彼と、共犯者たち。@哀しみのコルドバ
2009年5月17日 タカラヅカ 『哀しみのコルドバ』は「エリオ」という男の物語である。
彼の恋の物語だが、恋愛モノのわりに、ヒロインの比重が低い。
物語はいちおー三人称で描かれているが、概ね主人公であるエリオの視点で固定されている。
必要に応じて彼以外の者の場面も存在するが、それらは展開の説明場面でしかない。
にもかかわらず、いきなりエリオの婚約者アンフェリータ@いちかの一人称場面が長々と挿入されたり、構成的には明らかな間違いもある。
三人称一視点で書いてるんだからさ、いきなり関係ない人の一人称を、そこだけ入れるのやめようよ……(笑)。
まあこれは、アルバロ@まっつがエリオの決闘の介添人をしているのと同じ「タカラヅカであるゆえの事情」によるいびつさなので、言っても仕方ないんだろう。
だが、「仕方ない」ゆがみなら、ゆがみが目立たないように他でバランス取ればいいのに、ゆがみが剥き出しになってるから引っかかる。柴田せんせって繊細な部分と杜撰な部分の差が大きいよなー。
バランスを取るのは、簡単だ。
脇役の婚約者に一人称カマさせるヒマがあるなら、ヒロインにも同じだけ一人称カマさせろ、と。
そーすりゃゆがみも目立たないのに……。
この物語では、実はヒロインのエバの目線というのはほとんど描かれていないのね。彼女がどう思い、どう行動するのかは、エリオの目を通してしか描かれていない。
エバ自身の場面はナイの。アンフェリータにはあるのに(笑)。
エリオの物語である、ゆえにエバはエリオを通してしか描かれない、というなら、アンフェリータに一場面歌わせちゃいかんわ。
「タカラヅカ的事情」ゆえに、初演時にアンフェリータに1曲歌わせなきゃならなかったなら、エバにも歌わせりゃ良かったんだよ、作劇的に。
恋愛モノなのに、ヒロインの「軽さ」はどーしたもんか。
アンフェリータの場面をバッサリ短くして(本当ならなくしてもイイ)、その分エバの葛藤をメインに、そのパトロンであるロメロ@ゆーひと絡む場面作れば良かったのに。
アンフェリータのひまわりの歌が好きとかいい場面とか、うおお一花かわいい健気で切ない~~!! てな感想とは別に、あくまでも、物語のバランスとして。
「一人称場面がない」ということではアンフェリータ以下の扱いである、ヒロインのエバ。
ピンで立つことはなく、彼女の歌やダンスはみんな相手役あってのもの。
その上このヒロインは、決定的な部分で「物語の外側」に置かれている。
肝心の部分、物語の核になる秘密とそれに対するエリオの行動を、彼女はまったく知らないままなんだ。
彼女に知らせないために死を選ぶことが「エリオ」という男であり、「エリオの物語」である『哀しみのコルドバ』のカタルシスなわけだが。
構造上仕方ないことはわかっているし、ナニも知らない彼女の哀れさもまた、この作品の重要なパーツのひとつだとわかっているが。
ヒロインが、主人公「エリオ」という男の真の姿を知らないまま、つーのは、寂しい話だよな。
いちばん知って欲しい姿なのにな。あの激しい愛だからこそ。知ることが出来ないゆえに激しさの表れであるわけだが……って、ニワトリと卵なみのループになるな。
エバにもふつーに比重を掛けられているなら、死を決意したあとのエリオと対比するカタチで、しあわせ絶頂のエバのソロとか入れられるんだけどな。彼女が無邪気に未来を信じているからこそ、悲劇が際立つわけだし。
だけどこれはほんっとーに、「エリオ」の物語で。
エリオの「決断」と「その最期」に焦点を合わせた作劇である以上、その2点において蚊帳の外に置かれたヒロインよりも、すべてを知り得た人たちに興味が湧く。
騙されて守られている人の哀しさもイイが、騙すことで守ろうとする人々の悲しい強さに、なお惹かれるんだ。
あのきーきーうるさい母親たちもどんだけつらかったかと思うし、中でもエリオの母@京さんなんか生き地獄だろうよ、これから。
それを支えるエリオ妹@れみちゃんも、二度とあんな無邪気な下町少女には戻れないんじゃないかと思う。
エリオの一方的な恋敵、とはいえ、個人的な関係性の薄いフェリーペ@めおくんはまあ、いいとして。
「エリオの共犯者」となったロメロ氏。
静かにエリオを見守った……その生き様を「見届けた」大人の男は、これからエバをどう守って生きていくのか。
エバの愛をめぐってエリオと決闘までしようとした彼は、図らずもエバに対して「秘密」を持つことになった。
彼女とその初恋の相手エリオの、出生の秘密。覆せない事実。
エリオがその生命と共に事実を葬り去り、ロメロはエリオの隠蔽工作に荷担した。事実をなかったこととして、完璧に消去すること。
