笑顔の向かうところ。
2010年9月14日 タカラヅカ 見送る、ことに全力を傾ける。
これはヅカファンの習性。
退団は最大のイベント……祭りである。
日常ではない、特別の時間、ハレの日。
そうやって、花園を卒業していく人を見送る。
ヅカファンやって20年余、何人もの「大好きな人」を見送ってきて。
実はこれほど、不安というか、心許ないキモチになったことはない。
次期トップスターに。
9月12日、水くんは卒業し、翌13日からは、キムくんが雪組トップスターになった。
キム個人の、「トップスター」としての資質、実力にはなんの不安もない。彼に関しては、別に3年前とかでもトップになっていておかしくないくらい、早熟な、出来上がった人だと思っている。
だから、不安なのはすべて、外側の状況と、それがキムくんに与える影響だ。
ゆみこちゃんの退団発表からずっとずっと、雪組人事は荒れまくり、落ち着くことがない。
せっかくの新体制、トップお披露目だって、相手役ナシでプレと合わせて3人の娘役と組むというイレギュラー。しかもそのうちのひとりは、問題山積みの研1の彼女。
トップになれればそれでいい、てなもんじゃなく、もっと彼に負担のないトップ就任あれこれは用意できたはずなのに、劇団はこれでもかと向かい風を彼に叩きつける。
キムくんはトップスターに相応しい人だと思っている……てのは、舞台技術や美貌だけではなく、人間としての強さや大きさも含まれている。それらも含め、彼の能力になんの心配もしていないけれど……けれど、彼だって人間だ、こんだけいろいろあったら、正直大変だろう。
てなことを、勝手に考えて、心配していたんだ。
だから。
キムの笑顔は、救いだった。
ムラ楽の日。
退団者たちを見送ったあと、その退団者たちが歩いた花道を、ただひとり次期トップスターが歩く。
ムラは退団パレードと楽屋口が別なので、出演者たちの楽屋出と、退団者のパレードは場所がチガウのね。他の雪組生たちは楽屋から出るけれど、キムだけは、パレード用の花道を歩く。
水しぇんを見送って、なんかアタマがぼーぜんとしていたわたしは、まだキムくんがこれから出てくる、と理屈ではわかっていたが、足が勝手にふらふらと駅に向かっていた。疲れていたんだ、心底。
また、キムくんを見るのはなんかつらいな、という思いもあった。
それで門の外まで出たのだけど。
そこでちょうど、キムくんが出たらしい。
拍手とストロボの光がそれを教えた。
花の道で足を止めて、そちらを見た。キムくんを見られるかどうかわからない……門の中で車に乗られてしまったら、姿は見えないわけだし……けれど、立ち止まってみた。
すると、キムくんは歓声に応えながら、門の外まで来てくれた。
キムくんは、笑っていた。
「きゃ~~!!」「かわいい~~!!」という黄色い声ががんがん飛び交い、周囲が一気に華やいだ。
キムは笑って両手を振り、軽やかにファンの間を駆け回っていた。
沿道のファンが「きゃ~~!!」と手を振れば、そちらに向かって手を振る。
小動物のように、フットワーク軽く、笑顔を振りまいていた。
うわー。
わたしは、ぽかーんとそれを眺めた。
楽屋入りのギャラリーとかはしたことあっても、ここまで四方八方に人がいる状況ではないし、会の人たちがガードしている中ではここまでみんな「かわい~~!!」と叫びまくらない。
ここに集まっている人々の多くは、統制された会のガードの人たちではなく、トップ退団というイベントに集まった一般ファンだ。現役会の人たちは懸命にガードしているのだと思うが、この場の人数割合からすれば、たかがしれている。退団者のファンはすでにフェアウェル会場へ移動していたり、お目当てのスターの袴姿を見て帰路についているだろうし。
新聞に「何千人のファンが別れを惜しんだ」と書かれる、その何分の1かの人々が、まだそこに残っている、その人たちが、きゃーきゃー声を上げているんだから、かなりの人数、かなりの声だ。
その人々の歓声を浴びて、キムくんは笑っていた。
きれいなきれいな、屈託のない笑顔だった。
その笑顔に、救われた。
たとえナニがあっても、この人は、ファンに笑顔を見せる。
「タカラヅカスター・音月桂」としての務めを果たす。
退団は、別れは寂しいけれど、タカラヅカはこれからも続く。雪組は続く。先人たちの築いたモノを受け継いで、現役生たちが続けていく。
キムくん自身、退団者との別れはつらいだろうし、これからの不安だのプレッシャーだのしこたま抱えているだろうけれど、それでも彼はファンの前では笑うんだ。
ファンが見たいであろう、元気で明るいキム、の、屈託ない笑顔を見せるんだ。
東宝楽のキムくんの入りも見たが、やはり彼は全開で笑っていて、ギャラリーに「かわい~~!!」と叫ばれていた。
交通機関の関係で、出は見られなかったけれど、きっと笑顔だったんだと思う。
贔屓が雪組に組替えになる、こと以前に、キムを好きだと思い、彼を見守りたいと思う。
彼の笑顔を信じて、ついて行こうと思う。
