好きだからこそ、言える話。@EXCITER!!
2010年11月9日 タカラヅカ でもってぶっちゃけた話、『EXCITER!!』って、そんなに名作か?
ふつーにいいショーだとは思うけどね。
1年を待たずして同じ組同じメンバーで本公演で再演しなければならないほどの、タカラヅカ史上はじまって以来の名作だとは、とても思えない。
さらに、再演して、さらにクオリティは下がったと思う。
出演者がではない。彼らは「初演以上のエネルギー」を出すべく、すっげーがんばっていたし、実際出ていたと思う。
下がったのは、「演出」。
わたしはもともと、「Mr.YU」場面を評価していない。
たしかに楽しいけれど、内輪受けの楽しさに過ぎないし、冗長すぎる。ミュージカル調に長々と物語をやっておきながら、オチはない。
あれだけの尺を使って演出するならば、起承転結すべて書くべきだ。すなわち、チェンジボックスでイケメンに変身したMr.YU@まとぶんが、彼を嫌っていたチェリーちゃん@彩音ちゃんを虜にし、彼を見下していたMr.SO@壮くんや会社の人たちに見直させる。そこまで書いてこそだ。
変身した途端に終了って、ナニそれ。意味ないじゃん。ここから物語がはじまる、プロローグだけえんえん見せられてエンドマークって、ジャンプの打ち切りマンガや植爺の『虹のナターシャ』かっつーの。
風呂敷を広げることは出来てもたたむことができない、フジイくんの悪いところがまるっと出たのが、「Mr.YU」。
それが再演で改訂させるかと思いきや、さらにわけのわからないことになっていた……のは、前に書いた。
ダブルスタンダードというか、「前作を見ていないとわからない」、でも「前作の続きだとしたらおかしなことだらけ」という、お粗末さ。構成力のない人が物語を書くとこんなひどいことに……。
とまあ、物語として見た上でも、いちばん長い尺の場面がクオリティダウンしているので、再演は初演以下になっている。
ちなみに「Mr.YU」はミュージカルとしても、再演は落ちてるんだよねー。
初演ではちゃんとメロディになっていた、音楽に乗ってミュージカルしていた部分が、「前作を見ているという前提で」メロディ無関係な台詞とかになってるの。
だから歌が少ない、音楽が少ない。趣向としてのミュージカル手段を、再演ではことごとく無視しているの。演出家は「前作を見ているという前提で」「どたばたのお笑いを書く」ことを、「初演を超える演出」だと誤解している模様。
「Mr.YU」はミュージカルになってナイよ……。バックに音楽が流れてるだけのドタコメじゃん。
んじゃ、「Mr.YU」場面を離れ、『EXCITER!!』全体を「タカラヅカ」として見た上では、どうだろう?
ショーとしての演出の他に、タカラヅカには「タカラヅカならでは」のお約束がある。
それは、トップスターを中心にしたピラミッド。華やかな人海戦術。スター個人の見せ場。
外部の作品なら、作品全体さえ良ければそれでいいのかもしれないけれど。
タカラヅカでは、どんだけ作品が正しく出来上がっていても、スターが魅力的に見えないと価値が下がる。トップコンビが世界の中心にいるのは当然だが、トップだけしか見どころのない作品は敬遠される、ある程度の番手付きスターたちもなにかしらオイシイところがないと。
そーゆー意味で、『EXCITER!!』初演と再演を比べてみる。トップから3番手までは変わっていないし、天才デザイナー作品の銀橋はノーカウント、それ以外の変更があったところで考える。
・初演でソロがあった男。
まっつ、めおくん、マメ、だいもん。
・再演でソロがあった男。
まっつ、タソ。
ちょ……っ!!
路線男役スターの見せ場削って、増えたのがタソのソロだけって、「タカラヅカ」としてどうなん?!
タカラヅカの座付き演出家として、花形男役スターに見せ場を作るのは使命ぢゃないのか?
トップから3番手まではちゃんと彼らがセンターの場面があるので、一見さんやライトファンにもわかりやすい。
だが問題は、それ以外の立ち位置のスターを、一見さんやライトな人たちの「記憶に残す」「個別認識しやすくする」演出が必要ってこと。
「8人口の左から2番目の人が気になった」として、ライトな観客はそれが誰なのか、人に聞くことも出来ない。
そうではなく、「オフィスの場面で、最初にフィットネスグッズを紹介していた人」とか、「ハバナの最初の場面で、女の子と踊りながら歌っていた人」とか、それを示すのがたったひとりしかいない、そーゆー場面が与えられなければならないんだ。
なのに再演ではそういった「スター」な場面を削ってしまった。
めおくんにはデザイナー場面の銀橋があるとか、まぁくんだいもんまゆくんは鳥さんやオラオラロケットボーイあるったってさあ、デザイナーは5組のうちの1組だし、鳥さんはあくまでも3人組だ。
「初演よりもバージョンアップ」を合い言葉にするなら、スターの個別の見せ場を増やすならまだしも、削ることないじゃん。
男役スターの活躍の場を削ってナニをしたかというと、娘役トップ蘭はなちゃんのお披露目。
……や、トップお披露目が大事なことはわかるけど、それならそれで初演でめおくんやだいもんの唯一の見せ場だった場面を削らず、新たに追加すれば良かったのに。
再演は上演時間が延びているんだから、蘭ちゃんお披露目おめでとー場面を挿入できたはずだ。
なのに、延びた分はデザイナー場面の無意味な水増し引き延ばしや、「Mr.YU」のぐだぐだお笑い場面に使うってどうなん。
初演よりバージョンアップというなら、初演よりも若手スターに見せ場を与えるべきなんじゃ?
