失った翼は、あなたの血であがなう。@虞美人
2010年4月28日 タカラヅカ 劉邦@壮くんにとっての戚@れみちゃんってナニか。
……まだ続いています、『虞美人』、劉邦の病みっぷり語り(笑)。
「誰からも愛されていない」……そう気づいて泣く劉邦は、絶望の中で項羽@まとぶんを思う。わざわざ項羽の名前を出しているから、ほんとに「愛」ときて項羽なんだなこれが。
項羽には、虞美人@彩音ちゃんがいる。
項羽は虞を愛し、虞もまた項羽を愛している。
命も意味も知らず、小鳥の羽をもいで遊んでいた劉邦は、項羽によって命を知った。
ちやほやするばかりで劉邦の心なんて顧みもしない人々の中、本気で劉邦に対して怒り、叱りとばしてくれた項羽。
劉邦にとって、項羽だけがこの現実でリアルなものとして、存在した。
その項羽が愛している、虞美人。
項羽にあって、自分にないモノ、それが虞美人。
生まれたばかりで空っぽの劉邦が項羽になるためには、項羽が持っているモノが、劉邦にも必要だ。
それが、虞美人。
心から愛する、女性。
その事実に気づいた劉邦の前に、戚が現れた。
心優しい、美しい娘。
Boy Meets Girl.これぞ運命。
空っぽの劉邦は、全霊で戚を求めた。愛した。
彼が、人間になるために。「項羽」になるために。
さて、ここにもうひとり、愉快な人がいる。
軍師・張良@まっつ。
劉邦を利用する人々のひとり。
劉邦が変わると同時に、張良も変わっているんだ。
劉邦が子どもの無邪気さで楽しそうに裏切りと戦争にあけくれているときはそれなりにやわらかい態度で接していたが、いざ生身の人間として生まれ直した途端、態度が豹変している。
「覇王に勝ちたいか」
と豪華で渋い金色のお衣装に着替え、髪に金冠まで付けて再登場する張良先生は、とても傲慢かつ威圧的。
手段を選ばずに勝つ、カラダの傷よりも痛い、心の傷も増える……そうわざわざ忠告する。
あのー、今までもさんざん酷いことばっかやって来てますよね、あなたたち。
「戦わず、脅して勝つ!」とか、端で聞いていて「ヲイ、それってどうよ?!」なことを、とっても陽気に気軽にやってきましたよね、張良先生と劉邦さん。
今までも十分酷いのに、今さら「これから酷いことするよ、心が痛むよ」と言われても……。
張良先生はやっぱ、わかってるんだろうなあ。
劉邦という人間を。
無知な子どもだったために、どんな残酷なことも笑って行うことができた。それが、ついに大人になってしまった、自分の行いの意味も責任も理解している、理解できるようになってしまった……という、劉邦の変化を。
だからこそ、「大人」の劉邦に対しての言葉なんだ。「手を、心を汚す覚悟はあるのか」という。
劉邦が子どものままの方が、張良には都合が良かったんだろうな。利用する分にも、かわいがる分にも。
張良先生も、彼なりに劉邦のことは好きだったと思うので。
ちょっと目を離した隙に調子こいて大敗して、しかもいらん知恵ついて大人になってるんだもん、先生もショックだったろう(笑)。
劉邦の最大の才能は、他人の痛みを理解しない、子どもゆえの無知と無邪気さ。天使であるがゆえの、恐いモノ知らずの大らかさ。
なのに、知恵がついて常識とか限界とか知っちゃったら、困る。大人は、やる前にそれが自分に出来るかどうか考えちゃうからね。子どもみたいに考える前に飛び出したりしない。
それで作戦変更、今までみたいにライバルの范増先生@はっちさんと頭脳戦やってる場合じゃない、ってことで、范増先生を排除する作戦に出る。(そのことで張良自身が傷つき、その後心を閉ざすことになるわけだな)
心が病んでいる、コワレている劉邦は、項羽のおかげで「人間」になった。まともな心を取り戻した。
だからこそ、項羽と戦い、滅ぼすしかなかった。
優れているのは項羽だけど、どんな手を使っても、劉邦が勝たなければならなかった。そうでなければ、劉邦は生きていけない。
