サブリナの恋。@麗しのサブリナ
2010年9月10日 タカラヅカ 『麗しのサブリナ』にて、サブリナ@蘭ちゃんに感情移入しまくるのは、彼女の「恋」の演技がいちいちリアルに思えるから。
わたしの胸きゅんポイントを刺激する。
デイヴィッド@壮くんに恋したのが、9歳のとき。
遊んでいるときにいきなりキスされて、以来ずーーっと好きだった、と。
それって、ただのあこがれじゃん?
運転手の娘が、お屋敷のおぼっちゃんにキスされて、舞い上がらないはずがない。
小さな女の子の、小さなあこがれ、小さな恋。
相手は名うてのプレイボーイ、女の子を取っかえ引っかえ。9歳のサブリナにキスしたのも軽いキモチ、中学か高校のころ? つか、絶対おぼえてねえ。ハイスクール時代にはもう遊びまくりだったわけだし。そして結婚→離婚を3セット経験だし。
そんなひどい男に、子どもだからと相手にされず、あてつけ自殺を考えるくらい、思い詰めたのが20歳。
手に入らないモノだからこそ、まぶしく見えるんだろう。
木の上からパーティを見ているように。
サブリナがあこがれていたのはデイヴィッド自身ではなく、デイヴィッドのいるあのきらびやかなパーティだったんじゃないか。
ドレスを着て、パーティで王子様と踊る、自分自身だったんじゃないか。
パリで大人の美女に変身して戻ってきたのが22歳。
洗練された彼女の姿に、デイヴィッドもめろめろ。
あこがれていたものが全部、彼女の手に入る。王子様みたいなデイヴィッド、お屋敷のパーティ。
敵になると思っていた兄のライナス@まとぶんも、まさかの味方宣言。
月が手をさしのべるほどの、奇跡。
あこがれをすべて手に入れた少女は舞い上がる。
そして。
そこから、彼女の本当の恋がはじまる。
デイヴィッドを10年以上好きだったのに、たかが数日で心変わり。結果としてはそうだけど、ほんとのとこはそうじゃない。
デイヴィッドへの想いはたしかに「初恋」と呼んでいいものだけれど、あこがれが主成分だ。幼さゆえだ。
本当に恋をしたのは、ライナス相手だ。
戯れのキスであこがれがスタートした9歳のサブリナ。
またしても、キスで恋がはじまるんだ。
デイヴィッドを待っていたテニスコートで、ライナスから代理でキスをされた。……サブリナって、キスでスイッチ入っちゃう子なのな(笑)。
サブリナにとってデイヴィッドは王子様だったけれど、ライナスは「こわいおじさん」か。
彼女が9歳のとき、デイヴィッドはまだ少年だったけれど、ライナスはすでに青年だったろうし。
子どもの目に最初から「大人」と映っていたなら、それはずっと変わらず「対象外」な姿だろう。
デイヴィッドに口説かれて舞い上がるサブリナは、実に屈託なく接している。気取ったり甘えたり、てらいがない。
でも、ライナスの前ではとても不安定。上から目線で語ってみたり、顔色をうかがったり。
デイヴィッドを前にしているときの安定したキモチと、ライナスに対する「おびえ」。
無意識のうちに彼女は、空想と現実を分けているのではないか。
デイヴィッドはあくまでも空想上の王子様。なにを言ってもしてもかまわない。だってこれはわたしの夢。空想の中の恋だから、自由自在。
でも、ライナスはチガウ。いつ嫌われるかわからない、思い通りになるはずのない、現実。だから、がんばる。顔色をうかがう、演技もする。オンナノコを全開にして、アンテナを全開にして、探る。ねえ、ワタシノコト、ドウオモッテルノ?
