スクリーン越しの世界。@月組千秋楽
2009年11月10日 タカラヅカ 月組公演『ラスト プレイ』『Heat on Beat!』千秋楽。
麻月くんが、しっかりした男役のカオをしていて、おどろいた。
いやその、なんか彼にはヘタレなイメージがあって。きりりとしていてさえ、なんかふにゃっとしたやわらかさがある気がしていて。
勝手なイメージでしかないんだけど。
彼が演じてきた役がまた、コメディチックというか、空気読まないかしましい役の印象が強くて。
彼がまだ音校生のころ某店で偶然見かけて、カオが好みの系統だったゆえ「ああ、あのときの子だ」と初舞台からチェックして、ゆるーく眺めてきて、現在に至る。
『ハロダン』でいきなりセンターで踊ってたときはびびったなあ。『ハリラバ』でめっちゃ喋って演技してておどろいたなあ。
ちっちゃくていつまでたっても声変わりしない、永遠の少年だと思っていた。
子どもだ子どもだと思っていた、ついでにまあ、正直なとこそろそろいい加減声変わりくらいはしてくれてもいいんじゃないかと思っていた、矢先の退団。
子どもだと思っていたのに、声変わりしてないと思っていたのに、退団挨拶でバウホールのスクリーンに大映しになった彼は、意外なほどしっかりしたカオと声で、しっかりと話した。
こんなカオだっけ? もっとふにゃっとしてたと思い込んでた。こんな声だっけ? もっと女の子のまんまだと思い込んでた。
かっこいいなあ。
なんか、袴姿で挨拶する麻月くんが、みょーにかっこよくて、あせったよ。
きりっとしていてね。こう、ぴんと張りつめた感じが、端正でね。
なんだかね。
突然ね。
とーとつに、思ったのよ。
タカラジェンヌって、なんて愛しいイキモノだろうかと。
や、そんなの今さら言うべきでもない、世の中の常識みたいなことだ、ジェンヌがすばらしいのも、愛しいのも。
だけど、きりっとかっこいい麻月くんを見て、ぐわーーっと愛しさが涙になってあふれ出た。
ちっちゃいころから見守って、じれじれしたりわくわくしたり、勝手に一方的に夢を見てさ。麻月くんなんてほんと、一方的なうえにささやかな眺め方だったわけだしさ。彼のなにを知るわけでもなく、ファンの人たちほどちゃんと彼だけを見ていたわけでもなくてさ。
そんな偏ったわずかな視界の中でも、ジェンヌは変わっていく。どんどん美しくなり、上手くなり、男役は男役に、娘役は娘役になって卒業していく。
子どもだと思っていた麻月くんが、こんなにかっこいい、男役の顔をして卒業していく。それはなんてすごいことだろう。麻月くんだけでなく、他のジェンヌさんたちすべてが、こんなにかっこよく美しくなって卒業するんだ。その課程を愛でる、愛でることができるタカラヅカって、なんて素晴らしいんだろう、と、思った。
だって自分は、かっこよくも美しくもないもんな。外見だけの話ではなく、中身っちゅーか生き方もさ。
あんな風に背筋を伸ばして、すべての人への感謝を告げることなんて、ありえないしさ。そんな潔い生き方してないもんよ。
タカラジェンヌの卒業は、いつも「愛」と「感謝」を告げる。
この世で最も美しい言葉を告げる。
現実がどうあれ、内情がどうあれ、彼らにもきっといろいろあるんだろうけど、それらを飲み込んで乗り越えて、彼らがぴしっと背筋を伸ばし、愛と感謝の言葉で別れを告げる様を、素晴らしいと思う。
タカラジェンヌ自体が、「夢」だと思う。
うらもえちゃんが「この5年間」と言うのを聞いて、まだたった5年なのかと改めて思う。
『Young Bloods!! 』は3年前……まだ研2かアレ。ステージひとつセンター務めてたよね。
そのダンスっぷりから、もっとキャリアがある気がしていた……これからもっと活躍の場も広がったろうにな。
おときっちゃんはほんときれーなおねえさんで。
あのルシア@『血と砂』が、こんな大人の女になってさ。昔から歌が得意だけれど、歌い上げるクリアなハイソプラノってわけじゃなく、もっと情感先行の芝居歌の方が得意だったのかなと、続いたエトワール役から思ったりしていた。
『Ernest in Love』や『ME AND MY GIRL』などのメイド姿がみょーにツボだったんだよなあ。あの華やかな顔立ちが、みんなが同じよーな制服ゆえさらに際立って。
『血と砂』で役名ついていた子たちの大半は、いつまでたってもそのときの役名でおぼえてしまう。あれほど萌えて通った公演は、あとにも先にもナイからなあ。
しずくちゃんはバウの巨大スクリーンでアップになってもさらに納得の美貌。
しっかりした口調に意志をにじませ、「言うべきこと」をきちんと伝えようとしている印象。
つか、なんてまっすぐな眼差しだろう。
