『ZORRO 仮面のメサイア』で、自分的にけっこーおどろいたことは。

 ベルナルド@キムが、かっこよかった。

 いやその。
 キムくんはいつもかっこいいと思ってますが、なんかその、いつもと違って見えて。
 なんかスタイルも今までより良く見えたんだよなあ。

 アタマに羽つけてるから、それが視覚効果になり、より背が高く小顔にスタイル良く見えているのかしら、と通販ストレッチパンツの宣伝文句みたいなことを考えながら見ていた。

 
 物語は、わっかりやすい勧善懲悪。
 19世紀初頭のスペイン領カリフォルニア。市長の息子で大農園の御曹司ディエゴ@水が7年ぶりに、キラキラな感じでお金持ちらしくスペイン留学から帰ってくると、パパもママも反逆罪で処刑されていたそうな。……そんなことが起こっていても、はるかスペインにいたディエゴには知るよしもなかったらしい。地球は広い。
 正義の人であるパパたちが反逆罪だなんてとんでもない、それは総督オリバレス@かなめやその部下メンドーサ大佐@ゆみこの陰謀だった。
 復讐を誓ったディエゴは、普段はダメダメヘタレおぼっちゃまのふりをし、裏では仮面の救世主ゾロとなって大暴れ。これぞ由緒正しきヒーローの姿。
 行け行けゾロ、悪を倒し、自由と平和を取り戻すのだ!

 
 まあともかく、ヒーローおぼっちゃまディエゴくんはインディアンとのハーフ。そして彼にはベルナルドという、オマエは光オレは影、オスカルに対するアンドレみたいな乳兄弟のインディアンの男がいる。
 ベルナルドくんは、喋ることが出来ない。肉体的なことではなく、子どもの頃のトラウマが原因。
 ベルナルドくんは健気にも、ひとりディエゴくんの隠れ家を守り、彼が帰ってくるのを待っていたらしい。
 ワンコ的でいいですな。喋らないのがまたヨシ。
 や、ひとりではなく、カノジョである夜の稲妻@みなこや、インディアンの仲間たちと一緒か。でもあのお屋敷風な隠れ家は、ディエゴが帰ってこなければベルナルドとカノジョの愛の巣でしかなかったよーな?

 夜の稲妻とかブレイブ・バッファローとかキッキング・ベアとか、名前がすごいのは「昔、『狼と踊る男』って名前の映画があったなあ」てことで違和感はないですが、夜の稲妻も英語表記でないと変な気がします谷せんせ。

 そのベルナルドくんが、やたら美形でオイシク見えました。

「最後になるまでひとことも喋らない、銀橋での歌もない役ってどうなの? アタシがファンだったら、そんなのイヤだ」
 と、終演後にジュンタンが言っているのを聞いて、たしかに、自分の贔屓に置き換えて考えてみると、イヤかも、と思った。(まっつの声が聴けないなんて、絶対イヤ。……まっつにはそもそも本公演でそんなに台詞はない、とゆー前提は置いておいて)
 たしかにタカラヅカのスター制度に置いて考えると、ひでー扱いなのかもな、とも思った。

 わたしは所詮本物のファンではないということだけかもしれんが、ベルナルド役はすげーオイシク見えた。

 世の中には真ん中には惹かれず、あえて「真ん中の、ちょっと脇」を好きになる人が少なからずいてだね、そんな人はあーゆー「喋らずに、主人公を愛し、尽くしまくる美形」つーのにジャストミートすることが結構あるんだよー。副官萌えとか主従萌えとか、執事萌えとか、そーゆーのな。
 声を出さないまま銀橋渡ったり、特異感が大きいし、初見の人の記憶に残る役だと思う。

 そんな「影」の彼がだよ、いざクライマックスの直前に哀しい過去の話だの、カノジョに「子どもが出来たの!」とか言われるだの、うわ、死亡フラグ来たーー!!(笑)とかで、ガンガン盛り上げて来るわけですよ。

 ※死亡フラグ【しぼう-ふらぐ】 死亡する伏線のこと。それまでただの脇役だったのに、突然プライベートな話をしたり、昔語りをしたり、恋人や家族の話が出ると「死亡フラグが立つ」と言う。戦いの前に「戦争が終わったら……」と未来を語り出したらもう確実。「子どもが生まれる」は、その顕著な例。

 そして実際、超お涙頂戴!って感じに、独壇場で死の間際喋りまくるわけですよ!

 オイシイし、見た目もかっこいいしで、ちょっとうろたえました。

 わたしの個人的好みで言うと、最後まで喋らなくてヨシなんだけど。
 贔屓がほんとに一言も声を出さなかったら、それは絶対ヤだから、最後に喋るのしょうがないかなあ。
 喋るにしても、一言だけの方が萌えなんだがなあ。ベルナルドくん、めちゃくちゃよー喋りはるけん、びっくりじゃ。
 んで、せっかく大人っぽくキメてたのに、喋り出すと若返っちゃうのは、ちょっと残念かな。

 それにしても、キムに精神ヤヴァイ系の演技させると、ヤヴァイですってば!(笑)

 『マリポーサの花』『忘れ雪』、そして今回と3本続いて狂気な役であることに、ウケました。
 本気でクるからなあ、この子。
 鳥肌モノの狂気っぷり。

 ……ん?
 どの役も別に、狂ってないはず?
 狂って見えるのは、キム・クオリティ?(笑)

 だとしても、彼の得意分野の演技を見ることが出来て、たのしーです。はい。

 
 罪のない勧善懲悪ヒーローものでありながら、ヒューマンな部分を担わされているあたり、重責だったりするしな。
 インディアン問題を真面目に考えると物語の根底が揺らぐので(悪役総督追い出して終わり、で済む問題じゃない)、そのへんは置いておいて、突然人類愛になる谷せんせお得意の展開は、キライじゃないです。
 ベルナルドくんの物語を突き詰めて考えてみるのは、たのしそーだ。

 フィナーレでのデュエット・ダンスにも心底たまげたが、あまり意味はないんだろうな、なにしろ谷だし。
 広い広い大劇場の舞台に、2番手娘役(次期トップ確定済み)とふたりきりでデュエット・ダンスって、どこのトップスターですか、みたいな扱いだが、なんかちらりとデジャヴが。
 そーいや『春櫻賦』でまひるちゃんと舞台の上にふたりっきりになったことがあったねえ、ケロちゃん……。あんときは「どこの路線スター様な扱い?!」っておどろいたけど、特に意味はなく、あくまでも芝居の演出に過ぎなかったんだよねえ……。
 谷せんせはたまにそーゆーことするよな。

 とりあえず、なんかいつもとはちがった意味で、キムがたのしいわ。

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