とまあ、いろいろ語ってはいるけど、『HAMLET!!』

 フジイくんのライトな作風に、ライトに美しいまさおくんがマッチして、とても観やすいモノになっている。
 主演の比重半端ナイとはいえ、他のキャラクタもカッコイイし、役がなくてもコロスの使い方がまたカッコよくてたのしいから、ふつーにみんな楽しく観られるだろう。

 そーなんだけど、実はわたし、物足りない(笑)。
 楽しいし面白いんだけど、わたしの本来の好みとチガウんだわ、藤井せんせ。
 前日欄で語った通り、藤井せんせの歪みのなさが、わたしの好みとははずれているの。

 作家に毒がないことはもうどーしよーもないんだが。

 とりあえず主演のまさおさん、キミ、もう少し色気が欲しいっす。

 ライトな作品で真ん中やらせると、ほんとにライトになるんだから(笑)。
 シャウトしまくって大忙しだから、てのは言い訳にならない。なんでそんなにまっすぐキラキラしているの。せっかくの「ハムレット」なんだから、毒があってもいいのよ。

 真ん中で生きることを選び、選ばれた人だから、白い持ち味なのは正しい。真ん中で毒だの歪みだのを多く持っていると、拒絶反応を示す観客が出てくる。

 だからって、そないに真っ白にシフトチェンジせんでも。

 まさおくんは、路線扱いされたのが遅かった。謎の85期トリオ売りのあおりをモロに受け、さらに下級生のみりおくんが抜擢されている横で、下の扱いに甘んじてきた。
 その、脇にいた時代の黒さ、立場に納得していない感じが毒々しくて愉快な持ち味だったんだが。
 いざ真ん中に立ち、上級生を追い越した立場になると、抑圧されていた自己愛が肯定にのみ向けられている感じになり、せっかくの毒々しい持ち味が薄れてきた。

「ねぇジャック…オレふだんなら…食える量だけを皿にとる…
 でも…餓えている時は…
 そんなに食いきれないとわかっていても、まだまだかきあつめ積みあげたくなるんだ」
 と、いつも同じ作品からの引用で恐縮だが、まさおくんの「真ん中に立つと白くなる」のはこの状態なのかなあ、と思ってみたり。
 『二人の貴公子』にしろルキーニにしろ、与えられたモノがうれしくて、自分のキャパを顧みずに広げている結果があのライトさのかなと。なまじ不遇だった時代があるだけに、「食べていいよ」と言われたら、食べきれないくらいお皿に積みあげちゃうのかな。
 で、『ラスト プレイ』みたいに抑える役になると、もともとの黒さがにじみ出てくるというか。

 抑圧のあるポジションの方が、エロいよな、まさきさん。
 発散すると、うるさい上に薄くなる(笑)。
 こまった持ち味だ。(というか、性格?)

 バウサイズのハコの空気を動かせることは、なんのキャリアもなかった『Young Bloods!! 』時でわかっていたので、プラスアルファを期待したんだが、今回わたしが観た回ではそこまでは至らなかった。
 その後の公演、またバウよりずっと大きなハコである青年館でどうなるのかはわからない。見届けたいが、びんぼーなので無理だし。ううう、まっつの25000円でバウ5回観られるし、大劇場だってB席で7回観られるのにー。

 ただ、技量が上がったことはわかった。
 よくあれだけ動いて、歌うもんだ。
 高いプライドに見合うだけの努力はしているんだろう。だからこそ余計に吠えちゃうのかなー。
 沈黙は金、少しは抑えてくれてもいいんだけどなー(笑)。

 この『HAMLET!!』が、まさおありきで存在していることは、よーっくわかる。

 わたしの好みの問題だな。
 ここまでまさおありき、ではなく、抑える演技をじっくりねっとりさせてやってほしかった、てのは。
 ……て、演出家がフジイくんって段階でまず無理なんだけど(笑)。

 とりあえず、色気希望。

 越リュウ様にエロを教えてもらって下さい(笑)。
 リュウ様のエロエロ具合は真ん中で白い光を発する人向きでないことはわかっているが、ここまでリュウ様と真正面からがっつり組む芝居もそうそうないだろうから。
 今がチャンス!!

 脚本がどんだけ真っ当で、演出がどんだけ健康的なカラーでも、「ハムレット」は毒上等、歪んでてイイと思うの。
 もっともっとコワレてイイと思うの。

 ハムレットのやってることって、ほんと傍迷惑なんだからさー、その迷惑さを極めたトンデモナイヤツにしちゃってよぉ。

 そんなハムレットに惚れてるホレーシオ@宇月くんが不憫になるくらい、ドSでいいんだからさ(笑)。
 そんなハムレットが愛したからこそ、オフィーリア@蘭ちゃんの哀れさが際立つんだからさ。

 いちばんエロいのがガートルード@まゆみ姐さんを責めるところだっつーのは、正しいんだけど、そこだけなのはつまんない。
 リュウ様相手でもホレーシオ相手でも、ローゼン@トウカさんたち相手でもエロ全開にしていいんだからさー。

 せっかくオフィーリアに膝枕をねだる場面があるのに、エロくないのはどーしたことだ(笑)。
 あそこは観客全員がオペラでガン見するべき箇所なのに。

 
 エロエロ言ってるのはわたしの偏った嗜好ゆえで、世の中的にまさおくんがライト風味なのは正しいことなんだと思います。
 作品自体がフジイくんのライト・ショーなんだし。

 まさおくんは確実に、一歩一歩真ん中修行しているわけだ。
 次作が大作『スカーレット・ピンパーネル』であり、難役ショーヴランだとわかっているだけに、楽しみっす。彼の歩みが。

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