だから、家に帰ろう・その2。@はじめて愛した
2010年10月26日 タカラヅカ 地味に続いている、『はじめて愛した』感想、ジュリアーノ編の続き。
ジュリアーノ@咲ちゃんは、レイチェル@あゆっちの弟を殺した。
レイチェルはそれに絶望し、自殺まで追いつめられる。
レイチェルも彼女の母@ヒメも、ジュリアーノを責めるばかりで、もちろんそれは当然なんだが、ほんとのとこ、ジュリアーノは弟を殺すつもりはなかったと思うんだ。
弟がシスコンでもともとふたりがつきあうのに反対だった、というのはわたしの妄想だが(笑)、それ以後、ジュリアーノがギャングだとわかったあと、弟がふたりがつきあうのに反対していたのは物語からわかる。
殺すつもりはなかった。
ジュリアーノは基本、レイチェルの嫌がることはしたくないんだ。
喜ばせたいと思っているんだ。好かれたいと思っているんだ。
なのに、弟を殺すはずがない。
母子家庭で育ち、家族を愛している、ふつーの娘なんだから。
愛する女の子の、弟を殺したいはずがない。
だけどジュリアーノは、キレやすい性格で。キレたら即暴力、即拳銃。ギャングの若様として、そーゆー環境で育ち。
レイチェルと別れろと言う弟に、ついかっとなって……うっかり、殺しちゃった。
そんなつもり、なかったのに。
弟のことでなじられると、ジュリアーノはバツの悪い顔をする。最初からレイチェルを脅すための「見せしめ」として殺したのなら、そんな顔する必要ない。
殺すつもりはなかった、彼女を泣かせるつもりはなかった。なのに、自分の落ち度でそんなことになってしまった。だから、痛いところを突かれた、という顔をする。そして、キレる。
間違いを指摘されたら認めたり謝ったりするのではなく、威嚇したり暴れたりして誤魔化して来たんだね。
誰も彼を叱ってくれなかった。謝り方を教えてくれなかった。
だからジュリアーノは、暴れ続ける。
大切なモノを傷つけて、自分も傷ついて。
レイチェルママとジュリアーノの場面が、わざわざあることを考える。
ヒメに役を付けるため・出番を作るため(笑)とかゆーことは、置いておいて。
別にレイチェルの母親を出す必要はないんだ。出したとしても、ちらりとでいい。ジュリアーノが母親を人質にしているとわかる程度で。
なのにわざわざ、しっかりと1場面使って、ふたりのやりとりを見せている。
それによって、台詞だけで「オマエが逃げたら、母親がどうなるかわからないぞ」と言わせるのとは、違ったモノが見えてくる。
ジュリアーノがギャングだとバレていなかった頃、彼は当たり前にレイチェルの家族ともつきあっていた。ママにもかわいがってもらっていた。
ギャングだとバレた途端手のひらを返され、そのことにジュリアーノが傷つくほどには、仲良くやっていたんだろう。
嫌いな相手、どーでもいい相手に「ギャングだからキライ」と言われても、ムカつきはしても、ショックは受けないだろう。生まれてからずーっと同じ台詞は表で裏で言われ続けていただろうし。
ママに「ギャングだから」と否定され、ジュリアーノは「痛い」表情をする。一瞬、深く傷つく……すぐにアタマ悪くキレて吠えるけれど。
ママはたしかに人質で、レイチェルを捕まえておくためのエサなんだうけど。
スパイ物とかでよくある「母親の命が惜しかったら組織に協力しろ」ネタの場合、母親はどこか遠くに監禁されていて、顔も見られないのがデフォ。「母は元気なの? 会わせて、声を聞かせて!」「お前が命令に従えば会わせてやる」……で、大抵すでに人質は殺されてるのな。死んだという確証がない限り、命令に従うしかないから。
大人ひとりを生かして見張り続けるのは大変だよ? そんな労力払うくらいなら、殺して「生きている」と思わせる方が遙かに楽。
ママは地下牢に監禁されているわけじゃなく、ふつーにアパートかなんかで暮らしているわけでしょ。
そんだけややこしいことを、お金と労力使ってやってるのは、ひとえにレイチェルのため。
ジュリアーノは、レイチェル自身もだけど、彼女を形作った彼女の背景も愛していたんじゃないかな。
