いつもの憂鬱、いつもの彼。@はじめて愛した
2010年10月14日 タカラヅカ おなじみの、記憶喪失ハードボイルドです、キムくんプレお披露目『はじめて愛した』。
「おなじみの記憶喪失」って、イタいです、正塚せんせー。
何度も書いてるけど、「記憶喪失」ってのはそれだけでプゲラされる、厨設定ですから。それがおなじみなあたり、相当恥ずかしい作風です、正塚せんせー。
いつもの戦争、いつもの戦後。
その戦争で心に傷を負った主人公ガイ@キムは、意味を見いだせないまま戦中と同じ狙撃兵……殺し屋として生きていた。
ある日狙撃現場を女に目撃されたが、女はそのまま自殺未遂、記憶を失ってしまった。口封じに殺すつもりがソレをできずに、ガイはその女レイチェル@あゆっちを手元に置いて監視することにした。
レイチェルはマフィアのボンボン、ジュリアーノ@咲ちゃんの婚約者だった。殺し屋のガイとしては、警察にも追われてるし目撃者を殺さなかったことで組織に追われるし、その上マフィアにも……と三重苦、ナニソレ大変。
それでもガイはレイチェルを手放さない。恋、ではないと言いつつ。
いつまでも逃げて逃げ切れるもんでもない、ガイは仲間たちと一計を案じ、すべての追っ手から解き放たれようとするが……。
あ、2番手の役があらすじに出てこない(笑)。
いつもの正塚、いつもの記憶喪失、いつものハードボイルド。ああ、恥ずかしいわ、マサツカおじさん。
でもね。
この「いつも」尽くしの物語。
わたし、好きだ。
最近の「いつもの」の中でいちばんイイ。
出てくるキャラクタたちが、ひとりひとりツボだ。
ガイ@キムは、マサツカ主人公の代表、よくわかんない男(笑)。ええ、ぼそぼそモノローグで喋りまくるくせに、ナニ考えてんのかナニしたいのか、いまいちわからない、つーか恒例の「自分探し」中だから、キャラが見えないわかんない、という、いつもの主人公。
なんだけど、この「いい年して自分探しとかゆってんぢゃねーよ恥ずかしい男だな」なマサツカ主人公は、とどのつまり「いい人」だ。正塚せんせ自身がそうなんだろう。
うだうだしているんだけど、根っこのところにあるやさしさ、譲れない矜持、男気が気持ちいい。
でもって単純に、大人で暗いキムが、かっこいい。
ポスター写真があまりにアレで心配したんだけど(笑)、後ろ髪の長いヘアスタイルが様になってる。
最初のライフル構えてるとことか、めっちゃかっこいいし。
レザージャケットにシャツ、とかの「スーツじゃないけど、大人」のファッションが似合ってる。
いちばん好きなのは、半ばあたりのジャケットに黒シャツ、黒ジーンズかなあ。黒で上下筋が通っていて、ジャケットで色を付けてるのが、すらりとしてきれいだった。
暗くてナニ考えてんだかナニしたいんだかわかんない男なだけに、古いカメラ持ってはしゃいでるとことか、かわいくてきゅんきゅんする。戦争さえなければ、彼はこうしてふつーにカメラマンとして……あるいは、父親のあとを継いで写真館の主人になっていたんだろう。
水くんの『ロジェ』もそうだったけど、正塚せんせは「※※のタメに」書くと、その人の男役スキルを全開にしなきゃいけない作品になるのね。
水くんがどんだけかっこいいか、スーツが似合うかだけを追求し、それだけで終わってしまった(笑)『ロジェ』。「音月桂の大人の魅力」を出すことのみに集中した『はじめて愛した』。
そして、キムくんが今、男役スキルを全開にして、「大人の男」を演じている。
ナニがどう、ぢゃなく、ただもお、ガイという男のたたずまいがかっこいい。
いちいち笑えるくらい、これみよがしにポーズ付けて坐ったり、立ち止まったり、あざとすぎてツボる(笑)。いやあ、いいですな、本気で「タカラヅカ」してますよ!
いつも落ち着いていて取り乱すことがなかったり(クールって言う?)、アンニュイなのに縦にも横にも巨大なジュリアーノぼっちゃんをさくっとねじ伏せたり、作戦練っちゃう頭脳派だったり、マサツカおじさんが「俺カッコイイ!」と思うことを全部盛り込んでくれてますよ!
