彼のくちびるが触れた指。@虞美人
2010年4月8日 タカラヅカ キムシン作『虞美人』の、項羽@まとぶんを好きだ、という話、対劉邦@壮くん編。
この物語が泣けるのは、項羽があまりにかなしいから。
力任せに爆走する、高潔な英雄。正しいからこそ、俗人たちから煙たがられた美しい人。
それがまあ、まとぶさんの抜きどころのない怒鳴り芝居との相乗効果で、わたしのツボに入りまくる。
項羽は、正しい人。
みんなが空気を読んで黙っているところでも、大きな声で間違いを指摘する。や、ソレを言っちゃオシマイだから! みんなわかってて黙ってるのに、なんで言っちゃうかな、追求しちゃうかな。
絶対リアル界で敬遠される、そんな人。
羽根を持って生まれたがゆえに、卑小なる凡人のキモチがわからない。人は嘘をつき、人は裏切る。高潔な彼はそれが許せない。彼のようにまっすぐに生きられないことを、責め続ける。
自分がどれだけ特異か顧みもせず、自分に届かないモノは見下し、切り捨て、そのくせ、自分と同じ次元で生きるモノを探している。
劉邦なんかを愛して、バカな人。
はい、項羽のかなしさは、劉邦への片想いにあります、わたし的に!(笑)
ひとりぼっちの項羽は、探していたんだね。自分と並び立てる人。自分を孤独から救ってくれる人。
劉邦がその運命の相手かもしれないと思い、舞い上がり、義兄弟の契りをかわす。他人がどれだけ忠告しようとおかまいなしに、劉邦を信じよう、許そうとする。
いつもいつも、愛情は劉邦へ。
劉邦はぜんっぜん項羽のこと愛してないのに(笑)、誰からも愛される劉邦は、項羽からもちゃっかり愛された。
項羽の、劉邦へのラヴアピールっぷりったら。
そして、その報われなさときたら(笑)。
一目惚れってのは、タチが悪いよなあ。
項羽はほんとのとこ、劉邦がどんな男かなんか知らないまま、恋に落ちてるんだよね。や、腐った意味ではなく、腐った意味でも別にイイが、惚れ込んでるの。
「どこかにわたしのことをほんっとーに理解してくれる、白馬に乗った王子様がいるの」
と夢見ている少女の前に、「無理をしなくていいんだよ、ほんとうのキミは寂しがり屋さんだね」と白い歯をきらっとさせてえりたんが現れたら、そりゃ「待っていたわたしの運命の人!」と思っても仕方ないよな、てな感じで。
ずっとずっと、探していた。
この世界で、自分を理解してくれる人。理想を共有し、背中を合わせて戦ってくれる人。
虞美人@彩音ちゃんという女はいるけれど、女ひとりいりゃいいってもんじゃないじゃん? 男にとって仕事は人生そのもの、そっちでパートナーが欲しいと思っても不思議じゃない。
愛したい。信じたい。尊敬したい。切磋琢磨して、成長したい。
その想いが、渇望が、項羽を誤らせた。
劉邦を、龍だと思ったんだ。
自分と同じ、翼を持った龍だと。
劉邦は、項羽の求める器じゃなかった。
天から翼を与えられた高潔な人物ではなかった。弱さとずるさを持つ、ふつーに優秀な人間だった。
項羽は劉邦を愛したかったんだ。愛したいから、愛したんだ。
劉邦に、自分が求めたマボロシを重ねて見ていた。真の劉邦がどんな男か、知ろうともせずに。
項羽は愛情までも、苛烈だ。
項羽が劉邦に求めた愛は、俗人には敷居が高すぎる。とことん俗人だった劉邦には、無理な話。項羽の愛に応えられるのは、虞姫ぐらいのもんだ。
おかげで劉邦、ボロボロに傷つくハメに。
歴史の中で勝利したのは劉邦だけど、項羽の愛を裏切ったことで、ハァトはズタボロだもんよ。
恋に恋して勝手に失望して絶望して恨み節の女子高生くらい、トンデモないぞ、項羽。
純粋すぎるセブンティーン@まとぶに恋された、既婚リーマン@えりたんの悲劇っつーか。
リーマンは大人だから! 家庭も仕事もあるから! 女子高生理論で純愛しろっつわれても困るから!