やさしくてこわいママがいて、美人の娘がいて、生意気な弟がいて。
「ただいま」と言って、帰る家。
レイチェルがママにハグして、夕飯の支度を手伝う話をして。紹介されたジュリアーノは、場違い感に棒立ちしていて。椅子を勧められて、あわてて坐って。
キッチンから聞こえる母と娘の会話や、豪華ではなくても大切に整えられたインテリアを眺めて、時折声を掛けられたら居住まいを正して。
帰ってきた弟にねめつけられて、睨み返して。こいつ気にいらねえ!と双方思って(笑)。
家族みんなで囲む食卓、他愛ない日常の会話。
レイチェルがレイチェルとして育ってきた場所。彼女が笑う場所。
母親を殺すことだって出来た。でもあえて生かした。家や金を与え、ナニ不自由ない生活をさせた。
弟を殺すつもりなんかなかった。いろいろとうるさいヤツだったけれど、殺したいとは思ってなかった。あんなに突っかかってこなけりゃ、ナニもしなかったんだ。
ただ、レイチェルが欲しかった。彼女に、喜んで欲しかった。笑って欲しかった。愛して欲しかった。
子どもの癇癪まんまにレイチェルを探し、探させ、ガイ@キムの家でよーやくレイチェルを見つけたときの、うれしそうな顔。
ただ、会いたかったんだ。会えてうれしいんだ。そんな顔。
ジュリアーノはほんとにどーしよーもないアホボンだけど。
こんな男に人生費やすのは無駄でしかないと思うけど。
「ギャングに生まれたのはオレのせいじゃない」「だからオレは悪くない」「オレはナニもしなくていい」と、なにひとつ現状を変える努力はせずに、責任転嫁して暴力をふるうだけ。
まともな人間関係を一切築けなかったから、いちばんの部下にも「清々したよ」と見捨てられる。
それがとーぜんの、どーしよーもない男だけど。
ジュリアーノのどーしよーもなさの中に、いたいけな子どもの顔が見え隠れするから、切ない。
そんなふうにしか育つことが出来なかった、いびつな子どもの悲しさが。哀れさが。
レイチェルと結婚して、「家族」を作りたかったよね。
「ただいま」と言って、帰りたかったよね。
ジュリアーノ@咲ちゃんは、レイチェル@あゆっちの弟を殺した。
レイチェルはそれに絶望し、自殺まで追いつめられる。
レイチェルも彼女の母@ヒメも、ジュリアーノを責めるばかりで、もちろんそれは当然なんだが、ほんとのとこ、ジュリアーノは弟を殺すつもりはなかったと思うんだ。
弟がシスコンでもともとふたりがつきあうのに反対だった、というのはわたしの妄想だが(笑)、それ以後、ジュリアーノがギャングだとわかったあと、弟がふたりがつきあうのに反対していたのは物語からわかる。
殺すつもりはなかった。
ジュリアーノは基本、レイチェルの嫌がることはしたくないんだ。
喜ばせたいと思っているんだ。好かれたいと思っているんだ。
なのに、弟を殺すはずがない。
母子家庭で育ち、家族を愛している、ふつーの娘なんだから。
愛する女の子の、弟を殺したいはずがない。
だけどジュリアーノは、キレやすい性格で。キレたら即暴力、即拳銃。ギャングの若様として、そーゆー環境で育ち。
レイチェルと別れろと言う弟に、ついかっとなって……うっかり、殺しちゃった。
そんなつもり、なかったのに。
弟のことでなじられると、ジュリアーノはバツの悪い顔をする。最初からレイチェルを脅すための「見せしめ」として殺したのなら、そんな顔する必要ない。
殺すつもりはなかった、彼女を泣かせるつもりはなかった。なのに、自分の落ち度でそんなことになってしまった。だから、痛いところを突かれた、という顔をする。そして、キレる。
間違いを指摘されたら認めたり謝ったりするのではなく、威嚇したり暴れたりして誤魔化して来たんだね。
誰も彼を叱ってくれなかった。謝り方を教えてくれなかった。
だからジュリアーノは、暴れ続ける。
大切なモノを傷つけて、自分も傷ついて。
レイチェルママとジュリアーノの場面が、わざわざあることを考える。
ヒメに役を付けるため・出番を作るため(笑)とかゆーことは、置いておいて。
