もっと愛がある世界に。@二人の貴公子
2009年3月16日 タカラヅカ 男ふたりが激烈に愛し合っている話なんだが、およそ萌えとかけ離れているのは何故だろう……。
まさき、みりおという当世ヅカ若手きっての美形による、バウW主演公演『二人の貴公子』を観てきました。
無知ゆえ原作は知りません、予備知識もありません、固有名詞は人名も地名も知らないし聞き取れないしわけわかんない。そんな状況で観劇。てゆーかヒロイン誰だっけ、ぐらい無知。
いやあ、とにかく固有名詞が耳に入って来ないのがいちばんの問題か。主役ふたりの名前がわかったのが2幕に入ってからだもんよ(笑)。
舞台は古代ギリシャ。パラモン@まさきとアーサイト@みりおは、テーバイ王の甥で従兄弟同士で親友同士。ふたりともものすげー強い戦士だったらしいが、自国敗戦により捕虜として敵国アテネに連行される。
仲良しなふたりは、牢獄の窓からアテネ王テーセウス@萬ケイ様の義妹、エミーリア王女@しずくちゃんを見た途端、そろって王女に恋してしまう。女の好みまで仲良しだったらしい。
が。それまでうざったいくらい仲良しアピールをしていたのに、同じ女に惚れた瞬間から人生泥沼、嫁姑でもここまで罵り合わないぞってくらい、身も世もなく互いを憎みはじめる。なんて極端な。
ふたりそろって王女の愛を得るために罪を犯し、すったもんだの末に決闘を行うことになる……。
シェークスピアは大変だなあ……いや、いろんな意味で。溜息。
まずなんつーか、スターブーツ大安売りに、劇団の気合いを見た。気がした(笑)。
『銀ちゃんの恋』でヤス@みつるが捨て身で教えてくれたよーに、「これを履くと誰でも脚が長く、スタイルが良くなる」魔法のブーツ。タカラヅカでも限られたスターしか履くことを許されない、禁断のアイテム。
たとえば『ベルサイユのばら2001』のフェルゼン様@たかちゃんは、あくまでもスターブーツにこだわり、他のフェルゼン様が宮廷靴を履くところでもスターブーツを履き続けた。それくらい、スターにとっては大切なアイテムだ。
それをまあ、主役のふたりはずーーっと履いているわけだ。
大劇場でなら違和感ないアイテムでも、この小さなバウホールでだと「大仰なブーツだなあ」とかえって目に付いたりするもんなんだが。
劇団的に、「当世きっての若手美形スター」は大切にしたいんだろうなあ。土を付けたりしたくないんだろうなあ、と、真実はどーか知らん、勝手な思い込みでしみじみしちゃいました。
なんにせよ、難しい演目を、若手だけでよくがんばりました。
桜の花のスタンプを連絡帳に押したい感じですね。「よくがんばりました」と。
しかし、舞台の上の彼らに、置き去りにされた感じではあった。
主演ふたりがものすごーくがんばっているのは、わかる。
ふたりとも、美貌も実力も兼ね備えたスターだ。歌も芝居も破綻ない。そんな彼らががんばっていること、意欲的に取り組んでいることは、わかるんだが。
……この芝居ってのは、そーゆーもんなんだろうか?
テーマっちゅーか、本質と、彼らの演技が乖離している気がした。
まさきは、ものすごい熱量。
カオ中から、あらゆる液体をあふれさせて、咆吼していた。
……もう少し、きれいに演じてくれてもいいんだよ?(笑)てくらい、液体ダダ漏れだった。
美形なのに。
ほんとにきれいな子なのに、ここまでやるかー、てくらい、容赦なく汚かった(笑)。
や、その心意気やヨシ!
