ギュンター@みやるりは、アレでいいんですか?

 美しすぎて、やばいです。

 『リラの壁の囚人たち』、悪役、に分類されるナチス将校役。分類されるだけで、別に彼自身は悪人ではないと思うが。

 出てくるだけで「あの美形はナニモノ?!」と思わせるので、目立ちすぎてる気もする。
 あれだけインパクトあるなら、もっと比重高くて当然、今の役割だと拍子抜けする……のは、わたしにとって彼が好みど真ん中だからですか。ふつーの人には、作品バランス壊すほどの存在には見えてないんでしょうか。

 わたしには、美しすぎてやばいです。作品バランス崩してます(笑)。
 
 
 ギュンターはふつーにあの時代のSS将校、特に彼個人が悪人ということではなく、時代と彼を取り巻く世界のイデオロギーに忠実に生きていただけにすぎない。

 むしろ、彼の取っている行動だけ見ると、かなり人情味あふれる人だと思える。

 物語の最初、ギュンターは行きつけのキャバレーのホステスのために、職務を曲げる。
 お気に入りのホステス・マリー@音波みのりちゃんが「私の言葉を信じてくれないの? 私の嫌がることをするの?」と色っぽく絡むと、部下への命令を撤回した。リヒター@直樹じゅんがあれだけ進言しているのに、強引に従わせた。
 ヲイヲイ、いいのかソレ。なんて公私混同。

 しかし多分、彼の中では公私混同ではないんだろう。

 なにもわからない初見では、「酒場の女にお色気ウッフン言われたことで、命令撤回ってどんだけ色ボケ将校?」と思えるけれど、その後の物語を見ていればわかる。

 ギュンターさんが、マジにそのホステスを……男を色気でもてなす職に就いている女のことを愛している、のだと。

 それで「レジスタンスなんてここには来ていない」という彼女の言葉を信じ、命令撤回、強制家宅捜査はやめてよそを探そう、になるわけだ。
 また、ある意味自惚れてもいたんだろう。マリーが自分に嘘をつくはずがないと。彼女に愛されている……一目置かれ、好意を持たれている、自分は特別な存在だと。そのため、彼女の言葉を疑わない。
 どちらにせよ、個人的感情。プライベートな関係を優先して、軍人としての行動を揺るがす。

 ナチスとしての立場を重んじるなら、占領下のフランス女になにか言われたくらいで、命令撤回はしないはず。
 マリーを好きだからマリーの嫌がることをわざわざしなくてもいいと思っている、また、マリーに好かれているから彼女は嘘をつかない……それらのことから、合理的に判断した、と思っているんだろう。
 ここにレジスタンスはいない。だからここを探しても無駄、よそへ行こう。

 ギュンターの中では筋が通っているんだけど、そんなことリヒターにはわかんないし(笑)。
 リヒターの目には、「この色ボケ将校めっ」と映ったことだろうなあ。

 愛情を信じている男。
 なんせ、ホステスに入れあげて求婚しちゃうんだから(笑)。
 や、所詮は現地妻になれ、愛人になれってことなんだけど、そこにちゃんと愛情を求めているから。マリーは「好きな人がいる」とそれを断るわけだが、カラダだけが目的の身請け話ならマリーの気持ちは関係ないわけで。恋人がいるからと怒ってあきらめるのではなく、さらに金と権力を匂わせるなりすればいいのに、さっさと手を引くし。
 つか、「子どもみたいな顔して、所詮フランス女」とかなんとか、悔しまぎれに言ってたのは、「オレを弄んだんだな」って意味だよなあ。
 ギュンターさん、どんだけ純情? 相手、水商売の女ですから。マリーは本当にピュアな女の子、という設定らしいが、それにしたって対外的にはキャバレーで男の相手をしている女の子ですから。客の男にいい顔するのは仕事だってば。

 玄人の女に入れあげて、一方的に盛り上がって、求婚して、「私、恋人いるんですけど、なにカンチガイしてんの?」とやられて、ぷんすか退場する……そーゆーことだよね。

 一方的に盛り上がる……ほど、ラルダ@柚長の店にいるとき、マリーはどんな顔を見せていたんだろうか?
 ギュンターがいかにもなカンチガイ馬鹿男として描かれているならともかく、まともな男に見えるから、ひとりの男がここまで盛り上がるには、それ相当の理由があったと思うんだが。
 ギュンターがSS将校様らしい傲慢さで、「すべての女はオレにめろめろ」と思い込んでいたにしろ、マリーが裏庭でエド@かなめくんやポーラ@れみちゃんに見せている顔からは想像もつかない展開なんですが。

 そーなんだよな、実を言うとわたし、マリーというキャラクタがわからんのですよ。
 キャバレーで働いている女の子で、ギュンターにプロポーズさせるほどの態度を、仕事では取っていたわけだ。実際、最初の登場では女の武器を使ってギュンターを操るわけだし。
 めっさ世慣れた凄腕のホステスかと思いきや、それ以外の場面ではピュアな少女みたいで。
 ピュアな女の子がホステスやっててもいいけど、登場場面のシナの作り方にギュンターが疑問を持たないところを見ると、普段の彼女はあーゆー態度で男たち相手に商売してるってことで……舞台が庭だけで仕事中の彼女を描いてくれてないから、混乱したまま終わった。
 子どもみたいな顔だそうだから、あどけなさで売っているホステスさんだったのかもしれないが、だとしたらやっぱ、最初の悪女ぶりがイメージにつながらない……わたしの中では。
 
 つっても、もっとあどけないヨゴレを知らぬ少女風にされたら(最初の場面も無邪気な幼女テイストでおねだりされたら)、ギュンターがロリコンになっちゃうから、仕方ないのかなー(笑)。

 ギュンターとマリーの関係が、よくわかんなかった。

 庭でエドやポーラと話すマリーがあんまりかわいい、いじらしい女の子で、この子が客を騙すほどの色事師手管で店に出ているとは思えなくて。
 感情がそのまま出てしまう、ふつーの女の子なのに、この子に「愛されてる。求婚したら即OKのはず」とギュンターが思い込む? やっぱ店では相当演技していた?

 ギュンターとマリーに関して、描かれていることだけだとぜんぜんつながらない。
 つながらない、辻褄が合わない、というなら「ま、所詮脇役だし」とあきらめてスルーすればいいんだろう。芝居を進める上でのご都合主義ってことで。
 ふつーならそうなんだけど、この物語は「つながらないけれど、ナニかあるはず。そして、つなげることができるはず」と思えてしまうから。

 マリーがギュンターにどんな顔を見せていたか、態度を取っていたか、そしてギュンターがナニを想い彼女を欲したか。
 描かれていない、辻褄の合わない部分を、脳内補完したくなるんだ。
 あれだけひどい断り方をして……「とんだ恥をかいた」とギュンターも言っていたけど、ナチス将校が人目のあるところでフランス女に完膚無きまでに振られる、って、相当な状況なんですが。よく平手打ちひとつで済んだなと。さんざん誤解させる態度を取っていたわけでしょ? で、土壇場で裏切ったわけでしょ?
 あそこまで恥をかかせておいて、結局現地妻に収まるって、すごいっす。
 そしてドイツ敗退の折には、ギュンターがわざわざマリーを送り届けに来るって、すごいっす。
 どんなドラマがあったんだ、あのふたり。

 と、いろいろいろいろたのしいっす、ギュンターさん。
 やっていることはかなり私情に左右される人情家なんだけど、あくまでもクールに取り繕っているのがまた(笑)。

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