生理的嫌悪感だの思考停止させられるよーな破綻だのがない、薄くて可愛らしい作品は、キャストの魅力だけで、楽しめる。

 罪なくほっこりかわいい物語『麗しのサブリナ』は、いろいろとありがたい作品だ。

 リピートもしやすいし、ひとにも薦めやすい。『EXCITER!!』という派手で楽しいショーと2本立てのこともあり、まあいっぺん観てみてよ、「タカラヅカ」体験にいいっすよ、と。
 客席には家族連れ・子ども連れも多いし、若い学生たちの姿も多い。夏休みの演目として最適だと思う。
 てゆーかいいなあ、学割チケット……。
 2階10列目が2000円で買えるんだよ? そこってつい数年前まで5500円だった席だよ? 学生さんがうらやましすぎる! わたしが学生だった頃はそんな割引なかったし!

 まあ、わたしの若いころとは時代があらゆる意味で違い、今はヅカ自体が斜陽で、割引チケットでも出さなきゃやってらんないんだろうと思う。全組通して平日・土日ともに万遍なく観劇する身としては客席の現状が目に胸に痛いさ……。
 
 
 なにはともあれ、『麗しのサブリナ』はキャストがかわいい。

 ヒロインのサブリナ@蘭ちゃんがキュートであることは言うまでもなく。
 童顔ゆえ気づいてなかったけれど、意外に背が高いというか、バランスの良いプロポーションなんだ。
 今は可愛らしさが前面に出ているけれど、これからどんどん美女になっていくんだろうなあ、そう思わせる素材の良さに期待感が高まる。

 んで、その若く可愛らしいサブリナに惹かれていく大人の男、ライナス@まとぶん。

 大人のまとぶんがかっこいい。

 少女にめろめろになるおじさん、というとアレな感じになりがちだけど、まとぶんだとそうはならない。
 仕事一途過ぎて女性に興味がなかったんだとわかる。だってめちゃイケメンだもんよ、モテないはずがない。
 そして、女の子の扱いも知らないわけじゃない、堅物設定のわりにやることけっこー強引、てのがねー、ポイント高いんですよー。

 ああそして、デイヴィッド@壮くん。
 女好きのチャラ男を何公演続けてるんですか、女たちの嬌声とえりたんはデフォルトですかそうですか。
 そのケーハクぶり、タラシぶりがもお、板につきすぎて(笑)。

 デイヴィッドがかわいすぎる。

 お尻の手当てとか、すみれコード的にアレなはずなんだが、えりたんなら平気。ぜんぜんOK、ふつーにアリ。
 彼のあっけらかーーんとした明るい光が、すべてを肯定する。

 壮くんって、ものすごい舞台人かもしれない。
 彼には「ありえない」がないの。どんな荒唐無稽なことでも、これやっちゃシャレならんでしょなことが、ナイの。
 全部全部、壮一帆ならアリだと思わせる。

 舞台の上に、ファンタジーを作り上げる。

 つくづくおそろしい人だ……(笑)。

 デイヴィッドの、「株のことはわからないが、キスならわかる」の台詞が好き。
 いい男だ、デイヴィッド。

 
 主人公3人いればカタがつくよーな話なんだが。

 ストーリーテラー@みわっちはオイシイ役。
 いろんな場面でいろんなコスプレして、いろんな役をしている。
 そのいろいろな姿を見られるのはオイシイ。
 ショータイムとしてたのしい料理学校場面や、クラブの歌手としてねっとり(笑)1曲ソロ、さらにくまちゃんとアダルトにエロ絡みアリ。
 よぼよぼ医者の可愛らしさもいいんだが、ツボというか、ある意味「みわっちキターー!」と笑えるのは、意味なく登場する電話の男と、最後の船員ですな。
 いやその、胡散臭すぎて、ツボに入る。みわっちならではですわ、あの無駄な濃さ。(力一杯誉め言葉)

 
 んで、料理学校場面がみょーーに楽しい。
 オープニングがショーになっておらずそのまま物語スタートだったこともあり、ミュージカルっぽい最初の場面になるんだよね。パーティで紳士淑女が踊っているのはある意味ふつーだもん。

 ここのキャラクタが、誰を見ていいのか目がいくつあっても足りない。

 オカマのあきらと、キザよっちはもお、どうしてくれようかと。

 ナニあいつら?!
 面白すぎるっ。

 瀬戸くんは若くして男役として出来上がっているので、シナを作られると素直にキモい(誉めてます)。カオもキツイ系の美形なので、オネエ喋りが活きる(誉めてます)。

 よっちはよっちだというだけで点数高いんだが、あのよっちがキザな俺様キャラで盛大にカッコつけているというと、「よっちがエライコトになってる!!」と、花担たちを震撼させる結果に。
 あああ、よっちに『摩天楼狂詩曲』CMのともみんの役やってほしー!! いたたまれなくなって地団駄踏みたい~~!!

 
 場面としてオイシイのは料理教室だけど、モブのグループとしてオイシイのは、ララビー家の使用人たち。
 執事@ふみかが若い! てっきりヒゲじーさんで来るのかと思ったら、現役色男で来ましたよ!
 さあや&きらりが芸達者にメイドとして目立ち、いまっち&みちるタソがコミカル部門担当、かわいこちゃんポジがまゆくん……で、しゅん様がんばれ、食われてる食われてる!(笑)

 つか、女たち強いですよ……(笑)。

 
 デイヴィッドの恋人、グレチェン@じゅりあとエリザベス@あまちゃき。
 壮×じゅりあはこの間まで、おそろしい夫婦だったような……? 「あなたのせいなのです!」てな。そのギャップも楽しみつつ(笑)。
 あまちゃきはすげーかわいい。記号的にかわいい。おかしい。おもしろい。「サブリナって誰?!」の台形グチがたまらん。
 
 
 もう少し書きようがあったのになあ、と思うのはデイヴィッドの友人たち。みつる、めお、まぁ、だいもん。
 銀橋に出てくる場面がある程度で、濃度的には使用人ズと変わらない……。

 パーティとかクラブとか、大人数で華やかにしている場面には登場するので「モブとして」愛でるのは楽しいのだけど、彼らはモブで見たい人たちじゃない、「役」が見たいんだ。
 彼らが新公学年の若者たちなら、あるいは路線外の人たちなら、モブでの人間関係や小芝居を探して眺めて本筋そっちのけで仲間内で盛り上がったりはアリだろうけど……彼らのポジションを思えば切ない。
 せっかくそれぞれカノジョ持ちで、今をときめく美形娘たちと組んでいるのになあ。

 あと5分彼らに割いて、ひとり(ひと組)ずつ見せ場を作ることは出来なかったのか、中村せんせ……。
 いつも全員同じ扱いで横並び登場はあんまりですよ。
 
 扱いへの不満はともかく、カップルでいちゃついていたり、男同士でじゃれていたりする彼らを見るのはたのしい。4組のカップルの人間関係とか、リピートすればするほど見えてくるものがあって、たのしいんだろうな。

 
 真ん中にしか役がないので、結局のところそれ以外はグループ芝居か、モブ。そして、実はグループやモブの出番は多い。
 みんなでがちゃがちゃなにかしら歌い踊るなので、目は忙しい。
 パーティが2回、学校場面が2回、オフィスにクラブに幻想のダンスと、大人数場面がいろいろある。ストーリーがシンプルな分、歌い踊っていて、すごくかわいい。
 いやあ、ほんと『虞美人』とのギャップが大きいわ……。

 このくすぐったいキラキラ感と、罪のないハッピーストーリーが気持ちいいんだほんと。

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