ところで、『ジプシー男爵』のジプシーたちわらわら初登場場面にて。
 一瞬スポットが当たったのち、柱の陰に隠れてしまうパリ@まさおがいつ出てくるのか、あまりに長い間隠れたままなのが気になってはいたが、それとは別に、もうひとり気になる人がいた。

 あの、ロング衣装の男は誰?

 ジプシーたちは、みんな思い思いの格好をしている。アタマだの首だの肩だのに巻物したり、基本ゴテゴテ。
 でも上着の丈は短い場合が多い。足首まである長い衣装を着ているのは、主人公のシュテルク@きりやんだけだ。
 そりゃそーだ、ロング衣装の方がかっこいいもの。派手だもの。動くたびに衣装がマントみたいにひるがえる、それは主人公サマだけ。

 なのにジプシーたちのなかにひとり、きりやんよりも長いんじゃあ?ってな、特別な衣装を着た男がいる。
 ショートやミドル丈がデフォルトの中、たったひとりロングってことは、なにか特別なキャラクタなのかしら。
 そのわりに、いつまでたっても台詞らしい台詞もないし、第一、舞台の奥に突っ立ってるだけですけど、立ち位置。あそこって背景ポジションよね……。

 誰だろう、なんかかっこいいんですけど、と思ってオペラグラスで確認したら。

 たまきち、だった。

 えええ。たまきちぃ?
 前回の新公主演者、劇団的にも月組的にも、期待の新星でしょう、だから特別な役、それゆえの特別な衣装ってことなのかしら、と思っていたら。

 特別でもなんでもない、マジにただのモブ、背景キャラだった……(笑)。

 何十人といるジプシーのひとりで、見せ場はないし、キャラクタがわかるほどの台詞もない。
 背景としてそこにいるだけ、てな扱い。

 しかし。

 どどどどうしよう、かっこいい。

 着たきり雀のそのロング衣装をひるがえして踊る姿が、めーっちゃかっこいいのだわ。
 衣装が特別なんじゃない。ヅカの衣装ランクは、生地の上等さ、飾りの多さで決まる。たまきちの衣装は、形がロングなだけで、とてもシンプルなものだった。スター役の衣装扱いじゃない。
 つまり、ふつーの衣装なのに、たまきちが着ることで、格好良く見えているんだ。

 ちょっと待ってくれ。
 珠城りょう、まだ研3だってば。

 そんなお子ちゃまが格好いいだなんて……?!

 自分に、がーーん。
 成熟した男役スキーとしては、ありえないトキメキ(笑)。

 しかし、あの肩の線、胸板、全体のバランス、すげー格好いいんですが。
 たまきちだけロング衣装っての、わかるわー。わたしが衣装決める人だとしても、たまきちにあの衣装を着せるわ。あの身長、あの体格でこそ映えるデザインだもの。

 たまきちジプシーはよわよわ設定なのか、町の人たちとモメているとき、女性にボコられてました……あの体格なのに……。

 
 油断すると、たまきちをぼーっと眺めてしまうので、あちこち自重して。きりやん見るの、まさお見るの、そのか見るの、とやっていたわけなんですが。

 油断していました。
 戦争が終わって、みなさん凱旋。よかったね、着たきりで終わらなかったよ、軍服姿。
 上手花道にパリが現れ、下手にオトカー@みりおが現れる。それぞれふたりの男前を後ろに従えて。
 その男前4人。ふつーに上手から、ああ、宇月くんね、ゆりやくんね、とか確認して、そんでもって下手で。

 あ、この子格好いい。と思って、思って……え? ちょっと待て、この子って、たまきち?!

 あたしまた、たまきちをかっこいいと思った?!

 思わず、2度見した(笑)。

 びっくりだ。
 どう見ても、格好いい。
 軍服姿の、たまきち。

 あの肩幅、胸板、体格……!!
 今回全体的に濃い色だからか、頬というか頬骨の丸さもあまり気にならないしっ。髪型も似合ってるしっ。うわーんっ(何故キレる)。

 珠城りょお、まだ研3だってば、小僧っこだってば、落ち着けわたし!

 たまきちの役はほんとに背景なので、なにがどうじゃない、芝居をどうこう言えるよーな役じゃない、なのに格好いいのだからただもおひたすら、見た目だけなのよ。
 それだけで、こんなに楽しいってどうなのよ自分……。

 
 ということが、本公演観劇時に起こっておったのですよ、今回。
 ハル@『スカーレット・ピンパーネル』とか、別になんとも思ってなかったのにねー。
 今回のジプシー役……役名あるのか、(今調べた)ヒスニ役のたまきちが、どえらく好みだった、と。

 こんな状態で。
 いつものよーに、新人公演を観に行ったわけですよお客さん。

 宇月くんの新公主演うれしー!と、それだけで。
 いちお、メインどころの役は把握、たまきちは汝鳥サマの役ね。うん、若すぎる彼が主演独占はよくない、主役を演じたあとに専科さんの役で勉強するのはいいことよ、とか思いつつ。
 ええ、たまきちは老け役だと、信じて。

 そして。
 そして、新公で、あのたまきちを見るに至った……わけだ。

 つづくっ(笑)。

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