ガイというキャラクタに描かれていることは、いつものマサツカのプゲラでイラっとくるわけわかんない男でしかないんだけど、それでもそこに描かれているモノ以上のナニかを、わたしが勝手にキムくんから感じているのだと思う。
キムくんが、演じているんだと思う。
素直に、彼の抱える闇に感情移入する。
日常的に陰鬱を抱え、だけど生きることを放棄しない。
生きてさえいれば。何度も繰り返される、マサツカ節健在。
生きる意味を見失っていても、譲れない矜持はある。そのために、立ち上がる。武器を取る。マサツカ節健在。
『ロジェ』が直近にあったし、ナニかと似ているためについ比べてしまうけれど、『ロジェ』と『はじめて愛した』のいちばんの違いは、主人公が他人を愛しているかどうかだと思う。
『ロジェ』は恋愛モノではなく、『はじめて愛した』はタイトルからして恋愛モノだから、そりゃ主人公は他人を愛しているだろう、てな意味ではなく。
病んだまま生きているわりに、ガイはいろんなモノを愛している。愛、という言葉が重いなら、情と言い換えてもイイ。情を持って生きている。
ロジェ@水が育ての親のバシュレ@マヤさんしか愛していなかった、あとは仲間ポジションの人間すらどーでもイイ扱いだった、のとは違って。
ガイ……というかマサツカ主人公がマヤさんを愛しているのはデフォとしても(笑)、それ以外の人たちともふつーに信頼関係があった。あ、友だちなんだ。あ、友だちいるんだ。あ、大切にしてるんだ。……そんな、人として当たり前のことが、伝わった。
そして、あらすじにも登場しない、悲しい2番手ベルモンド@ちぎくん。
彼が悲しいのは、本筋に入ることができないままはじまり終わるから。結局彼は、なにひとつ真実を知らないままなんだ。
いなくてもいい役ではないが、主人公サイドを中心に物語が進む以上、物語の外側でわいのわいのやっている、ただの外野でしかない。
ヒロインのレイチェルを愛しているんだが、ほんっとーに一顧だにされない。
三角関係っちゅーか、ヒロインを愛し、振られる2番手ってのはよくある設定だが、好かれる好かれない以前に、存在認識拒否をくらっている恋敵ってのはなかなかナイんぢゃなかろーか、いやあってはならないっちゅーか2番手でソレはキツイ(笑)。
とまあ、ヒロインからはハエ程度の扱い……寄ってきたら無意識ではねのける、いること(想われていること)も気づかなかったり、気づいてもどーでもいいと心底思っているため、すぐに忘れたりする、そんな扱いなんだが(ひでえ)、ガイはそーでもないんだよね。
うん、ガイはベルモンドのこと、嫌ってない。接点はろくにないし、障害的な存在なのに、それでも最初からベルモンドの人格を評価している。
ガイのベルモンドに対する態度、評価が、彼の公正さや聡明さを表してる。
色眼鏡で人を見ないっていうか、ニュートラルな人だと。
ベルモンドにも、ふつーに情は持ってそうなところがイイ。
そんな男だから、ガイには友だちがいるし、彼の窮地に力を貸してくれる人たちがいるんだろう。
レイチェルもまた、彼に惹かれたんだろう。
シンプルに、そう思える。
「おなじみの記憶喪失」って、イタいです、正塚せんせー。
何度も書いてるけど、「記憶喪失」ってのはそれだけでプゲラされる、厨設定ですから。それがおなじみなあたり、相当恥ずかしい作風です、正塚せんせー。
いつもの戦争、いつもの戦後。
その戦争で心に傷を負った主人公ガイ@キムは、意味を見いだせないまま戦中と同じ狙撃兵……殺し屋として生きていた。
ある日狙撃現場を女に目撃されたが、女はそのまま自殺未遂、記憶を失ってしまった。口封じに殺すつもりがソレをできずに、ガイはその女レイチェル@あゆっちを手元に置いて監視することにした。
レイチェルはマフィアのボンボン、ジュリアーノ@咲ちゃんの婚約者だった。殺し屋のガイとしては、警察にも追われてるし目撃者を殺さなかったことで組織に追われるし、その上マフィアにも……と三重苦、ナニソレ大変。
それでもガイはレイチェルを手放さない。恋、ではないと言いつつ。
いつまでも逃げて逃げ切れるもんでもない、ガイは仲間たちと一計を案じ、すべての追っ手から解き放たれようとするが……。
あ、2番手の役があらすじに出てこない(笑)。
いつもの正塚、いつもの記憶喪失、いつものハードボイルド。ああ、恥ずかしいわ、マサツカおじさん。
でもね。
この「いつも」尽くしの物語。
わたし、好きだ。
最近の「いつもの」の中でいちばんイイ。
出てくるキャラクタたちが、ひとりひとりツボだ。
ガイ@キムは、マサツカ主人公の代表、よくわかんない男(笑)。ええ、ぼそぼそモノローグで喋りまくるくせに、ナニ考えてんのかナニしたいのか、いまいちわからない、つーか恒例の「自分探し」中だから、キャラが見えないわかんない、という、いつもの主人公。
なんだけど、この「いい年して自分探しとかゆってんぢゃねーよ恥ずかしい男だな」なマサツカ主人公は、とどのつまり「いい人」だ。正塚せんせ自身がそうなんだろう。
うだうだしているんだけど、根っこのところにあるやさしさ、譲れない矜持、男気が気持ちいい。
でもって単純に、大人で暗いキムが、かっこいい。
ポスター写真があまりにアレで心配したんだけど(笑)、後ろ髪の長いヘアスタイルが様になってる。
最初のライフル構えてるとことか、めっちゃかっこいいし。
レザージャケットにシャツ、とかの「スーツじゃないけど、大人」のファッションが似合ってる。
いちばん好きなのは、半ばあたりのジャケットに黒シャツ、黒ジーンズかなあ。黒で上下筋が通っていて、ジャケットで色を付けてるのが、すらりとしてきれいだった。
暗くてナニ考えてんだかナニしたいんだかわかんない男なだけに、古いカメラ持ってはしゃいでるとことか、かわいくてきゅんきゅんする。戦争さえなければ、彼はこうしてふつーにカメラマンとして……あるいは、父親のあとを継いで写真館の主人になっていたんだろう。
水くんの『ロジェ』もそうだったけど、正塚せんせは「※※のタメに」書くと、その人の男役スキルを全開にしなきゃいけない作品になるのね。
水くんがどんだけかっこいいか、スーツが似合うかだけを追求し、それだけで終わってしまった(笑)『ロジェ』。「音月桂の大人の魅力」を出すことのみに集中した『はじめて愛した』。
そして、キムくんが今、男役スキルを全開にして、「大人の男」を演じている。
ナニがどう、ぢゃなく、ただもお、ガイという男のたたずまいがかっこいい。
いちいち笑えるくらい、これみよがしにポーズ付けて坐ったり、立ち止まったり、あざとすぎてツボる(笑)。いやあ、いいですな、本気で「タカラヅカ」してますよ!