ロメロもまた、罪にその手を汚した。
エリオにすべての罪を着せ、死出の旅を見送った。それがエリオの望みだとしても、罪は罪。
エバを愛しているなら、彼女を地獄に突き落とす真実は隠し通さなければならない。
その上で、恋人を事故で失ったと悲嘆にくれている彼女を慰め、支えなければならない。
共犯者エリオのためにも。
……て、すごい萌えなんですけど。
「エバを守る」という1点に置いて、エバのために生命をかけて戦おうとした男たちは、手を結ぶのですよ。なんの打ち合わせもないまま、共犯者となるのですよ。
アンフェリータ以下の描き方しかする気のないヒロインなら、いっそエバの比重もっと下げて、ロメロをクローズアップすりゃいいのに、とも思いますよ(笑)。
や、エリオの目を通すことでエバのこともちゃんと描いてあるのはわかってるけど、アンフェリータとのバランス的におかしいことも事実だし。
それならいっそ……と。
わたしにエバの魅力がいまいちわかっていないのも、大きいと思うが。
んで、ふつーはロメロ氏だけで十分だと思うけど。
さらにもうひとり、「真実」を知りながら口を閉ざす男がいる。
エリオの同僚であり、友人であったアルバロ@まっつ。
彼はエバになんの思い入れもないので、ただエリオへの友情ゆえに秘密を守るわけだな。
ロメロ氏ほどちゃんと描かれていない……とゆーか、ぶっちゃけなんにも描いてもらっていない脇役ゆえに、妄想イロイロ、好きに動かせるのでそーゆー意味では彼もすげえたのしいです。
腐ったバージョンをすでに1本考えてあるんだけど、そこでのアルバロさんはクールなS男です(笑)。普段はわざとチャラ男ぶってるけど、本質はシリアスな人で、けっこードロドロしてます。
真実を知り、打ちのめされているエリオくんを、さらに追いつめ、ついでにちょっくら手も出してしまう人です。
そこに、大人のロメロさんが絡んできて……と。
エバを中心に向かい合うエリオとロメロ、エリオを中心に対角に立つロメロとアルバロ。ねっとり濃くエロい心情を、ねとねと描きたいわー。
ヒマさえあれば同人誌でも作りたい勢いで(笑)。ロメロ氏目線版とアルバロ目線版、2本立てて1冊ね。とにかくエリオくん受でヨロシク。
まあ妄想は置くとして。
罪だと知った男の苦悩と決断、そしてそんな男を見届けた人々に、萌えまくりっす。
彼の恋の物語だが、恋愛モノのわりに、ヒロインの比重が低い。
物語はいちおー三人称で描かれているが、概ね主人公であるエリオの視点で固定されている。
必要に応じて彼以外の者の場面も存在するが、それらは展開の説明場面でしかない。
にもかかわらず、いきなりエリオの婚約者アンフェリータ@いちかの一人称場面が長々と挿入されたり、構成的には明らかな間違いもある。
三人称一視点で書いてるんだからさ、いきなり関係ない人の一人称を、そこだけ入れるのやめようよ……(笑)。
まあこれは、アルバロ@まっつがエリオの決闘の介添人をしているのと同じ「タカラヅカであるゆえの事情」によるいびつさなので、言っても仕方ないんだろう。
だが、「仕方ない」ゆがみなら、ゆがみが目立たないように他でバランス取ればいいのに、ゆがみが剥き出しになってるから引っかかる。柴田せんせって繊細な部分と杜撰な部分の差が大きいよなー。
バランスを取るのは、簡単だ。
脇役の婚約者に一人称カマさせるヒマがあるなら、ヒロインにも同じだけ一人称カマさせろ、と。
そーすりゃゆがみも目立たないのに……。
この物語では、実はヒロインのエバの目線というのはほとんど描かれていないのね。彼女がどう思い、どう行動するのかは、エリオの目を通してしか描かれていない。
エバ自身の場面はナイの。アンフェリータにはあるのに(笑)。
エリオの物語である、ゆえにエバはエリオを通してしか描かれない、というなら、アンフェリータに一場面歌わせちゃいかんわ。
「タカラヅカ的事情」ゆえに、初演時にアンフェリータに1曲歌わせなきゃならなかったなら、エバにも歌わせりゃ良かったんだよ、作劇的に。
恋愛モノなのに、ヒロインの「軽さ」はどーしたもんか。
アンフェリータの場面をバッサリ短くして(本当ならなくしてもイイ)、その分エバの葛藤をメインに、そのパトロンであるロメロ@ゆーひと絡む場面作れば良かったのに。
アンフェリータのひまわりの歌が好きとかいい場面とか、うおお一花かわいい健気で切ない~~!! てな感想とは別に、あくまでも、物語のバランスとして。
「一人称場面がない」ということではアンフェリータ以下の扱いである、ヒロインのエバ。
ピンで立つことはなく、彼女の歌やダンスはみんな相手役あってのもの。
その上このヒロインは、決定的な部分で「物語の外側」に置かれている。
