「タカラヅカ」の文化祭であるから。@第97期宝塚音楽学校文化祭
2011年2月21日 タカラヅカ 第97期宝塚音楽学校文化祭にて、しみじみと谷正純を思う(笑)。
文化祭の「演劇」は、芝居としての整合性よりも、出演者に等しく見せ場を割り振ることを主眼とする。
もちろん主役とヒロインがいて、主な役と脇役は区別されてるんだけど、それとは別にできるだけ多くの役と見せ場を作ってあげることに気を配られている。
谷せんせは、1本の芝居に複数の物語を挿入することで、主役もヒロインも嵩まししてきた。
93期は『ラ・ボエーム+レント』で1本の話の中に「ラ・ボエーム」と「レント」という2本の話をぶち込み、ふたつの物語が同時進行するということをやった。だから主人公はふたりで、ヒロインもふたり。その親友とかも数が倍。
去年の96期はO・ヘンリの短編を3本、だから主役が3人、その相手役も3人。
今年の97期生は、文化祭の舞台を踏むのがたった33人。だから無理に複数の話にする必要はなかったんだろう。
にしても、主役ふたりにヒロインふたり、ってなWトップ仕様になっていたと思う。
でもって、もお。
今年の芝居と来たら。
谷正純ココにあり!な作品(笑)。
タイトルは『オーロラの歌声』という、18世紀後半のスウェーデンが舞台の小品。
いきなり「フェルゼン伯爵が国王陛下の命でフランス国王救出に」とか、トンデモ歴史解説がはじまったり、客席で吹き出した。
ちょ、ソレは植爺脚本『ベルばら』!! 原作とも史実とも無関係!!
近衛兵候補生たちの青春芝居なので、もちろんみんな横一列に並んで順番に台詞を言う。
『ベルばら』まんまですよ、つい最近コレ観たわ、目が見えないことを黙っててくれと衛兵隊のみんなの前で土下座して泣いて頼むアンドレと、「あんどれがかわいそうだ」とかゆって一緒に泣き出す衛兵隊士たちと、彼らから「あらん、なんとかしてくれ」と言われるアラン……アレと同じ構図が繰り広げられてます。
ナニこれ、パロディ?
スウェーデン皇太子様は、皇太子でありながら、農民や抗夫出身の近衛兵候補生たちに混ざって2年間寝食を共にし、同じ訓練を受ける、という設定。
貴族出身者だけだったオスカル様のいたフランス近衛兵を全面否定して、「身分関係なく募る」というところがツボ。一緒に訓練することで、真に信頼しあえる親衛隊を組織することが目的らしい。
んで、やっぱりついこの間観た士官候補生モノ『愛と青春の旅だち』と似たよーなストーリー展開。エピソードやキャラがかぶるっつーか、デジャヴだらけ。
パクリとかゆーんじゃなく、ベタなことだけやったら似てしまうってことでしょう。
でもって、オリジナリティに興味はなく、ほんっとにお手軽なところで話が作られているの。
皇太子であり、タカビーな貴族のお姫様婚約者がありながら、宿屋の娘と恋に落ちる主人公。
ひたすら二枚目、包容力笑顔。驕らず誠実、公正で情け深いときたもんだ。
ヒロインは慎ましく可憐、よよと泣き崩れる系。身分違いだから黙って身を引くの、出会えただけで満足なの、けなげけなげっと。
2番手役は、候補生の実直班長。ヒトの世話ばかり焼いて自分のことは顧みず、仲間のことばかり考える。
そんな班長に惚れているヒロインの姉、お節介で口数の多い肝っ玉母さん系。
あとはやたら物わかりのイイ教官様とか、ツンデレ候補生とか、ヘタレとかそのカノジョとか、いろいろ。
短い時間内に、よくもまあ。
テンプレ設定、べたべたのベタな展開てんこ盛り、タカラヅカが大好きな「人情」を押し出しまくって、もおどうしようかと。
でもって、これは文化祭の「演劇」という出し物なので。
ミュージカルではなく、「演劇」なの。ストレートプレイなの。
歌を披露する場は別に設けてあるから、ここでは芝居力を披露する場なの。
なのに。
クライマックスで、いきなり歌がキタ。
ぽかーーん。
「演劇」なのに。
ミュージカルぢゃないのに!!(笑)
しかもしかも、いかにもタカラヅカ、いかにも谷正純な「人情ベタベタ」「エエ話や」なところで、これでもかとゆー、ウエット極まりない歌!!
候補生たちが2年間の訓練期間を終えて卒業していく歌を、卒業式の歌ばりに「みんなで力を合わせた運動会」「楽しかった遠足」のノリで、ひとりずつ宙を見つめながら歌いつないでいく!
