壮一帆が楽しい。

 『麗しのサブリナ』で、いちばんかわいいのは、愛されキャラなのは、実はサブリナ@蘭ちゃんではなく、デイヴィッド@壮くんだ。

 本能と感情とそのときの気分だけで生きているナマケモノ。
 大金持ちの家に生まれ、優秀な兄がすべてを背負ってくれていて、お金と時間と愛情だけ浪費して生きてきた超お気楽モノ、それがデイヴィッドだ。

 悪意のないプレイボーイなえりたん、って、一体何作観てきただろう。どの演出家も壮くんにはそんな役をアテ書きたくなるのか。

 いつものえりたんな役で、目新しさはない。
 陽気なチャラ男で憎めない二枚目、女の子にモテモテでいつも嬌声をあびている、てのは見飽きたくらいだ。

 しかし。
 目新しさがなくても見飽きていても、この愛されキャラっぷりには、感動する。

 デイヴィッドが何故デイヴィッドなのか。
 見ていると、わかるよ。納得するよ。
 3回も結婚して離婚して、4回目の結婚(しかも婚約者を無視してサブリナと)をしようかっていう、この半生。
 定職に就かず、仲間たちと遊び暮らす毎日。
 なんでこんなトンデモナイ男なのか。
 その答えがわかる。

 その、天使の笑顔。

 使用人ズにあきれられたり、パパ@まりんやママ@ちあきさんに叱られたりはしているけれど、それでも見ていればわかる。誰も彼を嫌っていない。結局のところ、愛されている。

 傷ついたお尻をさらして横たわる、なんともみっともない姿でなお、ライナスおにーちゃん@まとぶんに甘える姿。
 自分の頼みを、おにーちゃんが断るとは思っていない。

 彼は疑っていない。
 自分が否定されること。拒絶されること。

 どんだけ愛されてきたんだ、デイヴィッド。
 他人から否定される経験がない30男。(年齢知らんのでえりたん年齢。……って、ジェンヌはフェアリーですってば)
 ただ無条件に愛され、与えられてきた。だから彼は疑わない。天使の笑顔でおねだりをする。

 パパもママも、そしておにーちゃんも、デイヴィッドを愛しまくり、甘やかしまくってきたんだ。
 口先だけできついことを言ったり叱ったりしても、根っこでダダ甘だったんじゃあ、デイヴィッドの性根を鍛えることにはならないって。
 そしてデイヴィッドも、家族のそーゆー愛情を一身に受けてすくすくのびのび育ちまくったんだろう。

 お金持ちのおぼっちゃまである以上、世間の人たちは勝手に彼を甘やかす。ひざまずく。
 さらに美貌の青年である以上、女たちは勝手に彼を甘やかす。寵を争う。

 すべての符丁が一致する。
 愛されまくって、このデイヴィッドというキャラクタが存在する。

 ああ、まったく。

 デイヴィッドが、可愛すぎる。

 あの愛されまくって当然、望む通りに甘やかされて当然、というカオが、超ムカつく。

 ナニこの男、大嫌いっ。地球が自分中心に動くと思い込んでる、なんの悪意も自惚れもなく、自分が愛されると思い込んでる。
 他人が自分のために動くことを、当然だと思っている。
 ムカつくムカつくムカつく。

 大っキライ。

 ムカつきまくって腹を立てて、地団駄踏んで、キライキライキライ、もお、大好きっ!!って感じ。

 思い出すだけでムカつくわー、ナニあの笑顔。くおおおっ、ムカムカムカ、可愛すぎるんじゃ~~!!
 てめー、自分がかわいいと思ってるだろー、くそー、可愛いんじゃー、許せん~~!!(ちゃぶ台返し)

 …………壮一帆さんを好きすぎて、どーにかなりそうです(笑)。

 デイヴィッドのアテ書きぶりが半端ナイ。あれは壮一帆だ。いかにも壮一帆な破壊力だ。

 演じる人によっては、デイヴィッドは嫌な男になると思う。
 悪人ではないものの、あまりに無神経で無責任だからだ。
 それをえりたんはえりたんならではのフェアリーっぷりで、異次元キャラに昇華している。
 ったく、壮一帆パネェよ。

 デイヴィッドの笑顔に、彼の半生が見えるんだ。
 物語上都合良くそーゆーキャラクタになっているのではなく、家族も周囲のモノも、とりまくものすべて経験してきたことすべてが、透けて見える。
 その説得力。

 ただの無神経アホボンではないので、彼はちゃんとサブリナとライナスの真意に気づく。愛の在処に気づき、最善の方法を取る。
 お金でも名誉でもなく、ただ、愛を選ぶ。

 それは彼が、愛されて育った男だからだ。
 いちばん大切なモノを、惜しみなく浴びるよーに与えられて育った。
 そんな彼だからこそ、いちばん大切なモノを見間違わない。

 いざというとき、すべてをひっくり返すのは、「愛」なのだ。

 この殺伐とした世の中。
 それでもわたしたちは信じる。根底にあるのは愛であり、愛がすべてを救うのだと。
 だから物語はハッピーエンドになり、虚構の人々の幸福に、観客は感動するのだと。

 そしてそれこそが、「タカラヅカ」であると。
 人々が「タカラヅカ」を求める所以であると。

 「愛」をバカ正直に大上段に歌い続けるカンパニーが、1世紀近く愛され、必要とされてきたんだと。

 ああだから。

 いざというとき、すべてをひっくり返すのは「壮一帆」なのだ。

 ファンタジーを作り上げる壮くんってのは、「タカラヅカ」まんまな存在だ。

 壮くんってほんと、すごい舞台人だなあ……。演技力がある人だとは、ごめん未だに思えないんだが、それにしたって舞台支配能力が異次元だ。
 あの感覚芝居人間のオサ様とバッチリ噛み合った人だもんなあ、そりゃ計算ではなく本能で存在するタイプだよなあ。

 デイヴィッド@壮くんが大好きだ。
 可愛すぎてムカついてたまらん。ムカつき過ぎてハァハァする(笑)。
 くそお、キライだこんな男!! 好き過ぎて許せん!!

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