熱意と誠意で得られるのだと。@摩天楼狂詩曲
2010年8月14日 タカラヅカ 伝説のロックスター、マイケル。
主人公アンソニー@ともみんの、憧れの人。
さんざんマイケルの素晴らしさを語られているので、そのマイケルらしき人がシルエットで登場した瞬間、誰もが思ったはずだ。
ああ、やっぱりみきちぐなんだ。
みきちぐはアンソニーが常連しているライブハウスの経営者。この物語で唯一の大人。アンソニーの良き理解者、叱ったりからかったり勇気づけたり。
キャスト全員見回しても、伝説のスターを演じられる人はみきちぐ以外にいない。
だからシルエットを見たときに納得、あの小さな姿はみきちぐだろう、やっぱりな。
伝説のロックシンガー・マイケル!!
そーやって現れたその人は!! まいける、だった。
「……ギャグ?」
隣の席の見知らぬ人も、ぼそりとつぶやいていた。
マイケル@まいけるって……!!
伝説のスターがまいけるって……!!
いやその、まいけるはうまい人です、いつもきちんと仕事をこなしてくれる人です、それはわかっています、しかし。
このキャスティングは……出オチ狙い?(首傾げ)
ツッコミどころ満載、んとに素敵な作品です、『摩天楼狂詩曲』。
作者が若い男性であることが痛感できる、男子的萌えが詰まった作品。ゲームか少年マンガだと思えば問題なし。
スズキケイの好みの女の子は、学級委員の優等生美少女(もちろんさらさらロングヘア)で野球部のマネージャー、いつも遅くまで練習している彼のことをずっとグラウンドの陰から見守り、疲れた彼にタオルとドリンクを差しだし、「きっと甲子園に行けるわ、私信じてる。ずっとあなたを応援してるわ!」と言ってくれる子なんだね。
そして、そんな女の子に「甲子園のマウンドで君に捧げる球を投げるよ。そのことを、この白球に誓う。このボールはその誓いの印だ。今日は俺たちの愛の記念日だ」と汗に汚れたボールを差し出す……のを、「かっこいい」と思っているんだろう。んで、女の子が感激の涙で受け取り、ふたりは夕陽の中で固く抱き合うの。
女子からすりゃ、そんな「都合のいい女」、少年マンガかギャルゲーの世界にしか生息しないことはわかっているが、スズキケイはマジなので。マジでそーゆー女の子が好きで、そのテのヒロインばかり描き続けているので(笑)。
男子脳で構成された、わっかりやすい少年マンガ『摩天楼狂詩曲』。
主人公はとことんうるさい熱血野郎。ライバルは人格ナシでも「キザでカッコイイ」ことだけ言及。「あなたの夢を応援しているわ」と瞳キラキラ胸の前で両手を組むヒロイン、物理的な説得力はなくても「がんばっている」「熱意」「誠意」で夢が叶ってハッピーエンド。
いいんじゃないっすか。ファンアイテムってのは、キャストのファンのみが楽しめればそれでOKなもの、世間的に名作である必要はない。リピート前提だから軽くて楽しいのがいちばん。
キャストが魅力的なら、それでいい。
主役のともみんがその体育会系の持ち味を遺憾なく発揮して、2番手役のふたり、みやるりとしーらんにトンデモな見せ場がある、それだけで役割を果たした作品だと思う。
客席が笑いに包まれ、ツッコミ入れつつ爆笑失笑しつつ、あたたかい空気に包まれていた。
しかしこの「夢を叶える」系の物語は、ジャンルによっては見せ方が大変だなと思う。『Paradise Prince』の「300万ドルの絵」のよーに、「成功」を納得させる「成果」を示すのはかなり困難。
スターを夢見るアンソニーとそのバンド仲間たち。
彼らはえんえんオーディションにチャレンジ、そして落ち続けている。
落ちてるんだよね、こんなんじゃ評価できない、歌手デビューできないと。
なのに、ラストはデビュー決定、スターへの切符を手にした! ハッピーエンド!!
オーディションに落ち続けた曲と、ラストのレコード会社社長@ギリーの前で披露した曲が別だったのかどうかはおぼえていないが。
技術的なことや、彼らの持ち味やスター性は、オープニングとラストで、ナニかが決定的に違っているということはない。ともみんの歌唱力も、バンドメンバーの腕も変化ナシ。
その間、死ぬほど練習したわけでもなく、むしろ恋人とうまくいかずに練習には身が入ってない状態だった。
なのに、デビュー決定なのよ、人気バンド決定なのよ。
えーと、悩んだ分、人間に深みが出来て、ソウルのある歌を歌えるよーになった、ということなのかしら?
本当は実力もスター性もあった、ただそれを見抜く能力のある社長と出会わなかった、悪いのは周りであって、主人公ではない、ということなのかしら?