ゆーほの相手役、美貌の秘書@『ヘイズ・コード』から、わたしにその美貌を知らしめたしずくちゃん。ゆーほスキーだったわたしが、しずくちゃんを床に転がし、ネクタイを緩めるゆーほにどれだけ狂喜乱舞したか……そして床に転がるしずくちゃんの、ストイックなスーツの腰の曲線にハァハァしたか……。真ん中無視して、下手でもつれるゆーほとしずくちゃんだけオペラでガン見してたんだよなあ。
あそこからはじまって、なんかあれよあれよという間に娘トップ候補になって。
そして、トップにはならずに卒業してしまうのか。
7年間のうち、後半だけやたら濃いというか加速装置の付いたようなジェンヌ人生だったのかなと。
どうして今卒業なのか、言っても仕方ない寂しさが募るけれど、この真っ直ぐな眼差しに射抜かれて、舞台には届かないバウの客席で拍手するしかない。
あいちゃんはなんかすごく、さばさばした笑顔と挨拶だった。
あいちゃんファンの友人から、お茶会他で垣間見れるナマのあいちゃんのエピソードを聞くにつれ、舞台から受ける「城咲あい」とのギャップにおどろく。舞台でのエロクールビューティぶりと、ナマのあいちゃんの天然フェアリーっぷりは、ちっともわたしの中でイコールにならない。
大人っぽくて艶のある大輪の華。舞台しか知らないわたしは、舞台の役とはチガウ最後の挨拶の表情に気圧された。
こんな子なんだぁ、あいちゃん。知らないままでいたよ。キャリアは短期娘役トップより豊富かも、てなくらいたっぷり極めた人だけど、86期中卒だもんな、まだ若いんだよなあ。
この期に及んで発見って、まだまだ見せていない顔があったんじゃないかと、舞台でいろんな役を、女の人生を見せてくれたんじゃないかと、卒業が惜しいと思う。
バウホールで退団者を見送るのは、『ベルサイユのばら2001』以来だ。つか、あのときがはじめてのバウ中継だったんじゃなかろうか。
バウ中継はあったりなかったりするから、なかなか経験することが出来ない。
ナマ観劇に勝るモノはないが、それでも巨大スクリーンでしっかりと退団者の表情を見られるのは、得難いことかもしれない。
すぐに外にも出られるから、パレードの位置取りもしやすいしな(笑)。
東宝はきっと中継ですら見られないだろう、そう思って性根入れて最後のお見送りをした。
みんなみんな、すごくきれいなの。
麻月くんが、しっかりした男役のカオをしていて、おどろいた。
いやその、なんか彼にはヘタレなイメージがあって。きりりとしていてさえ、なんかふにゃっとしたやわらかさがある気がしていて。
勝手なイメージでしかないんだけど。
彼が演じてきた役がまた、コメディチックというか、空気読まないかしましい役の印象が強くて。
彼がまだ音校生のころ某店で偶然見かけて、カオが好みの系統だったゆえ「ああ、あのときの子だ」と初舞台からチェックして、ゆるーく眺めてきて、現在に至る。
『ハロダン』でいきなりセンターで踊ってたときはびびったなあ。『ハリラバ』でめっちゃ喋って演技してておどろいたなあ。
ちっちゃくていつまでたっても声変わりしない、永遠の少年だと思っていた。
子どもだ子どもだと思っていた、ついでにまあ、正直なとこそろそろいい加減声変わりくらいはしてくれてもいいんじゃないかと思っていた、矢先の退団。
子どもだと思っていたのに、声変わりしてないと思っていたのに、退団挨拶でバウホールのスクリーンに大映しになった彼は、意外なほどしっかりしたカオと声で、しっかりと話した。
こんなカオだっけ? もっとふにゃっとしてたと思い込んでた。こんな声だっけ? もっと女の子のまんまだと思い込んでた。
かっこいいなあ。
なんか、袴姿で挨拶する麻月くんが、みょーにかっこよくて、あせったよ。
きりっとしていてね。こう、ぴんと張りつめた感じが、端正でね。
なんだかね。
突然ね。
とーとつに、思ったのよ。
タカラジェンヌって、なんて愛しいイキモノだろうかと。
や、そんなの今さら言うべきでもない、世の中の常識みたいなことだ、ジェンヌがすばらしいのも、愛しいのも。
だけど、きりっとかっこいい麻月くんを見て、ぐわーーっと愛しさが涙になってあふれ出た。
ちっちゃいころから見守って、じれじれしたりわくわくしたり、勝手に一方的に夢を見てさ。麻月くんなんてほんと、一方的なうえにささやかな眺め方だったわけだしさ。彼のなにを知るわけでもなく、ファンの人たちほどちゃんと彼だけを見ていたわけでもなくてさ。
そんな偏ったわずかな視界の中でも、ジェンヌは変わっていく。どんどん美しくなり、上手くなり、男役は男役に、娘役は娘役になって卒業していく。