いつも落ち着いていて取り乱すことがなかったり(クールって言う?)、アンニュイなのに縦にも横にも巨大なジュリアーノぼっちゃんをさくっとねじ伏せたり、作戦練っちゃう頭脳派だったり、マサツカおじさんが「俺カッコイイ!」と思うことを全部盛り込んでくれてますよ!
ガイというキャラクタに描かれていることは、いつものマサツカのプゲラでイラっとくるわけわかんない男でしかないんだけど、それでもそこに描かれているモノ以上のナニかを、わたしが勝手にキムくんから感じているのだと思う。
キムくんが、演じているんだと思う。
素直に、彼の抱える闇に感情移入する。
日常的に陰鬱を抱え、だけど生きることを放棄しない。
生きてさえいれば。何度も繰り返される、マサツカ節健在。
生きる意味を見失っていても、譲れない矜持はある。そのために、立ち上がる。武器を取る。マサツカ節健在。
『ロジェ』が直近にあったし、ナニかと似ているためについ比べてしまうけれど、『ロジェ』と『はじめて愛した』のいちばんの違いは、主人公が他人を愛しているかどうかだと思う。
『ロジェ』は恋愛モノではなく、『はじめて愛した』はタイトルからして恋愛モノだから、そりゃ主人公は他人を愛しているだろう、てな意味ではなく。
病んだまま生きているわりに、ガイはいろんなモノを愛している。愛、という言葉が重いなら、情と言い換えてもイイ。情を持って生きている。
ロジェ@水が育ての親のバシュレ@マヤさんしか愛していなかった、あとは仲間ポジションの人間すらどーでもイイ扱いだった、のとは違って。
ガイ……というかマサツカ主人公がマヤさんを愛しているのはデフォとしても(笑)、それ以外の人たちともふつーに信頼関係があった。あ、友だちなんだ。あ、友だちいるんだ。あ、大切にしてるんだ。……そんな、人として当たり前のことが、伝わった。
そして、あらすじにも登場しない、悲しい2番手ベルモンド@ちぎくん。
彼が悲しいのは、本筋に入ることができないままはじまり終わるから。結局彼は、なにひとつ真実を知らないままなんだ。
いなくてもいい役ではないが、主人公サイドを中心に物語が進む以上、物語の外側でわいのわいのやっている、ただの外野でしかない。
ヒロインのレイチェルを愛しているんだが、ほんっとーに一顧だにされない。
三角関係っちゅーか、ヒロインを愛し、振られる2番手ってのはよくある設定だが、好かれる好かれない以前に、存在認識拒否をくらっている恋敵ってのはなかなかナイんぢゃなかろーか、いやあってはならないっちゅーか2番手でソレはキツイ(笑)。
とまあ、ヒロインからはハエ程度の扱い……寄ってきたら無意識ではねのける、いること(想われていること)も気づかなかったり、気づいてもどーでもいいと心底思っているため、すぐに忘れたりする、そんな扱いなんだが(ひでえ)、ガイはそーでもないんだよね。
うん、ガイはベルモンドのこと、嫌ってない。接点はろくにないし、障害的な存在なのに、それでも最初からベルモンドの人格を評価している。
ガイのベルモンドに対する態度、評価が、彼の公正さや聡明さを表してる。
色眼鏡で人を見ないっていうか、ニュートラルな人だと。
ベルモンドにも、ふつーに情は持ってそうなところがイイ。
そんな男だから、ガイには友だちがいるし、彼の窮地に力を貸してくれる人たちがいるんだろう。
レイチェルもまた、彼に惹かれたんだろう。
シンプルに、そう思える。
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