正直、星組通いで時間も体力も財布も燃え尽きていたので。
 観る予定はなかったんだが、kineさんの越リュウ絶賛を受けて、急遽観劇を決めました。まあその、お財布にとてもやさしい市場価格だし。

 「関西で行われている全公演を観る」が基本スタンスのわたしが、観劇をためらったのはやはり、「コンサート」であるという認識ゆえ、でしょう。
 仲間たちとも話していたが、全公演観る、が基本だとしても、スター個人のディナーショーはその「全公演」には含まれない。今回のドラマシティ公演が、ふつーにトップスター主演の月組公演であるならば「公演」にカウントするけれど、あさこちゃん個人の「コンサート」である場合は、ディナーショーと同じカウント。観なくても「全公演観る主義」に反しない。
 わたしを含め「観られる公演は、組を問わず全公演観る」仲間内にも、最初から観る気のない人が多いのは、そのためかな。

 ディナーショーやコンサートは主演者のファンが行くモノであって、バックのコーラスやダンサー目当てに行くには、ちと敷居が高い。
 だとしても、越リュウがすごい、と聞けば、行くでしょうそりゃ!!(笑)
 や、主演のあさこちゃんがかっこいいのは周知のことで、別にコンサートでなくても大劇場で観られるけど、リュウ様が、てのは今回のDCでなきゃ観られないぞ、というならば!!

 つーことで、『SAUDADE』観劇。座席は真ん中通路の2列後ろ。客席降りがウレシイあたり。DCは後ろ過ぎると舞台遠すぎて寂しいし、されどお財布も寂しいし、とせめぎあった結果、予算内の席。

 
 いちばんの感想は。

 ドラマシティの舞台って、広いんだな。

 概念ではなく、ほんとに舞台、床面積のこと。
 DCステージの床面積って、あんなに広かったんだねえ。
 出演者の数が少ないことは確かだが、『A-“R”ex』だって少なかったし、あのときは別に床面積何平米だろう、なんて考えながら観なかった。出演者ひとりあたり1平米を使用するとして、なにもない空間はどれくらいになるのか、なんて。

 『カラマーゾフの兄弟』なんかは、「舞台せまっ」と思ったくらいだから、ほんとに印象の問題なんだろうなあ。

 この公演って、バウホールくらいの小さなハコでやるべきだったんだろう。DCでこれだけ舞台、客席ともに空間を持て余すわけだから、それよりさらに大きなハコ、東京人見でやることを思うと震撼する。が、がんばれ、出演者。

 1幕はダンス・ショー、2幕は出演者全員勝負な群衆芝居。

 前評判通り、越リュウ様は素晴らしかったです。はい。
 とくに長椅子に坐っているところが最高でした。あの場面をぜひポストカードにして販売してください。あの膝にすがりつきに、馳せ参じたいっす。ハァハァ。

 しかし……。
 なんともまあ、中途半端な作品でした。

 円熟期に入ったトップスターと、色気ゆんゆんの組長を配して、これだけ「床面積の広さ」にぼーぜんとさせる作品にしてしまう、つーのはいかがなものか。

 あちこちのパーツはいいので、間近でそこだけ観ているときれいでも、遠くから全体を観るとなんじゃこりゃ、という。

 中通路の後ろは劇場のほぼ中心の段上がり席で、通常は舞台全体を見渡せるそこそこ良い席のはずが、「いかん、この作品は前から数列目以内で観るものだ」と座席チョイスを後悔しました。目の高さ的に、床が見えない席がいいですな。ああ、びんぼーが憎い。

 わたしに神の手があるならば、この作品をこう、おにぎりでも握るようにぎゅっとしたくてしょうがなかった。
 空間も小さく、そして時間も短くし、小さくした分、あのどーしよーもない薄さや浅さを濃くして、「今と同じ作品」だけど、すべてにおいてコンパクトで濃密なものにするの。

 広くて余っていて薄くて浅いことが、残念でならなかった。
 モチーフはいいのになあ。多分、演出の稲葉くんがやりたいのはコレで、それならこんなことしてちゃダメでしょう、みたいなじれったい感じ。や、わたしの勝手な思い込みであったとしても。

 男役・瀬奈じゅん、を、今この時期でないと存在しないあさこちゃんを描きたかったのだろうと思う。

 それは彼がたどってきた軌跡でもあり、記憶と経験が現在を作り、未来へつながっている。
 同じでいることはできない人間の、たまゆらのファンタジーである「男役」の、「今」の姿、その魅力……。

 真ん中で王者として勝者として描くのが基本の大劇場本公では出来ない、中劇場でのコンサートだからこそできる、王者だの勝者だのプラスで光で太陽だけでない表現。
 あさこ氏も、大劇場で小林幸子やっちゃうハッタリ部分だけで形成されたスターじゃない。もっと濃密で繊細な魅力を持った人だ。それを今、彩るキャストにもぬかりなく、万全な備えにて幕を上げた。

 と、意欲は見えたんだけど。

 …………あー…………。

 
 芝居は、どこの『Appartement Cinema』かと(笑)。
 群衆芝居はいいんだけど、それをやるには最低限の舞台人スキルが、全員に必要かと。
 でもってやっぱり、舞台が広いなあ。この芝居、バウサイズだよなあ。
 そして、音楽学校の文化祭って、こんな芝居だよね(笑)。出演者全員に見せ場と台詞があって、特別誰かが主役って感じにキラキラ衣装着ていたりスポット浴びたりしていないの。
 毎年観ている文化祭芝居(正塚演出)となにかとかぶるところがあるわ、実際に文化祭ちっくな人々はいるわで、変なトコでツボった(笑)。

 ちょっといい話、をやるには箱の大きさと演出、キャストの力量にバラつきがありすぎた。

 
 てなことは置いておいて、伯爵@一色氏萌え。

 もともとカオが好きな一色氏ですから、越リュウの次に彼に釘付けで終始しました、この公演(笑)。
 学年のわりに芝居がうまいわけでもなんでもないんだが、それでも学年相応には大人なので、おっさんスキーにはオイシイ人です、はい。

 仲間内で、「ガチャのエリザベートが見たいよね」とゆー話で盛り上がったりしてましたから。
 や、栄えある『エリザベート』タイトルロールに、他組の無名下級生抜擢ってことで、ネットでよくカチャとガチャと混同した記述が目立っていたころに。
 シシィ@ガチャ(一色氏)であるならば、フランツ@越リュウだよね! うわーそれ見てえ!! と、無責任に盛り上がった妄想配役。
 ……きれいだと思うけどな、ガチャシシィ。

 一色氏が若い嫁に冷たいところ、無体なところ、そのくせ最後には「どこのツンデレ?!」な態度で愛を示すのが、たまりませんでした。
 紗幕の向こうの白い花プレイにも、じーん。

 そのかはデジャヴなキャラクタ、おときっちゃんかわいー、あーちゃんとゆりのちゃんは迫力だなヲイ、宇月くんがさわやか、麻月くんはえっとその……早く男役になれるといいね、キャリアのわりに他の下級生たちとの差が……ゲフンゲフン。

 そして、越リュウがこの芝居の……というか、1幕のショーも含めたキーになっているわけだが、なにしろ演出的にいろいろアレなので、効果的でないというかもったいないというか。
 あさこを使って、越リュウを使って、やりたかったことはわかるけど、やれてないってゆーか。ああもどかしい。

 全編通して、かゆいところがかゆいまま終わった模様。むむむ。

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