軍師は語る、「言うだけならたやすい」。@虞美人
2010年4月29日 タカラヅカ 我らが張良様@まっつの偉業は数しれない。
しかし、彼の最大の功績は。
項羽の最期の言葉を意訳したことぢゃね?(笑)
「それで、覇王の最期の言葉は?」(無表情)
「いや、それがその……『漢王に伝えて欲しい。♪誰もナニも信じられないこの世界だからこそ…』」(朗々と歌い出すふみか武将)
「…………」(無表情)
「そこで遠い目をして、『虞よ、待たせたな。アナタと共に』で、また歌って『シアワセに生ーきーたーとぉお♪』」(朗々と歌う)
「…………」(無表情)
「えーと。どうしましょうか。虞って、虞美人のことですよね? 漢王に伝えるんですか? 『私は虞と共にシアワセに生きました』って」
「…………」(無表情、あ、でもなんか、こめかみに筋が)
「てゆーかなんで最期にわざわざのろけを? 死の淵で伝えなければならないよーなことだったんですか? ……はっ。まさかコレは、痴話喧嘩?! 女が自分を捨てた男に対し、『アタシはアンタ以外の恋人とシアワセに生きたんだからねっ。別にアンタのせいで自殺するんじゃないんだからねっ。あーアタシはシアワセだったわ!!』」(声色を使うふみか)
「…………」(無表情、でも、こめかみに筋が……)
「痴話喧嘩じゃないとしたら、意識錯乱? 漢王に伝えよって言いながら、もう自分がナニ言ってるのかわかってない? たしかにお花畑な感じにイッちゃってて……うわ、こりゃダメだ、みたいな」
「…………」(無表情。でも、たしかにこめかみに筋がっ)
「どうします、他ならぬ覇王じきじきの、最期の言葉ですから、そのまま伝えないといけないんでしょうか……」
「…………今後、覇王の最期に関しては、一切他言せぬように」(無表情。力強く、無表情っ)
「覇王の最期の言葉が届いております。いわく、
『武人として、シアワセに生きた』
と!!(意訳!!)」
劉邦、感激! ザッツ美談!! 超訳っつか、ほとんど捏造の域っ!! さすが空気を読める男、張良グッジョブ!!(笑)
最後に張良の美声が響くのがたまりません。そうだよな、ここは是非にまっつの声だよな。「あなたこそ、チュシンの王!」だよな(笑)。
いやあ、項羽の最期の言葉をそのまま伝えたら、みなさんぽかーんになるよなあ。それをいいよーに意訳して場を盛り上げた張良先生はほんとに優秀な軍師だと思いまっつ。
張良はそうやって脚本を書いてるんだよね。「覇王は暗殺されるべきではない」とか言って、自分のイメージする通りに歴史を動かしていく。
実は、ロマンチストなんじゃね?
歴史に……人間の生き方に、ロマンを求めている。美しさや、清冽さを求めている。
それを叶えるために、人の情を捨てたり、自分の感情すら踏みにじったりする。……本末転倒している気がしないでもないが、そーゆーままならないところを持つのが、この天才軍師の魅力なんだろう。
誰よりも夢見がちだからこそ、リアリストである、みたいな。
誰よりも情深いからこそ、冷酷である、みたいな。
キムシン作品は基本アテ書き、キャラ物だから。ストーリーがどうとかよりも、キャラを愉しむモノだから。(例・「『王家に捧ぐ歌』ってそんなに名作だっけか?」「だって主要3人のキャラがハマり過ぎてたしさー」「ああ、それでなんか名作っぽくなってる?」)
張良さんのキャラ立ちっぷりは、たのしくてなりません。
こんな性格です、と説明されるのではなく、その言動でわかる「張良先生ってどんな人?」。
その張良先生がもっともアクティヴで、なにかとたのしい鴻門の会。
劉邦様@壮くんを逃がすために、助けるために、守るために、張良さん大活躍!
ここでのひそかな楽しみは、まっつVSしゅん様!!
ハンゾー先生@はっちさんから、劉邦暗殺を命じられる項荘@しゅん様。剣舞にかこつけて、劉邦様に襲いかかる!
これをさせまいとする張良。
良ちゃんは剣を握ることもないし、「剣舞なら私だって♪」と腕まくりしてまざることもない。彼の戦いは頭脳戦。プラス、舌戦。後宮の美女たちを舞い踊らせたりして場を混乱させ、劉邦にバリアー(笑)を張る。
このどさくさまぎれの大混乱の中、睨み合う張良と項荘。この場での直接の敵はお互いであることを理解し、威嚇し合っている。
ああ、なんてうひゃっほうな画面(笑)。
項荘は武官だ。張良を斬り捨てることなんか造作ない。許可が下りないから威嚇だけになっているわけで、ほんっと彼のキモチひとつで今、張良を殺せるんだよね。
丸腰でありながら太刀を手にした男と睨み合う張良の、きつい視線。
一刀のもとに絶命させられそうな間合いで、一歩も引くことなく睨み合うんですよ?
