大劇場の真ん中で。@新人公演『虞美人』
2010年3月30日 タカラヅカ まさかの、幕前コント有り!!の、花組新人公演『虞美人』って……!!
いや、びっくりした。
2幕を1幕の短縮版に変更するにあたって、不要な場面を切って説明台詞を増やすのはありがちな手法だが、それにしても、1幕をほぼそのままやって2幕前半をカット、後半につなげるために韓信@ネコちゃんと桃娘@実咲ちゃんがコントをするなんて……新し過ぎるだろ、キムシン。
新公演出もキムシン自身でした。
『暁のローマ』を思い出した。きりやんとみっちゃんがコントしてたっけね……。
最初「これ、笑っていいとこ?」と微妙な空気が流れていた客席も、「ラヴシーンをしたがる韓信、それを軽くいなして解説を続ける桃娘」あたりから納得した模様、ハンカイ@ビックたち3人が「宴会だー!」と登場したときはふつーに笑っていた。
しかし、新公オリジナルで漫才なんて、なんつー難易度の高いことをさせるんだ。
鼻息の荒さに定評のあるネコちゃん(笑)だからやってくれるだろうけど、それにしてもすげえな。実咲ちゃんにしろまだ研1(もうすぐ研2)なのに、すげえや。
たった1回こっきりの新公、シリアス大芝居のはずなのに、途中でそんなふーに空気をぶった切るのは、どーゆーつもりなの、演出家?
しかしそーやって印象付けたせいか、韓信がやたらオイシイ役に思えた。
解説を続ける桃娘に「(ラヴシーンは)おあずけですか」、解説を追えて去ろうとする桃娘に「なにか忘れていませんか(ラヴシーンするんだってば)」と言ってくれるもんで、韓信が愉快キャラになっている!(笑)
そうか、そーゆー人なんだ。
つーことで、そのあと劉邦軍に合流するときも、韓信と桃娘が、空気読めないバカップルに見えてウケた。
義兄弟の契りに懸けて、項羽@鳳くんと劉邦@瀬戸くんは戦をやめてそれぞれ兵を引くことになった。追撃する絶好の機会だと張良@アーサーがたたみかける。
その緊迫した雰囲気の中、桃娘とラヴラヴしながら韓信が登場する。うわ、なにこいつら!(笑)
劉邦に項羽を後ろから討てと熱弁を振るう韓信がまた、やたらパッショネイトで。理を説いているというより、個性勝ちな愉快キャラが騒いでるみたいで。
うわー。ネコちゃんオイシイ。つか、おもしろい。
「名物男韓信」と歌われるに相応しい、爆走ぶりでした。
幕間漫才で観客から笑われて、スイッチ入った?
いっそ最初からこのキャラでやってくれればいいのに。1幕はふつーに二枚目やってたぞ? 股くぐりではかなりぴくぴくきてたみたいだけど。
韓信がマンガ的にキャラ立ちしまくってくれて、華やかでした。
本来の『虞美人』として正しいかどうかは置いておいて。
コントをやらせたキムシンがいちばん悪い(笑)。
さて、わたしの新公観劇のお目当ては、なんつっても張良@アーサー。
毎公演力を付けている伸び盛りな研6、90期。今回もまっつの役。アーサーも歌ウマかつ美声の持ち主、その上タッパがあり男役らしい資質に恵まれている。どんだけ素敵な軍師様かと、見る前からわくわく。
えーと。
張良って、いい役、だよね? 少なくとも、まっつが演じているのを見て、すごーくいい役だと思った。なのに。
あまり、アーサーに合っていない気がした。
というのもだ。
張良って、彼が真ん中でどーんっ!と発散する場面のない役なんだ。基本辛抱役というか、たしかに大役だしいい役なんだけど、役目的には裏方でありいぶし銀な役なんだ。
アーサー、鹿の布持って歌ってる本公演の方が、似合ってる……。
前回のベルナール@『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』は、すごかった。
センターに立ち、歌う。群舞を従えて、踊る。
あのときの輝きっぷりときたら!