それはそのまま、2年間の音楽学校を修了し、卒業していく本科生たちの姿そのままで。
ナニこのすげー展開!!(笑)
うっわー。
谷せんせだ。
もんのすげー谷せんせ。
谷正純節全開。
わかりやすい人情劇、わかりやすい感動。
とにかく泣かせる。
膝を打って、大ウケしました……(笑)。
谷正純集大成みたいな作品。
どーせ文化祭だと思って、なんのヒネリも工夫もなく、書きやすいモノだけで書いてあるもんだから、本質丸出し。
演じている本科生たちも純粋だから、最後の「卒業式の歌」で2年間の思い出を振り返りながら泣いてるし。
役とオーバーラップしちゃって。
んで、客席も一緒になって泣くし。親や親戚は泣くでしょそりゃ。娘の卒業式で卒業の歌聴いたら。
いやあ、いいもん観た。
べったべたの人情劇、恥ずかしいまでの本質むき出しの谷作品。
泣きましたとも。
くっだらねー!と思う、あざとすぎるとも思う。
それでも、谷せんせの人情モノは好きだよ。
あまりにあまりに作りなので大ウケしたけど、泣いたのもほんとう。
泣きながら笑った。谷せんせ恥ずかしい芸風!と。
優等生班長と三枚目のヒロイン姉が「オーロラの歌声」を聴くシーンで、マジにぶわっと泣けた。
この子たちは、しあわせにならなきゃだめだ。
心から、そう思った。
こんなにこんなにイイ子たちなんだから、しあわせにならなきゃ。
いい人は報われなきゃダメだ。と。
んで、ほんとに彼らはシアワセになるの、報われるの。ご都合主義でもなんでも、それが谷せんせの人情モノ。
あざといけど。見え見え過ぎてて、こんなの書く方もそれを観て泣く方も、アッタマ悪ー!って感じだけど。
でもいいの(笑)。
ラストシーンで目をうるうるさせながら歌っている彼らを観て、一緒に泣くのが「タカラヅカ」だもん。
あ。
プログラムをちゃんと読むと挿入歌のことも書いてあった。公平氏作詞の卒業生用の歌だそうですよ……ほんとに卒業式の歌……でもってそんなもんをそのまま使う厚顔さにまた舌を巻く。
まったく、公私混同ってゆーか、バックヤードと舞台の区別のついてなさそーなとこがまた、素敵に「タカラヅカ」。
文化祭の「演劇」は、芝居としての整合性よりも、出演者に等しく見せ場を割り振ることを主眼とする。
もちろん主役とヒロインがいて、主な役と脇役は区別されてるんだけど、それとは別にできるだけ多くの役と見せ場を作ってあげることに気を配られている。
谷せんせは、1本の芝居に複数の物語を挿入することで、主役もヒロインも嵩まししてきた。
93期は『ラ・ボエーム+レント』で1本の話の中に「ラ・ボエーム」と「レント」という2本の話をぶち込み、ふたつの物語が同時進行するということをやった。だから主人公はふたりで、ヒロインもふたり。その親友とかも数が倍。
去年の96期はO・ヘンリの短編を3本、だから主役が3人、その相手役も3人。
今年の97期生は、文化祭の舞台を踏むのがたった33人。だから無理に複数の話にする必要はなかったんだろう。
にしても、主役ふたりにヒロインふたり、ってなWトップ仕様になっていたと思う。
でもって、もお。
今年の芝居と来たら。
谷正純ココにあり!な作品(笑)。
タイトルは『オーロラの歌声』という、18世紀後半のスウェーデンが舞台の小品。
いきなり「フェルゼン伯爵が国王陛下の命でフランス国王救出に」とか、トンデモ歴史解説がはじまったり、客席で吹き出した。
ちょ、ソレは植爺脚本『ベルばら』!! 原作とも史実とも無関係!!
近衛兵候補生たちの青春芝居なので、もちろんみんな横一列に並んで順番に台詞を言う。
『ベルばら』まんまですよ、つい最近コレ観たわ、目が見えないことを黙っててくれと衛兵隊のみんなの前で土下座して泣いて頼むアンドレと、「あんどれがかわいそうだ」とかゆって一緒に泣き出す衛兵隊士たちと、彼らから「あらん、なんとかしてくれ」と言われるアラン……アレと同じ構図が繰り広げられてます。
ナニこれ、パロディ?