生まれてしまった以上、殻を破って世界へ出なければならない。
劉邦の誰も愛していない病みっぷりが愉快だった。それが、誰からも愛されていない、自分は無知な子どもだったと気づいたあとの、コンプレックスまみれの「人間」っぷりがすごい。
「私も龍」と「東へ」と、きらきら野望ソングを歌っていた人とは思えない、引っかかり。
挫折専科の壮くんらしく(笑)、翼を持たない、天使ではない、ただの「人間」としての苦悩。
天下を治め、天子となったあとも。
死の間際まで。
劉邦は己れの現実と戦うことになる。
あんなに無邪気に、きらきらしていたのにね。
劉邦が生まれ直す……羽を失い、ただの人間となった直接の原因が、項羽。
劉邦がただひとり愛した相手。
劉邦は誰も愛していなかったと思う。ついでに、誰も憎んでなかったと思う。愛と憎の人・項羽とは対照的に。
項羽は虞姫を愛し、また劉邦に一目惚れし(笑)、愛情深い分憎しみも深く激しい人だった。
項羽の劉邦への爆裂片想いはとても愉快で、切ないものだった。劉邦が人間の気持ちなんかまったく理解しない、そーゆー次元に生きていない分、さらに。
そんな劉邦が、項羽に現実を突きつけられてから、ふつーに人間として生まれ直して。わたしたちと同じ次元に羽を失って堕ちてきて。
そのあとはいろいろ愛も憎もあったと思うよ。彼はただの人間になったのだから。
その上での、物語冒頭の臨終場面なんだと思う。
だからこそ、死の間際まで思い続けた、死の瞬間思い起こす相手だったんだ。
劉邦にとっての、項羽。
項羽がどれほど虞美人を愛していたか、彼女を必要としていたか知っていたから、項羽と虞姫が再会する場面を夢に見る。
それこそが、劉邦の……罪にまみれた劉邦の、贖罪……魂が救われる場面なんだ。
項羽と劉邦。加えて、張良。
この3人の愛憎関係、ハンパねぇと思います(笑)。じっくりねっとり、長編愛憎小説書きたいくらいっす(笑)。
……まだ続いています、『虞美人』、劉邦の病みっぷり語り(笑)。
「誰からも愛されていない」……そう気づいて泣く劉邦は、絶望の中で項羽@まとぶんを思う。わざわざ項羽の名前を出しているから、ほんとに「愛」ときて項羽なんだなこれが。
項羽には、虞美人@彩音ちゃんがいる。
項羽は虞を愛し、虞もまた項羽を愛している。
命も意味も知らず、小鳥の羽をもいで遊んでいた劉邦は、項羽によって命を知った。
ちやほやするばかりで劉邦の心なんて顧みもしない人々の中、本気で劉邦に対して怒り、叱りとばしてくれた項羽。
劉邦にとって、項羽だけがこの現実でリアルなものとして、存在した。
その項羽が愛している、虞美人。
項羽にあって、自分にないモノ、それが虞美人。
生まれたばかりで空っぽの劉邦が項羽になるためには、項羽が持っているモノが、劉邦にも必要だ。
それが、虞美人。
心から愛する、女性。
その事実に気づいた劉邦の前に、戚が現れた。
心優しい、美しい娘。
Boy Meets Girl.これぞ運命。
空っぽの劉邦は、全霊で戚を求めた。愛した。
彼が、人間になるために。「項羽」になるために。
さて、ここにもうひとり、愉快な人がいる。
軍師・張良@まっつ。
劉邦を利用する人々のひとり。
劉邦が変わると同時に、張良も変わっているんだ。
劉邦が子どもの無邪気さで楽しそうに裏切りと戦争にあけくれているときはそれなりにやわらかい態度で接していたが、いざ生身の人間として生まれ直した途端、態度が豹変している。
「覇王に勝ちたいか」
と豪華で渋い金色のお衣装に着替え、髪に金冠まで付けて再登場する張良先生は、とても傲慢かつ威圧的。
手段を選ばずに勝つ、カラダの傷よりも痛い、心の傷も増える……そうわざわざ忠告する。
あのー、今までもさんざん酷いことばっかやって来てますよね、あなたたち。