「スターがいる!!」
と、心からわくわくしたもんなあ。
それと同じ発光を期待していたんだが、そーゆーのとはちがっていた。
張良役は、ふつーに地味だった。期待していたようなまばゆい光は感じられなかった。いやその、そーゆー役だし。
歌も、声の通りも、思っていたほどではなく……あの歌、難しかったんだね、アーサーでも手こずる歌なんだね。
もちろん手堅く巧いんだけど、今までの舞台で、今回の本公演で、どーんっと発光できる人だということを知ってしまっているだけに、その手堅くまとまった姿が残念だった。
そうかアーサーって真ん中向きの人なんだ……。
センターに立って発散していい役なら、輝度が増すんだ。
現に、本公演の居酒屋センターでは目立ってるじゃん。美声が響いてるじゃん。幕間や終演後に「あの鹿の人って誰?」とあちこちから聞こえてくるくらいに、注目を集める華があるじゃん。
張良だと、そこまで達しないというか、まったく趣がチガウというか。
役によって切り替えられるのは役者として正しいけれど、真ん中で輝けるのは才能だから、使わずにいるのはもったいないよ。
ついでに言うと、軍師オンリーな役割の人としては、ふつーに強そうだ。謀略よりも、剣握って戦場へ突進した方が話早くないか? って感じに見えた。
思い切り発散していい、「英雄」役のアーサーが見てみたいなあ。
いくらでも発光していいとなると、どこまで輝度を増すのか見てみたい。
……実際に真ん中でヒーローをやったら、2500人劇場を満たすほどは発光しないのかもしれないが、こればかりは実際見てみないとわかんないしなあ。機会があればいいな。
それと、コスプレ物でない新公を見てみたい、としみじみ思った(笑)。
若者たちがゴテゴテした飾りのついていないスーツなどをどう着こなすのか、いい加減見てみたいわ。
というのも、主役の鳳くんが大変そうでねえ。
や、初主演おめでとー!! 大役だがんばれ! なわけなんだが、それにしても、衣装が似合わなくてなあ。
あの首の飾りはなくすことはできないんだろうか。首と顎がなくなっちゃって顔の丸さが強調されて、気の毒だった。
もともとまるまる顔だけど、この間のバウにしろ今回の本公演にしろ、衣装はすっきり着こなしているのだから、本役さんの衣装をまんま着なくてはならない新公だからこそ気の毒なことになっているんだと思う。ホゲ@『太王四神記』のときも、ビジュアル王ゆーひくんと比べられて大変なことになっていたけど、まとぶさんでも大変なわけか……。
素直な持ち味でまっすぐ演じる項羽は、主人公らしい輝きがあった。
学年相応の力はあるんだと思う。別にヘタじゃないしなあ……でも、2500人劇場の真ん中に立つのは、それ以外のナニかが必要なんだよなあ。
人柄の優しさがちょっとした表情から伝わる。この項羽、いい子だ……と思う。最後まで少年ぽくて、英雄には見えないにしろ、誠実さと熱意があり、人柄ゆえに軍をまとめたのだと思えば……あれ? それって項羽じゃない??
ふつーにいい人を演じる鳳くんが見てみたいですな。いつも彼、黒い役ばっかで持ち味に合っていない気がする。(フェルゼンも黒い人認識ですとも・笑)
いや、びっくりした。
2幕を1幕の短縮版に変更するにあたって、不要な場面を切って説明台詞を増やすのはありがちな手法だが、それにしても、1幕をほぼそのままやって2幕前半をカット、後半につなげるために韓信@ネコちゃんと桃娘@実咲ちゃんがコントをするなんて……新し過ぎるだろ、キムシン。
新公演出もキムシン自身でした。
『暁のローマ』を思い出した。きりやんとみっちゃんがコントしてたっけね……。
最初「これ、笑っていいとこ?」と微妙な空気が流れていた客席も、「ラヴシーンをしたがる韓信、それを軽くいなして解説を続ける桃娘」あたりから納得した模様、ハンカイ@ビックたち3人が「宴会だー!」と登場したときはふつーに笑っていた。
しかし、新公オリジナルで漫才なんて、なんつー難易度の高いことをさせるんだ。
鼻息の荒さに定評のあるネコちゃん(笑)だからやってくれるだろうけど、それにしてもすげえな。実咲ちゃんにしろまだ研1(もうすぐ研2)なのに、すげえや。
たった1回こっきりの新公、シリアス大芝居のはずなのに、途中でそんなふーに空気をぶった切るのは、どーゆーつもりなの、演出家?
しかしそーやって印象付けたせいか、韓信がやたらオイシイ役に思えた。
解説を続ける桃娘に「(ラヴシーンは)おあずけですか」、解説を追えて去ろうとする桃娘に「なにか忘れていませんか(ラヴシーンするんだってば)」と言ってくれるもんで、韓信が愉快キャラになっている!(笑)
そうか、そーゆー人なんだ。
つーことで、そのあと劉邦軍に合流するときも、韓信と桃娘が、空気読めないバカップルに見えてウケた。
義兄弟の契りに懸けて、項羽@鳳くんと劉邦@瀬戸くんは戦をやめてそれぞれ兵を引くことになった。追撃する絶好の機会だと張良@アーサーがたたみかける。
その緊迫した雰囲気の中、桃娘とラヴラヴしながら韓信が登場する。うわ、なにこいつら!(笑)
劉邦に項羽を後ろから討てと熱弁を振るう韓信がまた、やたらパッショネイトで。理を説いているというより、個性勝ちな愉快キャラが騒いでるみたいで。
うわー。ネコちゃんオイシイ。つか、おもしろい。
「名物男韓信」と歌われるに相応しい、爆走ぶりでした。
幕間漫才で観客から笑われて、スイッチ入った?