もちろん、説明はされている。
ギリー社長が動いたきっかけは、アンソニーが幻のロックスター・マイケルを崇拝しているということだ。
伝説で幻なので、今の若い子たちは誰もマイケルを知らないか、興味がないらしい。誰もマイケルの曲をカバーしたり、それに影響された歌を歌わないらしい。
それってつまり、マイケルに現在の商品価値がない、売り物にならないってことじゃあ……と思うが、社長は大のマイケルファン。マイケルの曲をカバーしたデモCDを聴き、アンソニーに興味を持った。
そして、アンソニーのナマの歌を聴く前に、彼自身が知らない出生の秘密……ぶっちゃけ、マイケルの息子だということを知る。
お膳立ては完璧。
アンソニーとその仲間たちが、オーディションに落ちまくっているときとなんら変わらなくても、社長に認められることになるのは必然。
社長の大好きなスターの息子だから。
アンソニー自身に実力も魅力もなくても、マイケルの息子で、マイケルを尊敬し、マイケルのような歌を歌う……これだけでオールオッケー、さあ契約しよう、君たちは明日から大スターだ。大丈夫、宣伝さえすりゃ、スターを作るコトなんて簡単さ。
たしかに、辻褄は合ってます、スズキせんせ。
しかしコレっていいのか……? ラストのぶっちぎりぶりに、『落陽のパレルモ』を思い出した(笑)。平民だからダメと言われていたら、ああらびっくり、ほんとはえらい貴族の息子だったから障害全部クリア、ハッピーエンド。って、主人公ナニもしてへんやん!!てな。
しかも、最後の最後に歌うのがみきちぐで。
説得力のある歌声で。
ちょっと待て、ともみんの「この歌で大スター決定??」という微妙な歌をえんえん聴かされたあとに、みきちぐに歌わせるのはどうかと。
全部、みきちぐが持っていった(笑)。
いやその、ある意味すごい説得力なんだけども、だから社長はここまでマイケルに入れ込んでいるんだと納得できるけども、それにしてもそこでそーゆー納得をさせるのはどうしたもんかと。やっぱ社長、アンソニー単体にはなんの興味もないんじゃあ……。
脚本には、ツッコミどころ満載ですよ。
それでも楽しい『摩天楼狂詩曲』。
うるさくて人騒がせで歌が微妙でも、アンソニー@ともみんは愛すべきキャラクタだ。
彼の温度ごと熱意ごと、アレな脚本(笑)をスルーして、抱きしめたくなる。
なんの説得力も現実味もなくても、「がんばっている」「熱意」「誠意」でハッピーエンドになる世界観を、愛しいと思う。(ただ、スズキケイは恥ずかしいと思う、あちこち・笑)
主人公アンソニー@ともみんの、憧れの人。
さんざんマイケルの素晴らしさを語られているので、そのマイケルらしき人がシルエットで登場した瞬間、誰もが思ったはずだ。
ああ、やっぱりみきちぐなんだ。
みきちぐはアンソニーが常連しているライブハウスの経営者。この物語で唯一の大人。アンソニーの良き理解者、叱ったりからかったり勇気づけたり。
キャスト全員見回しても、伝説のスターを演じられる人はみきちぐ以外にいない。
だからシルエットを見たときに納得、あの小さな姿はみきちぐだろう、やっぱりな。
伝説のロックシンガー・マイケル!!
そーやって現れたその人は!! まいける、だった。
「……ギャグ?」
隣の席の見知らぬ人も、ぼそりとつぶやいていた。
マイケル@まいけるって……!!
伝説のスターがまいけるって……!!
いやその、まいけるはうまい人です、いつもきちんと仕事をこなしてくれる人です、それはわかっています、しかし。
このキャスティングは……出オチ狙い?(首傾げ)
ツッコミどころ満載、んとに素敵な作品です、『摩天楼狂詩曲』。
作者が若い男性であることが痛感できる、男子的萌えが詰まった作品。ゲームか少年マンガだと思えば問題なし。
スズキケイの好みの女の子は、学級委員の優等生美少女(もちろんさらさらロングヘア)で野球部のマネージャー、いつも遅くまで練習している彼のことをずっとグラウンドの陰から見守り、疲れた彼にタオルとドリンクを差しだし、「きっと甲子園に行けるわ、私信じてる。ずっとあなたを応援してるわ!」と言ってくれる子なんだね。
そして、そんな女の子に「甲子園のマウンドで君に捧げる球を投げるよ。そのことを、この白球に誓う。このボールはその誓いの印だ。今日は俺たちの愛の記念日だ」と汗に汚れたボールを差し出す……のを、「かっこいい」と思っているんだろう。んで、女の子が感激の涙で受け取り、ふたりは夕陽の中で固く抱き合うの。
女子からすりゃ、そんな「都合のいい女」、少年マンガかギャルゲーの世界にしか生息しないことはわかっているが、スズキケイはマジなので。マジでそーゆー女の子が好きで、そのテのヒロインばかり描き続けているので(笑)。
男子脳で構成された、わっかりやすい少年マンガ『摩天楼狂詩曲』。
主人公はとことんうるさい熱血野郎。ライバルは人格ナシでも「キザでカッコイイ」ことだけ言及。「あなたの夢を応援しているわ」と瞳キラキラ胸の前で両手を組むヒロイン、物理的な説得力はなくても「がんばっている」「熱意」「誠意」で夢が叶ってハッピーエンド。
いいんじゃないっすか。ファンアイテムってのは、キャストのファンのみが楽しめればそれでOKなもの、世間的に名作である必要はない。リピート前提だから軽くて楽しいのがいちばん。
キャストが魅力的なら、それでいい。
主役のともみんがその体育会系の持ち味を遺憾なく発揮して、2番手役のふたり、みやるりとしーらんにトンデモな見せ場がある、それだけで役割を果たした作品だと思う。
客席が笑いに包まれ、ツッコミ入れつつ爆笑失笑しつつ、あたたかい空気に包まれていた。
しかしこの「夢を叶える」系の物語は、ジャンルによっては見せ方が大変だなと思う。『Paradise Prince』の「300万ドルの絵」のよーに、「成功」を納得させる「成果」を示すのはかなり困難。
スターを夢見るアンソニーとそのバンド仲間たち。
彼らはえんえんオーディションにチャレンジ、そして落ち続けている。
落ちてるんだよね、こんなんじゃ評価できない、歌手デビューできないと。
なのに、ラストはデビュー決定、スターへの切符を手にした! ハッピーエンド!!