子どもだと思っていた麻月くんが、こんなにかっこいい、男役の顔をして卒業していく。それはなんてすごいことだろう。麻月くんだけでなく、他のジェンヌさんたちすべてが、こんなにかっこよく美しくなって卒業するんだ。その課程を愛でる、愛でることができるタカラヅカって、なんて素晴らしいんだろう、と、思った。
だって自分は、かっこよくも美しくもないもんな。外見だけの話ではなく、中身っちゅーか生き方もさ。
あんな風に背筋を伸ばして、すべての人への感謝を告げることなんて、ありえないしさ。そんな潔い生き方してないもんよ。
タカラジェンヌの卒業は、いつも「愛」と「感謝」を告げる。
この世で最も美しい言葉を告げる。
現実がどうあれ、内情がどうあれ、彼らにもきっといろいろあるんだろうけど、それらを飲み込んで乗り越えて、彼らがぴしっと背筋を伸ばし、愛と感謝の言葉で別れを告げる様を、素晴らしいと思う。
タカラジェンヌ自体が、「夢」だと思う。
うらもえちゃんが「この5年間」と言うのを聞いて、まだたった5年なのかと改めて思う。
『Young Bloods!! 』は3年前……まだ研2かアレ。ステージひとつセンター務めてたよね。
そのダンスっぷりから、もっとキャリアがある気がしていた……これからもっと活躍の場も広がったろうにな。
おときっちゃんはほんときれーなおねえさんで。
あのルシア@『血と砂』が、こんな大人の女になってさ。昔から歌が得意だけれど、歌い上げるクリアなハイソプラノってわけじゃなく、もっと情感先行の芝居歌の方が得意だったのかなと、続いたエトワール役から思ったりしていた。
『Ernest in Love』や『ME AND MY GIRL』などのメイド姿がみょーにツボだったんだよなあ。あの華やかな顔立ちが、みんなが同じよーな制服ゆえさらに際立って。
『血と砂』で役名ついていた子たちの大半は、いつまでたってもそのときの役名でおぼえてしまう。あれほど萌えて通った公演は、あとにも先にもナイからなあ。
しずくちゃんはバウの巨大スクリーンでアップになってもさらに納得の美貌。
しっかりした口調に意志をにじませ、「言うべきこと」をきちんと伝えようとしている印象。
つか、なんてまっすぐな眼差しだろう。
ゆーほの相手役、美貌の秘書@『ヘイズ・コード』から、わたしにその美貌を知らしめたしずくちゃん。ゆーほスキーだったわたしが、しずくちゃんを床に転がし、ネクタイを緩めるゆーほにどれだけ狂喜乱舞したか……そして床に転がるしずくちゃんの、ストイックなスーツの腰の曲線にハァハァしたか……。真ん中無視して、下手でもつれるゆーほとしずくちゃんだけオペラでガン見してたんだよなあ。
あそこからはじまって、なんかあれよあれよという間に娘トップ候補になって。
そして、トップにはならずに卒業してしまうのか。
7年間のうち、後半だけやたら濃いというか加速装置の付いたようなジェンヌ人生だったのかなと。
どうして今卒業なのか、言っても仕方ない寂しさが募るけれど、この真っ直ぐな眼差しに射抜かれて、舞台には届かないバウの客席で拍手するしかない。
あいちゃんはなんかすごく、さばさばした笑顔と挨拶だった。
あいちゃんファンの友人から、お茶会他で垣間見れるナマのあいちゃんのエピソードを聞くにつれ、舞台から受ける「城咲あい」とのギャップにおどろく。舞台でのエロクールビューティぶりと、ナマのあいちゃんの天然フェアリーっぷりは、ちっともわたしの中でイコールにならない。
大人っぽくて艶のある大輪の華。舞台しか知らないわたしは、舞台の役とはチガウ最後の挨拶の表情に気圧された。
こんな子なんだぁ、あいちゃん。知らないままでいたよ。キャリアは短期娘役トップより豊富かも、てなくらいたっぷり極めた人だけど、86期中卒だもんな、まだ若いんだよなあ。
この期に及んで発見って、まだまだ見せていない顔があったんじゃないかと、舞台でいろんな役を、女の人生を見せてくれたんじゃないかと、卒業が惜しいと思う。
バウホールで退団者を見送るのは、『ベルサイユのばら2001』以来だ。つか、あのときがはじめてのバウ中継だったんじゃなかろうか。
バウ中継はあったりなかったりするから、なかなか経験することが出来ない。
ナマ観劇に勝るモノはないが、それでも巨大スクリーンでしっかりと退団者の表情を見られるのは、得難いことかもしれない。
すぐに外にも出られるから、パレードの位置取りもしやすいしな(笑)。
東宝はきっと中継ですら見られないだろう、そう思って性根入れて最後のお見送りをした。
みんなみんな、すごくきれいなの。
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