地味にまだ続いている、『はじめて愛した』感想(笑)。

 ジュリアーノ@咲ちゃんに足りていない部分が山ほどあること、成長する未来があるにしろ今この時点で、この舞台上においては足りなさが丸見えでいろいろと残念なこと……は、置いておいて。

 ジュリアーノ萌え。

 ジュリアーノは大学時代、ギャングのぼっちゃんだってことを隠して、レイチェル@あゆっちとつきあっていたという。

 あのー。

 隠せないだろ、性格は。

 出自はたしかに、言わないとわからないかもしれない。手下も遠ざけ、屋敷を出て、ひとり暮らししていたら、誤魔化せるか。
 でも、あの尊大な態度、キレやすい性格は、変えられないだろ。
 ただの知人とかクラスメイトなら、がんばって作った外面(が、あるのか?)しか見ないかもしれないけど、恋人としてつきあったら、どうしても出るだろ、元の性格が。
 完璧に別人を演じられるよーなスキルはないよ、ジュリアーノ。バカ丸出しだよ、ジュリアーノ。
 彼が外面を作っていたとして、純粋に接している時間の長さに比例して、バレたと思う。気に入らないことがあると瞬時にキレ、即暴力、という性格が。

 現在のレイチェルが可哀想だから誤魔化されそうになるが、別にジュリアーノは出会ったときから暴力で脅して拉致していたわけではない。
 昔はふつーにラヴラヴだった、つきあっていた、というから、わからなくなる。

 ラヴラヴだったころって、レイチェルはジュリアーノのこと、どう思ってたの?

 ちょっとわがままでキレやすい、大金持ちのおぼっちゃま?

 高級品身につけてるしぃ、車持ってるしぃ、会うたびブランド品プレゼントしてくれるしぃ、デート豪華だしぃ。
 玉の輿じゃん♪ と、喜んでたとか……? 母親@ヒメも歓迎してたっぽいし。

 それがセレブじゃなくギャングだとわかって、手のひらを返した……?

 そりゃ、ジュリアーノぢゃなくてもキレるわ。

 本人に罪のない、生まれの問題で切られたんじゃあねえ。手のひら返されたんじゃねえ。
 まあ、ほんとのとこレイチェルは、そこまで打算でつきあっていたわけじゃないでしょうが。

 実際問題として。
 「お金持ちでキレやすいおぼっちゃん」のときは、わがままで暴力的なところが「素直で自分に正直、子どもっぽくてカワイイ」と思えても、ギャングだとわかったあとは「凶暴で危険、ナニをされるかわからない」と思えるのは、仕方ない。
 人間として、リアルな心の動きだと思う。
 同じように「思い通りにならないとキレて殴る」行為が、セレブなら許されても、ギャングなら許されない。
 セレブだと思っていたときはイイ顔して、ギャングとわかって恐怖と軽蔑を突きつける、レイチェルとその母の行動は実にありがち、仕方ない。
 リアルですよ、ええ。誰だってアナタだって、そうでしょ?てなもん。

 しかし、現実的にはそうであったとしても、フィクションで、恋愛モノで、ヒロインで、「カタチや肩書きに左右されて、態度を変える」可憐でやさしいキャラ、つーのもなあ。大変だなあ(笑)。

 その後レイチェルはガイ@キムと出会い、彼が殺し屋とわかっても愛するので、肩書きが問題ではないとわかる。
 ギャングだからってのはきっかけに過ぎず、性格的にジュリアーノを嫌うようになったのだろうとは思う。
 ジュリアーノがギャングでなく、セレブであったとしても。母親が「玉の輿よ! どこが不満なの!」と騒いだとしても、レイチェルはいずれジュリアーノと別れたと思う。
 でも、彼女が態度を変えたのはジュリアーノがギャングとわかったときであり、また、彼を嫌だと思うすべての理由をそこに集約させている。や、その通りだろう、ジュリアーノが暴力的なのもキレやすいのも我慢を知らないのも、全部彼がギャングのおぼっちゃまとして育った所以だろう。
 だから彼を否定する理由として「ギャングだから」とするのは仕方ないんだが……ジュリアーノからしたら、納得いかんだろう。

 今までふつーにつきあってきた、恋人同士だった。なのに、ギャングだとわかったら、別れ話。
 こりゃひどい。

 
 レイチェルの心の動きはリアルだし、実際ジュリアーノはひどい男だし、当然っちゅーか、仕方ないと思える展開。
 それでも、ジュリアーノを可哀想だと思わせるものが、咲ちゃんにはある。
 
 クロード@しゅうくん相手に吠えているとことかは、ギャグマンガの脚をタコのようにばたつかせているガキにしか見えないんだが(笑)、そのあとレイチェルママと話しているときに、すごくいたいけな顔をする。

 ギャングだってことを知らなかった頃、ママは今とはまったくチガウ態度だった。
 ジュリアーノのことを、娘の彼氏と認めていた……かわいがっていた、んじゃないか?
 カラダが大きくてわがままで裏表のないジュリアーノは、変にスレた学生たちよりも純真に映ったんじゃないか?

 昔はちがったじゃないか、と笑おうとするジュリアーノに、ギャングだと知らなかったからだ、と返すママ。凍り付くジュリアーノ。
 その傷つきっぷりがね。
 意味もわからず母親に殴られた幼児のようで、主人に殴られた犬のようで。

 愛を、存在を、否定された。
 その痛みが、ストレートに伝わる。

 ジュリアーノがあんまり純に傷つくもんだから、想像してしまうのよ。
 ギャングだと知らなかった頃、ママはすごくやさしかったんじゃないかって。やさしいだけじゃなく、いけないことをしたときはぴしゃりと叱られたり……それがまたこわかったり。
 ふつうに、「母親」として。
 ジュリアーノはレイチェルも大好きだけど、彼女の家に遊びに行くのも好きだったんじゃないかって。ママにやさしくされたり、叱られたりするのも楽しみだったんじゃないかって。

 弟とは仲悪かった気がする(笑)。
 弟は絶対シスコンだし。決めつけ。「あんな乱暴者、やめとけよ」ってレイチェルにことあるごとに言って、ジュリアーノにもつんけんして。
 弟とジュリアーノがケンカになって家の中走り回って、ママが雷落として。
 一緒にごはん食べて。弟とジュリアーノは目が合うとふんっとそらして。弟は高校生くらい、そしてジュリアーノは弟かそれ以下の精神年齢(笑)。

 好きだったんじゃないかな。
 いけ好かない弟(笑)も含めて、レイチェルの家が。家族が。

 単にレイチェルと過ごしてきた時間だけでなく、家族とのふれあいも全部否定されたから、ことさら暴挙に走るはめになったんじゃないか。
 ただ、生まれの問題だけで、なにもかも否定されて。

 
 続く。

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