旅立ちは、船で。@薔薇に降る雨
2009年5月1日 タカラヅカ 『薔薇に降る雨』がなんかあれれに思えるのは、なにもかも都合良く、時間内に終わり過ぎているせいだと思う。
ジャスティン@タニちゃんのキモチの整理とかその進退とか、設定や展開がリアルなわりに、決着のつき方がとんとん拍子過ぎてリアリティがない(笑)。
ふつーならもう少し、前後にずれこんだりするもんだけど、1時間半で終了するお芝居だから、みんなするする決着しちゃうんだよね。
とくに、初恋の相手イヴェット@ウメと再会し、彼女を政略結婚から救い、自由の身にした→でもジャスティンには婚約者がいるからイヴェットとくっつけない→婚約者ヘレン@まちゃみから別れを言い渡される→これでジャスティンは晴れて自由の身→イヴェット登場、ハッピーエンド、という流れが、ジャスティンに、都合良すぎてのがあるだろう(笑)。
二股かけたあげく、キープ女が身を引いてくれて、本命とハッピーエンド、に見えるだろう。
タイミング良すぎるのは物語だから仕方ないとして、わたしはかえってこの「タイミング良すぎる」ことに感心する。
だってうまいじゃん。
ご都合主義、と言い捨てるには、ちゃんと伏線張ってあるし、ピースが揃っている。
「新天地にふたりで旅立とう!」と、男は言う。いつだって夢を見るのは男、無茶なのも男(笑)。言われた女は現実と照らし合わせて、結局男を捨てるんだ。
7年前、駆け落ちを持ちかけられたイヴェットは結局母を……家族を選び、ジャスティンを切り捨てた。
そして今、アメリカ行きを持ちかけられたヘレンは母を選び、ジャスティンを切り捨てた。
イヴとヘレンは、同じシチュエーションで、同じ結論を出した。
恋よりも、家族が大切。ヅカ的にはつまんない・間違った選択だけど、現実ではありがちなこと。
7年前のイヴと現在のヘレンをわざわざ同じ展開で描きながら、さらに現在のイヴを描く。
7年前、家族を選んだイヴだったが、現在の彼女はもう家族を選ぶ必要がない。一旦没落・崩壊の危機に瀕しただけに、貴族であることにこだわり過ぎていた父は変わり、母もまた強くなっている。そして、7年前はまだ少年に過ぎなかった弟が、きちんと育ち、家族を支えることができるだろう青年になっている。
イヴは家族を卒業し、家族も過保護を卒業すべき時期に来ていた。
家族のため、家のために人質として政略結婚を飲もうとした健気な娘が、自分の恋を、しあわせを追っていくことに、もう誰も反対しないだろう。
しかも、彼らの危機を救ったのが当の娘の恋の相手であり、父たちの意識を変えるきっかけを作った人物でもあるのだから。
7年前と同じシチュエーションでヘレンは去り、代わりにイヴェットが追ってくる。
彼女が追ってこられたのは偶然でも成り行きでもなく、ジャスティン自身が尽力した結果。彼女を縛る鎖をひとつずつ解き放って、自由にした。
自由になった彼女が、彼を追って現れたのは、たた、彼女の意志。
イヴェットにとっては、7年前の駆け落ちの続きではない。あのときはジャスティンが彼女を待っていたし、愛されていることもわかっていた。
でも、今は。
ジャスティンに恋人がいることはわかっている。別れた、ということを聞いていたかまではわからないが、男の中で自分のことは「終わったこと」になっている可能性も高い。
それでも、追っていった。
ジャスティンに連れがいれば……恋人と一緒の旅立ちならば、なにも言わずひっそりと見送り、ひとりで帰るつもりだった。本人の台詞にある通り。
ジャスティンがひとりだとわかったから……それだけにすべてを懸けて、船に乗ったんだ。
今の彼女はもう、自分自身で、自分の人生を決める力があるから。
ハッピーエンド、になるための布石は揃っていた。
たしかにまあ、ヘレンにプロポーズしたのってつい数分前だよね?なジャスティンが、イヴェットを「薔薇」呼ばわりしてラヴソングでハッピーエンド、という展開の速さには、びっくりしますが(笑)。
都合が良すぎる、という気はしますが。
1時間半ぢゃなかったら、ジャスティンの心理面についてもうひとつ場面つくって、ラストにつなげられただろうにね。
でも演じているのがタニちゃんだから、くどくど心理描写を入れるより、不親切なくらいかっこつけてるだけで進む方がイイと思う。
正塚芝居の男目線のナルシシズムが、タニちゃんという現実離れした王子様と不思議に融合しているんだよなあ。
リアルになりすぎると鼻につく部分を、タニちゃんがうまく「物語」にしてしまっているというか。
……なんにせよわたしは、「ハッピーエンド」が好きだ。
男目線だとすぐ悲劇になるが(なんで男って成功の間際で死ぬ話とか大好きなんだろう?)、ふつーの女子であるわたしはいくつになっても「そしてふたりは幸せに暮らしました。めでたしめでたし」が好き。
タニちゃんとウメちゃんの最後の物語が、「ハッピーエンド」でうれしい。
ご都合主義でも二股でも、所詮「最後は旅立ち」でも(ドラマ最終回の黄金パターン、大抵誰か旅立つ)、とにかく「ハッピーエンド」でうれしかった。
まあ、もっとも。
初見時、「ともちの出番、アレだけ?」と言ったあとに、正塚過去作品との類似点や簡単に収束しまくりの物語についていろいろ語ったあと、つい。
「最後に正塚お得意の船が出て来て、都合良くハッピーエンドだったねー……はっ。これぞ、『渡りに船』?!」
