1作品1ホモがお約束の大野先生。
 ホモばっかり!ぢゃあんまりなので、抑えて1ホモにする慎ましさ。……ホモは出さなきゃならんのか?という疑問は横へ置いておいて。

 『記者と皇帝』はどんなホモが出るのかしら、と思っていたら、…………カチャの役だとは意外すぎた。

 そこ?! ソコに来るわけなの??
 もっとわかりやすいところに持って来られるだろうに、ソコなの??
 わかりやすいってのはつまり、役者的に。まさことかちーちゃんとか、ふつーに美形男役で。
 カチャが美形ではないと言っているわけではなく、カップリング相手にとっての美形というかね。

 カチャが愛ちゃん相手に少年役同士でカップリングなら、ふつーに美しいと思う。
 だけど、みっちゃん相手にとなると、まさこやちーが収まり良いと思う。

 そう、相手がみっちゃんだから。
 あのみちこ様相手に、カチャが年長の役でホモ絡み、つーのは……なんのプレイかと。
 大野くん、すごいなあ。

 
 タカラヅカはスターの高学年化が進んでいる。2011年4月からは、宙組トップスター大空祐飛さんは、研20だ。すげー。
 昔は研12くらいで就任して、研15くらいで退団とかがふつーだったのに、今は「昔のトップスターが退団する学年でよーやく就任」が当たり前だ。
 ゆーひくんの例に限らず、今のヅカはトップになるまでに時間が掛かり過ぎるため、組にはトップ路線が同じ顔ぶれで何人も何年もひしめいている。そのあたりの人々で主な役は独占、活躍の場もないままそれ以外の生徒たちは中堅学年になると残らず退団。
 それでふと気がつけば、高学年のトップ路線と、ぴよぴよのひよっこ下級生たちばかりになっている。
 そして芝居というものは、主人公ひとりで成り立つわけじゃない。主人公ひとりが大人で、あとは子どもしか登場しないわけじゃない。
 当然、主人公より大人だったり、同年齢だったりする人々が必要になる。
 だが、路線スター以外はみんなひよっこばかり。大人を演じられる人がいない。スターの高学年化により、物語を作りにくい状況になっている。

 という、現代のタカラヅカ事情をまんま表している配役であり、画面であるのだと思いました。

 主人公を若造に設定すると、周囲の大人を演じられる役者がいないのですよ。
 本公演なら総力戦なのでそれほどでもないけれど、それ以外では。

 水夏希が沖田総司を演じた『星影の人』を痛烈に思い出しました。
 あのベテランスター、学年以上に大人びた水しぇん相手に、新公学年かそれをようよう卒業したばかりの下級生たちが「大人」ぶらなくてはならない、あの痛々しい芝居。子どもにしか見えない男役たち相手に、懸命に「少年」ぶった演技をしている大人の水くん……!

 少年役者のカチャ相手に、懸命に「若輩」の演技をするみっちゃんを、どう処理していいのか、わたしの脳内がかなり混乱しました(笑)。

 ブライアン@カチャが、ふつーにアーサー@みっちゃんより大人に見える役者ならば、なんの問題もなかったんだけど。
 見た目はブライアンが少年、アーサーは30前後、なのにどうもブライアンが大人で、アーサーは若造であるらしい……えええ?

 ブライアンも、彼単体ならば大人に見える、と思う。
 周囲を新公学年で固めれば、彼が大人であることはわかると思う。
 実際カチャはよく芝居していた。『カサブランカ』新公のデキからすれば、格段の進歩。かっこよくなったし、大人の男らしい演技をしていた。
 が。
 相手は、小僧じゃない。学年より上に見える持ち味のほくしょーさんだ。
 学年より幼く見えるカチャと、学年より老けて見えるみっちゃんとで、どうして年齢逆転した役をやらせるんだろう?

 芝居と脚本からわかることと、実際目にしている視覚情報が乖離していて、わたしの少ないのーみそは混乱、どう処理すればいいのかとまどっているうちに、ふたりのホモホモしい場面が終わってしまった……。
 ついでにいうと、クリスティ@ちさきちゃんもカチャより年上に見えるので、彼女の堂の入ったにぎやかな芝居で「お兄様~~!!」とやられると違和感があった。

 ブライアンとアーサーって、すごく萌えな関係なんだけどなあ。
 演じている人が違えば、すげー萌えだったのに。
 どうしてカチャとみっちゃんだったのだろう?

 ブライアン役は、アーサーより年上に見える人なら誰でも良かった。まさこでもちーちゃんでも、ふーりじんでも、わたしは萌えていたと思う。彼らの実際の役を否定するわけではなく、ブライアン役だったとしたら、という意味で。

 そして、カチャの演じたブライアンを否定するわけでもない。
 ブライアン単体なら、すごく良かった。カチャブライアンの高貴さや硬質さはすごくイイ。あのブライアンがヒゲ男たちの間に君臨している姿はとてもイイ。
 ただ、みっちゃんアーサーと、合わない。
 カチャがブライアンなら、それこそ愛ちゃんや桜木くんがアーサーでもいいくらいだ。
 それならものすごく美しく、萌えな関係だった。

 せっかく良いホモなのに、どうしてこんなことに……。
 みっちゃんの若ぶり演技の達者さに、やっぱりどうしても作為を感じて、素直に脚本演出に入り込めずにいた。
 彼の貫禄に、誰もついてこられない。いちばんうまくて貫禄があって「スタァ!」なほくしょーさんが、地に足ついていない若造役なんだもんよ……。彼がモラトリアム演じるなら、周囲はもっと大人の役者で固めてくれないと、ひとりだけ浮いてしまうよ、うますぎて。

 リピート基本のファンなら、目が慣れて問題なくなるのかもしれない。
 1回しか観られないびんぼー人なので(お金さえあればもっと観たいですよ!)、視覚情報の混乱で終わってしまったのが残念です。
 や、本編についてではなく、大野くんの「1作品1ホモ」についてですよ(笑)。

 役者のことは考えず、脚本だけ読んだとしたら。
 ブライアンとアーサーは過去になにかしらあり、ふたりの会見、フェンシングの場面は別れた恋人同士の再会の場ですよ。
 それも対等ではない恋愛関係……年長者が、判断力のない子どもを自分の色に染めた、そーゆー関係。子どもは成長し、自分でものを考えられるようになったときに疑問を抱き、年長の恋人の元から逃げるように去る、年長者は大人ゆえに逃げた子どもを追わない、だがふたりの間にはしこりだけが残る、と。
 そーゆー設定なのに、少年に見える年長者と30男に見える元少年、つーのは……大野くん……何故……。

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