美しい彼に。@月組千秋楽
2011年4月11日 タカラヅカ 公演が終わり、加美乃素の緞帳が下りるのを見て、落胆した。
具体的に考えたというより、違和感にぎょっとした。
宝塚大劇場の緞帳で、もっともにぎやかな色とデザインなのが、加美乃素だ。この緞帳はデザインが主張しすぎていて、「緞帳」として以外には使用できない。
つまり、映像を流すスクリーンの代用は出来ない。
『バラの国の王子』『ONE』千秋楽。
ここのところ、スタークラスの退団楽ばかり観ていたせいか、楽の緞帳前での組長コーナーでは、退団者の思い出の映像付きだったから、今回もそうだと思い込んでいたんだ。
高砂熱学工業の白い緞帳をスクリーン代わりに、初舞台ロケットから前回の公演まで、主立った映像を見ることが出来るんだと思い込んでいた。
なのに、下りてきたのは色彩が目に痛い加美乃素で。
はたして、スタンドマイクもセンター0番にするすると上がってきて。
そこに、越リュウ組長が立った。
……映像があるときは、上手側のスタンドマイク使うんだよね。センターは映像とかぶるから。
そっか、そのかもルイスも映像ナシなんだ……。ふたりとも、結構な上級生でスターなのに……。
この日はもう、「そのかだけを見る」と決めての観劇でした。
お金のないわたしは東京まで追いかけられないので、これが最後のそのかになる。ああ、びんぼーが憎い……。
そのかを「美しい」と思う。
や、舞台の彼はもちろん美形なわけだけど、どっちかっつーといつも「かっこいい」とかで、ストレートに「美しい」という言葉では表現していなかった気がする。
それが、『Dancing Heroes!』で「美しい」と唸り……退団が発表された。
タカラジェンヌは、もっとも美しいときにこの花園を卒業していく。
それは前提というかお約束だけど、それゆえいっそう別れを惜しむものだけど。
でも、でも、惜しい。つらい。
そのかが、これほど美しい男役が、退団する。
『バラの国の王子』は着たきり雀……もとい、Mr.モンキー。最初から最後まで黒燕尾。肩章付きで厳つさのある、いかにも「男役」らしい衣装。
お猿さん役なので挨拶ポーズやちょっとした動きに愛嬌のある役なのだけど、それでもとことん美しい。
着こなしや立ち姿の美しさは経験から極められたものだとして、あの削げた頬の美しさはどうしたもんだか。
わたしには好みの顔のラインつーのがあって、理想とする額から頬のラインというものがあって、まさか今ここでそのかが、そのビューテホーラインに近いものを打ち出してくるとは、思ってなかったのですよ!
うっわ、マジきれいだ。
頬の輪郭と、鼻が素晴らしい。ええ、人間の顔のパーツでわたし的に最重要なのは鼻ですから、もともとそのかの鼻は好きだった……そこに輪郭まで加わるともお。
飽きずに、そのかを見ていた。
なにしろその他大勢の家臣役、何十人で一斉に出てきて、ただそこにいるだけ。
お猿さん役で滑稽な振付がされているわりに、Mr.モンキー自身はおどけた表情はしない、いつもシリアスな美青年だった。
『ONE』では、動くそのかを堪能する。
かぶり物の多い草野ショー、顔が咄嗟に見えなくても動きでそのかだとわかるよね。
美しい、タカラヅカ男役としてのダンス。
そして……彼はやはり、花組の男役なんだと思った。月組での彼を否定するわけではなく、育った組っていうのはそれだけ深い意味を持つ、だからこそ組制度ってのは素晴らしいんだって意味で。
花組のそのかが、月組で場を与えられ、こんなに美しくなって卒業していくんだから。ここまで彼を美しくしたのは月組だから。
てゆーか、ユニコーンダンスでいちばんかわいいダンス踊ってる人を注目すると、そのかなんですけど(笑)。いろいろ見せてくれるなあ。
退団者へのライトは控えめ? というか、雪組はやりすぎだったの?