まぁくんにちょろりとでも差別化した役割を与えるとか、まゆくんやあきらという新公主演経験者にピックアップ場面を作るとか。
今この瞬間だけ「笑える」からと、タソにおでぶおばさんをやらせることは、これからも続いていく花組を「タカラヅカ」として盛り上げているのだろうか?
退団するちあきさんにエトワールをやらせたり、エトワールでなくなって見せ場がひとつなくなったまっつといちかに、別の場面でデュエットさせる、しかも組替えするまっつにまとぶんと蘭ちゃんを見守らせる演出とかは、さすがフジイくん!と思うけれど。
そーゆー演出が罷り通るところが「タカラヅカ」ゆえのすばらしさだと思うけれど。
たった10ヶ月とかで再演なんだ、本気でバージョンアップしてほしかったよ、演出に。
「Mr.YU」をやるのはかまわないから、もっと要点をまとめて無駄なくオチまで描いて。台詞によるお笑いではなく、ミュージカルである最低限の歌は使って。
あれだけの長時間を費やすならせめて、いろんなスターに雪崩のように見せ場を作って。大勢が団子になって歌って踊って終わりではなく。
初演でソロがあった人の見せ場は削らず、むしろいろんな人に見せ場を増やす方向で。
再演の方がテンポが悪く冗長で、見せ場のあるスターの数が減っている。
これでバージョンアップなんて。
残念で仕方がない。
てなことを、ハードリピートしながらずーーっと考えていた。
ほんっとに、何回観たと思ってるんだ、『EXCITER!!』(笑)。
こうして「どうなん?」と書くけれど。
それでも、好きなんだけどね、『EXCITER!!』。
ふつーにいいショーだとは思うけどね。
1年を待たずして同じ組同じメンバーで本公演で再演しなければならないほどの、タカラヅカ史上はじまって以来の名作だとは、とても思えない。
さらに、再演して、さらにクオリティは下がったと思う。
出演者がではない。彼らは「初演以上のエネルギー」を出すべく、すっげーがんばっていたし、実際出ていたと思う。
下がったのは、「演出」。
わたしはもともと、「Mr.YU」場面を評価していない。
たしかに楽しいけれど、内輪受けの楽しさに過ぎないし、冗長すぎる。ミュージカル調に長々と物語をやっておきながら、オチはない。
あれだけの尺を使って演出するならば、起承転結すべて書くべきだ。すなわち、チェンジボックスでイケメンに変身したMr.YU@まとぶんが、彼を嫌っていたチェリーちゃん@彩音ちゃんを虜にし、彼を見下していたMr.SO@壮くんや会社の人たちに見直させる。そこまで書いてこそだ。
変身した途端に終了って、ナニそれ。意味ないじゃん。ここから物語がはじまる、プロローグだけえんえん見せられてエンドマークって、ジャンプの打ち切りマンガや植爺の『虹のナターシャ』かっつーの。
風呂敷を広げることは出来てもたたむことができない、フジイくんの悪いところがまるっと出たのが、「Mr.YU」。
それが再演で改訂させるかと思いきや、さらにわけのわからないことになっていた……のは、前に書いた。
ダブルスタンダードというか、「前作を見ていないとわからない」、でも「前作の続きだとしたらおかしなことだらけ」という、お粗末さ。構成力のない人が物語を書くとこんなひどいことに……。
とまあ、物語として見た上でも、いちばん長い尺の場面がクオリティダウンしているので、再演は初演以下になっている。
ちなみに「Mr.YU」はミュージカルとしても、再演は落ちてるんだよねー。
初演ではちゃんとメロディになっていた、音楽に乗ってミュージカルしていた部分が、「前作を見ているという前提で」メロディ無関係な台詞とかになってるの。
だから歌が少ない、音楽が少ない。趣向としてのミュージカル手段を、再演ではことごとく無視しているの。演出家は「前作を見ているという前提で」「どたばたのお笑いを書く」ことを、「初演を超える演出」だと誤解している模様。
「Mr.YU」はミュージカルになってナイよ……。バックに音楽が流れてるだけのドタコメじゃん。
んじゃ、「Mr.YU」場面を離れ、『EXCITER!!』全体を「タカラヅカ」として見た上では、どうだろう?