かっこいい。
ここの張良さん、すげーかっこいい。
漢ですよ彼は。
誰よりも(剣舞披露中の「子猫ちゃん」よりも)ちっこくて華奢なくせにね(笑)。
劉邦を無事逃がしたあとの嘘臭い「項羽様@まとぶん万歳姿勢」もステキ。あのわざとらしい喋り、畏まりぶり。
ちゃっかり上座をせしめ、ちゃっかりハンゾー先生の留守をせしめてしまうのも、素晴らしい。ハンゾー先生絶句。
鴻門の会は隅から隅までおもしろいなあほんと。
2幕最初は、そのハンゾー先生の留守を預かり、項羽のもとにいる。
張良さんの項羽様への態度はイイよね、慇懃無礼を絵に描いたようで。
こいつ絶対、心から思ってねえ。ということがわかる、冷風が吹くよーな敬いっぷり。
「お前は私を覇王と呼ぶのか」
「世に並ぶもののない方ゆえ」
このやりとりの嘘臭さが、たまらない(笑)。
張良は項羽の才能を認めている。だから、張良が「覇王」と呼ぶことに偽りはない。でも彼はきっと付け加えている、心の中で。「今だけの、覇王」と。
対項羽の、張良の立ち位置、感情はとても興味深い。
一貫して慇懃無礼、上っ面だけの服従、敬服。衛布@みつるよりも、赤裸々。……ここまで露骨で、なんで項羽は気づかないんだ、みたいな。や、これは物語をわかりやすくするために、大袈裟にやっている結果だろうけれど。
項羽の項羽らしいところを見るにつれ、いちいち劉邦を思い出していたのかな。比べていたのかな。
心の中で「今だけの、覇王」と付け加え、さらに「いずれ私の劉邦が、真の王になる」と続けているのか。
張良にとって、劉邦は最初から所有格だったと思う。
なんせ自分で選んだのだから。
ハンゾー先生に「項羽側につかないか」と誘われたのに、きっぱり断って劉邦を選んでいる。
だから最初から、「私の選んだ王」「私の劉邦」。
項羽への冷たい態度は全部、項羽の才能を認めるがゆえ、加えて劉邦へのキモチの裏返し。
けっこー一途じゃないですか。健気ぢゃないですか(笑)。たとえアクセントが「私の、選んだ王」「私、の劉邦」と「私」にあったとしても。
「英雄は英雄にしか見出せない」、劉邦を高めることがすなわち自分を高めることであったにしろ。
まったく、いいキャラだ。
しかし、彼の最大の功績は。
項羽の最期の言葉を意訳したことぢゃね?(笑)
「それで、覇王の最期の言葉は?」(無表情)
「いや、それがその……『漢王に伝えて欲しい。♪誰もナニも信じられないこの世界だからこそ…』」(朗々と歌い出すふみか武将)
「…………」(無表情)
「そこで遠い目をして、『虞よ、待たせたな。アナタと共に』で、また歌って『シアワセに生ーきーたーとぉお♪』」(朗々と歌う)
「…………」(無表情)
「えーと。どうしましょうか。虞って、虞美人のことですよね? 漢王に伝えるんですか? 『私は虞と共にシアワセに生きました』って」
「…………」(無表情、あ、でもなんか、こめかみに筋が)
「てゆーかなんで最期にわざわざのろけを? 死の淵で伝えなければならないよーなことだったんですか? ……はっ。まさかコレは、痴話喧嘩?! 女が自分を捨てた男に対し、『アタシはアンタ以外の恋人とシアワセに生きたんだからねっ。別にアンタのせいで自殺するんじゃないんだからねっ。あーアタシはシアワセだったわ!!』」(声色を使うふみか)
「…………」(無表情、でも、こめかみに筋が……)
「痴話喧嘩じゃないとしたら、意識錯乱? 漢王に伝えよって言いながら、もう自分がナニ言ってるのかわかってない? たしかにお花畑な感じにイッちゃってて……うわ、こりゃダメだ、みたいな」
「…………」(無表情。でも、たしかにこめかみに筋がっ)
「どうします、他ならぬ覇王じきじきの、最期の言葉ですから、そのまま伝えないといけないんでしょうか……」
「…………今後、覇王の最期に関しては、一切他言せぬように」(無表情。力強く、無表情っ)
「覇王の最期の言葉が届いております。いわく、
『武人として、シアワセに生きた』
と!!(意訳!!)」
劉邦、感激! ザッツ美談!! 超訳っつか、ほとんど捏造の域っ!! さすが空気を読める男、張良グッジョブ!!(笑)
最後に張良の美声が響くのがたまりません。そうだよな、ここは是非にまっつの声だよな。「あなたこそ、チュシンの王!」だよな(笑)。
いやあ、項羽の最期の言葉をそのまま伝えたら、みなさんぽかーんになるよなあ。それをいいよーに意訳して場を盛り上げた張良先生はほんとに優秀な軍師だと思いまっつ。
張良はそうやって脚本を書いてるんだよね。「覇王は暗殺されるべきではない」とか言って、自分のイメージする通りに歴史を動かしていく。
実は、ロマンチストなんじゃね?
