月と王子と、運転手の娘。@麗しのサブリナ
2010年8月16日 タカラヅカ『麗しのサブリナ』は好きだ。
が、あちこち残念なのも事実。
原作の縛りなんぞ知らん。
言いたいことを言うぞー。
とりあえず、ストーリーテラー@みわっちに、ストーリーテラーをさせようよ。
コスプレみわっちを見るのは楽しいし、ツボでもあるんだが、途中からストーリーテラーでなくなってしまうのがもったいない。
暗転で使う時間をみわっちタイムにしちゃえばいいのに。暗転長くてうんざりするから、そこにみわっちと、その前後の場面の関係者何人か連れてきて、出番の少なさを改善するとかさー。
そして、ライナス@まとぶんにも、主役っぽいことをさせる。
心が揺れ動いて歌になる、てのが、見事なまでにサブリナ@蘭ちゃん中心なのな。
サブリナがデイヴィッド@壮くんとライナスとの間で揺れ動く→サブリナの独白or歌。てのは何度も繰り返されるのに。
ライナスが騙しているはずのサブリナに惹かれていく→ナニも無し。ラストにとりあえずあるのみ。
最後の分かり切ったところだけじゃなくて、途中の「揺れ動く」ところにこそ必要なんですよ。
サブリナの場面1個削って、ライナスにしようよ。
騙しているだけだ作戦なんだ、惹かれてなんかない……でもいいし、どーして弟の恋人なんだ、オレじゃダメなんかい……でもいい、挿入する位置に相応しい心の爆発ソロを入れる。
出番の少ない人々のためにライナス銀橋ソロの間、本舞台に人いっぱい出していいから。ララビー社のテキパキリーマンズと華やか女性秘書たち、取引相手のタイソン@さおたさん一家も是非。ライナスさんの背負っているモノの表現、台詞ナシで踊ってるだけでイイから。
で、どんだけソロで苦悩しても、ライナスさんはサブリナを騙す現実に立ち戻っていくのですよ。……切ないじゃないですか、もどかしいじゃないですか。
観客は「どーして自分の気持ちに気づかない(正直にならない)のよ?!」とやきもきする、と。
んで、クライマックスをベタに盛り上げたい。
ここはタカラヅカ。タカラヅカならではの、お約束の展開ってのがあるじゃないですか。
ライナスに惹かれてしまい、混乱するサブリナ。
サブリナをこれ以上騙せなくて、真実を告げてしまうライナス。
突然サブリナから別れのキスをされたデイヴィッド。
三角関係モノで、主人公3人がそれぞれ決定的な出来事があり、眠れない夜を過ごしているんですよ。
ここはもちろん、愛の三重唱でしょう。
ララビーオフィスにて、ライナスとサブリナの会話だけでだらだら時間を取らないで、サブリナがデイヴィッドに別れのキスをする場面を舞台端でいいから挿入。
デイヴィッドのとまどいのソロ、サブリナの嘆きのソロ、ライナスの苦悩と決意のソロ、それがついには三重唱になる。
本舞台銀橋花道全部使って、派手にとことん盛り上げる。ここがクライマックス!! みんなどーなっちゃうの?! と、観客の涙をあおり、ハンカチをきりきり噛みしめさせるのですよ!