……とか、そんな感じで萌えてます(笑)。
冗談はさておき、項羽と劉邦の温度差、見ている現実の違い。それらは実にイイですな。
項羽のかなしさがイイ。
裏切られて裏切られて、彼には虞姫しかない。
なのにその虞姫だって、最後に項羽を裏切るし。項羽を残して、自分だけ死ぬし。
四面楚歌の場面で、劉邦に対してどうこうはまったく言わなくても、項羽が見つめているのは、劉邦がくちづけた指。
もう、裏切りを怒ったり責めたりする段階は越え、ただただ寂寥がつのる。
講和ののち、背後を突かれたときはきっと、怒り狂ったんだろうなあ。
狛犬に乗って吠えてたときのよーに、ストレートに怒りを表したんだろう。
さぞや美しかったろう。
項羽は、怒っているときが、とてつもなく美しい。
それは彼の生き方そのものだから。
いつもいつも、なにかしらに憤って。
汚れた人々は、世界は、なにかしら彼を傷つけるから。
「怒る」ことが、彼の魂のまっすぐさを表している。
斜に構えたり、平気な振りをしたりしない。
ふつーの人は、そうそう怒らないよね。周囲の空気読んで顔色見て、誤魔化すじゃん? なんでもない振りして。感情を顕わにするのは、格好悪いから。
でも項羽は、傷ついた、と素直に表す。
子どものように。
そして項羽は、最後に劉邦への言葉を残すんだね。
愛を受け入れてくれなかった相手へ、言葉を残す。想いを残す。
壮絶に。
誰か、項羽を救えるモノはいなかったのか、と思う。
虞姫はもちろん彼の救いだったけれど、彼女ひとりでは、武人としての、男としての項羽まで救い切れてなかったと思うのね。だから彼は破滅したし。
英雄は並び立たないってゆーけどさ、劉邦がそばにいたら良かったのかなあ。
愛情は距離と比例する。近しいモノにこそ情は湧き、遠く離れると冷める。心理学的事実。
一緒に暮らして、痴話喧嘩する項羽と劉邦も見てみたかったな。(ケンカ前提? や、絶対ケンカする、あいつら)
惚れた方の負けだから、一緒にいれば項羽が折れたと思うんだ。や、劉邦が先にしれっと謝ると思うけど、それを許すかどうかは項羽側の問題で、他の人相手なら絶対折れない、許さない項羽が、劉邦相手だとほだされてしまうという、愉快な図が見られたんではないかと。
どこでもドアがあったなら、四面楚歌場面へ劉邦突き飛ばしてドア閉めるのに。
劉邦は絶対、項羽の足元にひれ伏して、泣いて許しを請うと思うなっ。
虞姫の血を吸った太刀を振りかざし、だけど振り下ろすことができず、わなわな震える項羽が見たい。
結論。まとぶさんは、Mでこそ萌える。……えっ、そんな結論?!
この物語が泣けるのは、項羽があまりにかなしいから。
力任せに爆走する、高潔な英雄。正しいからこそ、俗人たちから煙たがられた美しい人。
それがまあ、まとぶさんの抜きどころのない怒鳴り芝居との相乗効果で、わたしのツボに入りまくる。
項羽は、正しい人。
みんなが空気を読んで黙っているところでも、大きな声で間違いを指摘する。や、ソレを言っちゃオシマイだから! みんなわかってて黙ってるのに、なんで言っちゃうかな、追求しちゃうかな。
絶対リアル界で敬遠される、そんな人。
羽根を持って生まれたがゆえに、卑小なる凡人のキモチがわからない。人は嘘をつき、人は裏切る。高潔な彼はそれが許せない。彼のようにまっすぐに生きられないことを、責め続ける。
自分がどれだけ特異か顧みもせず、自分に届かないモノは見下し、切り捨て、そのくせ、自分と同じ次元で生きるモノを探している。
劉邦なんかを愛して、バカな人。
はい、項羽のかなしさは、劉邦への片想いにあります、わたし的に!(笑)
ひとりぼっちの項羽は、探していたんだね。自分と並び立てる人。自分を孤独から救ってくれる人。
劉邦がその運命の相手かもしれないと思い、舞い上がり、義兄弟の契りをかわす。他人がどれだけ忠告しようとおかまいなしに、劉邦を信じよう、許そうとする。
いつもいつも、愛情は劉邦へ。
劉邦はぜんっぜん項羽のこと愛してないのに(笑)、誰からも愛される劉邦は、項羽からもちゃっかり愛された。
項羽の、劉邦へのラヴアピールっぷりったら。
そして、その報われなさときたら(笑)。
一目惚れってのは、タチが悪いよなあ。
項羽はほんとのとこ、劉邦がどんな男かなんか知らないまま、恋に落ちてるんだよね。や、腐った意味ではなく、腐った意味でも別にイイが、惚れ込んでるの。
「どこかにわたしのことをほんっとーに理解してくれる、白馬に乗った王子様がいるの」