歴史に……人間の生き方に、ロマンを求めている。美しさや、清冽さを求めている。
それを叶えるために、人の情を捨てたり、自分の感情すら踏みにじったりする。……本末転倒している気がしないでもないが、そーゆーままならないところを持つのが、この天才軍師の魅力なんだろう。
誰よりも夢見がちだからこそ、リアリストである、みたいな。
誰よりも情深いからこそ、冷酷である、みたいな。
キムシン作品は基本アテ書き、キャラ物だから。ストーリーがどうとかよりも、キャラを愉しむモノだから。(例・「『王家に捧ぐ歌』ってそんなに名作だっけか?」「だって主要3人のキャラがハマり過ぎてたしさー」「ああ、それでなんか名作っぽくなってる?」)
張良さんのキャラ立ちっぷりは、たのしくてなりません。
こんな性格です、と説明されるのではなく、その言動でわかる「張良先生ってどんな人?」。
その張良先生がもっともアクティヴで、なにかとたのしい鴻門の会。
劉邦様@壮くんを逃がすために、助けるために、守るために、張良さん大活躍!
ここでのひそかな楽しみは、まっつVSしゅん様!!
ハンゾー先生@はっちさんから、劉邦暗殺を命じられる項荘@しゅん様。剣舞にかこつけて、劉邦様に襲いかかる!
これをさせまいとする張良。
良ちゃんは剣を握ることもないし、「剣舞なら私だって♪」と腕まくりしてまざることもない。彼の戦いは頭脳戦。プラス、舌戦。後宮の美女たちを舞い踊らせたりして場を混乱させ、劉邦にバリアー(笑)を張る。
このどさくさまぎれの大混乱の中、睨み合う張良と項荘。この場での直接の敵はお互いであることを理解し、威嚇し合っている。
ああ、なんてうひゃっほうな画面(笑)。
項荘は武官だ。張良を斬り捨てることなんか造作ない。許可が下りないから威嚇だけになっているわけで、ほんっと彼のキモチひとつで今、張良を殺せるんだよね。
丸腰でありながら太刀を手にした男と睨み合う張良の、きつい視線。
一刀のもとに絶命させられそうな間合いで、一歩も引くことなく睨み合うんですよ?
かっこいい。
ここの張良さん、すげーかっこいい。
漢ですよ彼は。
誰よりも(剣舞披露中の「子猫ちゃん」よりも)ちっこくて華奢なくせにね(笑)。
劉邦を無事逃がしたあとの嘘臭い「項羽様@まとぶん万歳姿勢」もステキ。あのわざとらしい喋り、畏まりぶり。
ちゃっかり上座をせしめ、ちゃっかりハンゾー先生の留守をせしめてしまうのも、素晴らしい。ハンゾー先生絶句。
鴻門の会は隅から隅までおもしろいなあほんと。
2幕最初は、そのハンゾー先生の留守を預かり、項羽のもとにいる。
張良さんの項羽様への態度はイイよね、慇懃無礼を絵に描いたようで。
こいつ絶対、心から思ってねえ。ということがわかる、冷風が吹くよーな敬いっぷり。
「お前は私を覇王と呼ぶのか」
「世に並ぶもののない方ゆえ」
このやりとりの嘘臭さが、たまらない(笑)。
張良は項羽の才能を認めている。だから、張良が「覇王」と呼ぶことに偽りはない。でも彼はきっと付け加えている、心の中で。「今だけの、覇王」と。
対項羽の、張良の立ち位置、感情はとても興味深い。
一貫して慇懃無礼、上っ面だけの服従、敬服。衛布@みつるよりも、赤裸々。……ここまで露骨で、なんで項羽は気づかないんだ、みたいな。や、これは物語をわかりやすくするために、大袈裟にやっている結果だろうけれど。
項羽の項羽らしいところを見るにつれ、いちいち劉邦を思い出していたのかな。比べていたのかな。
心の中で「今だけの、覇王」と付け加え、さらに「いずれ私の劉邦が、真の王になる」と続けているのか。
張良にとって、劉邦は最初から所有格だったと思う。
なんせ自分で選んだのだから。
ハンゾー先生に「項羽側につかないか」と誘われたのに、きっぱり断って劉邦を選んでいる。
だから最初から、「私の選んだ王」「私の劉邦」。
項羽への冷たい態度は全部、項羽の才能を認めるがゆえ、加えて劉邦へのキモチの裏返し。
けっこー一途じゃないですか。健気ぢゃないですか(笑)。たとえアクセントが「私の、選んだ王」「私、の劉邦」と「私」にあったとしても。
「英雄は英雄にしか見出せない」、劉邦を高めることがすなわち自分を高めることであったにしろ。
まったく、いいキャラだ。
コメント