新人公演『ジプシー男爵』、演出は上田久美子先生。
 どこまでが新公担当演出家の手腕かはわからないけれど、ジュパン@たまきちが美形オヤジになっていたり、その娘たちの役割がはっきりしたりしたのは、GJだと思う。

 ここはタカラヅカ。
 肉布団入れて愉快なおっさんを演じる練習をするより、ヒゲのイケメン中年を演じる練習をする方が有意義だ。

 また、本公演では美人なのかそうでないのかわからずとまどった、ジュパンの3人の娘たち。
 もったいつけて出てきてなかなか顔を見せず、ついに見せた、と思っても、美女だとよろこべばいいのか、ぶすだと嘆けばいいのかコメディだから笑えばいいのか、さっぱりわからず、もにょもにょした。
 一目見て美人ではないし、かといってぶすというほどのこともなく、設定や物語の流れ的にどうなんだろう、と混乱させるのは演出に問題がある、と思ったもんだった。

 それが新公では、次女役の子が思い切った不細工メイクをしていたために、「あ、ぶす設定だ」と瞬時に理解できた。長女はふつーだったけど、ぶすの次女より年上ってだけで、この時代の女性として価値が下がっていることはわかるし。
 シュテルク@宇月くんに、ぶすや行き遅れの娘たちを押しつけようって魂胆だな!
 と、物語がわかりやすくなった。

 そして、物語的に「美少女」だとさんざん期待させた、アルゼナ@ゆめちゃんはちゃんとかわいいし。

 滑りが良くなったというか、本公演で引っかかったところがなめらかになっていて、ほっとした。

 ゆめちゃんのアルゼナは、人形ちっくな美少女。
 ゆるさよりもキツさ、女の子らしさより、男らしさを感じた(笑)。
 いろいろがんばれ!なところはあるけれど、このまま正当派美少女キャラとして育って欲しい。

 
 美少女キャラとしては、ごめん、ちょっと収まりが悪いと思った、本役のアルゼナ@りっちー。
 されど新公で演じるマリア・テレジア@りっちーは、納得の美しさと貫禄。
 こっちの役の方が絶対いいよぉ。

 なんか、昭和初期とか中期の「ぬりえ」とかに出てくるお姫様に見えた。
 レトロな様式美のお姫様。
 いやあ、タカラヅカらしくて素敵。

 りっちーは少女役者ではなく、大人の女なんだなあ。
 娘役2番手ポジはふつう、若い女の子の役を振られがちだけど、りっちーの持ち味はそうじゃないから、これからもうまく生かしていってほしいな。

 
 そして、マリア・テレジアの清廉とした美しさとは対照的に、ヨランダ@ちゅーちゃんの、徒っぽい美しさ!
 いちばん派手できれいなのってヨランダだよねっ?
 生き生きしてて小ずるくて(笑)、でもってエロカッコイイ旦那がいて、いろんな面でパーフェクトだわー、ヨランダ姐さん。
 
 
 でもって、初ヒロインおめでとー!の、ザッフィ@みくちゃん。
 うまい人だということは、これまでの新公やバウでわかっているので、その点は安心。

 実際、歌声がきれいだし、芝居も違和感がないし、ふつーに眺めていられた。

 でも、彼女の持つ、この「強さ」はなんだろう。
 骨太さというか、地に足ついた感というか。
 ジプシー娘の役だから、というのとも少しチガウ気がする。前回の新公でも感じたから。

 みくちゃんもまた、りっちー同様娘役というより、女役という印象を受けた。
 『HAMLET!!』 のときは、かわいい妹キャラ、少女キャラだと思ったんだけどなあ。それ以外では、強い持ち味の女役さんに見える、わたしには。頭身やスタイルの関係もあるかな。なっちゅがそうであるように、頭身が低いと少女かある程度落ち着いた大人かの2択になり、間のヒロイン年齢が抜けてしまう場合がある……から?

 ザッフィは本役がまりもちゃんだし、野生の強さがあっていいのだろうけれど、シュテルクの宇月くんに土着な色がない分、アンバランスに思えた。
 ヒロインって難しいな。

 つってもこれはやはり、今回の役ゆえの印象に過ぎないのかもしれないので、可憐な、いかにもタカラヅカなお姫様役のみくちゃんを見てみたいな。

 
 わたしが月組さんに詳しくないため、よくわかっていないっつーことなんだろうが、なんか娘さんたちがみんな強くてどっちかっつーと職人系に見えて、可憐な深窓の姫君系、触れると折れてしまいそうな美少女がいるのかどうか、わからなかった。
 男役で、跳ねっ返りジプシー娘を演じているちゃぴが、たしかにいちばん可憐かもしれない……と、本公演・新人公演、両方観て思いましたのことよ……。

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