友人のチェリさんは、いろいろと愉快なカンチガイをする人なのだが。
 星組中日公演の演目が『愛するには短すぎる』だっつーことで、

「ちえがテルに『幸せになれー!』って叫ぶのね」

 と、真顔で言う。
 ちょっと待て。どーしてれおんくんがかなめくんにそんな台詞を?
「だってテルは宙組に組替えでしょ」
 たしかに組替えだが、その台詞はフレッドがバーバラに言う台詞だってば。

「だから、テルがバーバラでしょ?」(真顔)

 チガーウ! 何故そんな愉快配役をしなきゃなんないの、ねねちゃんがいるでしょ、バーバラ@ねねちゃんだってば!

「じゃ、テルはなにするの?」(真顔)

 アンソニーに決まってるじゃん。

「えええ?!!」
 いや、驚かれても。

 チェリさんの中では「組替え=バーバラ役」と直結し、それ以外は考えられなかったようだ……って、ヲイ。
 たしかにバーバラ@となみは組替えだったけどさー。

 
 てことで、中日『愛するには短すぎる』初日行ってきました。

 いやはや。
 退団公演ナメてました。

 代替わりしたあとの全ツやらの別箱公演で、退団公演と同じ演目をすることはよくある。記憶も新しいうちにするわけだから、実際に観劇した際に切なかったりするわけだが。
 今回はもう4~5年経っている。ただ作品ファンとして楽しむ気満々で観に行ったんだ。

 またわたしは、「再演」に対する拒絶反応が少ない。思い入れのある作品を再演されるからといって「**は※※さんの作品なのに! 別の人でなんか観たくない!」とか、そーゆー感覚がない。
 時代にそぐわない大昔作品の再演に反対なだけで、作品への思い入れゆえに反対することはナイ。
 特に中日などの別箱は再演が基本だから、ナニやってくれてもいいさ。
 シンプルに「あの作品をもう一度観られる」「役替わり公演的に楽しみ」と言える。
 『愛短』は大好きな作品。毎回だーだー泣きながら通った。それをもう一度別キャストで観られるのは、楽しい、うれしい。
 と。のーてんきに中日まで行ったわけなんだが。

 ……『愛短』はただの作品ぢゃない。退団公演だったんだ。わかっていたけど、わかってなかった。

 泣けました。

 物語が、以前に、思い出ゆえに。

 どんだけ好きだったか。フレッド@ワタさん、アンソニー@トウコ、バーバラ@となみ。船長@しいちゃん、ウメ、和くん、みらん、コトコト、きんさん、にしきさん、まひろ、エンディ、……役ついてた人たちだけでも次々と甦ってきて、切なくてたまらない。

 てゆーかわたしほんとに好きだったのよ、ワタトウ!!
 フレッドとアンソニーのデュエットで涙腺決壊。うわーん!!

 トウコちゃんに会いたいなあ。女優の安蘭けいさんじゃなくて、タカラジェンヌの、男役の、あのころのトウコに。あんな人にはもう出会えないのかなあ。うわーん。
 アンソニー@トウコが好きすぎて、フレッド@ワタさんとのコンビが好きすぎて、切なさでドキドキする。

 もう4年半経ってるし、というのはなんの関係もなかった。
 記憶は鮮明で、なんのフォローにもなりゃーしない。全編答え合わせというか、ここはこうだった、あの人だったと勝手に脳が動く。
 いやもお、無駄に消耗した(笑)。

 そんななか、オープニングから、黒髪しーらんの戦闘意欲ばりばりっぷりに、アテられまくる(笑)。

 初日で下級生多しでみんないっぱいいっぱいが透けて見える、自分の役目をこなすのに精一杯、な群舞で、しーらんひとりすげー勢いで客席釣っててウケた。ナニあの目ヂカラ。kineさんは「仕様ですから!」のひとことで済ませてたけど(笑)。
 うん、たしかにしーらんさんの仕様なんだろう。目線もらったっつーか、がっつり釣られた……びびった。
 草食系が多い昨今、彼のような肉食男子はいいよねー。

 フレッド@れおんくんに、彼の新公時代を思い出す。
 れおんくんはワタさんの役をえんえんやっていたねえ……って、そうかフレッドはやってないのか。
 ワタさんにあった朴訥さが、れおんにないことを、驚いて見つめる。れおんのフレッドの方が、スマートだ。見た目だけでなく、いろんなところが。

 アンソニー@かなめくんは……。
 まあトウコちゃんはなあ。変なクド味というか、ねっとりした曲者感のある人だったからな。あれはトウコちゃんならではの持ち味として。

 アンソニーが、小悪魔ではなくお調子者だった。てのは、なかなかに衝撃的だ(笑)。
 アンソニーって、小悪魔キャラの代表だと思ってたのよ。マサツカすげえ、おっさんが小悪魔キャラの「男」を描けるなんて、ふつーは女子にしか描けない・理解できないのに! と、感心してたんだけど。
 そっか。マサツカおじさんはふつーに男子脳でお調子者を描いていて、トウコが勝手に小悪魔にしていたのね。

 小悪魔でないアンソニーは、チャラいというか、軽かったっす……(笑)。
 かなめくんの演じる軽い二枚目というとコレだよねというか、鳴海先生またここに?というか(笑)。
 や、かわいかったよ。

 体格が同じの男ふたりがいちゃいちゃしまくり、抱き合ったりなんだりされると、なかなかみょーな迫力があるもんだなと、そんな感心をしました……。
 小悪魔に翻弄される朴訥な男、ではなく、チャラ男に言いくるめられる二枚目、なわけだしなー。うーむ。

 バーバラ@ねねちゃんは、しみじみ「スター」だなと思った。
 どんな役をやっても彼女は「ねねちゃん」であり、役に染まることはないんだなと。アイドルやスターは、役になりきるよりも「ナニをやっても**(名前)」である方が向いている。
 れおんくんもそのタイプだと思ってたんだけど、彼はけっこう役によって変わる。変わらないねねちゃん相手に、彼が変わることでいろんな色を作っていくんだ……ということに瞠目。

 フランク@ともみんは、当時のれおんよりうまいと思う……って、れおんここ数年で急成長したんやなー。
 船長@れいやくんのいっぱいいっぱいぶり、歌大変!以上に、「舞台でセンターに立つ」ことにキョドっている感じが、手に汗握る。きっとこの経験が彼を大きく変えるだろうな。
 ドリー@わかばちゃんは、なんか大人びていてびびった。ウメちゃんが演じたドリーにあった「向いてない感じ」がそのままあったので、コレはマサツカのこだわりなのか?と首を傾げる(笑)。
 ドリーの相方デイブ@麻央くんを見て、「この役は、演技アレな人がやる役なのか」と、妙に納得した(笑)。初演が和くんで新公がベニーだもんなあ。主要人物の中で実力の差ゆえに浮いてる感じ、それを必要とした役回りなのか。

 中堅以上のひとたちの役替わりに関しては、問題なくたのしめた。

 個人的に、まいけるの違和感のなさと、役そのままなのか!のギリーにツボった。

 今回退団公演ではないっつーことで、サヨナラ色を薄めようとしたところ、ラストがさらに淡泊になっていて、もともとマサツカ作品って淡泊なのにいいのかよと思いつつ(笑)。

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