これはヅカファンの習性。
退団は最大のイベント……祭りである。
日常ではない、特別の時間、ハレの日。
そうやって、花園を卒業していく人を見送る。
ヅカファンやって20年余、何人もの「大好きな人」を見送ってきて。
実はこれほど、不安というか、心許ないキモチになったことはない。
次期トップスターに。
9月12日、水くんは卒業し、翌13日からは、キムくんが雪組トップスターになった。
キム個人の、「トップスター」としての資質、実力にはなんの不安もない。彼に関しては、別に3年前とかでもトップになっていておかしくないくらい、早熟な、出来上がった人だと思っている。
だから、不安なのはすべて、外側の状況と、それがキムくんに与える影響だ。
ゆみこちゃんの退団発表からずっとずっと、雪組人事は荒れまくり、落ち着くことがない。
せっかくの新体制、トップお披露目だって、相手役ナシでプレと合わせて3人の娘役と組むというイレギュラー。しかもそのうちのひとりは、問題山積みの研1の彼女。
トップになれればそれでいい、てなもんじゃなく、もっと彼に負担のないトップ就任あれこれは用意できたはずなのに、劇団はこれでもかと向かい風を彼に叩きつける。
キムくんはトップスターに相応しい人だと思っている……てのは、舞台技術や美貌だけではなく、人間としての強さや大きさも含まれている。それらも含め、彼の能力になんの心配もしていないけれど……けれど、彼だって人間だ、こんだけいろいろあったら、正直大変だろう。
てなことを、勝手に考えて、心配していたんだ。
だから。
キムの笑顔は、救いだった。
ムラ楽の日。
退団者たちを見送ったあと、その退団者たちが歩いた花道を、ただひとり次期トップスターが歩く。
ムラは退団パレードと楽屋口が別なので、出演者たちの楽屋出と、退団者のパレードは場所がチガウのね。他の雪組生たちは楽屋から出るけれど、キムだけは、パレード用の花道を歩く。
水しぇんを見送って、なんかアタマがぼーぜんとしていたわたしは、まだキムくんがこれから出てくる、と理屈ではわかっていたが、足が勝手にふらふらと駅に向かっていた。疲れていたんだ、心底。
また、キムくんを見るのはなんかつらいな、という思いもあった。
それで門の外まで出たのだけど。
そこでちょうど、キムくんが出たらしい。
拍手とストロボの光がそれを教えた。
花の道で足を止めて、そちらを見た。キムくんを見られるかどうかわからない……門の中で車に乗られてしまったら、姿は見えないわけだし……けれど、立ち止まってみた。
すると、キムくんは歓声に応えながら、門の外まで来てくれた。
キムくんは、笑っていた。
「きゃ~~!!」「かわいい~~!!」という黄色い声ががんがん飛び交い、周囲が一気に華やいだ。
キムは笑って両手を振り、軽やかにファンの間を駆け回っていた。
沿道のファンが「きゃ~~!!」と手を振れば、そちらに向かって手を振る。
小動物のように、フットワーク軽く、笑顔を振りまいていた。
うわー。
わたしは、ぽかーんとそれを眺めた。
楽屋入りのギャラリーとかはしたことあっても、ここまで四方八方に人がいる状況ではないし、会の人たちがガードしている中ではここまでみんな「かわい~~!!」と叫びまくらない。
ここに集まっている人々の多くは、統制された会のガードの人たちではなく、トップ退団というイベントに集まった一般ファンだ。現役会の人たちは懸命にガードしているのだと思うが、この場の人数割合からすれば、たかがしれている。退団者のファンはすでにフェアウェル会場へ移動していたり、お目当てのスターの袴姿を見て帰路についているだろうし。
新聞に「何千人のファンが別れを惜しんだ」と書かれる、その何分の1かの人々が、まだそこに残っている、その人たちが、きゃーきゃー声を上げているんだから、かなりの人数、かなりの声だ。
その人々の歓声を浴びて、キムくんは笑っていた。
きれいなきれいな、屈託のない笑顔だった。
その笑顔に、救われた。
たとえナニがあっても、この人は、ファンに笑顔を見せる。
「タカラヅカスター・音月桂」としての務めを果たす。
退団は、別れは寂しいけれど、タカラヅカはこれからも続く。雪組は続く。先人たちの築いたモノを受け継いで、現役生たちが続けていく。
キムくん自身、退団者との別れはつらいだろうし、これからの不安だのプレッシャーだのしこたま抱えているだろうけれど、それでも彼はファンの前では笑うんだ。
ファンが見たいであろう、元気で明るいキム、の、屈託ない笑顔を見せるんだ。
東宝楽のキムくんの入りも見たが、やはり彼は全開で笑っていて、ギャラリーに「かわい~~!!」と叫ばれていた。
交通機関の関係で、出は見られなかったけれど、きっと笑顔だったんだと思う。
贔屓が雪組に組替えになる、こと以前に、キムを好きだと思い、彼を見守りたいと思う。
彼の笑顔を信じて、ついて行こうと思う。
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