とりあえず、ブタがかわいい。

 『ジプシー男爵』はブタ飼いが支配する町の物語なので、舞台装置のあちこちがブタ尽くし。
 建物の窓やドア、椅子などの小物、それらがみんなブタ。
 かーわーいーいー。

 そして、ジュパン@汝鳥さんがいつも抱いている、ブタのぬいぐるみ。
 着飾った汝鳥さんが、着飾ったブタを抱いている、それだけでかわいくてしょーがない。

 が、

 ブタの鳴き声はいらん。

 ナニか思いつくときに、ブタの鳴き声とびっくりマークが出るんだっけか。マンガ的手法だが、舞台向きじゃない。
 笑わせたいんだろうけど、笑うどころかドン引きした(笑)。

 演出意図がわからない……という点では、そのジュパンの3人の娘たちも判断を迷った。
 悪人のジュパンはシュテルク@きりやんと自分の娘を結婚させて、身の安泰を謀ろうとする。3人の娘たちはもったいつけてなかなか顔を見せない。顔もわからないまま求婚できないと言うシュテルクは、ジュパンの顔を見て「娘の器量に期待できない」と肩を落とす。
 この展開で、3人の娘たちは美人設定ではないだろう。ジュパンが美人美人と持ち上げる娘たちだが、この父に似ているならきっと不細工なんだろう。と、物語の流れ的に感じるのだが。

 ベールを取った娘たちは……。
 ええっと。

 どっち?

 美人設定なのか、そうでないのか、マジでわからなかった。

 はっとするような美女では、ごめん、まったくない。スタイル的にも微妙。でも、ひと目でわかる不細工でもない。トウがたっている、ということなのか?

 末っ子のアルゼナ@りっちーが美少女定なのは、オトカー@みりおが惚れていることから察せられるけれど、姉ふたりが謎。

 見合い写真を押しつけられた青年と仲間たちが、写真を見る前に「どんな娘だ」と盛り上がってサカナにぎゃあぎゃあ騒いで、さんざん語ったあとで決心して写真を開いたら……「ふつー?」「うん、ふつー」「ふつーだ」と、一気に「はい、解散!」になったような雰囲気。
 盛り上がりが一気に引くというか、「ふつー」以外にコメントが出せず、興味がなくなるというか。
 『スカーレット・ピンパーネル』の恋人ちゃんたちと同じ展開……。見た目の説得力、って、フィクションには必要だと思う、としみじみ。

 アルゼナは「設定からして、美少女なんだろうな」ということは、理解できた。
 ただ、わたしがこの物語の流れから想像するタイプの美少女では、ごめん、なかったよ、りっちー。

 なまじそれまでに、少女マンガから抜け出たような美少年オトカーが、恋歌を歌っているわけですよ。この美少年が恋い焦がれる身分違いのお嬢様って、どんだけの美少女だろう、かわいいんだろうと期待しているわけですよ。
 そんだけ持ち上げたあとで登場したもんだから。

 たしかに顔立ちは整っているんだけど、落ち着いているというか地味というか、アルゼナというキャラクタに相応しいはじけた明るさや華は感じられない容姿だった。
 『スカピン』新公で泣かせてくれた歌姫りっちー、準ヒロインとして活躍してくれるのは心からうれしい。うれしいが、……この持ち味ってば……。
 歌と声は素晴らしいんだが。……ヅカの「ヒロイン」という才能は、難しいんだなあと思う。

 
 んで、もうひとり、チガウ意味で首をかしげた女の子。

 ヴィオルカ@愛希れいかくん。ええっと、愛称はちゃぴ、本名からきてるのかな、愛称をおぼえよー、ちゃぴくんね。
 文化祭でバレリーナとしてメインどころでばしばし踊っていた性別分化前の彼、芝居では台詞もろくにない役だったし、歌もいまいちだったし、月組配属直後から黒燕尾の末席に配置されていたり、ダンスの人認識だったんだが。
 『スカピン』でいきなりトップとピンで絡む芝居もありソロもある王太子役が来たりして、ダンス以外は苦手だと思っていただけにその抜擢にびっくりしたもんだが。

 何故一気に、娘役3番手……(笑)。

 音楽学校入学時は娘役だったわけだし(おさげ姿・笑)、小柄だし声もオンナノコのまんま変声期迎えてないし、芸名も女性的だし、本人も劇団も将来的に転向を考えているのかもしれない。

 しかし現時点では男役なので、無理に娘役として抜擢しなくても……な気がした。
 男役が演じる必要のある娘役、というほどのこともなかったしなあ。

 彼が転向を前提にしているのでなければ、かわいい娘役不足の月組で、貴重な「美少女役」を男の子にやらせてしまうのはもったいないっす。きっとかわいい子はいるんだろうに、場を与えてもらえないから、わたしみたいな一見さんの目にはとまらない、という……。

 だがしかし、ヴィオルカ@ちゃぴはかわいかった。
 男役としては線が細すぎるし、声も芝居も相当アレなんだが(『スカピン』新公)、等身大の女の子の役なら問題なし。
なんつっても、あの顔の小ささはいいわ、パリ@まさおと並んでも違和感ないってすごいわ。

 そうだよな、本来新人男役を抜擢するには最適なんだよな、芝居で娘役をやらせるのって。
 前回の王太子役と併せて、一気に知名度あがったろうし。

 されど、こーやって芝居で爆上げしていても、新公では役はつかず、ショーでも学年相応の位置。群舞のいちばん後ろの端っこで、ふつーに男役として踊っているのみ。
 男役として使う気はナイってことなのかなあ。
 るいるいとかは、ショーでもえんえん娘役やらせて、階段降りまで娘役のままで、外堀埋めて転向させてたなあ。
 ちゃぴはどうなるんだろう?

 わたしとしては、せっかく男役を目指しているんだから、男役でがんばってほしいっす。
 彼が娘役だったら、文化祭であんなに注目して大騒ぎしていない(笑)。

 
 ヒロインが姐さん系のまりもちゃん(「GRAPH」の表紙、大好きだ!)で、娘2が地味大人系のりっちー、娘3が男の娘(笑)、って、月組の娘役事情はえらいことになってるなあ、と思う。
 

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