スウェーデン皇太子様は、皇太子でありながら、農民や抗夫出身の近衛兵候補生たちに混ざって2年間寝食を共にし、同じ訓練を受ける、という設定。
貴族出身者だけだったオスカル様のいたフランス近衛兵を全面否定して、「身分関係なく募る」というところがツボ。一緒に訓練することで、真に信頼しあえる親衛隊を組織することが目的らしい。
んで、やっぱりついこの間観た士官候補生モノ『愛と青春の旅だち』と似たよーなストーリー展開。エピソードやキャラがかぶるっつーか、デジャヴだらけ。
パクリとかゆーんじゃなく、ベタなことだけやったら似てしまうってことでしょう。
でもって、オリジナリティに興味はなく、ほんっとにお手軽なところで話が作られているの。
皇太子であり、タカビーな貴族のお姫様婚約者がありながら、宿屋の娘と恋に落ちる主人公。
ひたすら二枚目、包容力笑顔。驕らず誠実、公正で情け深いときたもんだ。
ヒロインは慎ましく可憐、よよと泣き崩れる系。身分違いだから黙って身を引くの、出会えただけで満足なの、けなげけなげっと。
2番手役は、候補生の実直班長。ヒトの世話ばかり焼いて自分のことは顧みず、仲間のことばかり考える。
そんな班長に惚れているヒロインの姉、お節介で口数の多い肝っ玉母さん系。
あとはやたら物わかりのイイ教官様とか、ツンデレ候補生とか、ヘタレとかそのカノジョとか、いろいろ。
短い時間内に、よくもまあ。
テンプレ設定、べたべたのベタな展開てんこ盛り、タカラヅカが大好きな「人情」を押し出しまくって、もおどうしようかと。
でもって、これは文化祭の「演劇」という出し物なので。
ミュージカルではなく、「演劇」なの。ストレートプレイなの。
歌を披露する場は別に設けてあるから、ここでは芝居力を披露する場なの。
なのに。
クライマックスで、いきなり歌がキタ。
ぽかーーん。
「演劇」なのに。
ミュージカルぢゃないのに!!(笑)
しかもしかも、いかにもタカラヅカ、いかにも谷正純な「人情ベタベタ」「エエ話や」なところで、これでもかとゆー、ウエット極まりない歌!!
候補生たちが2年間の訓練期間を終えて卒業していく歌を、卒業式の歌ばりに「みんなで力を合わせた運動会」「楽しかった遠足」のノリで、ひとりずつ宙を見つめながら歌いつないでいく!
それはそのまま、2年間の音楽学校を修了し、卒業していく本科生たちの姿そのままで。
ナニこのすげー展開!!(笑)
うっわー。
谷せんせだ。
もんのすげー谷せんせ。
谷正純節全開。
わかりやすい人情劇、わかりやすい感動。
とにかく泣かせる。
膝を打って、大ウケしました……(笑)。
谷正純集大成みたいな作品。
どーせ文化祭だと思って、なんのヒネリも工夫もなく、書きやすいモノだけで書いてあるもんだから、本質丸出し。
演じている本科生たちも純粋だから、最後の「卒業式の歌」で2年間の思い出を振り返りながら泣いてるし。
役とオーバーラップしちゃって。
んで、客席も一緒になって泣くし。親や親戚は泣くでしょそりゃ。娘の卒業式で卒業の歌聴いたら。
いやあ、いいもん観た。
べったべたの人情劇、恥ずかしいまでの本質むき出しの谷作品。
泣きましたとも。
くっだらねー!と思う、あざとすぎるとも思う。
それでも、谷せんせの人情モノは好きだよ。
あまりにあまりに作りなので大ウケしたけど、泣いたのもほんとう。
泣きながら笑った。谷せんせ恥ずかしい芸風!と。
優等生班長と三枚目のヒロイン姉が「オーロラの歌声」を聴くシーンで、マジにぶわっと泣けた。
この子たちは、しあわせにならなきゃだめだ。
心から、そう思った。
こんなにこんなにイイ子たちなんだから、しあわせにならなきゃ。
いい人は報われなきゃダメだ。と。
んで、ほんとに彼らはシアワセになるの、報われるの。ご都合主義でもなんでも、それが谷せんせの人情モノ。
あざといけど。見え見え過ぎてて、こんなの書く方もそれを観て泣く方も、アッタマ悪ー!って感じだけど。
でもいいの(笑)。
ラストシーンで目をうるうるさせながら歌っている彼らを観て、一緒に泣くのが「タカラヅカ」だもん。
あ。
プログラムをちゃんと読むと挿入歌のことも書いてあった。公平氏作詞の卒業生用の歌だそうですよ……ほんとに卒業式の歌……でもってそんなもんをそのまま使う厚顔さにまた舌を巻く。
まったく、公私混同ってゆーか、バックヤードと舞台の区別のついてなさそーなとこがまた、素敵に「タカラヅカ」。
コメント