それでも、ここに。@LAST STEPS
2010年6月16日 タカラヅカ ひっそりこっそりと、思い出話。
「彩吹真央」で、思い出す公演・場面。
いろんなゆみこちゃんを見てきたし、良かったとか好きとかはいろいろあるし、特に選べないし、しいてどれと選ぶ意味もないし。
だからそーゆー意味ではなく、「思い出す」場面。思い出の、ではなく、思い出す。
バウ・ワークショップ『LAST STEPS』の、スパニッシュ。
樹里ちゃんが歌い、ゆみこが踊る場面。
それまでわたしは、ゆみこ=歌手だと思っていた。
『嵐が丘』のゲイル役のイメージゆえにだ。
滑舌の良い喋りに、耳触りの良い声。
でかい目と派手な顔立ちの、押し出しのいい若手。
雪組下級生だったときの彩吹真央のイメージは、そんな感じだ。
新公でトウコの役をやっていたりして、そのイメージがまたかぶっていたかもしれない。派手で押し出しのいいトウコと、まるっと同じ印象の芝居をする下級生だから、派手で押し出しがいい。
…………雪にいたときは、派手だと思ったのに。押し出しがいいと思ったのに。
花組では地味で目立たなくて、びっくりした。
花組ファンの友人から、「雪組って地味~~」とさんざん言われていたのは、こーゆーことか! 雪で派手でも花だと埋もれるんだ! と、実感したのも、今となってはいい思い出(笑)。
話を戻して。
雪組時代のゆみこは、歌手だと思っていた。
花組へ組替えが決まり、雪組として最後の公演が、風花ちゃんの退団記念バウ『LAST STEPS』だった。
正確に言うと、すでに雪ではなく、花組に組替え後だったんだけど。
たしか出演が発表されたときはまだ雪組で、公演日には花組になっていた。
つまり、風花ちゃんのバウは、「花月雪宙合同公演」と銘打たれているけれど、最初はそんな4組にも渡る大袈裟なものじゃなく、風花ちゃんの月組と、空いている雪組メンバーで行う、月雪2組だけの公演だった。
それが組替えで、「花月雪宙合同」という大仰なモノに……。
だから、日付だけすでに花組、でも、感覚的にはまだ雪組だ。
ゆみこを派手で華のある(笑)実力派下級生だと思い、歌手だと思っていた、雪組時代だ。
ゆみこ=歌手だったから、なにかしら見せ場をもらえるとしてもそれは「歌」だと思い込んでいた。
学年的に、見せ場があるとも思えないんだが、そのときはほら、ゆみこのことを派手で以下略と思っていたので、下級生でもなにかしらオイシイ扱いされるんじゃないかと、勝手に思い込んでいた(笑)。
そしたらほんとに、見せ場があった。
バウホールとはいえひとつの舞台、ひとつの公演で、1場面をたったふたりっきりで務めた。
それが、スパニッシュ。
歌うのは、樹里ちゃん。
この公演で風花ちゃんの相手役ポジションのスター。
その、主役の相手様の歌声で……ゆみこが、踊った。ひとりで。
つまりは樹里ちゃんのソロ歌の場面で、背景が寂しいから誰かに踊らせた、それがゆみこだった、ってだけで、主役は樹里ちゃん、ゆみこはバックダンサー、に過ぎないんだけどね。
それでも驚いたんだ。
ひとつの場面をふたりきり。
しかも、すでにスターとして認識されている樹里ちゃん(月組から、宙組4番手として組替え)の歌で、ひとりで踊るなんて。
もしも見せ場があるなら、それは歌でだと思っていた。ソロをもらえるかもしれないと思っていた。
しかし。
ダンスで、ソロがあるなんて、カケラも想像してなかった。
暗い舞台。セットなんざ特にない、シンプルな公演だった。
その暗い中で、スポットライトを浴びて、踊る。
月組ファンからすりゃあ「誰?!」てくらい、無名の下級生。新公でも最高で2番手までしかやったことない子だよ。
そんな子が、いきなり、スポットライト。
なんだか不思議なモノを見る思いで、注目した。
ドラマティックなナンバーだったと思うので、激しく力強く踊っていたと記憶している。
ほんとに、真剣っ!でね。
「抜き」どころの一切ない、力の入りまくったダンス。
ライトを浴び、闇に浮かびあがった姿は美しく、「ゆみこ=歌」ではないことを、思い知らされた。
こんなに、踊れるんじゃん!!