まだ焦点がデイヴィッドに合っているうちは、ライナスに対してなんのおそれもない。最初のテニスコートではむしろ、「運命の恋を邪魔するなら、戦うわよ」ぐらいの気合いで接している。
それが、キスされたことで、サブリナにスイッチが入る。
対象外のおじさんではない、素敵な異性なんだということに、はじめて気づく。
次に、最初のデート。ここでもまだ焦点はデイヴィッドなので、サブリナは無防備にライナスに接し、受け入れている。するとライナスは思っていたような堅いだけの男ではない上、しかも自分に気があるような言動を取る。
ここから、生身の男女としてのつきあいがはじまる。
サブリナは、女の本能でライナスの真意を探る。
テンション高く話す、その裏にある計算。
気持ちをコントロールしようとする努力。
わざとふざけて失礼な物言いをした直後、「言い過ぎた?」と相手の顔色を見る。
明るく振る舞う直前に、気合いを入れてわざとテンションを上げる。
相手の反応がこわくて、ひとりで喋り続ける。
沈黙をごまかすために、どうでもいいことに逃げる。
そんな、「女の子」な部分が、切ない。
計算、と言うのは勘弁して欲しい、好きな相手に本能でしてしまう、女の子の精一杯の闘い。
相手の気持ちがわからない。
弟の代わりにつきあってくれているだけの、大人の男性。ふつうならただのお義理で済むはずなのに、何故かそこに愛があるような言動を見せる。
愛されている? いや、チガウかもしれない。
ふつうなら相手にされっこないんだ。代わりだから、一緒に過ごしているだけ。
身分違いで、年齢差も大きくて、代理で。
立場がずーーっと下だからこそ、サブリナは懸命に背伸びをする。
パリの話題は幸い。
彼女が唯一ライナスに「勝つ」ことの出来る話題。
だからサブリナは必死になってパリの話をする。上から目線でライナスに教える。
いや、ほんとうはわかってる。
ライナスはわざと負けてくれている。サブリナの話すパリでのルールなんか、どうでもいいとわかっている。わかっていてそれでも、話を聞いて感心してくれている。
そのやさしさに触れたくて、彼の手の中で踊っている、踊らせてくれている感覚を味わいたくて、パリの話をする。
運転する彼の横顔に見とれて、大人の彼につりあわない自分の卑小さを感じて、でもそんなキモチを悟られてはならないと必死にテンション上げて、ことさら陽気にはしゃいでみせて。
想いを持てあまし、彼を見つめて沈黙してしまい、ごまかすために帽子のつばの話にしてしまったり。
どうすればいいのかわからなくなって、デートをすっぽかそうとして、でも結局会いに行ってしまったり。
感情をぶつけながら、そのたび相手の反応をこわがって、そのことによって嫌われたんじゃないかとおびえて。
ひとつひとつの行動が、言葉が、リアル過ぎて痛い。
新人公演でみりおん演じるサブリナが、そーゆー裏の心の動きや感情の脊髄反射みたいなところがなく、脚本に文字として書かれているだけの演技をしているのを見て、余計に蘭ちゃんの演技の細かさに瞠目したのね。
たとえばみりおんだと、ほんとに楽しいデートだから「お食事最高だった!」と言ったように見えたし、帽子のつばが気になっただけに見えたから。
蘭ちゃんの「恋」の演技は、わたしのツボにはまるんだろう。
彼女を見ていると、ほんとにサブリナになってライナスに恋をしてしまう。
切ない、身分違いの恋を。
月が手を差しのばした……はずなのに、ドレスを着て舞踏会に出かけているのに、屋根裏部屋で膝を抱えているシンデレラみたいな切なさを抱えている、そんな恋。
月を眺めながら涙を流している、そんな恋。
わたしの胸きゅんポイントを刺激する。
デイヴィッド@壮くんに恋したのが、9歳のとき。
遊んでいるときにいきなりキスされて、以来ずーーっと好きだった、と。
それって、ただのあこがれじゃん?
運転手の娘が、お屋敷のおぼっちゃんにキスされて、舞い上がらないはずがない。
小さな女の子の、小さなあこがれ、小さな恋。
相手は名うてのプレイボーイ、女の子を取っかえ引っかえ。9歳のサブリナにキスしたのも軽いキモチ、中学か高校のころ? つか、絶対おぼえてねえ。ハイスクール時代にはもう遊びまくりだったわけだし。そして結婚→離婚を3セット経験だし。
そんなひどい男に、子どもだからと相手にされず、あてつけ自殺を考えるくらい、思い詰めたのが20歳。
手に入らないモノだからこそ、まぶしく見えるんだろう。
木の上からパーティを見ているように。
サブリナがあこがれていたのはデイヴィッド自身ではなく、デイヴィッドのいるあのきらびやかなパーティだったんじゃないか。
ドレスを着て、パーティで王子様と踊る、自分自身だったんじゃないか。
パリで大人の美女に変身して戻ってきたのが22歳。
洗練された彼女の姿に、デイヴィッドもめろめろ。
あこがれていたものが全部、彼女の手に入る。王子様みたいなデイヴィッド、お屋敷のパーティ。
敵になると思っていた兄のライナス@まとぶんも、まさかの味方宣言。
月が手をさしのべるほどの、奇跡。
あこがれをすべて手に入れた少女は舞い上がる。
そして。
そこから、彼女の本当の恋がはじまる。
デイヴィッドを10年以上好きだったのに、たかが数日で心変わり。結果としてはそうだけど、ほんとのとこはそうじゃない。
デイヴィッドへの想いはたしかに「初恋」と呼んでいいものだけれど、あこがれが主成分だ。幼さゆえだ。
本当に恋をしたのは、ライナス相手だ。
戯れのキスであこがれがスタートした9歳のサブリナ。
またしても、キスで恋がはじまるんだ。
デイヴィッドを待っていたテニスコートで、ライナスから代理でキスをされた。……サブリナって、キスでスイッチ入っちゃう子なのな(笑)。
サブリナにとってデイヴィッドは王子様だったけれど、ライナスは「こわいおじさん」か。
彼女が9歳のとき、デイヴィッドはまだ少年だったけれど、ライナスはすでに青年だったろうし。
子どもの目に最初から「大人」と映っていたなら、それはずっと変わらず「対象外」な姿だろう。
デイヴィッドに口説かれて舞い上がるサブリナは、実に屈託なく接している。気取ったり甘えたり、てらいがない。
でも、ライナスの前ではとても不安定。上から目線で語ってみたり、顔色をうかがったり。
デイヴィッドを前にしているときの安定したキモチと、ライナスに対する「おびえ」。
無意識のうちに彼女は、空想と現実を分けているのではないか。
デイヴィッドはあくまでも空想上の王子様。なにを言ってもしてもかまわない。だってこれはわたしの夢。空想の中の恋だから、自由自在。
でも、ライナスはチガウ。いつ嫌われるかわからない、思い通りになるはずのない、現実。だから、がんばる。顔色をうかがう、演技もする。オンナノコを全開にして、アンテナを全開にして、探る。ねえ、ワタシノコト、ドウオモッテルノ?
