それでもおそらくは、オーソドックスな。@BUND/NEON 上海
2010年1月8日 タカラヅカ 1幕が2幕のおよそ1.5倍の長さがあり、かつ、1幕の半分までは承前、状況説明、本編がはじまるのは1幕の最後の方から。そのくせ、風呂敷の広げっぷりは半端なく、休憩時間に花担友人のドリーさんと「相当話広げてるけど、たためるのか、この話?」と首を傾げていたんだが。
やっぱり、たためなかったね(笑)。
登場キャラクタののほとんどが、それで、どーなったのよ??状態。
ストーリーの中核であるはずの1年前のロンドンの話はまともに説明されていないし。キーパーソンであるシンシア@姫花の死と彼女の家族についての説明もないし。おかげでヒロイン@れみちゃんがいちばんワリくって、無意味な人になっちゃってるし。
雰囲気優先で、作者は自分の頭の中だけで納得してしまって、観客のことまで考えが至っていない。穴だらけの脚本、構成。
しかし。
『BUND/NEON 上海』は、たのしかった。
それはたぶん、とてもオーソドックスな「タカラヅカ」だったからだろう。
主人公の男ふたりが、それぞれ愛する少女のために一途に生きる物語だ。彼らの行動の根幹には恋人への愛があり、それゆえに苦悩する。
マフィアがどーの時代背景がどーのってのは、ただの小道具であって、殺伐とした小難しい話だと分類する必要はない。
あるのはただ、オーソドックスでとってもありがちな、ふつーの「タカラヅカ」。
まあ、主人公とヒロインが恋愛していなかったりするのはヅカ的ではないし、ぶっちゃけヒロインの立て方を間違えているのは、痛すぎる失敗だが、それでもまあ、この話はアリでしょう。
全体を通して、笑えるくらい「タカラヅカ」なんだもん(笑)。
ところで。
今になって公式の作品解説読んだんだけど。
間違ってはいないけれど、正しくもないぞ?
捜査官クリストファー@まぁくんは殺された恋人シンシア@姫花の事件を追って、上海へやって来た。シンシアとその両親が殺された事件に、中国人が関わっていたためだ。「劉衛強」という男を追ってやってきた……ことになるのかな。
マフィア関連を追うなら、そこのマフィアのボスに会うのが正しいよな、と上海を牛耳るマフィア・青幇のボス杜月笙@ふみかに近づくために、彼と商売をしている大金持ちのぼんぼん社長エドガー@よっちのパーティへ行った。そこでエドガーの妻ミシェル@れみに再会。ミシェルは自分の両親や妹が殺されたっつってもロンドンへやって来ず、スルーした冷たい女。自分は金持ち夫人に収まって幸福そうでいいよな、とクリストファーの私感。
さて、クリスが追っている男・劉衛強@だいもん。彼は1年前、わざわざロンドンくんだりまで行ってシンシアを殺したときから、マフィアとしては重い病にかかっていた。人を殺せないんだ。シンシア殺しが重度のトラウマになった模様。……シンシア最強。
人を殺せないマフィアなんか、どれだけ優秀でも使い道に困る。とくに青幇さんたちは「面倒だから殺せ」でなんでもかんでも皆殺しにして完了するカラー。組カラーに合わない路線スターはフルボッコ。どれだけ結果を出しても責められる。それでもここでしか生きられない彼は、幼なじみの恋人・孫香雪@ゆまと一緒になる日を夢見てがんばっていた。
そんなところへやって来て、あちこち嗅ぎ回るクリスは間がいいのか悪いのか。共産党地下組織@じゅりあとかしゅん様は「敵の敵は仲間、協力し合おうぜ」とコナ掛けしてくるし、お高いクリスくんはそんなの歯牙にも掛けなかったのに、「クリスは共産党とつるんでるぞ」ってことで、青幇さんたちが共産党な人たちを虐殺してみたり、上海大変。
まあなにはともあれ、結局のとこクリスは私怨で動いているだけで。シンシアの仇が取れればそれでいいんだよね。杜月笙の屋敷に突撃カマすのも、「シンシアの姉」ミシェルが拉致されたから。ミシェル自身はどーでもいいが、シンシアの死がトラウマになった彼は「もう誰も失いたくない」病にかかっている。……シンシア最強。
突撃カマしたら、そこになんとシンシア殺害実行犯、劉がいたので一騎打ち。でもほら劉くん、トラウマで人が殺せないから……。
いろいろあったけど、ミシェルは助け出したし、シンシア殺しの犯人も死んだし、一件落着、なんて清々しい旅立ちの朝。……幕。
だから、なんでシンシアが殺されなければならなかったのか、わからないとストーリー自体成り立たないんですが、ソコは全力でスルー。
マフィアだのスコットランドヤードだのが絡んで、壮大な陰謀が企てられていたらしいが、作者の脳内にしか存在しない。
ただクリスくんが恋人の仇を討つだけで終了。背後にある陰謀に、主人公であるクリス自身が興味を持っていないので、とても薄いキャラクタになってしまっている。
最初から最後まで、彼の「自分探し」だからなー。で、当座の目的であった「シンシアの仇を討つ」と「シンシアの姉を助ける」が達成できたので「俺、乗り越えたよ、ひとつ大人になったよ!」と晴れ晴れ。
なんかチガウと思うの……だって君の上司はあんなことになってるわけだし、スコットランドヤードの膿出しだけでも大変よ? わかってる?