……ダンスの善し悪しがわからないわたしは、「このメンバーで、この学年の子がこの場面に抜擢される」=「ダンサー」だと、単純に思い込んだ(笑)。
今思うと、そんなにうまかったかどうか、定かではない。
ただ、あの張りつめた雰囲気ごと、端正だと思ったんだ。
ずっと雪組で育って、このまま雪組で生きるんだと思っていたら、まさかの組替えで。
しかも、組替え最初の仕事が、よそさまのトップスター様のサヨナラ・イベント公演で。別の組の選抜メンバーと一緒で。
「花組」と看板背負いながらも、まだ一度も花組さんとは仕事してなくて、組替えしたのに雪組の仲間と一緒で。
なんかいろいろ複雑で大変で、それでもやるしかないわけで。
で、何故か上級生スターを差し置いてのソロで。
尋常でなく、緊張していたと思う。気負っていたと思う。
ただの観客のわたしだって、驚いたくらいだもの。
あの「抜き」どころのない、真剣勝負なダンス。眼差し。
ゆみこが退団し、新たな道を歩み出しているとわかっている今、何故か思い出すんだ。
「彩吹真央」というと、あのソロダンスを。
思い出深い役とか好きな役とか、他にいくらでもあるのにね。
映像に残っていないことも大きいかな。手元にあって、いつでも再生できるものじゃないから、美化されていたり、またすごーく貴重な記憶だと祭り上げられているのかもしれない、わたしの中で。
遠いね。なにもかも。
「彩吹真央」で、思い出す公演・場面。
いろんなゆみこちゃんを見てきたし、良かったとか好きとかはいろいろあるし、特に選べないし、しいてどれと選ぶ意味もないし。
だからそーゆー意味ではなく、「思い出す」場面。思い出の、ではなく、思い出す。
バウ・ワークショップ『LAST STEPS』の、スパニッシュ。
樹里ちゃんが歌い、ゆみこが踊る場面。
それまでわたしは、ゆみこ=歌手だと思っていた。
『嵐が丘』のゲイル役のイメージゆえにだ。
滑舌の良い喋りに、耳触りの良い声。
でかい目と派手な顔立ちの、押し出しのいい若手。
雪組下級生だったときの彩吹真央のイメージは、そんな感じだ。
新公でトウコの役をやっていたりして、そのイメージがまたかぶっていたかもしれない。派手で押し出しのいいトウコと、まるっと同じ印象の芝居をする下級生だから、派手で押し出しがいい。
…………雪にいたときは、派手だと思ったのに。押し出しがいいと思ったのに。
花組では地味で目立たなくて、びっくりした。
花組ファンの友人から、「雪組って地味~~」とさんざん言われていたのは、こーゆーことか! 雪で派手でも花だと埋もれるんだ! と、実感したのも、今となってはいい思い出(笑)。
話を戻して。
雪組時代のゆみこは、歌手だと思っていた。
花組へ組替えが決まり、雪組として最後の公演が、風花ちゃんの退団記念バウ『LAST STEPS』だった。
正確に言うと、すでに雪ではなく、花組に組替え後だったんだけど。
たしか出演が発表されたときはまだ雪組で、公演日には花組になっていた。
つまり、風花ちゃんのバウは、「花月雪宙合同公演」と銘打たれているけれど、最初はそんな4組にも渡る大袈裟なものじゃなく、風花ちゃんの月組と、空いている雪組メンバーで行う、月雪2組だけの公演だった。
それが組替えで、「花月雪宙合同」という大仰なモノに……。
だから、日付だけすでに花組、でも、感覚的にはまだ雪組だ。
ゆみこを派手で華のある(笑)実力派下級生だと思い、歌手だと思っていた、雪組時代だ。