んで、ライナスに集約、あとは今と同じ朝のオフィスへ着地。
涙ながら旅立つサブリナも、「抜糸したっ、新品同様だーー!!」とキラキラ現れるデイヴィッドも同じ。
兄弟の言い争いも「株のことはわからないが、キスならわかる。別れのキスだった」というデイヴィッドの台詞も、そのままつながる。
誰が主役なのかはっきりしないまま、いつも同じテンションで物語が流れ、ストーリーテラーがいつの間にかモブになり、クライマックスがどこかもわかんない……今のままは、もったいないなあと。
原作映画通り、カケラも変えてはいけないという契約なのかもしれんが。
それにしても、立ち話だけのクライマックスはナイよなあ。
今のままでも、実はいちばん泣けるのが、サブリナが真実を知る、夜のオフィス場面なんですがね。
好きな男に、ここまでやられたら、パリに行くしかないよなああ。
ライナスに惹かれていることに混乱して、このままじゃいけないと自分を律しているところに、ふたり分のパリ行きチケット。
愛されてたんだ! 弟の恋人をパリにさらって逃げるほどに。
ライナスは私の気持ちなんかお見通しだった。だからもう私は、迷わず彼についていけばいいんだ。
そう舞い上がった直後に。
全部嘘だったと告げられる。
「君が障害だった」
障害て。障害って。
や、たしかにそうなんだろうけど、好きな男にそう言われるって。
デイヴィッドを忘れさせるために、心変わりさせるために、口説かれていた。
ふたりの間で揺れ動いたのはとーぜん、だってそのつもりで踊らされていたんだもの。
んで、完璧にただの嘘、騙されただけだとわかれば、怒るだけで済むが。
ライナスが苦しんでいることまで、わかってしまうから。
彼の誠実さ、自分を傷つけまいと今種明かしをしてしまったこと、そんなことが全部わかってしまうから。
救われない。
空っぽの船室に花と別れの手紙(代筆)が置いてある、と洞察したサブリナに、「それだけじゃない!」とあわてるライナスが哀れだ。「アパートと車と銀行口座と」傷つけたくなくて、誠意を尽くしたくて、でもその方向が間違っている仕事人間。そーやって、愛する少女を自分の手で、ずたずたに傷つけて。
「寛大ね」
とつぶやくサブリナを見る、ライナスの目が。顔が。
哀れで、滑稽で、切ない。
ふたりともが、ふたり分、傷ついた。
翌朝の、父@はっちさんと別れるときのサブリナが、いい女だ。
たった一晩で、彼女は「女」の顔になっている。少女ではなくて。
自分の傷を、真実を、誰にも告げず、全部ひとりで飲み込んで、旅立っていく。
てのがなあ。
切なくていいんだよなあ。
もともと大好きな場面だから、今のままでもいいっちゃーいいんだが。
ミュージカルとして、「タカラヅカ」として、盛り上げることは可能なのにな、と。
が、あちこち残念なのも事実。
原作の縛りなんぞ知らん。
言いたいことを言うぞー。
とりあえず、ストーリーテラー@みわっちに、ストーリーテラーをさせようよ。
コスプレみわっちを見るのは楽しいし、ツボでもあるんだが、途中からストーリーテラーでなくなってしまうのがもったいない。
暗転で使う時間をみわっちタイムにしちゃえばいいのに。暗転長くてうんざりするから、そこにみわっちと、その前後の場面の関係者何人か連れてきて、出番の少なさを改善するとかさー。
そして、ライナス@まとぶんにも、主役っぽいことをさせる。
心が揺れ動いて歌になる、てのが、見事なまでにサブリナ@蘭ちゃん中心なのな。
サブリナがデイヴィッド@壮くんとライナスとの間で揺れ動く→サブリナの独白or歌。てのは何度も繰り返されるのに。
ライナスが騙しているはずのサブリナに惹かれていく→ナニも無し。ラストにとりあえずあるのみ。
最後の分かり切ったところだけじゃなくて、途中の「揺れ動く」ところにこそ必要なんですよ。
サブリナの場面1個削って、ライナスにしようよ。
騙しているだけだ作戦なんだ、惹かれてなんかない……でもいいし、どーして弟の恋人なんだ、オレじゃダメなんかい……でもいい、挿入する位置に相応しい心の爆発ソロを入れる。
出番の少ない人々のためにライナス銀橋ソロの間、本舞台に人いっぱい出していいから。ララビー社のテキパキリーマンズと華やか女性秘書たち、取引相手のタイソン@さおたさん一家も是非。ライナスさんの背負っているモノの表現、台詞ナシで踊ってるだけでイイから。
で、どんだけソロで苦悩しても、ライナスさんはサブリナを騙す現実に立ち戻っていくのですよ。……切ないじゃないですか、もどかしいじゃないですか。
観客は「どーして自分の気持ちに気づかない(正直にならない)のよ?!」とやきもきする、と。
んで、クライマックスをベタに盛り上げたい。
ここはタカラヅカ。タカラヅカならではの、お約束の展開ってのがあるじゃないですか。
ライナスに惹かれてしまい、混乱するサブリナ。
サブリナをこれ以上騙せなくて、真実を告げてしまうライナス。
突然サブリナから別れのキスをされたデイヴィッド。
三角関係モノで、主人公3人がそれぞれ決定的な出来事があり、眠れない夜を過ごしているんですよ。
ここはもちろん、愛の三重唱でしょう。
ララビーオフィスにて、ライナスとサブリナの会話だけでだらだら時間を取らないで、サブリナがデイヴィッドに別れのキスをする場面を舞台端でいいから挿入。
デイヴィッドのとまどいのソロ、サブリナの嘆きのソロ、ライナスの苦悩と決意のソロ、それがついには三重唱になる。
本舞台銀橋花道全部使って、派手にとことん盛り上げる。ここがクライマックス!! みんなどーなっちゃうの?! と、観客の涙をあおり、ハンカチをきりきり噛みしめさせるのですよ!