なにも解決してないんだけど、なんか、終わったことになっている不思議な話。
まともに考えると「生田くん、ソコ坐りなさい」ってくらい、めちゃくちゃな話なんだけど(笑)。
それでも、たのしい。
サイトーくん作品がどんだけ整合性皆無でもたのしいのと、同じ次元の楽しさだわ。
チャイナドレスのぶりっこじゅりあが、いざ共産党活動するってときは、わざわざ制服に着替えてたり、だいもんがわざわざがんばってテーブル乗り越えて銃構えたり、マッドサイエンティストなみちるタソが注射器持って笑っていたり、一騎打ちが殴り合いって……!! とか、ツッコミどころ満載、いや、つっこむことは野暮!な勢いで「萌え」を表現しているところが、素敵です(笑)。
あー、とりあえず、ひとりで悶えまくってるだいもん見に、もう一度行きたいな。
やっぱり、たためなかったね(笑)。
登場キャラクタののほとんどが、それで、どーなったのよ??状態。
ストーリーの中核であるはずの1年前のロンドンの話はまともに説明されていないし。キーパーソンであるシンシア@姫花の死と彼女の家族についての説明もないし。おかげでヒロイン@れみちゃんがいちばんワリくって、無意味な人になっちゃってるし。
雰囲気優先で、作者は自分の頭の中だけで納得してしまって、観客のことまで考えが至っていない。穴だらけの脚本、構成。
しかし。
『BUND/NEON 上海』は、たのしかった。
それはたぶん、とてもオーソドックスな「タカラヅカ」だったからだろう。
主人公の男ふたりが、それぞれ愛する少女のために一途に生きる物語だ。彼らの行動の根幹には恋人への愛があり、それゆえに苦悩する。
マフィアがどーの時代背景がどーのってのは、ただの小道具であって、殺伐とした小難しい話だと分類する必要はない。
あるのはただ、オーソドックスでとってもありがちな、ふつーの「タカラヅカ」。
まあ、主人公とヒロインが恋愛していなかったりするのはヅカ的ではないし、ぶっちゃけヒロインの立て方を間違えているのは、痛すぎる失敗だが、それでもまあ、この話はアリでしょう。
全体を通して、笑えるくらい「タカラヅカ」なんだもん(笑)。
ところで。
今になって公式の作品解説読んだんだけど。
[解 説]
1930年代、イギリス・ロンドン。スコットランドヤード特殊部門に属する青年捜査官、クリストファー・ブレナンには誰もが羨む輝かしい未来が待っているように思われた。しかしある日、恋人が失踪。彼自身が捜査に当たるが、事件は迷宮入りの様相を呈し彼自身も深い傷を負ってしまう……一年後、突然降りかかった過酷な運命に心の晴れない彼は休暇を得る。選んだ旅先は、上海――劉衛強ら青幇の頂点に立つ杜月笙の治める街。そこで彼は恋人の姉、ミシェル・トラヴァースとの再会を果たすが……。列強各国の租界地として爛熟期を迎えていた魔都・上海を舞台に、一人の青年捜査官が失われた過去を取り戻し、再生してゆく姿を描いた、サスペンス仕立てのミュージカル作品。この作品は生田大和のバウホール公演デビュー作となります。
間違ってはいないけれど、正しくもないぞ?
