新生星組お披露目公演『太王四神記 Ver.II』

 タムドク@れおんくんの英雄ぶりが心地良い。

 彼は良くも悪くも獅子だ。
 「アホの子のふりをしろ」とヤン王@一樹さんは言うんだが、べつにアホには見えない。頭脳派とか知性派に見えるというわけではないが(笑)、王様にふさわしい大らかな格を持っているように見える。
 ふつーにいい王様になりそうな、頼もしい王子様だ。

 で、これはわたしの個人的な好みなんだが、れおんは、根が鬼畜な方が萌える。

 『Kean』のプリンスもそうだし、『龍星』の霧影のときもそうなんだが。
 彼は傲慢かつ高貴な役をやると、いい感じにSキャラになる。(ショーヴラン@『スカーレット・ピンパーネル』は違いますよ、高貴でもSでもない・笑)

 んで、すでに仲間内で「れおんタムドクの経験有無について」が話題になるほど、タムどんは大人だった。
 まとぶタムタムはまちがいなく未経験、キハがはじめての相手だけど、れおんタムどんはすでに済ませてそうだ。相手は誰だ、近衛隊の中にいるのか? で、コ将軍@あかしに「練習相手はもういい」とわざわざ女の子たちが遠ざけられるくだりもあるわけだし、「殿下、お遊びはほどほどに」って意味かよヲイ?! と、ツッコミ甲斐のある展開。
 近衛隊の中にお相手がいるとして、将軍にバレて遠ざけられたのに、「ちぇっ、これで女っ気ナシだ」と言うだけにとどまるあたりが、ただの遊び、愛はカケラもない感じで良いですなっ。萌えだ萌え(笑)。

 悩んでいても「王者の憂鬱」って感じだし。
 魂の強さ、真の王っぷりが揺るがずにあるもんで、悩もうが逡巡しようが「本気じゃないよね、答えは最初からあるよね」って感じがして、キャラクタにブレがない。

 その分一本調子に見えているかもしれないが……。

 繊細さに欠け、大味。
 でもそれゆえに、「新たなる王の旅立ち」に、相応しいキャラクタだ。

 まとぶんのタムドクとはまったくチガウ、別人なタムドク。
 どっちもアリでしょう。
 
 
 タムドクは「トップスター」として、とても気を配った演出をされていた。
 しかし、ヒロインのキハ@ねねちゃんはそれほど配慮されていたとは思えない……。

 わたしは植爺作品は嫌いだし、その演出も鼻につくことが多いんだが、それでも「大衆演劇」の見せ方をわかった人だなと思っている。

 主要人物が登場する際の、ファンファーレやテーマソング、声だけ先に聞こえ「誰だ?!」とやってから登場、とか、実にわかりやすい。
 植爺は安易に同じ演出を乱発するからうざくなっているけれど、効果的に挿入するなら、意味のある演出だと思う。

 という、わっかりやすい演出方法もあるとわかっているだけに。

 キハの初登場場面は、変更するべきだと思う。

 と、花組版のときから思っていたが、今回はさらにそう思った。

 花組版はプロローグでトップ娘役は派手に立ち回りを演じ、ついでに赤ん坊殺しというショッキングなアクションもしている。その場面や演出の是非は置くとして、顔見せは済ませている。
 キハとしてはじめて登場するのはポンファ通りの人混みの中。「ヒロイン」としての特別な演出はナシ。
 プロローグで登場済みだから、顔の見分けのつく人や、トップ娘役ぐらいならわかる程度のライトな人に、「ああ、ヒロイン登場だ」とかろうじてわかるレベルの演出、だと思う。

 しかし今回は、神話部分がない。あるのは子役が演じている少女時代のみ。
 あの子役の女の子と、下手したらそのへん男役より大きなモデル体型の美人さんが同一人物だと、わかる人は観客の何割だろうか。

 しかもこのときのキハの衣装が……。
 よく見るときれいな衣装で良い生地を使っているのかもしれないが、デザイン的には民衆とかけ離れたものではなく、色も地味。
 トップ歴が長く、ふたりの男役トップスターの相手役を務めるベテランのあやねちゃんでも「もっと衣装考えてあげてほしい」と思ったのに、今回がお披露目、キャリア真っ白のねねちゃんには、衣装の底上げも必要だと思う。

