ムラのいつもの店で、いつものよーにダラダラと、nanaタンと喋っていたわけですよ。
 贔屓のためにびんぼー一直線、贔屓組以外にかけるお金なんてないよねえ、贔屓組以外観るお金ないよねえ。
 とゆー話の流れで。

「あたしなんで、『ZORRO』を4回も観ちゃったんだろう?」

 疑問です。こんだけびんぼーなのに、なんであんな作品を何度も観ちゃったんだろう。ええ、作品としてはどーでもよかったのに。
 首を傾げるわたしに、nanaタンが追い打ちを掛けるのですよ。

「『ベルばら』より、観てるじゃない」

 がーーん……。

 贔屓組の今回の公演、『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』より、贔屓でもなんでもない組の、好きでもない作品をたくさん観ているって……!! わたしがお金持ちならともかく、こんなびんぼーでチケ代にひーひー言ってるのに、なんでそんな分不相応なゼイタクを!!

 いやその、『ベルばら』は3回しか観てないからねええ。同時上演のショー『EXCITER!!』は9回観てますが。

「ほんと、水さん好きなんだねー(笑)」

 花組の次によく観る組が、雪組。水しぇん好きですよ、ええ。水くん目当てですとも。それに『ZORRO』はとなみちゃんラストだったしな。で、トド様も出演していたしな。それで回数観てるんだな。作品はともかく、キャストのために通ったんだな。
 にしてもあんなつまんない作品に……。

 そして、さらに気づく。

「『ロシアン・ブルー』は、5回観た……」

 作品がつまんなくても毎週ムラへ通い、作品が好きだとさらに回数を増やしてしまう。1ヶ月公演なのに5回って、週1以上かよ、しかも新公も別に観ているって、なんでそんなムラ通いしてんのよ、ムラまで片道1時間もかかるのに。
 びんぼーなのに! 贔屓組以外にかけるお金なんてどこにもないのに! 贔屓の出ている『ベルばら』は3回で、贔屓の出ていない『ロシアン・ブルー』を5回ってナニ、そんなのヅカファン的に変!

「ほんと水さん好きだねー。あ、それとも、アタシに会いたかったの?(笑)」

 とほざく、「雪組公演期間は、いつもムラにいます」なゆみこ担は放っておいて、今さらだが『ロシアン・ブルー』の話。

 雪組公演『ロシアン・ブルー』で、わたし的にいちばんの良席は、千秋楽のSSセンターブロック通路側席でした。
 ええ、アメリカ議員さんとその執事が、役職を離れて友人同士としてしっぽり話す、アレが触れそうに目の前な席です。
 友会で当たったんだよ、ハラショー。初日に観て、「あたし、楽のあのあたりの席持ってる~~!」と舞い上がりましたさ。

 あとはびんぼー人らしく、1階の10何列目くらいか、あるいは当日Bでどっちにしろ安く観ていた(物価が低くて助かりました)ので、いつもオペラグラス必須だったのね。
 わたしはとどのつまり水くんスキーで、結局水くんをぼーっと見ていたりする。
 オペラグラスだと、ほんとにその人ひとりとその周辺わずかにしか、見えない。『ロシアン・ブルー』は画面のどこを見てもたのしかったので、あちこち見るのに必死だったし、あずりん中心に見ていた日もあったりしたんだが(笑)、「物語」を見るとなると、やっぱりわたしはアルバート@水しぇんを中心に見ていた。

 それが千秋楽の席だと、オペラグラス不要なわけよ。
 視界が、広いの。
 水しぇん以外も見えるの。

 前方席って、こんなに素晴らしいのか!! と、今さらなことに感動しましたよ。(びんぼーが憎い)

 そして。
 はじめて、気づいたの。

 イリーナ@みなこに。

 今までずっとオペラでアルバートばっか見ていたから、イリーナのことは見ているよーで見ていなかった。ふたりが一緒にいるシーンは、どーしてもアルバートを見てしまうし。
 オペラ無しでふつーにふたりの場面を見てみれば。

 イリーナのいじらしさに、くらくらする。

 アルバートを前にして、イリーナの感情は揺れ動く。
 とくに、「薬」を飲んでしまってから。

 彼女の心の動きが、揺れ方が、リアルで。
 動いて、崩れそうになって、でもなんとか持ちこたえて。強がって。でもふっと崩れて。

 かわいい。
 この子、すっげーかわいい。
 そりゃアルバートも惚れるわ。

 大団円のあとの別れの場面とか、イリーナ見てたら涙が止まらなかった。

 「必ず戻ってくるから」と、アルバートが言うのがわかる。や、そのときその台詞がまだ彼の中になかったとしても、イリーナ見てたらそう言っちゃうって。この子を泣かせないために、言わずにはいられないって。
 「大統領になってでも、戻ってくる」って、言っちゃうよ。

 君のために、奇跡を起こす。……そう、誓うよ。

 だから、泣かないで。

 みなこちゃん、美人さんではまったくないし、苦手な顔立ちなんだけど、やっぱり彼女、巧いわ。
 彼女の芝居が好きだ。
 巻き込まれる。引き込まれる。

 そして、感情移入できる。

 イリーナになって、アルバートに恋が出来る。
 イリーナになって、アルバートに愛されることが出来る。

 千秋楽になって、今までになく感情移入して、ふたりの恋物語にダダ泣きしました。

 もともとアルバート好きだしね。
 「愛の証に大統領になる」と誓う男。
 「愛の証にマリポーサの花を送る」と誓う男も好きだったけど、アルバートも好きよ(笑)。

 彼が戦う相手は、エジェフ@ハマコのようにわかりやすい悪党ではないんだ。
 何故彼の祖先がロシアを追われたか。何故これからイリーナと会うことが、大統領になる必要があるくらい困難なのか。
 何故、灰色の猫はロシアからいなくなったのか。

 アルバートが戦わなければならないものは、そーゆーものなんだ。

 それでも彼は戦うと言うんだ。
 や、もともと戦うつもりで政治家になり、ちょっとくじけていたんだけど、イリーナと出会い、また真正面から戦うことを決意し直すんだ。

 そーゆー男だから、好き。

 また、ちょっとコメディな水しぇんは、生真面目なだけではないおかしみを持っていて、その絶望的な闘いにもゆるさや光を感じさせてくれる。
 彼の握り拳に、夢を見られるんだ。ひょっとしたら、彼の描く未来が来る、のかもしれない、って。

 アルバートが好きで、イリーナが好き。
 このふたりの恋物語に、どきどきする。わくわくする。

 『ロシアン・ブルー』がダイスキ。

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