オーディションに落ち続けた曲と、ラストのレコード会社社長@ギリーの前で披露した曲が別だったのかどうかはおぼえていないが。
技術的なことや、彼らの持ち味やスター性は、オープニングとラストで、ナニかが決定的に違っているということはない。ともみんの歌唱力も、バンドメンバーの腕も変化ナシ。
その間、死ぬほど練習したわけでもなく、むしろ恋人とうまくいかずに練習には身が入ってない状態だった。
なのに、デビュー決定なのよ、人気バンド決定なのよ。
えーと、悩んだ分、人間に深みが出来て、ソウルのある歌を歌えるよーになった、ということなのかしら?
本当は実力もスター性もあった、ただそれを見抜く能力のある社長と出会わなかった、悪いのは周りであって、主人公ではない、ということなのかしら?
もちろん、説明はされている。
ギリー社長が動いたきっかけは、アンソニーが幻のロックスター・マイケルを崇拝しているということだ。
伝説で幻なので、今の若い子たちは誰もマイケルを知らないか、興味がないらしい。誰もマイケルの曲をカバーしたり、それに影響された歌を歌わないらしい。
それってつまり、マイケルに現在の商品価値がない、売り物にならないってことじゃあ……と思うが、社長は大のマイケルファン。マイケルの曲をカバーしたデモCDを聴き、アンソニーに興味を持った。
そして、アンソニーのナマの歌を聴く前に、彼自身が知らない出生の秘密……ぶっちゃけ、マイケルの息子だということを知る。
お膳立ては完璧。
アンソニーとその仲間たちが、オーディションに落ちまくっているときとなんら変わらなくても、社長に認められることになるのは必然。
社長の大好きなスターの息子だから。
アンソニー自身に実力も魅力もなくても、マイケルの息子で、マイケルを尊敬し、マイケルのような歌を歌う……これだけでオールオッケー、さあ契約しよう、君たちは明日から大スターだ。大丈夫、宣伝さえすりゃ、スターを作るコトなんて簡単さ。
たしかに、辻褄は合ってます、スズキせんせ。
しかしコレっていいのか……? ラストのぶっちぎりぶりに、『落陽のパレルモ』を思い出した(笑)。平民だからダメと言われていたら、ああらびっくり、ほんとはえらい貴族の息子だったから障害全部クリア、ハッピーエンド。って、主人公ナニもしてへんやん!!てな。
しかも、最後の最後に歌うのがみきちぐで。
説得力のある歌声で。
ちょっと待て、ともみんの「この歌で大スター決定??」という微妙な歌をえんえん聴かされたあとに、みきちぐに歌わせるのはどうかと。
全部、みきちぐが持っていった(笑)。
いやその、ある意味すごい説得力なんだけども、だから社長はここまでマイケルに入れ込んでいるんだと納得できるけども、それにしてもそこでそーゆー納得をさせるのはどうしたもんかと。やっぱ社長、アンソニー単体にはなんの興味もないんじゃあ……。
脚本には、ツッコミどころ満載ですよ。
それでも楽しい『摩天楼狂詩曲』。
うるさくて人騒がせで歌が微妙でも、アンソニー@ともみんは愛すべきキャラクタだ。
彼の温度ごと熱意ごと、アレな脚本(笑)をスルーして、抱きしめたくなる。
なんの説得力も現実味もなくても、「がんばっている」「熱意」「誠意」でハッピーエンドになる世界観を、愛しいと思う。(ただ、スズキケイは恥ずかしいと思う、あちこち・笑)
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