れおんオチしたら、どーしてくれるんだよおおおっ。

 タカラヅカ・レビュー・シネマ『太王四神記 Ver.II』見ました、見に行きましたとも。や、見るでしょそりゃ、第一弾の『ソロモンの指輪』がどんだけ楽しかったか知ってる人なら。

 でもってもお、タムドク@れおんくんがステキ過ぎるんですがっ。
 好み過ぎるんですがっ。
 終始ときめいて大変でした(笑)。

 はー……罪が深いわ、レビュー・シネマ。

【タカラヅカ レビュー シネマとは】

それは、宝塚歌劇〔TAKARAZUKA REVUE〕の華やかな舞台と、
映画的な演出〔CINEMA〕があざやかに融合した、幻想的な“映像美”にあふれるオリジナルな映像世界。
劇場でしか味わえなかった感動が、最新のデジタルシネマ技術を駆使して撮影・収録された高画質映像と臨場感溢れるサウンド、
そして情緒感あふれる人物描写とストーリー性が際立つ映像演出によって、新たな物語としてスクリーンの中によみがえります。

■脚本・演出:小池修一郎 ■映像演出:橋本直樹 ■映像制作プロダクション:ウィルコ ■配給:東宝映像事業部 ■映像製作・著作:宝塚クリエイティブアーツ
■チケット:当日¥2,500均一 ■上映時間:152分
■お問い合わせ/宝塚クリエイティブアーツ カスタマーセンター Tel.0797-83-6000(10:00~17:00水休)
                   以上公式より引用

  
 すべてがまるっと観客に差し出されている舞台とちがい、映画は他者の作為が入る。今回の場合は「映像演出:橋本直樹」氏の手腕になるのかな?

 どの人のどの表情をアップにし、ナニを切り捨てるか。ひとつの素材で別物語だって作成可能だ。

 だからこそ、おもしろい。
 いつも自分で好きなように見ている世界が、「視点」を持つこと。

 ヅカの公式DVDやスカステ放送には「視点」がない。アレは映画ではない。ただの記録映像だ。舞台をできるだけ忠実に撮影してあるだけ。
 所詮ヅカファンであるわたしは公式映像もジェンヌの顔が映っているというだけの理由で大好きだが、物語好きフィクション好きとしては、映画という「視点」のある映像は別腹で大好物だ。

 実験作っぽかった『ソロモンの指輪』とちがい、今回の『太王四神記 Ver.II』は本気で映画だ。
 ひとつの物語を、宝塚歌劇まんまをまるっとひとつの映像作品に再構築してある。
 「物語」をより明確に演出する。
 監督が「見せたい」と思うモノを見せることができる。

 それゆえに、プルキル@すずみんの場面はよりおどろおどろしく、ダークに悪役的に。
 ナナメになったフレーム、3D酔いしそうな揺れる画面。
 主人公であるタムドク@れおん、ヒロイン・キハ@ねねちゃん、ライバル役ヨン・ホゲ@かなめくんの表情を追い、彼らの心情を明確に打ち出す。
 ヒーロー物だからこそ、戦闘シーンはよりかっこよく効果を付けて。聖剣発動、蛍光灯光ります!のチュモ神剣の裏側を映さないよう苦労してみたり(笑)。

 たのしいなあ。しみじみ。

 反面、ミュージカルの魅力のひとつである「ダンス」は捨てにかかってる。
 群舞の格好良さを映すのは、映画的ではないんだね。
 戦闘シーンもだが、映すのは主役のみで全体に興味はない。全体がどれだけかっこいい動きをしているか、周囲で踊っている人たちが魅力的かは関係なく、真ん中のみに言及。音楽番組で歌い踊るミュージシャンと、そのバックダンサー的扱い。
 潔いわな。
 ホゲ軍の盾ダンスは戦闘シーン扱いだからまだかっこよく映していたけれど、アレもホゲ様しか興味のない画面構成だったしな。

 トップ周辺のポジションではない出演者たちを見たいとか、舞台ならではの群舞を見たいというならスカステや劇団発売DVDを見ていればいいと思うが、『太王四神記 Ver.II』という「物語」を楽しみたいのならこのレビュー・シネマを見る価値がある。
 
 「舞台中継」ではなく「映画」であること。
 そこにこだわった作りが気持ちいい。

 物語中、一度も拍手が入らないことに感心した。
 現代の音響技術って、こんなことができるんだ?
 ……まあその、すばらしい技術ゆえなのか、歌と画像が合ってない場面もちらほら。ナマのままぢゃあかんかったんかい、加工しすぎですよ、ねえ(笑)。

 そーやって物語に集中させ、舞台中継ではなく「映画」だと打ち立てたあとで。

 フィナーレになるなり、拍手が入る!
 この演出に膝を打った。うまい。

 タカラヅカの持つ、ファンタジー性。別世界へつれていってくれる特殊性。
 それを見事に表現しているなと。
 
 ヅカの特徴のひとつだよね、どんな物語が展開されていようと、いったん幕が下りれば何事もなかったかのよーに華やかなフィナーレがはじまる、てのは。
 どんな悲劇で涙涙に終わろうとも。主人公死んでいようとも。ソレはそれ、コレはこれ。悲劇も涙もこっちへ置いておいて、今は華やかに歌い踊る。敵も味方も悪人も善人も、びんぼー人も貴族も王様も、みんな同じようにキラキラ衣装で歌い踊る。
 はじめてヅカを見た人が腰を抜かす、アレ(笑)。
 余韻もナニもあったもんぢゃねええ! でもきれー! でもたのしー!

 物語パートと、フィナーレの断絶感。
 物語に集中していればいるほど、その直後からスタートするお気楽なショー・パートにアタマを殴られた気分になるはず。

 その両極端なモノを、平気で内包するのがタカラヅカ。
 初心者はまずびびる、他ではありえない「それは置いておいて」精神(笑)。
 これぞ異世界。これぞファンタジー。

 あの「タカラヅカ」特有のトンデモなさが、なんの解説もなく表現されている(笑)。

 そして、そのトンデモなさにずっぽり浸りきったわたしは、こうやって外側から客観的に差し出された「トンデモなさ」に膝を打つ。
 ああ、タカラヅカって素敵。タカラヅカって最高。

 
 改めて、「タカラヅカ」を見せてくれた。
 気づかせてくれた。
 タカラヅカって、面白いよ。すごいよ。

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