全国ツアーのスポットライトって、3個しかナイんすかね?
 移動公演、地方巡業ゆえに3個しか持って歩けないのかな?

 雪組全国ツアー『ロック・オン!』、地元大阪梅田芸術劇場にて、そんなことを思いました(笑)。

 梅芸にライトが3個ってことはないだろうから、全ツ組が持って移動しているのが3個なのかなあ。

 「朝風くんの死に顔を上からじっくり見るのー♪」「引きずられるプガ様を真上から見るのー♪」なんて偏った楽しみを抱きながらの3階席からの観劇時。

 なにしろ梅芸の3階ですから舞台めちゃ遠いです、でもオペラでがっつり観る気満々。
 だったのに。
 『ロック・オン!』ではほとんど、オペラを使わなかった。
 いや、使えなかった。

 スポットライトの行方に、魅せられて。

 それまでずっと1階席だったからわかってなかった。
 どこでどう、ライトが当たっているか。

 オープニング。
 センターで踊るキムくん、登場した娘役トップのみみちゃん、そして横から出てきたまっつ、この3人に、ライトが当たる。
 舞台の上はもちろんそれなりに明るいんだけれど、その中でもこの3人にだけ、まばゆいライトが当たっている。

 2番手って、こういうことなのか!!

 芝居で2番手でも、ショーではセンター場面もらえてなかったり、劇団様が「カンチガイすんなよ」ととてもわかりやすく立場を教えてくれている、まつださんです。
 最後に羽根はもらってるけど、立ち位置全部ふつーに今までのまっつ、つまりは脇だよね(笑)、てな扱いだったんですが。

 脇は脇でも、やっぱ今回はちがってるんだ。

 スポットライトが、もらえる。

 そんなこと、夢にも思わなかった。
 というか、そんな立場のまっつを観たことがなかったので、考えたことがなかったんだ。
 スポットライトというものは、スターさんが浴びるモノで、まっつは関係ない。いや、関係がどう以前、そんなものがあることすら、見ていて思い出さない。
 暗い舞台、闇に沈むまっつを最後までしつこくオペラで眺める、それがわたしの観劇スタイル。ライトなんかナイから、シルエットでまっつを見分けたり。

 それが当たり前だったのに。

 わたしが「当たり前」と思う明るさの舞台で、他のみんなはふつーにその明るさで歌い踊っているのに、キムみみまっつだけ、もっと明るい輪の中にいるの!!
 まぶしい光が3つ輝き、3人の動きをぴたりと追っているの!

 びっくりした。
 そうか、2番手なんだ。
 2番手、って、こういうことなんだ。

 トップのキムくんが踊っていて、娘トップのみみちゃんが踊っていて。そしてまっつが、踊っている。
 3人だけが、スポットライトを浴びている。
 切り取られた3つの光を見て。

 泣いた。

 2番手羽根を見たときより、泣けた(笑)。

 そんでもって、終始ライトがあったの。

 次の紳士倶楽部、例のホモたちの集い場面で、舞台には7人の男がいるっていうのに、ひと筋のライトが、まっつだけを照らしているの。
 1階で見たときはわかってなかった。だって全員ふつーに舞台上に見えていたから。よく見たらまっつだけさらによく見える状態だったんだろうけど、そもそもまっつばっか見てるから気付いてなかった。

 まっつが動くとライトも動き、まっつだけが舞台上に浮かび上がっている。
 たったひとりでライトを浴びて、まっつが舞台センターで踊る。端正に、静謐に。

 ……泣くって。
 こんなん見たら泣くって!

 ホモ達人のキムくんが登場すると、なにしろ彼に当てられるのはトップライトですから、まっつのライトなんかささやかなものだったとわかるんだけど、それまではたしかにまっつだけのライト。
 で、まばゆいトップライトを当てられたキムくんが場面の主人公なんだけど、まっつにもライトはずっと当たっている。
 キムくんと、まっつ。輝度は違うけど、ライトは2本だけ。
 舞台にはあと6人いるけど、6人みんな次々とキムくんに絡むけど、なにしろライトはまっつにだけだ。
 コレ、ライトだけ見てたら、キムとまっつの物語だ。
 わたしがつい他の男の子たちも見ちゃうからわかんなくなっているだけで、舞台構成的にはキムとまっつが直に出会い、対峙する作りなんだ。
 と、わかった。気付いた。

 ……泣くって。
 こんなん見たら泣くって!

 その次のギャングたちの饗宴。
 ソロ歌にライトが当たるのは当然のこと。
 問題は、群舞になったとき。
 曲が終わり、舞台奥にキムくん登場、キムくんへガンっとまばゆいトップライト! 他の男たちがポーズを決める舞台は暗く沈む……ときに、まっつひとりだけに、ライトが残る。
 その瞬間、舞台上でスポットライトに照らされているのは、キムとまっつだけ。

 ……泣くって。
 こんなん見たら泣くって!

 青スーツは場面全体が明るいし、ライトもわりと全体を照らしていたかな。
 
 ラテンバージョンも、とてもまっつらしい、脇として少人数口で踊る場面。
 キムくんがセンターでライトを浴びて歌い踊る。その周りで踊る4人の中のひとりに過ぎないまっつ。
 だけど、ここでまっつがちょっと真ん中へ寄って踊る部分がある。そこで、まっつにライトが当たる。その一瞬、キムとまっつだけにライトが当たっている状態になる。
 同じように他の子たちも踊るけど、同じことをしても、ライトが当たるのはまっつだけ。

 ……泣くって。
 こんなん見たら泣くって!

 「La Vida」は歌手として特別っぽく登場するのでライトもらってるのは想定内……とはいえ、やっぱここでもライトは3人だけなんだよ、キムとみみちゃんとまっつ。

 黒燕尾はあとから登場するからライトはもらってる……けど、一旦袖へはけたあと、再登場するときに、やっぱちゃんとライトもらってるの、ひとり。
 黒燕尾の男はあんなにたくさんいて、少人数口のみんなは同じようにキムくんの周りで踊っているのに、まっつだけが。

 ……泣くって。
 こんなん見たら泣くって!

 
 今までまっつは、同じ状態でもライトはもらえない人だった。
 主役の後ろで踊る4人のうちのひとりだとしても、ライトはない。センターがまとぶんだとして、もうひとつのライトはえりたんとかみわさんとか、とにかくその場にいる誰か他の人のものだった。
 まっつはあくまでも、その他の人として、特別なライトはもらえなかった。
 それが当たり前で、それ以外の状態を経験したことがなかったから、それ以外の状態があるなんてこと自体、知らなかった。

 知らないから、ライトが欲しいと思うこともなかった。

 そうか……スターさんってこうやって、ライト当ててもらってたんだ。知らなかった……!

 
 で、ライトばっか見ていたから、気になった。
 全ツのスポットライトって3個しかナイのかなと。

 4個以上のライトが同時に使われる場面は一切無かった。最大で3個しか光がない状態(笑)。
 キムくんがみみちゃんと踊っていて、ヒメが奥で歌っていると、まっつにライトが当たらない……(笑)。4つ目があったら多分、暗めのライトを当ててくれてたと思うの、他の場面でのライト具合からして。かおりちゃんもそうだったけど、トップの他はソロ歌手にライト当てるルールらしい。

 闇の中を走る、光の筋の美しさに震撼した。
 感動した。

 今まで知らなかった。
 2番手だと、こんな風に光をもらえるんだね。

 ありがとう。
 目に、心に焼き付けるよ。

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