こっそり書いておくかな、全ツ『ロック・オン!』の駄作っぷりについて(笑)。

 初日に観てそのダメダメっぷりにびっくりして、なんじゃこりゃあ、と口を開けた。
 でもそれはきっと初日だから、見慣れたら平気になる部分や、楽しくなってくる部分があると思ったの。

 しかし、駄作は駄作だねっ(笑)。慣れるとかそんなもんぢゃないわ。
 わたしの中でミキティ株が地に落ちましたよいやはや。

 再演だからは言い訳にならない。
 手抜きした結果の失敗に思える。

 複数作品から場面を切り貼りして作った、その取捨選択を間違えている、つーことは、以前に書いた。

 ソレにくわえ、やっぱどーしても納得できないのは、トップ娘役の使い方だ。

 元作品がトップスター退団作品だから、男トップの比重ハンパねえのは仕方ない。しかし、今回はそうじゃない。みみちゃんの娘役トップのお披露目作品でもある。
 なのに、彼女の活躍の場が皆無だなんて、いくらなんでもおかしい。

 みなこちゃんがヒロインとしてがっつり活躍したオペラ座場面をカットして、ホモの館にしちゃったんだよ。
 だから、元作品より娘トップの活躍の場が減らされてるの。

 もうひとつ差し替えになった場面は、たしかにみみちゃん出ているけれど、脇の女の子のひとりとして、舞台奥の下級生が踊る位置に少しの間いるだけ。お披露目の女の子にそんな位置で目立てと言われても、まず無理。

 階段前でのデュエットダンスもないし、なんなのこの扱い。

 タカラヅカはいろんな大人の事情の絡む劇団だから、ジェンヌの出番はポジションや実力、人気と比例しない。それはわかっている。
 だけど、客は「タカラヅカ」を観に来ている。
 トップスターが大きな羽根を背負うのと同じように、トップコンビの活躍も期待しているんだ。
 王子様とお姫様がくるくる歌い踊る、そーゆーものが「タカラヅカ」だと、全国ツアーならばなおさら客は、漠然と期待しているだろうに。

 大人の事情でみみちゃんの見せ場をゼロにした、というより、演出家がナニも考えていなかったように見えるんですが。
 見せ場を作っちゃいけない、脇役と同じ扱いをしなきゃいけない女の子を、わざわざトップにするとは思えないので、三木せんせが馬鹿なんぢゃないの、と思いました。わたしは。

 それともこれは、三木せんせの確固たる意志というか、新しい試み、芸風でしょうか。
 2009年『Heat on Beat!』、2010年『Heat on Beat!』中日、『ロック・オン!』、2011年『Dancing Heroes!』、『ロック・オン!』全ツと、近年の作品全部娘役トップスター無し、男役2番手無し作品しか作っていない。
 トップスター至上主義。主役ひとりが出ずっぱりで活躍、ヒロインもいなければ、2番手もいない。
 ディナーショーやコンサート方式というか。

 タカラヅカの「タカラヅカ」たる部分を否定するのが、ミキティの目的?

 主役ひとり出ずっぱりであとはバックダンサーってのは、外部ならふつーのこと。主役のステージのために、他のキャストは集められるわけだから。
 トップコンビがいて2番手がいて、ってのは同じメンバーで公演を行うタカラヅカならではの形態。
 三木せんせはもう、「タカラヅカ」を作る気がないのだろうか。

 『Heat on Beat!』のいびつさは、トップ娘役が公式に不在である、というイレギュラー事態だから、仕方ないのかと思っていた。
 しかし、ちゃんとトップ娘役のいる『ロック・オン!』も、『Heat on Beat!』と同じ作りでデュエダンもなかったし、さらにトップコンビお披露目だった中日『Heat on Beat!』でもトップ娘役がトップスターの前に階段を降りないなど、「トップ娘役否定」があった。
 バウ作品の『Dancing Heroes!』は主演のそのか以外はスター無しという構成だったので、大劇作品と同等には語れないが、特徴は同じだ、ヒロイン無し、強い2番手も無し。

 「タカラヅカ」を否定するなら、タカラヅカにいてくれなくていいんだけどなあ。

 あさこちゃんの『Heat on Beat!』単体のときは、良いショーだとわくわくしたのに。トップ娘役いないから、主役ひとりしか見せ場のないワンマンショー(あとは退団者やきりやん以下スターで見せ場を分担、平坦化)でもアリだと思ったし。
 しかし、それ以降、すべての作品が同じことになるとわ。

 わたしは「タカラヅカ」が観たいのだと、しみじみ思った。
 「タカラヅカ」という方法論で作られたショーが観たいのだと。

 トップコンビがいて2番手がいる、美しいピラミッドになった「タカラヅカ」。

 
 三木せんせに「タカラヅカ」否定という強い意志がなく、ただなんとなくこんなモノを作っているのだとしたら、そりゃもう仕事態度の問題で、やる気ナイなら帰ってくれてイイよな気分だ。

 今回の全ツ『ロック・オン!』は、大劇場のショー作品としての形式で作られていない。
 ディナーショー、あるいは、『タカラヅカスペシャル』などのイベントショーの形式だ。

 まちがった形式で作られているのは、単に手を抜いたからでしょう。
 簡単な方を選んだ。
 努力することを放棄した。
 本公演では許されないけど、全国ツアーだからいいや。劇団のおえらいさんや業界のうるさ方も観に来ないし、田舎のおっちゃんおばちゃんに見せるモンなんぞ、真面目に作ってられるか、手抜きして当然。
 そーゆーキモチで作ったのかしら。

 ……なーんてことを邪推されるレベルの作品を作っちゃう人なんだわ、と心と記録に残します(笑)。

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