しかし、そこまで熱烈に演じながらも、あのー……ちゃんと相手見て演技してますか?な感じがしたのは、どうだろう……。
自分を好きなことはわかったから、親友とか王女様も愛そうよ!みたいな。
クライマックスで彼のタガがはずれるまでは、ふつーにパラモン様は細かく演技しているんだが、アクセルがMAXに達すると細かいことがぶっ飛んで、本能全開になるみたいだ。
おもしろいなあ、龍真咲。
役者として、というより、「スター」として、得難い持ち味だと思う。
彼が不運だったのは、そんな彼の本能に随行して、一緒にぶっ飛んでくれる相方がいなかったことだ。
みりおくんは、アーサイトというキャラクタとまったく合っていなかった、気がする。
今までみりおくんの演技力について深く考えたことはなかったし、考えなくてもふつーになんでもよくやっていたし。
でも今回、悲劇的な最期を迎えるアーサイト役を見て、違和感を持った。
みりおくんは、健康的すぎる。
魂が真っ直ぐできれいで、ゆがみがない。
演技でもって多少のブレは表現するが、根っこの王道さを汚すまでには至らない。
あまりに王者体質なアーサイトくんなので、どう見ても道を間違えたり、破滅しそうにない。親友のために身を引くなら、そもそも最初からさわやかに「あの子とうまくやれよ、こいつ☆(白い歯キラリ)」と言ってもよさそーなもんだろう、と。
まさきはひとりで勝手に汚くテンパってるし、みりおくんはなにをしてもきれーだしで、君たちほんとに仲いいのか? と、終始疑問だった。や、本人たちがじゃなくて、役として、芝居として。
憎み合うほど、愛し合っているように見えなかった。
そしてさらに、大変なのは。
ヒロインの王女様がもー、ただ「美しい」という記号が在るのみで、男ふたりについて行けてなかったので、男ふたりの一騎打ちにしかならず、しかもそれが噛み合っていないので、なんともすごいことになっていた、と。
「男ふたりが取り合うことに疑問がないほど、ヒロインが『美しい』ってだけで、なんの文句もない」……と、某組ファンには言われてしまいましたが。
う、うん。ここはタカラヅカだから、登場した瞬間「美しい姫だ」と思えることは、すばらしいことなんだが。
もう少し、芝居をがんばってくれて、さらに歌をがんばってくれても、うれしいぞ、しずくちゃん。
まさきとみりお、ふたりとも好きなので、見ていてすごくたのしかったが、そのたのしさが、予想していたものとは違っていた。
いやあ、おもしろいなあ、この子たち。
どちらも若手で、美形で、将来有望なスターなのに、こうまで芸風がチガウっつーのもなあ(笑)。
で。
ふつー、美形のコンビ売りはプラスになるもんなんだけど、この子たち、コンビで売ってもあんまし意味ない気がする……。
こんなにきれいな男ふたりが、激烈に愛し合っている話を演じてなお、萌えとかけ離れているんですが(笑)。
や、個人的意見に過ぎませんが。
まさき、みりおという当世ヅカ若手きっての美形による、バウW主演公演『二人の貴公子』を観てきました。
無知ゆえ原作は知りません、予備知識もありません、固有名詞は人名も地名も知らないし聞き取れないしわけわかんない。そんな状況で観劇。てゆーかヒロイン誰だっけ、ぐらい無知。
いやあ、とにかく固有名詞が耳に入って来ないのがいちばんの問題か。主役ふたりの名前がわかったのが2幕に入ってからだもんよ(笑)。
舞台は古代ギリシャ。パラモン@まさきとアーサイト@みりおは、テーバイ王の甥で従兄弟同士で親友同士。ふたりともものすげー強い戦士だったらしいが、自国敗戦により捕虜として敵国アテネに連行される。
仲良しなふたりは、牢獄の窓からアテネ王テーセウス@萬ケイ様の義妹、エミーリア王女@しずくちゃんを見た途端、そろって王女に恋してしまう。女の好みまで仲良しだったらしい。
が。それまでうざったいくらい仲良しアピールをしていたのに、同じ女に惚れた瞬間から人生泥沼、嫁姑でもここまで罵り合わないぞってくらい、身も世もなく互いを憎みはじめる。なんて極端な。
ふたりそろって王女の愛を得るために罪を犯し、すったもんだの末に決闘を行うことになる……。
シェークスピアは大変だなあ……いや、いろんな意味で。溜息。
まずなんつーか、スターブーツ大安売りに、劇団の気合いを見た。気がした(笑)。
『銀ちゃんの恋』でヤス@みつるが捨て身で教えてくれたよーに、「これを履くと誰でも脚が長く、スタイルが良くなる」魔法のブーツ。タカラヅカでも限られたスターしか履くことを許されない、禁断のアイテム。
たとえば『ベルサイユのばら2001』のフェルゼン様@たかちゃんは、あくまでもスターブーツにこだわり、他のフェルゼン様が宮廷靴を履くところでもスターブーツを履き続けた。それくらい、スターにとっては大切なアイテムだ。
それをまあ、主役のふたりはずーーっと履いているわけだ。
大劇場でなら違和感ないアイテムでも、この小さなバウホールでだと「大仰なブーツだなあ」とかえって目に付いたりするもんなんだが。
劇団的に、「当世きっての若手美形スター」は大切にしたいんだろうなあ。土を付けたりしたくないんだろうなあ、と、真実はどーか知らん、勝手な思い込みでしみじみしちゃいました。
なんにせよ、難しい演目を、若手だけでよくがんばりました。
桜の花のスタンプを連絡帳に押したい感じですね。「よくがんばりました」と。
しかし、舞台の上の彼らに、置き去りにされた感じではあった。
主演ふたりがものすごーくがんばっているのは、わかる。
ふたりとも、美貌も実力も兼ね備えたスターだ。歌も芝居も破綻ない。そんな彼らががんばっていること、意欲的に取り組んでいることは、わかるんだが。
……この芝居ってのは、そーゆーもんなんだろうか?
