ゆりやくんが殻を破るには、ナニが必要なんだろう、と新人公演『バラの国の王子』を見ながら思った。

 早くからそれなりの役付を得てきたゆりやくんだが、長の期になっても主演できず。
 これで何回目?の2番手役。

 今回の王様役はしどころのない役だから、これで世界をひっくり返せというのは酷だけれど、それにしても頭打ち感があるというか。
 せっかくの甘い美形くんなんだもの、羽ばたいてほしいんだけどなあ。

 王様役はもともと裸の王様な役、ただのお人形で人格が見えない役ではあるんだけど、新公はさらにひどい演出なの。

 家来が、いない。

 ちょっと演出家、ここへ坐りなさい(笑)。
 このオモシロ演出はなんなの。

 王様は「王様」という設定があるだけで、家来ナシ。唯一アンリ@からんくんがいるのみ。
 どこへ行くにもひとりぼっち。えらそーにしていても、ひとりぼっち。
 ナニこのぼっち星人。
 いるのはママ@みくちゃんと、悪役顔(こいつきっと裏切るわ!、の)アンリのみって。
 どう見ても、彼がやっているのは「王様ごっこ」。
 国なんかなくて、ママの魔法で自分を王様だと思い込んだ可哀想なオトコノコなんじゃないの?
 てな、素敵演出。

 このまま家来ナシで行くのかと思ったわ(笑)。

 一方、野獣@ゆうきくんには、家来いっぱい。
 本公演と同じ?ってくらい、たくさんうぞーむぞーのコーラス隊。
 ぼっちの王様と、舞台いっぱい家来の野獣。
 ナニこれ。

 後半、野獣の城へ攻め込むぞーってなときになってはじめて兵士たちが登場したけど、あれって、ベルの村人たちやん! 兵士ちゃうやん!
 ベル@ゆめちゃんの取り巻きたち。ベルに振られた腹いせで、ベルを捕らえた?みたいな。
 つーかこの村人たち以外全員野獣コーラス隊なのよね。王様側には人員割いてないの。

 そりゃ、ただ軍服着て立っているだけの兵士役より、歌って踊る野獣コーラス隊に配役した方が、その生徒のためにはなる。新公はお勉強の場だから、その配役は正しい。
 が。

 あまりに極端すぎて……愉快なことに。

 王様は完璧にひとりぼっちのカンチガイ男。
 ちょっとアレな母の歪んだ夢の中で操られ、自分を王様だと思い込んでいる可哀想な人。実際にはもちろん彼は王様でもなんでもないのよ。
 村人動員して野獣の城へ押し入るんだけど、人数少なすぎて、勝てる気がしない以前に、痛々しい。
 何十人の敵の中へ、数人で押し入るんだよ? 画面的に、ちっとも野獣の危機じゃない。王様のカンチガイぶりの方が「大丈夫?!」な感じ。

 そうやって目に映るものと、脚本上の「野獣ピンチ!」な展開が、どう受け止めたらいいのか混乱する。
 あれっぽっちの人数の村人(しかも半数は男装した女の子)、コーラス隊で十分ボコれるっしょ。虎@たまきちひとりでも如意棒振り回したら一掃できそうだ。(彼は孫悟空ではありません)

 この愉快展開は、わざとですか、キムシン?
 ゆりやくんのあの脱力系な持ち味と、この裸の王様役が素敵にマッチ、妙な説得力。
 本役さんの持つ毒や歪みがなく、ただただヘタレな王様なんだもん。

 
 でもって最後に駄目押しの愉快さが。
 年度替わりの新公なので、研7の90期はすでに出演しておらず、今回91期が長を務めている。
 でもって、91期の長はゆりやくん。
 時の流れは速い、もうゆりやくんが長の挨拶しちゃうんだ!とびっくりしたのも束の間。

 この、長の挨拶をするゆりやくんが、もお(笑)。
 テンパっちゃって大変。
 話はぐだぐだで半べそで、いつまでたってもマイクを離さない。
 いやその、長の挨拶は簡潔に、感動的な挨拶は公演の主役に任せようよ。
 まるでゆりやくんが初主演をしたかのような、テンパり方。

 ……がんばったんだね。
 長の期になり、そのなかでも組内首席で、下級生をまとめていかなきゃならなくて。
 すごーくすごーくがんばったんだろう。
 自分のことだけでも大変だろうに、それでも新公の長として、すっごくがんばったんだ。
 それで、無事に幕が下りて、たがが外れちゃったんだね。
 もーナニがなんだか、って感じに喋り続けるゆりやくんに、トホホはトホホなんだけど、やっぱりこの子好きだなと思う。

 ゆりやくんの新公主演、見てみたいんだけどなあ。
 ダメかなあ。
 文化祭で王子様を演じた、あのときのキラメキを思うと、殻を破ることが出来れば、化けられるんじゃ……?とか、思っちゃうんだけどなあ。

 で。
 そのダメっこ炸裂の挨拶をしているゆりやくんを、後ろでまんちゃんが見守っている姿に萌えたんですが。
 ゆりやくんが笑ったときに、まんちゃんも一緒にイイ顔で笑って。
 同期萌えは基本装備です、ええ。 

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