捜査官クリストファー@まぁくんは殺された恋人シンシア@姫花の事件を追って、上海へやって来た。シンシアとその両親が殺された事件に、中国人が関わっていたためだ。「劉衛強」という男を追ってやってきた……ことになるのかな。
マフィア関連を追うなら、そこのマフィアのボスに会うのが正しいよな、と上海を牛耳るマフィア・青幇のボス杜月笙@ふみかに近づくために、彼と商売をしている大金持ちのぼんぼん社長エドガー@よっちのパーティへ行った。そこでエドガーの妻ミシェル@れみに再会。ミシェルは自分の両親や妹が殺されたっつってもロンドンへやって来ず、スルーした冷たい女。自分は金持ち夫人に収まって幸福そうでいいよな、とクリストファーの私感。
さて、クリスが追っている男・劉衛強@だいもん。彼は1年前、わざわざロンドンくんだりまで行ってシンシアを殺したときから、マフィアとしては重い病にかかっていた。人を殺せないんだ。シンシア殺しが重度のトラウマになった模様。……シンシア最強。
人を殺せないマフィアなんか、どれだけ優秀でも使い道に困る。とくに青幇さんたちは「面倒だから殺せ」でなんでもかんでも皆殺しにして完了するカラー。組カラーに合わない路線スターはフルボッコ。どれだけ結果を出しても責められる。それでもここでしか生きられない彼は、幼なじみの恋人・孫香雪@ゆまと一緒になる日を夢見てがんばっていた。
そんなところへやって来て、あちこち嗅ぎ回るクリスは間がいいのか悪いのか。共産党地下組織@じゅりあとかしゅん様は「敵の敵は仲間、協力し合おうぜ」とコナ掛けしてくるし、お高いクリスくんはそんなの歯牙にも掛けなかったのに、「クリスは共産党とつるんでるぞ」ってことで、青幇さんたちが共産党な人たちを虐殺してみたり、上海大変。
まあなにはともあれ、結局のとこクリスは私怨で動いているだけで。シンシアの仇が取れればそれでいいんだよね。杜月笙の屋敷に突撃カマすのも、「シンシアの姉」ミシェルが拉致されたから。ミシェル自身はどーでもいいが、シンシアの死がトラウマになった彼は「もう誰も失いたくない」病にかかっている。……シンシア最強。
突撃カマしたら、そこになんとシンシア殺害実行犯、劉がいたので一騎打ち。でもほら劉くん、トラウマで人が殺せないから……。
いろいろあったけど、ミシェルは助け出したし、シンシア殺しの犯人も死んだし、一件落着、なんて清々しい旅立ちの朝。……幕。
だから、なんでシンシアが殺されなければならなかったのか、わからないとストーリー自体成り立たないんですが、ソコは全力でスルー。
マフィアだのスコットランドヤードだのが絡んで、壮大な陰謀が企てられていたらしいが、作者の脳内にしか存在しない。
ただクリスくんが恋人の仇を討つだけで終了。背後にある陰謀に、主人公であるクリス自身が興味を持っていないので、とても薄いキャラクタになってしまっている。
最初から最後まで、彼の「自分探し」だからなー。で、当座の目的であった「シンシアの仇を討つ」と「シンシアの姉を助ける」が達成できたので「俺、乗り越えたよ、ひとつ大人になったよ!」と晴れ晴れ。
なんかチガウと思うの……だって君の上司はあんなことになってるわけだし、スコットランドヤードの膿出しだけでも大変よ? わかってる?
なにも解決してないんだけど、なんか、終わったことになっている不思議な話。
まともに考えると「生田くん、ソコ坐りなさい」ってくらい、めちゃくちゃな話なんだけど(笑)。
それでも、たのしい。
サイトーくん作品がどんだけ整合性皆無でもたのしいのと、同じ次元の楽しさだわ。
チャイナドレスのぶりっこじゅりあが、いざ共産党活動するってときは、わざわざ制服に着替えてたり、だいもんがわざわざがんばってテーブル乗り越えて銃構えたり、マッドサイエンティストなみちるタソが注射器持って笑っていたり、一騎打ちが殴り合いって……!! とか、ツッコミどころ満載、いや、つっこむことは野暮!な勢いで「萌え」を表現しているところが、素敵です(笑)。
あー、とりあえず、ひとりで悶えまくってるだいもん見に、もう一度行きたいな。
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