デイヴィッド@壮くんが、かわいくてならない。
 ……て話は、何度も書いた。

 大富豪のおぼっちゃまで、気楽な次男坊で末っ子で、ハンサムで、家族からもそれ以外からも愛情とお金を山ほど与えられて甘やかされて育った夢の王子様。
 疑うことを知らない笑顔に、ムカつき無限大、こいつムカつくー、うきー、大好き。
 好きすぎてムカムカする(笑)。

 てなことは何度も書いたので、置くとして。

 『麗しのサブリナ』は、デイヴィッドの成長物語でもあるのだな、と。

 デイヴィッドはずるい。
 いつも女の子をとっかえひっかえ、お気軽に罪なく責任なく生きている。
 「エリザベスは好き、でも他の女の子も好き」と、堂々と言ってしまうくらい、ナチュラルに諸星あたる。

 そんなデイヴィッドだから、ふつーにサブリナ@蘭ちゃんの美貌に恋をして。
 軽いノリの恋。本人は運命の恋だと言い張るけれど、過去の恋もどうやら同じよーなことを言っていたみたいだし。アテにならんわなあ、ドンファンの言い分なんざ(笑)。

 そもそも、デイヴィッドがケガをして動けない自分の代わりに、ライナス@まとぶんにサブリナの相手を託したのって……いろいろとひどい理由だよね?

 サブリナは超美女。男たちが放っておかない。
 だからひとりで放置は危険。どんなムシが寄ってくるかわからない。
 かといって、友人たちには頼めない。友人たちもカノジョ持ちだが、デイヴィッドと一緒で「カノジョも好きだけど、他の女の子も好き」なチャラ男ども。
 パーティでサブリナに群がっていたくらいだ、あいつらに任せるのは危険。
 それに、友人たちもまたセレブなイケメンたちだ、サブリナがうっかり恋しちゃうかもしれない、危険危険。

 サブリナのムシ除けをしてくれて、サブリナが決して惚れたりしない、魅力のない男……ライナスが適任!

 ……ひどい。ひどいわデイヴィッド!!(笑)
 自分の味方で、言うことを聞いてくれて、男として安全牌、それがライナス・ララビー、アナタなら大丈夫!

 堅物兄貴ならどんなにサブリナが魅力的でもなんとも思わないだろうし。
 それに。

 それに、弟の恋人を、取るはずがないし。

 そう、デイヴィッドは自惚れている。
 ライナスに、愛されていること。

 美女よりも、かわいい弟を兄が優先すると、疑いもせずに信じている(笑)。

 ……ったく、デイヴィッドめ!
 重ね重ねひどい。どんだけ上から目線、どんだけ自惚れ屋。

「兄貴は、芝居は半分眠ってて、株と税金のことばかり話していただろう」
 と、見事に侮った発言をするデイヴィッド。

 男としての魅力を認める友人たちは信用せず、男として侮りまくりの兄のことは信じきって。

 そうして、悲劇は起こる。

 二重の裏切り。

 恋人のはずのサブリナが、心変わりして兄ライナスを取った!!
 ブラコンの兄ライナスが、心変わりして恋人のサブリナを取った!!

 ふたりとも、僕のことを愛してくれていたはずなのに?! 恋人と兄、両方に裏切られたんですけど?! どーゆーことよ?!!

 サブリナに「別れのキス」をされたデイヴィッドは、兄のオフィスへ行く。
 昼~夜しかタイムテーブルのないデイヴィッドが、わざわざ午前中にだ。
 きっと、眠らなかったんだ。眠れなかったんだ。本人の言葉通り。

 そこで、兄をぶん殴る。「覚えがあるだろう」と。

 サブリナを傷つけた。デイヴィッドを傷つけた。
 不器用な兄。

 そしてその兄は、デイヴィッドにサブリナと一緒になれと言う。2000万ドルの事業を棒に振ってでも。

 そこで、知るわけだ。
 デイヴィッドにパリへ行けと言うライナスが守りたいモノは、サブリナだと。

 おにーちゃんは、会社でも自分でも弟でもなく、サブリナという小娘を守るため、一生懸命になっているんだってことを。

 誰からも愛され、甘やかされていたデイヴィッド。
 ライナス兄ちゃんだって、なんやかんや言ってもいつも、いちばんの味方だったのに。
 愛されるまま、なんの責任もなく人生を謳歌していたデイヴィッドは、いちばん侮っていた、愛情を疑っていなかった相手から、裏切られた。

 おにーちゃんに、捨てられた。

 ライナスは、デイヴィッドよりも、サブリナが大事だって。

 あの堅物兄貴が、そこまでしますか。
 変わってしまった兄、捨てられた自分。
 がーん、とした顔をしつつ、捨て台詞を残して退場、するしかない。

 だって、デイヴィッドにもわかるから。
 裏切ったのはライナス、傷つけたのもライナス。
 でも、ライナス自身も傷ついている。そして、不器用な彼が、彼に出来る限りの誠意を尽くそうとしている。

 それは、サブリナと同じで。
 サブリナもまた、ライナスの裏切りと不器用な誠意を見せられ、傷つきながらも、全部受け入れるしかなかった。
 デイヴィッドも、全部受け入れるしかないんだ。傷つきながら。

 3人が3人とも傷ついた。3人分、傷ついた。

 さて、そーやって捨て台詞を残して飛び出していったデイヴィッドは、一計を案じて戻ってくる。
 新聞にライナスとサブリナのことを書かせたのは、その通りにしないと、事実チガウってことで株価に影響が? サブリナを騙してひとりパリへ送ったとばれると、非人道的だと醜聞になる?
 社交欄のある世界のことはよくわかんないけど、「決心させてやったんだ」と言うからには、退路を断つ意味だろう。

 デイヴィッドは、そーやってライナスのお尻を蹴り上げる、わけだ。
 愛しているなら、行けよ、と。

 傷ついたお尻をさらして兄に甘えていたデイヴィッドが。
 兄に自由を与える代わりに、義務と責任を、自分が引き受けた。

 罪なく責任なく、お気楽に他人の愛だけを食べて生きていた、極楽トンボが、他人の愛のために、地に足をつけた。

 はじめて、裏切られて。
 愛する者を裏切らずにはいられないほどの、恋を見せつけられて。

 デイヴィッドはひとつ、大人になったわけだ。

 ……そーゆー話だよね、『麗しのサブリナ』!!
 てゆーかデイヴィッド、いい男ぢゃね? やっぱイイよ、すげー好きだー、もームカつくーー!!

 義務と責任を引き受けたっつっても、またすぐ彼がひょろひょろチャラチャラすることは、想像に難くないとしても。
 大いなる進歩、成長だよね(笑)。

 すべては、愛の名のもとに。

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