いっそ最初からこのキャラでやってくれればいいのに。1幕はふつーに二枚目やってたぞ? 股くぐりではかなりぴくぴくきてたみたいだけど。
韓信がマンガ的にキャラ立ちしまくってくれて、華やかでした。
本来の『虞美人』として正しいかどうかは置いておいて。
コントをやらせたキムシンがいちばん悪い(笑)。
さて、わたしの新公観劇のお目当ては、なんつっても張良@アーサー。
毎公演力を付けている伸び盛りな研6、90期。今回もまっつの役。アーサーも歌ウマかつ美声の持ち主、その上タッパがあり男役らしい資質に恵まれている。どんだけ素敵な軍師様かと、見る前からわくわく。
えーと。
張良って、いい役、だよね? 少なくとも、まっつが演じているのを見て、すごーくいい役だと思った。なのに。
あまり、アーサーに合っていない気がした。
というのもだ。
張良って、彼が真ん中でどーんっ!と発散する場面のない役なんだ。基本辛抱役というか、たしかに大役だしいい役なんだけど、役目的には裏方でありいぶし銀な役なんだ。
アーサー、鹿の布持って歌ってる本公演の方が、似合ってる……。
前回のベルナール@『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』は、すごかった。
センターに立ち、歌う。群舞を従えて、踊る。
あのときの輝きっぷりときたら!
「スターがいる!!」
と、心からわくわくしたもんなあ。
それと同じ発光を期待していたんだが、そーゆーのとはちがっていた。
張良役は、ふつーに地味だった。期待していたようなまばゆい光は感じられなかった。いやその、そーゆー役だし。
歌も、声の通りも、思っていたほどではなく……あの歌、難しかったんだね、アーサーでも手こずる歌なんだね。
もちろん手堅く巧いんだけど、今までの舞台で、今回の本公演で、どーんっと発光できる人だということを知ってしまっているだけに、その手堅くまとまった姿が残念だった。
そうかアーサーって真ん中向きの人なんだ……。
センターに立って発散していい役なら、輝度が増すんだ。
現に、本公演の居酒屋センターでは目立ってるじゃん。美声が響いてるじゃん。幕間や終演後に「あの鹿の人って誰?」とあちこちから聞こえてくるくらいに、注目を集める華があるじゃん。
張良だと、そこまで達しないというか、まったく趣がチガウというか。
役によって切り替えられるのは役者として正しいけれど、真ん中で輝けるのは才能だから、使わずにいるのはもったいないよ。
ついでに言うと、軍師オンリーな役割の人としては、ふつーに強そうだ。謀略よりも、剣握って戦場へ突進した方が話早くないか? って感じに見えた。
思い切り発散していい、「英雄」役のアーサーが見てみたいなあ。
いくらでも発光していいとなると、どこまで輝度を増すのか見てみたい。
……実際に真ん中でヒーローをやったら、2500人劇場を満たすほどは発光しないのかもしれないが、こればかりは実際見てみないとわかんないしなあ。機会があればいいな。
それと、コスプレ物でない新公を見てみたい、としみじみ思った(笑)。
若者たちがゴテゴテした飾りのついていないスーツなどをどう着こなすのか、いい加減見てみたいわ。
というのも、主役の鳳くんが大変そうでねえ。
や、初主演おめでとー!! 大役だがんばれ! なわけなんだが、それにしても、衣装が似合わなくてなあ。
あの首の飾りはなくすことはできないんだろうか。首と顎がなくなっちゃって顔の丸さが強調されて、気の毒だった。
もともとまるまる顔だけど、この間のバウにしろ今回の本公演にしろ、衣装はすっきり着こなしているのだから、本役さんの衣装をまんま着なくてはならない新公だからこそ気の毒なことになっているんだと思う。ホゲ@『太王四神記』のときも、ビジュアル王ゆーひくんと比べられて大変なことになっていたけど、まとぶさんでも大変なわけか……。
素直な持ち味でまっすぐ演じる項羽は、主人公らしい輝きがあった。
学年相応の力はあるんだと思う。別にヘタじゃないしなあ……でも、2500人劇場の真ん中に立つのは、それ以外のナニかが必要なんだよなあ。
人柄の優しさがちょっとした表情から伝わる。この項羽、いい子だ……と思う。最後まで少年ぽくて、英雄には見えないにしろ、誠実さと熱意があり、人柄ゆえに軍をまとめたのだと思えば……あれ? それって項羽じゃない??
ふつーにいい人を演じる鳳くんが見てみたいですな。いつも彼、黒い役ばっかで持ち味に合っていない気がする。(フェルゼンも黒い人認識ですとも・笑)
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