ある日の『ロミオとジュリエット』、ある日のベンヴォーリオ@まっつ。

 せっかく、立ち直ったのに。
 ロミオ@キムに裏切られた傷、捨てられた悲しみ、否定された痛みから、愛ゆえに立ち直ったのに。親友を赦し、彼の心ごと受け入れようとしたのに。

 立ち直った、次の瞬間奈落へ突き落とされるって、ナニこの完璧なドラマっぷり。すげー急展開。

 マーキューシオ@ちぎが刺され、ベンヴォーリオは崩れる。

 それまでのカッコつけキャラ……二枚目半なところを見せてもいたが、対外的にはシニカルで慇懃無礼なクールキャラだったのに。おにーさんキャラだったのに。ふてぶてしいチームリーダーだったのに。

 まとっていたもの全部かなぐり捨てて、親友を抱く。必死に手なんか握って。
 言葉もなく、消えていく親友の魂を見つめる。

 哀しい顔、なんてもんじゃない。
 子どものような、痛々しい表情。
 思考がストップしたような。

 だからロミオの凶行にも反応できず。横にいたんだから、止めろよ、なんて無理な話。
 いつもの仲裁役ベンヴォーリオなら止められていたかもしれないけど。今の彼には無理だった。
 呆然と、立ち尽くすしかなくて。

「僕たちは被害者だ」と、死んだティボルト@ヲヅキのもとまで行って歌う。
 その、ティボルトを見る目も、とても哀しくて。

 友情じゃなくても、ここにもなにかしらの絆はあったんだと、前にも増して思う。(ティボとベンは、マーやロミオ抜きで一度ちゃんと話すべきだ、と思っている……そのうち語る)

 親友とライバルを一度に失って、その上ロミオまで追放になって。
 「狂気の沙汰」から「どうやって伝えよう」の痛々しさ全開。

 ちょ……っ、ちょおっ、ちょおっ、なんなのこれ、なんのプレイなのまつださん、今回のベン様すげートバしてるよおおおっ。
 
 歌声は抑え気味、高音は出ないのか最初から出さない方向、その分悲しみや揺らぎがてんこ盛りっ!!
 クールな外見と強い動き、なのに満ちる悲しみ。

 萌え死ぬかと(笑)。

 マントヴァで満面の笑顔のロミオに対峙し、クチにする言葉、「君に、会いに」が絶品。

 きみに、あいに。
 キミニ、アイニ。

 文章にならない、単語を並べただけの幼児みたいな喋り方。
 これが精一杯だったんだ、ベン様。
 あれだけ壮絶な決心をしてマントヴァまで来て、でもロミオの笑顔を目の当たりにしちゃったら、言葉が出なくなった。

 絞り出す、「君に、会いに」。

 ジュリエットの死を告げたあとは、目を合わすことも出来なくて。親友の視線を避けて、顔を背ける弱い姿。

 霊廟での、腰が抜けたようなぺたんとした坐り方、亡骸のそばまで行って台に両手をついて泣き崩れる姿が哀しいのは、言うまでもなく。

 マーキューシオの死の場面や、霊廟での魂が抜けたような姿へのラインが、一気につながり、あざやかに浮かび上がった気がした。
 や、今までだって別に疑問はなかったんだけど。

 初日のベン様はもっともっと強くてふてぶてしかったし、ドSな顔もいっぱいしていたし。
 怒りより悲しみを湛えた人ではなかった。

 こんな哀しい人なのか、ベンヴォーリオ……。

 立ち上がり、決意を歌い出す姿がまぶしい。
 コーラスの中、まっつの声を拾うのもたのしい(笑)。

 去り際に大公閣下@しゅうくんとなにを話してるんだろう、「はい」って頷いているのがわかる。

 わたしの脳内には「大丈夫か?」「はい」という会話が聞こえるんですが。
 大公閣下はマーさんの死、ロミオ追放後、ベンヴォーリオがボロボロだったのを知っているのよ、だからここで彼の心の傷を案じるのよ(笑)。

 
 また別の日には違ったベン様が見えるかもしれない。
 だから取り急ぎ、あの日わたしが(勝手に)見たモノを記す。

 ……客席に水くんたちがいたのに、きっとふつーならより張り切って見せちゃうところだろうに。よりによってこんな日に本調子ぢゃなかったまつださんの運の悪さにも萌え(笑)。

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