大階段に勢揃いした男役で、トップスターのキムくんと、退団するれのくんだけピンスポもらって、暗い舞台にスターふたり!って感じでものすごかったんだけど。最後のキメも暗い花道にれのくんだけピンスポで浮かび上がっていて、舞台演出壊しそうな勢いだったんですけど(笑)。
アレを期待したんだけど、そこまではしてくれなかった。よく見ると、群舞の中そのかとるいすんだけ顔がはっきり見えるからライトもらってるんだなとわかる程度。
緞帳が下りた後、退団者の着替えの間組長が手紙を読むのはお約束。……なんだけど、ふたりの手紙はちょっとさみしい内容だった。
そのかとるいすんからの手紙は、内容の3分の2が出演した公演名羅列(!)で、手紙部分は3分の1ほどだった……。何故そんなことに。
印象に残っている公演をいくつかピックアップして、それについての思い出語りにしてくれたらいいのに、初舞台から現在までの芸歴披露タイムになっていた。ふたりとも在団年数長いから、出演舞台全部ではないにしろ、長い長いいつまでも続く(笑)。
どの公演にも思い入れがあり、それを全部入れたら公演名を読み上げるだけでそれについての解説や思い出を語る余地がなくなったのかな。なんとまあ、不器用な印象の手紙。
ところで、そのかの同期からのお花渡しがまっつだっつーのは、意外すぎてびびりました(笑)。
組内に同期がいない場合の同期からのお花は、今ムラでお稽古している組の同期、ふつーは次の公演の組……だから星組だろうと思っていた。
美城くんが来るとばかり思っていて、めっちゃ油断していたよ。
そしたら「雪組の」とリュウ様がアナウンスして、まさか!と。
雪組も今お稽古中なので、お花渡しに登場するのは不可能ではない。でもその場合は成績順だと思っていた。タカラヅカには学年順成績順があって、在団中はもとより卒業してもそれらに縛られる。絶対の縦社会。だからこのカンパニーはここまで歴史をつないできた。
雪組84期で末席のまっつに、出番はない。たとえそのかといちばん親しい同期がまっつであったとしても。まっつがお花渡しをするためには、彼より上席のキムくんとゆめみちゃんと、3人でお花を持って登場、とかしない限りは無理だ。
と、思っていたんだ。
「雪組の未涼亜希が駆けつけてくれました」とアナウンスされ、あわててオペラのぞいたってば。
東宝千秋楽以来ぶりに見るまっつが、そこにいて。
そしてまっつが、そのかにお花を渡す。
花組で切磋琢磨していたふたり、同期コンビで仲良しで、持ち味も得意分野もチガウ、柔と剛の理想的なふたり、そのふたりがそれぞれ生まれた組を離れて、今、別れるために同じ舞台にいる。
それはなんだか、現実味のない光景で。
そのか、ほんとに卒業しちゃうの?
まっつと一緒に「山寺の和尚さん」歌ってたぢゃないか。ビスコを取り合ってたぢゃないか。
あれはついこの間のことなのに。
こんなに美しくなって。
そして、卒業の言葉がまた、すげーしっかりした、端正な大人の言葉で。
大人になって、極めて、卒業してしまうんだ。
寂しい。
仕方ないことだとはいえ、寂しいよ。
彼のこれからの躍進を祈りつつ、それでも今はまだ、別れの寂しさが勝つ。……めそめそ。
具体的に考えたというより、違和感にぎょっとした。
宝塚大劇場の緞帳で、もっともにぎやかな色とデザインなのが、加美乃素だ。この緞帳はデザインが主張しすぎていて、「緞帳」として以外には使用できない。
つまり、映像を流すスクリーンの代用は出来ない。
『バラの国の王子』『ONE』千秋楽。
ここのところ、スタークラスの退団楽ばかり観ていたせいか、楽の緞帳前での組長コーナーでは、退団者の思い出の映像付きだったから、今回もそうだと思い込んでいたんだ。
高砂熱学工業の白い緞帳をスクリーン代わりに、初舞台ロケットから前回の公演まで、主立った映像を見ることが出来るんだと思い込んでいた。
なのに、下りてきたのは色彩が目に痛い加美乃素で。
はたして、スタンドマイクもセンター0番にするすると上がってきて。
そこに、越リュウ組長が立った。
……映像があるときは、上手側のスタンドマイク使うんだよね。センターは映像とかぶるから。
そっか、そのかもルイスも映像ナシなんだ……。ふたりとも、結構な上級生でスターなのに……。
この日はもう、「そのかだけを見る」と決めての観劇でした。
お金のないわたしは東京まで追いかけられないので、これが最後のそのかになる。ああ、びんぼーが憎い……。
そのかを「美しい」と思う。
や、舞台の彼はもちろん美形なわけだけど、どっちかっつーといつも「かっこいい」とかで、ストレートに「美しい」という言葉では表現していなかった気がする。
それが、『Dancing Heroes!』で「美しい」と唸り……退団が発表された。
タカラジェンヌは、もっとも美しいときにこの花園を卒業していく。
それは前提というかお約束だけど、それゆえいっそう別れを惜しむものだけど。
でも、でも、惜しい。つらい。
そのかが、これほど美しい男役が、退団する。
『バラの国の王子』は着たきり雀……もとい、Mr.モンキー。最初から最後まで黒燕尾。肩章付きで厳つさのある、いかにも「男役」らしい衣装。
お猿さん役なので挨拶ポーズやちょっとした動きに愛嬌のある役なのだけど、それでもとことん美しい。
着こなしや立ち姿の美しさは経験から極められたものだとして、あの削げた頬の美しさはどうしたもんだか。
わたしには好みの顔のラインつーのがあって、理想とする額から頬のラインというものがあって、まさか今ここでそのかが、そのビューテホーラインに近いものを打ち出してくるとは、思ってなかったのですよ!