肝心の部分、物語の核になる秘密とそれに対するエリオの行動を、彼女はまったく知らないままなんだ。
彼女に知らせないために死を選ぶことが「エリオ」という男であり、「エリオの物語」である『哀しみのコルドバ』のカタルシスなわけだが。
構造上仕方ないことはわかっているし、ナニも知らない彼女の哀れさもまた、この作品の重要なパーツのひとつだとわかっているが。
ヒロインが、主人公「エリオ」という男の真の姿を知らないまま、つーのは、寂しい話だよな。
いちばん知って欲しい姿なのにな。あの激しい愛だからこそ。知ることが出来ないゆえに激しさの表れであるわけだが……って、ニワトリと卵なみのループになるな。
エバにもふつーに比重を掛けられているなら、死を決意したあとのエリオと対比するカタチで、しあわせ絶頂のエバのソロとか入れられるんだけどな。彼女が無邪気に未来を信じているからこそ、悲劇が際立つわけだし。
だけどこれはほんっとーに、「エリオ」の物語で。
エリオの「決断」と「その最期」に焦点を合わせた作劇である以上、その2点において蚊帳の外に置かれたヒロインよりも、すべてを知り得た人たちに興味が湧く。
騙されて守られている人の哀しさもイイが、騙すことで守ろうとする人々の悲しい強さに、なお惹かれるんだ。
あのきーきーうるさい母親たちもどんだけつらかったかと思うし、中でもエリオの母@京さんなんか生き地獄だろうよ、これから。
それを支えるエリオ妹@れみちゃんも、二度とあんな無邪気な下町少女には戻れないんじゃないかと思う。
エリオの一方的な恋敵、とはいえ、個人的な関係性の薄いフェリーペ@めおくんはまあ、いいとして。
「エリオの共犯者」となったロメロ氏。
静かにエリオを見守った……その生き様を「見届けた」大人の男は、これからエバをどう守って生きていくのか。
エバの愛をめぐってエリオと決闘までしようとした彼は、図らずもエバに対して「秘密」を持つことになった。
彼女とその初恋の相手エリオの、出生の秘密。覆せない事実。
エリオがその生命と共に事実を葬り去り、ロメロはエリオの隠蔽工作に荷担した。事実をなかったこととして、完璧に消去すること。
ロメロもまた、罪にその手を汚した。
エリオにすべての罪を着せ、死出の旅を見送った。それがエリオの望みだとしても、罪は罪。
エバを愛しているなら、彼女を地獄に突き落とす真実は隠し通さなければならない。
その上で、恋人を事故で失ったと悲嘆にくれている彼女を慰め、支えなければならない。
共犯者エリオのためにも。
……て、すごい萌えなんですけど。
「エバを守る」という1点に置いて、エバのために生命をかけて戦おうとした男たちは、手を結ぶのですよ。なんの打ち合わせもないまま、共犯者となるのですよ。
アンフェリータ以下の描き方しかする気のないヒロインなら、いっそエバの比重もっと下げて、ロメロをクローズアップすりゃいいのに、とも思いますよ(笑)。
や、エリオの目を通すことでエバのこともちゃんと描いてあるのはわかってるけど、アンフェリータとのバランス的におかしいことも事実だし。
それならいっそ……と。
わたしにエバの魅力がいまいちわかっていないのも、大きいと思うが。
んで、ふつーはロメロ氏だけで十分だと思うけど。
さらにもうひとり、「真実」を知りながら口を閉ざす男がいる。
エリオの同僚であり、友人であったアルバロ@まっつ。
彼はエバになんの思い入れもないので、ただエリオへの友情ゆえに秘密を守るわけだな。
ロメロ氏ほどちゃんと描かれていない……とゆーか、ぶっちゃけなんにも描いてもらっていない脇役ゆえに、妄想イロイロ、好きに動かせるのでそーゆー意味では彼もすげえたのしいです。
腐ったバージョンをすでに1本考えてあるんだけど、そこでのアルバロさんはクールなS男です(笑)。普段はわざとチャラ男ぶってるけど、本質はシリアスな人で、けっこードロドロしてます。
真実を知り、打ちのめされているエリオくんを、さらに追いつめ、ついでにちょっくら手も出してしまう人です。
そこに、大人のロメロさんが絡んできて……と。
エバを中心に向かい合うエリオとロメロ、エリオを中心に対角に立つロメロとアルバロ。ねっとり濃くエロい心情を、ねとねと描きたいわー。
ヒマさえあれば同人誌でも作りたい勢いで(笑)。ロメロ氏目線版とアルバロ目線版、2本立てて1冊ね。とにかくエリオくん受でヨロシク。
まあ妄想は置くとして。
罪だと知った男の苦悩と決断、そしてそんな男を見届けた人々に、萌えまくりっす。
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