬ間にフィナーレ。全員で「宝塚フォーエバー」。
 一列ずつ入れ替わっていくキャストの中、オブリガートの娘役さんが、ずっと前列で歌い続けているのはオイシイなと。クラシック・ヴォーカルでソロを歌った娘さん。メドレーでは首席のハンサムくんとデュエットしていたりで、ヒロイン度の高い子なんだろーなー。

 でもって続いて第2部演劇。
 正塚晴彦作『エピソード』。
 プログラムの正塚挨拶文に、「稽古場モノ」とある。
 正直「またか」。
 正塚、文化祭芝居で「稽古場モノ」以外書いたことあるの??
 わたしが観た文化祭の正塚作品は全部、「稽古場モノ」なんですけど??
 どっかの劇団の若手たち、という設定で、彼らが上演する芝居の稽古をしている。劇団員としての素の会話と、役になって喋るところと両方あるから学生たちの鍛錬にはいいのかもしれないが。
 わたしは89期からずっと文化祭観ているわけだから今回で7回目、そのうち4回が正塚の「稽古場モノ」って、過半数ですがな、いくらなんでも多すぎないか? アリモノ使って版権に引っかかって?映像が残らなかった谷せんせ(93期)もどうかと思うし、自己満足なだけの太田せんせは観ていてつらかったし(91期)、それに比べれば正塚芝居は観客として楽しめるからいいのかなあ。オギー(90期)はもういないしなあ。

 またか、と思いながらも、幕が上がる。少なくとも89期以降文化祭作品の焼き直しではないらしい。(去年の94期文化祭の正塚芝居は、92期芝居の焼き直しだった)
 ……舞台両端に並んだ椅子に出演者たちがずらりと坐り、演じる人だけが中央のステージ上に出る、という、これまたいつものパターン。これ、去年も観た、その前も観たー(笑)。
 もうコレしかやる気ないのか、正塚? と、思いつつ芝居開始。

 続く。

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