うっわ、マジきれいだ。
頬の輪郭と、鼻が素晴らしい。ええ、人間の顔のパーツでわたし的に最重要なのは鼻ですから、もともとそのかの鼻は好きだった……そこに輪郭まで加わるともお。
飽きずに、そのかを見ていた。
なにしろその他大勢の家臣役、何十人で一斉に出てきて、ただそこにいるだけ。
お猿さん役で滑稽な振付がされているわりに、Mr.モンキー自身はおどけた表情はしない、いつもシリアスな美青年だった。
『ONE』では、動くそのかを堪能する。
かぶり物の多い草野ショー、顔が咄嗟に見えなくても動きでそのかだとわかるよね。
美しい、タカラヅカ男役としてのダンス。
そして……彼はやはり、花組の男役なんだと思った。月組での彼を否定するわけではなく、育った組っていうのはそれだけ深い意味を持つ、だからこそ組制度ってのは素晴らしいんだって意味で。
花組のそのかが、月組で場を与えられ、こんなに美しくなって卒業していくんだから。ここまで彼を美しくしたのは月組だから。
てゆーか、ユニコーンダンスでいちばんかわいいダンス踊ってる人を注目すると、そのかなんですけど(笑)。いろいろ見せてくれるなあ。
退団者へのライトは控えめ? というか、雪組はやりすぎだったの?
大階段に勢揃いした男役で、トップスターのキムくんと、退団するれのくんだけピンスポもらって、暗い舞台にスターふたり!って感じでものすごかったんだけど。最後のキメも暗い花道にれのくんだけピンスポで浮かび上がっていて、舞台演出壊しそうな勢いだったんですけど(笑)。
アレを期待したんだけど、そこまではしてくれなかった。よく見ると、群舞の中そのかとるいすんだけ顔がはっきり見えるからライトもらってるんだなとわかる程度。
緞帳が下りた後、退団者の着替えの間組長が手紙を読むのはお約束。……なんだけど、ふたりの手紙はちょっとさみしい内容だった。
そのかとるいすんからの手紙は、内容の3分の2が出演した公演名羅列(!)で、手紙部分は3分の1ほどだった……。何故そんなことに。
印象に残っている公演をいくつかピックアップして、それについての思い出語りにしてくれたらいいのに、初舞台から現在までの芸歴披露タイムになっていた。ふたりとも在団年数長いから、出演舞台全部ではないにしろ、長い長いいつまでも続く(笑)。
どの公演にも思い入れがあり、それを全部入れたら公演名を読み上げるだけでそれについての解説や思い出を語る余地がなくなったのかな。なんとまあ、不器用な印象の手紙。
ところで、そのかの同期からのお花渡しがまっつだっつーのは、意外すぎてびびりました(笑)。
組内に同期がいない場合の同期からのお花は、今ムラでお稽古している組の同期、ふつーは次の公演の組……だから星組だろうと思っていた。
美城くんが来るとばかり思っていて、めっちゃ油断していたよ。
そしたら「雪組の」とリュウ様がアナウンスして、まさか!と。
雪組も今お稽古中なので、お花渡しに登場するのは不可能ではない。でもその場合は成績順だと思っていた。タカラヅカには学年順成績順があって、在団中はもとより卒業してもそれらに縛られる。絶対の縦社会。だからこのカンパニーはここまで歴史をつないできた。
雪組84期で末席のまっつに、出番はない。たとえそのかといちばん親しい同期がまっつであったとしても。まっつがお花渡しをするためには、彼より上席のキムくんとゆめみちゃんと、3人でお花を持って登場、とかしない限りは無理だ。
と、思っていたんだ。
「雪組の未涼亜希が駆けつけてくれました」とアナウンスされ、あわててオペラのぞいたってば。
東宝千秋楽以来ぶりに見るまっつが、そこにいて。
そしてまっつが、そのかにお花を渡す。
花組で切磋琢磨していたふたり、同期コンビで仲良しで、持ち味も得意分野もチガウ、柔と剛の理想的なふたり、そのふたりがそれぞれ生まれた組を離れて、今、別れるために同じ舞台にいる。
それはなんだか、現実味のない光景で。
そのか、ほんとに卒業しちゃうの?
まっつと一緒に「山寺の和尚さん」歌ってたぢゃないか。ビスコを取り合ってたぢゃないか。
あれはついこの間のことなのに。
こんなに美しくなって。
そして、卒業の言葉がまた、すげーしっかりした、端正な大人の言葉で。
大人になって、極めて、卒業してしまうんだ。
寂しい。
仕方ないことだとはいえ、寂しいよ。
彼のこれからの躍進を祈りつつ、それでも今はまだ、別れの寂しさが勝つ。……めそめそ。
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