娘よ、いつか。@ロミオとジュリエット
2011年1月10日 タカラヅカ 観るたびに、いろんな発見があり、チガウところで泣ける。
アングル固定の録画映像ではない、ナマの舞台のおもしろさ。
『ロミオとジュリエット』、リピートすることによっていろんな人の人生が浮かび上がってくる。
キャピュレット卿@ヒロさんが素晴らしいことは、初演の星組でもわかっている。
色男な姿も素敵だし、妻に愛されていないと判明、その上娘に非難されての寂寥のソロがまた絶品。
毎回豊かな歌声を心地よく聴いているわけなんだが、あるときちゃんと歌詞に耳を傾け……というか、考えてみた。や、歌詞はもちろん聞いている・意味わかっているけど、ちゃんと考えてなかったのね。
ジュリエットに拒絶されたあと、キャピュレット卿は「娘よ」と歌う。
憎くて言っているんじゃない、幸せを願っているのだと。
「いつかはわかりあえる日が来る」と。
いつかなんて来ないじゃん!!
ジュリエット、自殺しちゃうじゃん。
キャピュレット卿目線で物語を見たら。
それまでは「個」なんて無視、自分の所有物だと思っていた一人娘。なにも言わなくても自分を愛し、全幅の信頼をおいてくれていると、疑ってもいなかった存在。
親にとって、子どもはいつまでも子ども。娘がひとりの女性に成長しているなんて、気付いていない。最初に抱き上げた小さな姿のまま、「ぱぱのおよめさんになるー」と抱きついてきた姿のまま、印象は止まっている。
だからジュリエットの愚行が許せないし、理解できない。自分の考えを一方的に押しつけ、逆らわれて手をあげる。
思わず殴ってしまい、はじめて、娘が成長していることに気づき。
彼はいつも、自分が良かれと思うことをしてきた。黙っていても家族は理解してくれていると思い、闘ってきたのに……実は誰も彼を愛してくれていなかった。
自分の生き方は間違っていない、考え方は間違っていない。ただ、愛する家族に理解されていなかったこと、それを少しも気付かずいたことを寂しく思い、また、自嘲する。
子どもに否定されるって、人生否定されたよーなもんじゃんね?
「親父みたいになりたくない」とか、「お母さんみたいな人生は嫌」とか、息子や娘に言われたら、凹みますよ。
家族のためにがんばって生きている、その過程全部間近で見てきた相手に否定されたら、じゃあオレの人生なんなんだよ?てなもんで。
ジュリエットひどい。パパの自尊心こなごなに砕いちゃったよ。
自嘲しても、キャピュレット卿は意志を曲げない。間違っているのは娘の方、親は娘のためを思ってやっているんだ、いつかわかってくれる。
叩いてしまった手を見つめ、きっと娘の幼い頃の姿なんか思い浮かべながら……彼女の幸福を祈る。今憎まれても、娘のために最善を尽くそうと。
なのに。
なのに、ジュリエットは死んでしまう。
キャピュレット卿は娘とケンカ別れしたまま……その手で娘を殴り、泣かせてしまったまま、永遠の別れとなる。
いつか、わかってくれる……そう思っていたのに。あえて悪役になったのに。
てゆーか、娘殺したの、俺か?
泣いて嫌がる娘に結婚を命令した、そのまま娘自殺ってことは、殺したの俺じゃん。
娘に全人生否定された上、その娘殺しちゃったよ……。
ってそれ、どんだけ悲劇。
ヒロさんの歌声に聴き入り、彼の哀切に集中したあとジュリエットに「恐れはしない♪」と薬飲み干されたときにゃ、喉の奥が鳴りましたよ、キャピュレット父の気持ちを思って。
ちょっと待て、父親を全否定したまま死ぬな!! そんなことしたらパパがどんだけ傷つくと……!!