と、言ってしまいましたが。
ジャスティン@タニちゃんのキモチの整理とかその進退とか、設定や展開がリアルなわりに、決着のつき方がとんとん拍子過ぎてリアリティがない(笑)。
ふつーならもう少し、前後にずれこんだりするもんだけど、1時間半で終了するお芝居だから、みんなするする決着しちゃうんだよね。
とくに、初恋の相手イヴェット@ウメと再会し、彼女を政略結婚から救い、自由の身にした→でもジャスティンには婚約者がいるからイヴェットとくっつけない→婚約者ヘレン@まちゃみから別れを言い渡される→これでジャスティンは晴れて自由の身→イヴェット登場、ハッピーエンド、という流れが、ジャスティンに、都合良すぎてのがあるだろう(笑)。
二股かけたあげく、キープ女が身を引いてくれて、本命とハッピーエンド、に見えるだろう。
タイミング良すぎるのは物語だから仕方ないとして、わたしはかえってこの「タイミング良すぎる」ことに感心する。
だってうまいじゃん。
ご都合主義、と言い捨てるには、ちゃんと伏線張ってあるし、ピースが揃っている。
「新天地にふたりで旅立とう!」と、男は言う。いつだって夢を見るのは男、無茶なのも男(笑)。言われた女は現実と照らし合わせて、結局男を捨てるんだ。
7年前、駆け落ちを持ちかけられたイヴェットは結局母を……家族を選び、ジャスティンを切り捨てた。
そして今、アメリカ行きを持ちかけられたヘレンは母を選び、ジャスティンを切り捨てた。
イヴとヘレンは、同じシチュエーションで、同じ結論を出した。
恋よりも、家族が大切。ヅカ的にはつまんない・間違った選択だけど、現実ではありがちなこと。
7年前のイヴと現在のヘレンをわざわざ同じ展開で描きながら、さらに現在のイヴを描く。
7年前、家族を選んだイヴだったが、現在の彼女はもう家族を選ぶ必要がない。一旦没落・崩壊の危機に瀕しただけに、貴族であることにこだわり過ぎていた父は変わり、母もまた強くなっている。そして、7年前はまだ少年に過ぎなかった弟が、きちんと育ち、家族を支えることができるだろう青年になっている。
イヴは家族を卒業し、家族も過保護を卒業すべき時期に来ていた。
家族のため、家のために人質として政略結婚を飲もうとした健気な娘が、自分の恋を、しあわせを追っていくことに、もう誰も反対しないだろう。
しかも、彼らの危機を救ったのが当の娘の恋の相手であり、父たちの意識を変えるきっかけを作った人物でもあるのだから。
7年前と同じシチュエーションでヘレンは去り、代わりにイヴェットが追ってくる。
彼女が追ってこられたのは偶然でも成り行きでもなく、ジャスティン自身が尽力した結果。彼女を縛る鎖をひとつずつ解き放って、自由にした。
自由になった彼女が、彼を追って現れたのは、たた、彼女の意志。
イヴェットにとっては、7年前の駆け落ちの続きではない。あのときはジャスティンが彼女を待っていたし、愛されていることもわかっていた。
でも、今は。
ジャスティンに恋人がいることはわかっている。別れた、ということを聞いていたかまではわからないが、男の中で自分のことは「終わったこと」になっている可能性も高い。
それでも、追っていった。
ジャスティンに連れがいれば……恋人と一緒の旅立ちならば、なにも言わずひっそりと見送り、ひとりで帰るつもりだった。本人の台詞にある通り。
ジャスティンがひとりだとわかったから……それだけにすべてを懸けて、船に乗ったんだ。
今の彼女はもう、自分自身で、自分の人生を決める力があるから。
ハッピーエンド、になるための布石は揃っていた。
たしかにまあ、ヘレンにプロポーズしたのってつい数分前だよね?なジャスティンが、イヴェットを「薔薇」呼ばわりしてラヴソングでハッピーエンド、という展開の速さには、びっくりしますが(笑)。
都合が良すぎる、という気はしますが。
1時間半ぢゃなかったら、ジャスティンの心理面についてもうひとつ場面つくって、ラストにつなげられただろうにね。
でも演じているのがタニちゃんだから、くどくど心理描写を入れるより、不親切なくらいかっこつけてるだけで進む方がイイと思う。
正塚芝居の男目線のナルシシズムが、タニちゃんという現実離れした王子様と不思議に融合しているんだよなあ。
リアルになりすぎると鼻につく部分を、タニちゃんがうまく「物語」にしてしまっているというか。
……なんにせよわたしは、「ハッピーエンド」が好きだ。
男目線だとすぐ悲劇になるが(なんで男って成功の間際で死ぬ話とか大好きなんだろう?)、ふつーの女子であるわたしはいくつになっても「そしてふたりは幸せに暮らしました。めでたしめでたし」が好き。
タニちゃんとウメちゃんの最後の物語が、「ハッピーエンド」でうれしい。
ご都合主義でも二股でも、所詮「最後は旅立ち」でも(ドラマ最終回の黄金パターン、大抵誰か旅立つ)、とにかく「ハッピーエンド」でうれしかった。
まあ、もっとも。
初見時、「ともちの出番、アレだけ?」と言ったあとに、正塚過去作品との類似点や簡単に収束しまくりの物語についていろいろ語ったあと、つい。
「最後に正塚お得意の船が出て来て、都合良くハッピーエンドだったねー……はっ。これぞ、『渡りに船』?!」
と、言ってしまいましたが。
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