と夢見ている少女の前に、「無理をしなくていいんだよ、ほんとうのキミは寂しがり屋さんだね」と白い歯をきらっとさせてえりたんが現れたら、そりゃ「待っていたわたしの運命の人!」と思っても仕方ないよな、てな感じで。
ずっとずっと、探していた。
この世界で、自分を理解してくれる人。理想を共有し、背中を合わせて戦ってくれる人。
虞美人@彩音ちゃんという女はいるけれど、女ひとりいりゃいいってもんじゃないじゃん? 男にとって仕事は人生そのもの、そっちでパートナーが欲しいと思っても不思議じゃない。
愛したい。信じたい。尊敬したい。切磋琢磨して、成長したい。
その想いが、渇望が、項羽を誤らせた。
劉邦を、龍だと思ったんだ。
自分と同じ、翼を持った龍だと。
劉邦は、項羽の求める器じゃなかった。
天から翼を与えられた高潔な人物ではなかった。弱さとずるさを持つ、ふつーに優秀な人間だった。
項羽は劉邦を愛したかったんだ。愛したいから、愛したんだ。
劉邦に、自分が求めたマボロシを重ねて見ていた。真の劉邦がどんな男か、知ろうともせずに。
項羽は愛情までも、苛烈だ。
項羽が劉邦に求めた愛は、俗人には敷居が高すぎる。とことん俗人だった劉邦には、無理な話。項羽の愛に応えられるのは、虞姫ぐらいのもんだ。
おかげで劉邦、ボロボロに傷つくハメに。
歴史の中で勝利したのは劉邦だけど、項羽の愛を裏切ったことで、ハァトはズタボロだもんよ。
恋に恋して勝手に失望して絶望して恨み節の女子高生くらい、トンデモないぞ、項羽。
純粋すぎるセブンティーン@まとぶに恋された、既婚リーマン@えりたんの悲劇っつーか。
リーマンは大人だから! 家庭も仕事もあるから! 女子高生理論で純愛しろっつわれても困るから!
……とか、そんな感じで萌えてます(笑)。
冗談はさておき、項羽と劉邦の温度差、見ている現実の違い。それらは実にイイですな。
項羽のかなしさがイイ。
裏切られて裏切られて、彼には虞姫しかない。
なのにその虞姫だって、最後に項羽を裏切るし。項羽を残して、自分だけ死ぬし。
四面楚歌の場面で、劉邦に対してどうこうはまったく言わなくても、項羽が見つめているのは、劉邦がくちづけた指。
もう、裏切りを怒ったり責めたりする段階は越え、ただただ寂寥がつのる。
講和ののち、背後を突かれたときはきっと、怒り狂ったんだろうなあ。
狛犬に乗って吠えてたときのよーに、ストレートに怒りを表したんだろう。
さぞや美しかったろう。
項羽は、怒っているときが、とてつもなく美しい。
それは彼の生き方そのものだから。
いつもいつも、なにかしらに憤って。
汚れた人々は、世界は、なにかしら彼を傷つけるから。
「怒る」ことが、彼の魂のまっすぐさを表している。
斜に構えたり、平気な振りをしたりしない。
ふつーの人は、そうそう怒らないよね。周囲の空気読んで顔色見て、誤魔化すじゃん? なんでもない振りして。感情を顕わにするのは、格好悪いから。
でも項羽は、傷ついた、と素直に表す。
子どものように。
そして項羽は、最後に劉邦への言葉を残すんだね。
愛を受け入れてくれなかった相手へ、言葉を残す。想いを残す。
壮絶に。
誰か、項羽を救えるモノはいなかったのか、と思う。
虞姫はもちろん彼の救いだったけれど、彼女ひとりでは、武人としての、男としての項羽まで救い切れてなかったと思うのね。だから彼は破滅したし。
英雄は並び立たないってゆーけどさ、劉邦がそばにいたら良かったのかなあ。
愛情は距離と比例する。近しいモノにこそ情は湧き、遠く離れると冷める。心理学的事実。
一緒に暮らして、痴話喧嘩する項羽と劉邦も見てみたかったな。(ケンカ前提? や、絶対ケンカする、あいつら)
惚れた方の負けだから、一緒にいれば項羽が折れたと思うんだ。や、劉邦が先にしれっと謝ると思うけど、それを許すかどうかは項羽側の問題で、他の人相手なら絶対折れない、許さない項羽が、劉邦相手だとほだされてしまうという、愉快な図が見られたんではないかと。
どこでもドアがあったなら、四面楚歌場面へ劉邦突き飛ばしてドア閉めるのに。
劉邦は絶対、項羽の足元にひれ伏して、泣いて許しを請うと思うなっ。
虞姫の血を吸った太刀を振りかざし、だけど振り下ろすことができず、わなわな震える項羽が見たい。
結論。まとぶさんは、Mでこそ萌える。……えっ、そんな結論?!
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