突き放した直後に息子に自殺されたエリザベートもかくや、の悲劇。
ここでだーだー泣きました。舞台に現れないキャピュレット卿の慟哭を思って。
跡継ぎで息子同然だったティボルト@ヲヅキを失い、その上一人娘まで失って。
それでもキャピュレットの長たる彼は、弱いところを誰にも見せられず、妻すら心通う相手ではなく。
その寂寥の凄まじさは想像にあまりある。
いやはや。
どこにツボがころがっていて、どこでずどーんと来るか、実際観てみないとわかんないし、観るたびチガウし。
こーやってジュリエットパパに感情移入して泣いたかと思うと、次に観たときはまさに同じ場面でジュリエットに感情移入してさめざめと泣いたし。
大好きだ、『ロミオとジュリエット』。
アングル固定の録画映像ではない、ナマの舞台のおもしろさ。
『ロミオとジュリエット』、リピートすることによっていろんな人の人生が浮かび上がってくる。
キャピュレット卿@ヒロさんが素晴らしいことは、初演の星組でもわかっている。
色男な姿も素敵だし、妻に愛されていないと判明、その上娘に非難されての寂寥のソロがまた絶品。
毎回豊かな歌声を心地よく聴いているわけなんだが、あるときちゃんと歌詞に耳を傾け……というか、考えてみた。や、歌詞はもちろん聞いている・意味わかっているけど、ちゃんと考えてなかったのね。
ジュリエットに拒絶されたあと、キャピュレット卿は「娘よ」と歌う。
憎くて言っているんじゃない、幸せを願っているのだと。
「いつかはわかりあえる日が来る」と。
いつかなんて来ないじゃん!!
ジュリエット、自殺しちゃうじゃん。
キャピュレット卿目線で物語を見たら。
それまでは「個」なんて無視、自分の所有物だと思っていた一人娘。なにも言わなくても自分を愛し、全幅の信頼をおいてくれていると、疑ってもいなかった存在。
親にとって、子どもはいつまでも子ども。娘がひとりの女性に成長しているなんて、気付いていない。最初に抱き上げた小さな姿のまま、「ぱぱのおよめさんになるー」と抱きついてきた姿のまま、印象は止まっている。
だからジュリエットの愚行が許せないし、理解できない。自分の考えを一方的に押しつけ、逆らわれて手をあげる。
思わず殴ってしまい、はじめて、娘が成長していることに気づき。
彼はいつも、自分が良かれと思うことをしてきた。黙っていても家族は理解してくれていると思い、闘ってきたのに……実は誰も彼を愛してくれていなかった。
自分の生き方は間違っていない、考え方は間違っていない。ただ、愛する家族に理解されていなかったこと、それを少しも気付かずいたことを寂しく思い、また、自嘲する。
子どもに否定されるって、人生否定されたよーなもんじゃんね?
「親父みたいになりたくない」とか、「お母さんみたいな人生は嫌」とか、息子や娘に言われたら、凹みますよ。
家族のためにがんばって生きている、その過程全部間近で見てきた相手に否定されたら、じゃあオレの人生なんなんだよ?てなもんで。
ジュリエットひどい。パパの自尊心こなごなに砕いちゃったよ。
自嘲しても、キャピュレット卿は意志を曲げない。間違っているのは娘の方、親は娘のためを思ってやっているんだ、いつかわかってくれる。
叩いてしまった手を見つめ、きっと娘の幼い頃の姿なんか思い浮かべながら……彼女の幸福を祈る。今憎まれても、娘のために最善を尽くそうと。
なのに。
なのに、ジュリエットは死んでしまう。
キャピュレット卿は娘とケンカ別れしたまま……その手で娘を殴り、泣かせてしまったまま、永遠の別れとなる。
いつか、わかってくれる……そう思っていたのに。あえて悪役になったのに。
てゆーか、娘殺したの、俺か?
泣いて嫌がる娘に結婚を命令した、そのまま娘自殺ってことは、殺したの俺じゃん。
娘に全人生否定された上、その娘殺しちゃったよ……。
ってそれ、どんだけ悲劇。
ヒロさんの歌声に聴き入り、彼の哀切に集中したあとジュリエットに「恐れはしない♪」と薬飲み干されたときにゃ、喉の奥が鳴りましたよ、キャピュレット父の気持ちを思って。
ちょっと待て、父親を全否定したまま死ぬな!! そんなことしたらパパがどんだけ傷つくと……!!
突き放した直後に息子に自殺されたエリザベートもかくや、の悲劇。
ここでだーだー泣きました。舞台に現れないキャピュレット卿の慟哭を思って。
跡継ぎで息子同然だったティボルト@ヲヅキを失い、その上一人娘まで失って。
それでもキャピュレットの長たる彼は、弱いところを誰にも見せられず、妻すら心通う相手ではなく。
その寂寥の凄まじさは想像にあまりある。
いやはや。
どこにツボがころがっていて、どこでずどーんと来るか、実際観てみないとわかんないし、観るたびチガウし。
こーやってジュリエットパパに感情移入して泣いたかと思うと、次に観たときはまさに同じ場面でジュリエットに感情移入してさめざめと泣いたし。
大好きだ、『ロミオとジュリエット』。
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