んで、ライナスに集約、あとは今と同じ朝のオフィスへ着地。
涙ながら旅立つサブリナも、「抜糸したっ、新品同様だーー!!」とキラキラ現れるデイヴィッドも同じ。
兄弟の言い争いも「株のことはわからないが、キスならわかる。別れのキスだった」というデイヴィッドの台詞も、そのままつながる。
誰が主役なのかはっきりしないまま、いつも同じテンションで物語が流れ、ストーリーテラーがいつの間にかモブになり、クライマックスがどこかもわかんない……今のままは、もったいないなあと。
原作映画通り、カケラも変えてはいけないという契約なのかもしれんが。
それにしても、立ち話だけのクライマックスはナイよなあ。
今のままでも、実はいちばん泣けるのが、サブリナが真実を知る、夜のオフィス場面なんですがね。
好きな男に、ここまでやられたら、パリに行くしかないよなああ。
ライナスに惹かれていることに混乱して、このままじゃいけないと自分を律しているところに、ふたり分のパリ行きチケット。
愛されてたんだ! 弟の恋人をパリにさらって逃げるほどに。
ライナスは私の気持ちなんかお見通しだった。だからもう私は、迷わず彼についていけばいいんだ。
そう舞い上がった直後に。
全部嘘だったと告げられる。
「君が障害だった」
障害て。障害って。
や、たしかにそうなんだろうけど、好きな男にそう言われるって。
デイヴィッドを忘れさせるために、心変わりさせるために、口説かれていた。
ふたりの間で揺れ動いたのはとーぜん、だってそのつもりで踊らされていたんだもの。
んで、完璧にただの嘘、騙されただけだとわかれば、怒るだけで済むが。
ライナスが苦しんでいることまで、わかってしまうから。
彼の誠実さ、自分を傷つけまいと今種明かしをしてしまったこと、そんなことが全部わかってしまうから。
救われない。
空っぽの船室に花と別れの手紙(代筆)が置いてある、と洞察したサブリナに、「それだけじゃない!」とあわてるライナスが哀れだ。「アパートと車と銀行口座と」傷つけたくなくて、誠意を尽くしたくて、でもその方向が間違っている仕事人間。そーやって、愛する少女を自分の手で、ずたずたに傷つけて。
「寛大ね」
とつぶやくサブリナを見る、ライナスの目が。顔が。
哀れで、滑稽で、切ない。
ふたりともが、ふたり分、傷ついた。
翌朝の、父@はっちさんと別れるときのサブリナが、いい女だ。
たった一晩で、彼女は「女」の顔になっている。少女ではなくて。
自分の傷を、真実を、誰にも告げず、全部ひとりで飲み込んで、旅立っていく。
てのがなあ。
切なくていいんだよなあ。
もともと大好きな場面だから、今のままでもいいっちゃーいいんだが。
ミュージカルとして、「タカラヅカ」として、盛り上げることは可能なのにな、と。
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