別にレイチェルの母親を出す必要はないんだ。出したとしても、ちらりとでいい。ジュリアーノが母親を人質にしているとわかる程度で。
なのにわざわざ、しっかりと1場面使って、ふたりのやりとりを見せている。
それによって、台詞だけで「オマエが逃げたら、母親がどうなるかわからないぞ」と言わせるのとは、違ったモノが見えてくる。
ジュリアーノがギャングだとバレていなかった頃、彼は当たり前にレイチェルの家族ともつきあっていた。ママにもかわいがってもらっていた。
ギャングだとバレた途端手のひらを返され、そのことにジュリアーノが傷つくほどには、仲良くやっていたんだろう。
嫌いな相手、どーでもいい相手に「ギャングだからキライ」と言われても、ムカつきはしても、ショックは受けないだろう。生まれてからずーっと同じ台詞は表で裏で言われ続けていただろうし。
ママに「ギャングだから」と否定され、ジュリアーノは「痛い」表情をする。一瞬、深く傷つく……すぐにアタマ悪くキレて吠えるけれど。
ママはたしかに人質で、レイチェルを捕まえておくためのエサなんだうけど。
スパイ物とかでよくある「母親の命が惜しかったら組織に協力しろ」ネタの場合、母親はどこか遠くに監禁されていて、顔も見られないのがデフォ。「母は元気なの? 会わせて、声を聞かせて!」「お前が命令に従えば会わせてやる」……で、大抵すでに人質は殺されてるのな。死んだという確証がない限り、命令に従うしかないから。
大人ひとりを生かして見張り続けるのは大変だよ? そんな労力払うくらいなら、殺して「生きている」と思わせる方が遙かに楽。
ママは地下牢に監禁されているわけじゃなく、ふつーにアパートかなんかで暮らしているわけでしょ。
そんだけややこしいことを、お金と労力使ってやってるのは、ひとえにレイチェルのため。
ジュリアーノは、レイチェル自身もだけど、彼女を形作った彼女の背景も愛していたんじゃないかな。
やさしくてこわいママがいて、美人の娘がいて、生意気な弟がいて。
「ただいま」と言って、帰る家。
レイチェルがママにハグして、夕飯の支度を手伝う話をして。紹介されたジュリアーノは、場違い感に棒立ちしていて。椅子を勧められて、あわてて坐って。
キッチンから聞こえる母と娘の会話や、豪華ではなくても大切に整えられたインテリアを眺めて、時折声を掛けられたら居住まいを正して。
帰ってきた弟にねめつけられて、睨み返して。こいつ気にいらねえ!と双方思って(笑)。
家族みんなで囲む食卓、他愛ない日常の会話。
レイチェルがレイチェルとして育ってきた場所。彼女が笑う場所。
母親を殺すことだって出来た。でもあえて生かした。家や金を与え、ナニ不自由ない生活をさせた。
弟を殺すつもりなんかなかった。いろいろとうるさいヤツだったけれど、殺したいとは思ってなかった。あんなに突っかかってこなけりゃ、ナニもしなかったんだ。
ただ、レイチェルが欲しかった。彼女に、喜んで欲しかった。笑って欲しかった。愛して欲しかった。
子どもの癇癪まんまにレイチェルを探し、探させ、ガイ@キムの家でよーやくレイチェルを見つけたときの、うれしそうな顔。
ただ、会いたかったんだ。会えてうれしいんだ。そんな顔。
ジュリアーノはほんとにどーしよーもないアホボンだけど。
こんな男に人生費やすのは無駄でしかないと思うけど。
「ギャングに生まれたのはオレのせいじゃない」「だからオレは悪くない」「オレはナニもしなくていい」と、なにひとつ現状を変える努力はせずに、責任転嫁して暴力をふるうだけ。
まともな人間関係を一切築けなかったから、いちばんの部下にも「清々したよ」と見捨てられる。
それがとーぜんの、どーしよーもない男だけど。
ジュリアーノのどーしよーもなさの中に、いたいけな子どもの顔が見え隠れするから、切ない。
そんなふうにしか育つことが出来なかった、いびつな子どもの悲しさが。哀れさが。
レイチェルと結婚して、「家族」を作りたかったよね。
「ただいま」と言って、帰りたかったよね。
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