わたし独自の感覚に、「ケロに似ている」というのがある。
 ケロというのはわたしの前のご贔屓で、歌はアレだがハスキーヴォイスがステキな、エロでかっこいい大人な男でございました。
 以来わたしは自分のなかでなにかしら響くものがあると「ケロに似ている」という計り方をする。それが本当にケロに似ているのかどうか、対外的に見てどうとかは関係ない。わたしもどこが似ているのか論理的な説明は出来ない。
 とにかくわたしひとりが勝手に、「ケロに似ている」といろーんなことに対して思っている。

 過去は美化されるものなので、思い出の中のケロはどんどん美化されて、自分でも手がつけられないレベルになっているとは思うが、ケロは文句無しにかっこいい男なのだ(笑)。

 でもって『紫子』

 丹波@そのか、かっこいい。

 風吹@もりえくんを監視する忍び、悪とも黒とも言い切れないダークさを持ち、戦国の世をひょうひょうとシニカルに泳ぐ大人の男。

 おおお、かっこいいなあ、そのか。いつものことだが、こういう役似合うなー。
 と、思っていた。

「今回そのかさん、ひさびさの二枚目役ですね!」

 と人から言われ、ひっかかった。
 言われたそのときは流していたけど、なんで?と思ったんだ。ひさびさってナニ? 大人のエロ男なんて、そのかの定番じゃん? 丹波役ってすごくそのかっぽい。
 なんの疑問もなく、そう思っていた。

 あとになってからだ。
 ひさびさってなんでそんなこと思うんだろう、と真面目に考えてみた。
 えーと、そのかが最近やっていた役って……。

 『ラスト プレイ』アホの子。
 『エリザベート』黒天使。
 『SAUDADE』ヘタレ三枚目。
 『夢の浮橋』ヘタレ三枚目。
 『ME AND MY GIRL』おちゃめなおじさま。
 『ME AND MY GIRL』ランベスキング。
 『HOLLYWOOD LOVER』ヘタレ三枚目。
 『マジシャンの憂鬱』ヘタレ三枚目。

 ……思い出すにつれて、眩暈がしてきた。
 なんだこりゃ。そのかってこんな役しかやってないの?!
 黒天使とランベスキングはダンス場面のみだから、また別だし。
 そのかってひょっとして、月組来てから純粋な二枚目役やってない? いやその、花組時代も純二枚目をやっていたかどうかは疑問だが……ええっと。

 こんな役、と書いたが、三枚目や個性的な役を軽んじるわけでなく、ジョン卿は2番手役だし不服があるワケじゃないが、それにしたって偏りすぎてないか?

 そのかはいつも「そのか」な役をやっている。演出家は彼に「そのかっぽい」役しか与えない。

 彼はダンサーで、ショーでいくらでも二枚目もエロ男も演じているので、芝居が三枚目しかなくても問題ないくらい、かっこいいところは堪能できている。
 にしても、「役」としてはこんなんばっかなのか、そのか。
 そりゃ丹波役で「ひさびさの二枚目役」と言われるわ。

 えーと。
 そんじゃ間違っていたのはわたし? わたしはなんだって「そのかの定番」「そのかが演じそうな役」だと思っていたの? 丹波ってそのかが演じそうどころか、はじめてやるような役じゃん?!

 はい。
 気づいたとき、愕然としました。

 わたしのなかで、記憶の混同が起こっている。

 わたし、そのかとケロを混同している?!
 丹波ってのはまさに、「ケロがやりそうな」役だ。ケロがいたらまちがいなくやってる。思い出は年を取らないので、当時の学年でケロがここにいたら、ね。

 そのかとケロは似ているが、似ていることに心がひりひりもしたが、今はもう冷静に眺めていられる。そのかはそのかとして愛でている、ケロは関係ない。
 『Heat on Beat!』ではちゃんとそのかをそのかとして「毒が足りないわー」とか言ってるわけだし。中日の感想を聞かれたら「そのか、かっけー!」と言っているし。
 そのかはそのか。間違えるはずがない。

 ただ、丹波という役に関して、すごく当たり前にナチュラルに「そのかの定番」だと思った……「そのかはいつもこのテのエロカッコイイ大人の男をやっている」と思い込んでいた……。ソレはそのかぢゃない、ケロだー。

 まあつまりそれくらい、そのかがかっこよかったってことなんですわ。

 ダーリンと混同しちゃうくらい、マジ二枚目だった、エロカッコよかった。

 風吹に対して友だちぶってみせるのも、それはクチだけでもなさそうだけど冷徹なプロゆえにいざとなったら友人殺すくらい平気でやりそうなところも、お香@ちゅーちゃんへの距離感も、やわらかな物腰と実際触れてみるとその固さと冷たさのギャップが垣間見えるところも。
 すげーかっこよかった。
 どきどきした。

 どさくさにまぎれて役目より自分の感情優先して、どさくさにまぎれてちゃっかり生き延びているところも、たまりません。

 ひさびさの二枚目とか、こんな役ができるんだ、とかではなく、知っていたの、そのかの本領がここにあることを。

 でなきゃケロに似ているとは思わない。素敵さを計る、好みを計る単位だもの、ケロは。いやその、わたしだけの。

 記憶の混同を必死に言い訳しているだけのよーな気もするが(笑)、混同していたという衝撃は、ほんとに衝撃ですよ。
 わたし、どんだけそのかをかっこいいと思ったんだ、と。
 どんだけ好みど真ん中だと思ったんだ、と。

 あああ、そのか、いい男だなー。好きだなー。
 なんでわたし、そのかじゃなかったんだろうなあ。そのかで見たいと思う役の方が、わたしの好みの役なんだわ。(現ご贔屓と比べて溜息をついているようですよ)

 丹波萌えだけでも十分たのしめます、この作品。
 丹波×風吹よりは、丹波×外記@マギーなところが、わたしの業の深さです……(笑)。

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