ゆみこ=歌手だったから、なにかしら見せ場をもらえるとしてもそれは「歌」だと思い込んでいた。
学年的に、見せ場があるとも思えないんだが、そのときはほら、ゆみこのことを派手で以下略と思っていたので、下級生でもなにかしらオイシイ扱いされるんじゃないかと、勝手に思い込んでいた(笑)。
そしたらほんとに、見せ場があった。
バウホールとはいえひとつの舞台、ひとつの公演で、1場面をたったふたりっきりで務めた。
それが、スパニッシュ。
歌うのは、樹里ちゃん。
この公演で風花ちゃんの相手役ポジションのスター。
その、主役の相手様の歌声で……ゆみこが、踊った。ひとりで。
つまりは樹里ちゃんのソロ歌の場面で、背景が寂しいから誰かに踊らせた、それがゆみこだった、ってだけで、主役は樹里ちゃん、ゆみこはバックダンサー、に過ぎないんだけどね。
それでも驚いたんだ。
ひとつの場面をふたりきり。
しかも、すでにスターとして認識されている樹里ちゃん(月組から、宙組4番手として組替え)の歌で、ひとりで踊るなんて。
もしも見せ場があるなら、それは歌でだと思っていた。ソロをもらえるかもしれないと思っていた。
しかし。
ダンスで、ソロがあるなんて、カケラも想像してなかった。
暗い舞台。セットなんざ特にない、シンプルな公演だった。
その暗い中で、スポットライトを浴びて、踊る。
月組ファンからすりゃあ「誰?!」てくらい、無名の下級生。新公でも最高で2番手までしかやったことない子だよ。
そんな子が、いきなり、スポットライト。
なんだか不思議なモノを見る思いで、注目した。
ドラマティックなナンバーだったと思うので、激しく力強く踊っていたと記憶している。
ほんとに、真剣っ!でね。
「抜き」どころの一切ない、力の入りまくったダンス。
ライトを浴び、闇に浮かびあがった姿は美しく、「ゆみこ=歌」ではないことを、思い知らされた。
こんなに、踊れるんじゃん!!
……ダンスの善し悪しがわからないわたしは、「このメンバーで、この学年の子がこの場面に抜擢される」=「ダンサー」だと、単純に思い込んだ(笑)。
今思うと、そんなにうまかったかどうか、定かではない。
ただ、あの張りつめた雰囲気ごと、端正だと思ったんだ。
ずっと雪組で育って、このまま雪組で生きるんだと思っていたら、まさかの組替えで。
しかも、組替え最初の仕事が、よそさまのトップスター様のサヨナラ・イベント公演で。別の組の選抜メンバーと一緒で。
「花組」と看板背負いながらも、まだ一度も花組さんとは仕事してなくて、組替えしたのに雪組の仲間と一緒で。
なんかいろいろ複雑で大変で、それでもやるしかないわけで。
で、何故か上級生スターを差し置いてのソロで。
尋常でなく、緊張していたと思う。気負っていたと思う。
ただの観客のわたしだって、驚いたくらいだもの。
あの「抜き」どころのない、真剣勝負なダンス。眼差し。
ゆみこが退団し、新たな道を歩み出しているとわかっている今、何故か思い出すんだ。
「彩吹真央」というと、あのソロダンスを。
思い出深い役とか好きな役とか、他にいくらでもあるのにね。
映像に残っていないことも大きいかな。手元にあって、いつでも再生できるものじゃないから、美化されていたり、またすごーく貴重な記憶だと祭り上げられているのかもしれない、わたしの中で。
遠いね。なにもかも。
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