まだ焦点がデイヴィッドに合っているうちは、ライナスに対してなんのおそれもない。最初のテニスコートではむしろ、「運命の恋を邪魔するなら、戦うわよ」ぐらいの気合いで接している。
それが、キスされたことで、サブリナにスイッチが入る。
対象外のおじさんではない、素敵な異性なんだということに、はじめて気づく。
次に、最初のデート。ここでもまだ焦点はデイヴィッドなので、サブリナは無防備にライナスに接し、受け入れている。するとライナスは思っていたような堅いだけの男ではない上、しかも自分に気があるような言動を取る。
ここから、生身の男女としてのつきあいがはじまる。
サブリナは、女の本能でライナスの真意を探る。
テンション高く話す、その裏にある計算。
気持ちをコントロールしようとする努力。
わざとふざけて失礼な物言いをした直後、「言い過ぎた?」と相手の顔色を見る。
明るく振る舞う直前に、気合いを入れてわざとテンションを上げる。
相手の反応がこわくて、ひとりで喋り続ける。
沈黙をごまかすために、どうでもいいことに逃げる。
そんな、「女の子」な部分が、切ない。
計算、と言うのは勘弁して欲しい、好きな相手に本能でしてしまう、女の子の精一杯の闘い。
相手の気持ちがわからない。
弟の代わりにつきあってくれているだけの、大人の男性。ふつうならただのお義理で済むはずなのに、何故かそこに愛があるような言動を見せる。
愛されている? いや、チガウかもしれない。
ふつうなら相手にされっこないんだ。代わりだから、一緒に過ごしているだけ。
身分違いで、年齢差も大きくて、代理で。
立場がずーーっと下だからこそ、サブリナは懸命に背伸びをする。
パリの話題は幸い。
彼女が唯一ライナスに「勝つ」ことの出来る話題。
だからサブリナは必死になってパリの話をする。上から目線でライナスに教える。
いや、ほんとうはわかってる。
ライナスはわざと負けてくれている。サブリナの話すパリでのルールなんか、どうでもいいとわかっている。わかっていてそれでも、話を聞いて感心してくれている。
そのやさしさに触れたくて、彼の手の中で踊っている、踊らせてくれている感覚を味わいたくて、パリの話をする。
運転する彼の横顔に見とれて、大人の彼につりあわない自分の卑小さを感じて、でもそんなキモチを悟られてはならないと必死にテンション上げて、ことさら陽気にはしゃいでみせて。
想いを持てあまし、彼を見つめて沈黙してしまい、ごまかすために帽子のつばの話にしてしまったり。
どうすればいいのかわからなくなって、デートをすっぽかそうとして、でも結局会いに行ってしまったり。
感情をぶつけながら、そのたび相手の反応をこわがって、そのことによって嫌われたんじゃないかとおびえて。
ひとつひとつの行動が、言葉が、リアル過ぎて痛い。
新人公演でみりおん演じるサブリナが、そーゆー裏の心の動きや感情の脊髄反射みたいなところがなく、脚本に文字として書かれているだけの演技をしているのを見て、余計に蘭ちゃんの演技の細かさに瞠目したのね。
たとえばみりおんだと、ほんとに楽しいデートだから「お食事最高だった!」と言ったように見えたし、帽子のつばが気になっただけに見えたから。
蘭ちゃんの「恋」の演技は、わたしのツボにはまるんだろう。
彼女を見ていると、ほんとにサブリナになってライナスに恋をしてしまう。
切ない、身分違いの恋を。
月が手を差しのばした……はずなのに、ドレスを着て舞踏会に出かけているのに、屋根裏部屋で膝を抱えているシンデレラみたいな切なさを抱えている、そんな恋。
月を眺めながら涙を流している、そんな恋。
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