「戦わず、脅して勝つ!」とか、端で聞いていて「ヲイ、それってどうよ?!」なことを、とっても陽気に気軽にやってきましたよね、張良先生と劉邦さん。
今までも十分酷いのに、今さら「これから酷いことするよ、心が痛むよ」と言われても……。
張良先生はやっぱ、わかってるんだろうなあ。
劉邦という人間を。
無知な子どもだったために、どんな残酷なことも笑って行うことができた。それが、ついに大人になってしまった、自分の行いの意味も責任も理解している、理解できるようになってしまった……という、劉邦の変化を。
だからこそ、「大人」の劉邦に対しての言葉なんだ。「手を、心を汚す覚悟はあるのか」という。
劉邦が子どものままの方が、張良には都合が良かったんだろうな。利用する分にも、かわいがる分にも。
張良先生も、彼なりに劉邦のことは好きだったと思うので。
ちょっと目を離した隙に調子こいて大敗して、しかもいらん知恵ついて大人になってるんだもん、先生もショックだったろう(笑)。
劉邦の最大の才能は、他人の痛みを理解しない、子どもゆえの無知と無邪気さ。天使であるがゆえの、恐いモノ知らずの大らかさ。
なのに、知恵がついて常識とか限界とか知っちゃったら、困る。大人は、やる前にそれが自分に出来るかどうか考えちゃうからね。子どもみたいに考える前に飛び出したりしない。
それで作戦変更、今までみたいにライバルの范増先生@はっちさんと頭脳戦やってる場合じゃない、ってことで、范増先生を排除する作戦に出る。(そのことで張良自身が傷つき、その後心を閉ざすことになるわけだな)
心が病んでいる、コワレている劉邦は、項羽のおかげで「人間」になった。まともな心を取り戻した。
だからこそ、項羽と戦い、滅ぼすしかなかった。
優れているのは項羽だけど、どんな手を使っても、劉邦が勝たなければならなかった。そうでなければ、劉邦は生きていけない。
生まれてしまった以上、殻を破って世界へ出なければならない。
劉邦の誰も愛していない病みっぷりが愉快だった。それが、誰からも愛されていない、自分は無知な子どもだったと気づいたあとの、コンプレックスまみれの「人間」っぷりがすごい。
「私も龍」と「東へ」と、きらきら野望ソングを歌っていた人とは思えない、引っかかり。
挫折専科の壮くんらしく(笑)、翼を持たない、天使ではない、ただの「人間」としての苦悩。
天下を治め、天子となったあとも。
死の間際まで。
劉邦は己れの現実と戦うことになる。
あんなに無邪気に、きらきらしていたのにね。
劉邦が生まれ直す……羽を失い、ただの人間となった直接の原因が、項羽。
劉邦がただひとり愛した相手。
劉邦は誰も愛していなかったと思う。ついでに、誰も憎んでなかったと思う。愛と憎の人・項羽とは対照的に。
項羽は虞姫を愛し、また劉邦に一目惚れし(笑)、愛情深い分憎しみも深く激しい人だった。
項羽の劉邦への爆裂片想いはとても愉快で、切ないものだった。劉邦が人間の気持ちなんかまったく理解しない、そーゆー次元に生きていない分、さらに。
そんな劉邦が、項羽に現実を突きつけられてから、ふつーに人間として生まれ直して。わたしたちと同じ次元に羽を失って堕ちてきて。
そのあとはいろいろ愛も憎もあったと思うよ。彼はただの人間になったのだから。
その上での、物語冒頭の臨終場面なんだと思う。
だからこそ、死の間際まで思い続けた、死の瞬間思い起こす相手だったんだ。
劉邦にとっての、項羽。
項羽がどれほど虞美人を愛していたか、彼女を必要としていたか知っていたから、項羽と虞姫が再会する場面を夢に見る。
それこそが、劉邦の……罪にまみれた劉邦の、贖罪……魂が救われる場面なんだ。
項羽と劉邦。加えて、張良。
この3人の愛憎関係、ハンパねぇと思います(笑)。じっくりねっとり、長編愛憎小説書きたいくらいっす(笑)。
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