 登場前に銀橋歩かせてみるとか、祈祷に来た巫女なんだから、派手派手なトランス用衣装にするとか、それこそ「誰だ?!」……ババァーン(効果音)で、キハ登場! ぐらいやっても、良かったと思うよ。ヒョンゴやスジニより地味な登場って、ヒロインとしてどうなの……。

 原作や初演と同じにする必要はなく、あくまでも今回の『太王四神記 Ver.II』のキハ像を作り上げればいい、と思っているけれど、初日のキハはなんだかよくわからなかった。
 キハというより、ふつーの女の子だった気がする。

 たぶんキハというキャラクタは、一般的な「娘役」スキルの中にはない役なんだろう。
 引き出しの中にないから、自分で1から作らなければならない。
 今は模索中かな。

 抜群のスタイルが麗しい。これからどう変わっていくのか注目。

 
 花組版を教訓に、星組版ではあちこち手直しが入っている。
 そのひとつが、「ホゲよりタムドクをかっこよく、目立つように」すること。

 タムドクが前座で、そのあとに主役のホゲがかっこよく登場し、客席から割れんばかりの拍手をもらう、という困った演出だった花組。
 今回もそうなるのかと思っていたら、しっかり修正されていた。

 タムドクはかっこよく単独でせり上がり登場。もちろん拍手は彼ひとりへ向けられる。
 遅れて「遠征から凱旋してきた」という触れ込みで登場するホゲは、他部族の息子たちと一緒の登場で……拍手が、起こらなかった。

 星組組子として、2番手として、ケガからの復帰公演初登場として、いろんな意味で拍手したくてたまらなかったのに、できなかった。
 そのヒマがなかった。
 わたしだけでなく、たぶん他の観客たちもだろう。
 いかにもな、「ババァーン」という登場ではなかったために、拍手することができなかったんだ。

 登場だけで拍手するのは、演劇として間違っているのだろう。拍手とは感動したからするもので、出てきただけ、まだなにもしていないときにするもんじゃない。
 ヅカ初心者が「ねえ、どうしてスターが出てきたら拍手するの? しなきゃいけないの?」と聞いてくるくらい、ふつーではないことなんだろう。
 でもここタカラヅカだし! ふつーでなくても間違ってても、スターが登場したら拍手したいし。
 とくに、組替え後初登場だとか、トップお披露目初登場だとか、節目なときには歓迎の意を表したいじゃないか。

 なのにホゲ@かなめくんには、拍手ができなかった。そのあとに、やはりお披露目のキハ@ねねちゃんにできなかったように。
 そんなことができないよーな演出になってるんだもんよ。

 まあ、ホゲに関しては、初日はまさかこんな拍手のしづらい演出で出てくるとは誰も思ってなかったから入れられなかっただけで、その後無事に拍手で迎えてもらっているのかもしれんが。

 ホゲ登場に拍手を得られる演出にすることは、簡単だ。彼の登場時に数秒、溜めを作るだけでいい。だがイケコは、今回それをしなかった。……花組ではやっていたくせに。

 ホゲの比重を下げた、というよりは、タムドクを意識的に上げた結果だと思うが。

 そのホゲ@かなめくんは。

 か、軽い……(笑)。
 前半の屈託のない青年時代がもー、軽いですよこの人。軽薄なプレイボーイ。

 鳴海先生、こんなとこでナニやってんですか?(笑)

 ふつーにイマドキなイケメン青年なホゲちゃまに、びっくり。
 いや、これはこれでアリでしょう。タムどんが骨太な英雄タイプだから、その親友は軟派野郎ってわけですね、アニメやマンガのコンビ物のお約束ですね!

 4番手からいきなり2番手。
 背負うモノが大きすぎて大変だと思うが、がんばってくれかなめくん。

 登場に拍手がなかった分、銀橋ソロのあとにものすごい拍手が起こっていた。

 
 この3人で、新しい星組がはじまるんだ。
 映りがきれいでアニメ的で、わくわくする。

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