今回の花組公演を何回観たか?
 それは、『EXCITER!!』を何回観たか、と聞いてほしいっす。『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の回数は聞かないで。
 心の狭いわたしは、芝居は観てないっすから。チケット代はフジイくんの『EXCITER!!』のためだけに支払ってます。植爺のためには払ってない。今回の公演はフジイくんのショー1本立て、50分のコンパクト公演だと割り切ってます(笑)。立見、あるいは前後左右誰もいないような通路際席をわざと選んで買って、革命場面から途中入場したことは複数回ありますが。芝居を最初から最後まで観たのは初日と楽とあと1回だけだ。

 飢爺を憎んで生徒を憎まず、生徒に罪はないのだから、あんな脚本でもがんばって演じているキャストに敬意を払って観劇するべきだ。駄作を耐えてこそファン、耐えられないなんて、ファンのすることじゃない、ファン失格。
 と、思いはするが、それでも駄目だ。

 植爺『ベルばら』は、わたしには致命的に鬼門。
 繰り返し観ると、植爺云々を超えて宝塚歌劇に絶望する。
 「タカラヅカなんか大嫌い、もう二度と観ない」と、極論へ走るおそれがある。
 こんなモノが容認され、キャストたちが涙ぐましい努力で演じ持ち上げている「宝塚歌劇団」を、許せなくなるんだ。
 劇団を憎んでしまうと思うんだ。嫌悪感から、愛情よりも黒いモノがわたしを支配してしまう。

 わたしはタカラヅカを好きでいたい。
 これからも、作品にツッコミ入れつつ生徒に萌えて、たのしく観劇したい。
 だから、タカラヅカを好きでいるために、これからも観劇していくために、今回の芝居はわたしの中で抹消した。

 わたしはとびきり心が狭いのだ。

 『EXCITER!!』は9回観ました。はい。結局のとこほぼ週2ペースで観劇。1ヶ月公演は短いなあ。あっちゅー間だ。でさらに、オサコンだのケロコンだのトウコちゃん『AIDA』だの観に行っているので、さらにもー大忙し。
 第九のレッスンはあるわ、マジに体調アレで病院通いだわで、もーフラフラ(笑)。
 あー、寄る年波には勝てん……数年前ならこれくらいなんでもないスケジュールなのに、今はもう体力が持たない。
 8月あたりから体調がアレでいまだにヨボヨボ、這うように観劇して、友だちが同じ回を観ているとわかっても連絡もせず這うように帰る……誰かに会える健康状態と気力がないという……そんな孤独な日々も送り、ブログも停滞し。

 こんなときに植爺『ベルばら』なんかで消耗できるかっ!!(笑)

 わたしに必要なのは『EXCITER!!』、そしてまっつなの!(笑)

 と、とびきり視野狭く、苦手なモノを排除して好きなモノだけに閉じこもる、精神的ニート生活。

 実際視界もすごく偏っていて、何回ナマ舞台観たって、まっつしか見ていない。
 オペラグラスで切り取った視界にまっつしかいないから、まちがった感想をイロイロ書いている。
 全体を見ていたらまずこんなこと書かないのに……てなことを、平気で書いてますよ、まっつ語り。
 や、それもまたヨシ。

 間違いに気づいたときは「あちゃー、恥ずかしすぎ!」と思うけど、それも含めてリアルタイムの感想、記録だから。
 真実がどうあれ、その一瞬のわたしが感じたことは、事実だから。
 も、ソレでいいじゃん、と。

 
 ところで、9月11日の記事に書いた、はじめて『ベルばら』を娘さんと観に行く人の話。
 先日会ったので、聞いてみたのよ、「どうでした?」と。

「すっごく良かった!! また行きたい」

 ……案ずるより産むが易し。
 『ベルばら』だから、わたしが大嫌いだからと、他人様の観劇チャンスを奪ったり水を差したりするものじゃない。
 ソレがなんであれ、「観たい」と思ったときが運命のとき、背中を押してやるがヨシ。

 ふつーに楽しんだようだ、『ベルばら』。
 原作を知らない娘さんにはあらかじめプログラムを読むように勧めたらちゃんとストーリーについて行けたらしいし、大昔に原作を読んだことのあるご本人は「そうそう、たしかアンドレって失明するんだわ! すっかり忘れてた!」と、素直に舞台の展開に膝を打って喜んだ模様。

「ドレスがすごいわね。それも、私たちが子どものころ夢見たような、いかにもなドレスで」
 さおたさんたち女子部の人たち、さすがです。カーテン前で喋るだけの短い出番で、ちゃんと『ベルばら』らしく初心者を喜ばせたんだ。

 ショーはさらに、楽しかったそうな。「すごくカッコイイ!!」と。

「お買い物も楽しいわね、『ベルばら』のメモ帳買っちゃった(笑)」
 と、笑顔で言われて、こっちまでうれしくなった。

 ご本人は大昔、天海祐希の『風と共に去りぬ』を1回だけ観たことがあるらしい。
 さすがは天海。なんの関係もない一般人を劇場に足を運ばせる力のあった大スター。
 そして今回の観劇理由は、「『ベルばら』だから」。娘さんが「『ベルばら』って観てみたい」と言ったから。

 腐っても『ベルばら』だ。

 で、高校生の娘さんと一緒にトップスター5人の素顔を比べて、「真飛さんと大空さんがきれい」という話になり、「娘は大空さんがいちばんカッコイイって言ってる」そうな。
 ヅカ初見の高校生のハートを動かすのか、さすがだビジュアル系ジェンヌおーぞらゆーひ!!(笑)

 んじゃまた観てくれる? そのカッコイイゆーひさんの主演公演があるよ。『カサブランカ』を娘さんと是非。

「今度はあわてて2階S席の端っこを買ったりせずに、そのすぐ後ろのB席を買うことにするわ(笑)」
 ……なんか、いきなりスキル上がってる。「たまたま見かけた新聞に広告が載っていて……電話したら、幸運にもチケットが残ってて」と2階S席をなんも知らずに買った人が。

「こあらちゃんの好きな人も見たわよ。クールな感じの人ね」
 おおお。まっつのことも見てくれましたか。プログラムにインタビュー載ってることとかベルナール役で台詞がないこととか、あらかじめ説明した甲斐があった(笑)。
 そうそう、クールエロな人なんですよー、歌ウマなんで、ショーではちょろちょろ歌ってたでしょ? ……と言っても、そっちでは区別ついてなかったらしく「?」と顔に書いてあった。
 おおお、腐っても『ベルばら』、腐っても黒い騎士、ベルナール。初見者に説明できる役って貴重なんだ。

 すっかり視界が狭くなって、偏った考え方しかできないわたしに、新しい風。
 初心者さんの話が心地よい。

「ところで私、家に帰ってから『風と共に去りぬ』のパンフレット探したの、なんかなつかしくなって。そしたら。『風共』のパンフにおおぞらゆーひがいたのっ。あの人いくつよ?!!」

 高校生の娘さんもびっくり、と。

 落ち着いて落ち着いて、ジェンヌはフェアリーだからっ。とくにゆーひさんはフェアリーの中のフェアリー、奇跡のファンタジスタだからっ(笑)。

 いやあ、びっくりしただろうなあ。
 高校生の娘さんなんか、ふつーにカッコイイと思ったにーちゃんが、実は自分が生まれたころ(生まれた翌年とかその次とか?)の舞台に、ふつーに今と変わらない姿で立っていたと知ったわけなんだから。

 タカラジェンヌってすごかろ?
 現代にある、奇跡のよーな人たち、奇跡のよーな劇団。

 
 彼らを愛して、見つめていきたいの。

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