テーマっちゅーか、本質と、彼らの演技が乖離している気がした。
まさきは、ものすごい熱量。
カオ中から、あらゆる液体をあふれさせて、咆吼していた。
……もう少し、きれいに演じてくれてもいいんだよ?(笑)てくらい、液体ダダ漏れだった。
美形なのに。
ほんとにきれいな子なのに、ここまでやるかー、てくらい、容赦なく汚かった(笑)。
や、その心意気やヨシ!
しかし、そこまで熱烈に演じながらも、あのー……ちゃんと相手見て演技してますか?な感じがしたのは、どうだろう……。
自分を好きなことはわかったから、親友とか王女様も愛そうよ!みたいな。
クライマックスで彼のタガがはずれるまでは、ふつーにパラモン様は細かく演技しているんだが、アクセルがMAXに達すると細かいことがぶっ飛んで、本能全開になるみたいだ。
おもしろいなあ、龍真咲。
役者として、というより、「スター」として、得難い持ち味だと思う。
彼が不運だったのは、そんな彼の本能に随行して、一緒にぶっ飛んでくれる相方がいなかったことだ。
みりおくんは、アーサイトというキャラクタとまったく合っていなかった、気がする。
今までみりおくんの演技力について深く考えたことはなかったし、考えなくてもふつーになんでもよくやっていたし。
でも今回、悲劇的な最期を迎えるアーサイト役を見て、違和感を持った。
みりおくんは、健康的すぎる。
魂が真っ直ぐできれいで、ゆがみがない。
演技でもって多少のブレは表現するが、根っこの王道さを汚すまでには至らない。
あまりに王者体質なアーサイトくんなので、どう見ても道を間違えたり、破滅しそうにない。親友のために身を引くなら、そもそも最初からさわやかに「あの子とうまくやれよ、こいつ☆(白い歯キラリ)」と言ってもよさそーなもんだろう、と。
まさきはひとりで勝手に汚くテンパってるし、みりおくんはなにをしてもきれーだしで、君たちほんとに仲いいのか? と、終始疑問だった。や、本人たちがじゃなくて、役として、芝居として。
憎み合うほど、愛し合っているように見えなかった。
そしてさらに、大変なのは。
ヒロインの王女様がもー、ただ「美しい」という記号が在るのみで、男ふたりについて行けてなかったので、男ふたりの一騎打ちにしかならず、しかもそれが噛み合っていないので、なんともすごいことになっていた、と。
「男ふたりが取り合うことに疑問がないほど、ヒロインが『美しい』ってだけで、なんの文句もない」……と、某組ファンには言われてしまいましたが。
う、うん。ここはタカラヅカだから、登場した瞬間「美しい姫だ」と思えることは、すばらしいことなんだが。
もう少し、芝居をがんばってくれて、さらに歌をがんばってくれても、うれしいぞ、しずくちゃん。
まさきとみりお、ふたりとも好きなので、見ていてすごくたのしかったが、そのたのしさが、予想していたものとは違っていた。
いやあ、おもしろいなあ、この子たち。
どちらも若手で、美形で、将来有望なスターなのに、こうまで芸風がチガウっつーのもなあ(笑)。
で。
ふつー、美形のコンビ売りはプラスになるもんなんだけど、この子たち、コンビで売ってもあんまし意味ない気がする……。
こんなにきれいな男ふたりが、激烈に愛し合っている話を演じてなお、萌えとかけ離れているんですが(笑)。
や、個人的意見に過ぎませんが。
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