ショーとしての演出の他に、タカラヅカには「タカラヅカならでは」のお約束がある。
それは、トップスターを中心にしたピラミッド。華やかな人海戦術。スター個人の見せ場。
外部の作品なら、作品全体さえ良ければそれでいいのかもしれないけれど。
タカラヅカでは、どんだけ作品が正しく出来上がっていても、スターが魅力的に見えないと価値が下がる。トップコンビが世界の中心にいるのは当然だが、トップだけしか見どころのない作品は敬遠される、ある程度の番手付きスターたちもなにかしらオイシイところがないと。
そーゆー意味で、『EXCITER!!』初演と再演を比べてみる。トップから3番手までは変わっていないし、天才デザイナー作品の銀橋はノーカウント、それ以外の変更があったところで考える。
・初演でソロがあった男。
まっつ、めおくん、マメ、だいもん。
・再演でソロがあった男。
まっつ、タソ。
ちょ……っ!!
路線男役スターの見せ場削って、増えたのがタソのソロだけって、「タカラヅカ」としてどうなん?!
タカラヅカの座付き演出家として、花形男役スターに見せ場を作るのは使命ぢゃないのか?
トップから3番手まではちゃんと彼らがセンターの場面があるので、一見さんやライトファンにもわかりやすい。
だが問題は、それ以外の立ち位置のスターを、一見さんやライトな人たちの「記憶に残す」「個別認識しやすくする」演出が必要ってこと。
「8人口の左から2番目の人が気になった」として、ライトな観客はそれが誰なのか、人に聞くことも出来ない。
そうではなく、「オフィスの場面で、最初にフィットネスグッズを紹介していた人」とか、「ハバナの最初の場面で、女の子と踊りながら歌っていた人」とか、それを示すのがたったひとりしかいない、そーゆー場面が与えられなければならないんだ。
なのに再演ではそういった「スター」な場面を削ってしまった。
めおくんにはデザイナー場面の銀橋があるとか、まぁくんだいもんまゆくんは鳥さんやオラオラロケットボーイあるったってさあ、デザイナーは5組のうちの1組だし、鳥さんはあくまでも3人組だ。
「初演よりもバージョンアップ」を合い言葉にするなら、スターの個別の見せ場を増やすならまだしも、削ることないじゃん。
男役スターの活躍の場を削ってナニをしたかというと、娘役トップ蘭はなちゃんのお披露目。
……や、トップお披露目が大事なことはわかるけど、それならそれで初演でめおくんやだいもんの唯一の見せ場だった場面を削らず、新たに追加すれば良かったのに。
再演は上演時間が延びているんだから、蘭ちゃんお披露目おめでとー場面を挿入できたはずだ。
なのに、延びた分はデザイナー場面の無意味な水増し引き延ばしや、「Mr.YU」のぐだぐだお笑い場面に使うってどうなん。
初演よりバージョンアップというなら、初演よりも若手スターに見せ場を与えるべきなんじゃ?
まぁくんにちょろりとでも差別化した役割を与えるとか、まゆくんやあきらという新公主演経験者にピックアップ場面を作るとか。
今この瞬間だけ「笑える」からと、タソにおでぶおばさんをやらせることは、これからも続いていく花組を「タカラヅカ」として盛り上げているのだろうか?
退団するちあきさんにエトワールをやらせたり、エトワールでなくなって見せ場がひとつなくなったまっつといちかに、別の場面でデュエットさせる、しかも組替えするまっつにまとぶんと蘭ちゃんを見守らせる演出とかは、さすがフジイくん!と思うけれど。
そーゆー演出が罷り通るところが「タカラヅカ」ゆえのすばらしさだと思うけれど。
たった10ヶ月とかで再演なんだ、本気でバージョンアップしてほしかったよ、演出に。
「Mr.YU」をやるのはかまわないから、もっと要点をまとめて無駄なくオチまで描いて。台詞によるお笑いではなく、ミュージカルである最低限の歌は使って。
あれだけの長時間を費やすならせめて、いろんなスターに雪崩のように見せ場を作って。大勢が団子になって歌って踊って終わりではなく。
初演でソロがあった人の見せ場は削らず、むしろいろんな人に見せ場を増やす方向で。
再演の方がテンポが悪く冗長で、見せ場のあるスターの数が減っている。
これでバージョンアップなんて。
残念で仕方がない。
てなことを、ハードリピートしながらずーーっと考えていた。
ほんっとに、何回観たと思ってるんだ、『EXCITER!!』(笑)。
こうして「どうなん?」と書くけれど。
それでも、好きなんだけどね、『EXCITER!!』。
コメント