タカラヅカファンをやめてもいいかなと思った。

 『ロミオとジュリエット』が終わったあと。
 牛のようにいつまでも『ロミジュリ』を咀嚼していて、別の公演に興味がわかなかった。
 わたしにはもう、『ロミジュリ』さえあればいいんじゃないかな。なにも他の公演を観る必要はないんじゃないかな。

 別にタカラヅカが嫌いになったわけではないので、またいつか、そのうち観に行くだろう。
 だけど今はもういいや。

 歌劇団のスケジュールはよく出来ている。
 客を飽きさせないというか、立ち止まることを許さないようになっている。
 それに踊らされて、ここまで走り続けてきた。
 それは幸福なことだった。
 ひどい人事に泣いたりすることも含め、立ち止まることを許さない劇団の手腕、ヅカファンをやるおもしろさだと思う。喜怒哀楽すべてを味わえるわけだから。
 自分の人生とは別に、他人の人生の喜怒哀楽紆余曲折を追体験できるシステムに踊らされ、走り続けてきたのは幸福なこと。
 時間もお金もいっぱい使って、はたから見りゃ間違いでしかないだろうけど、わたしは楽しかったからいい。

 でもそのスケジュールに、ついていけなくなった。
 息切れしてきた。

 まだ『ロミジュリ』しか考えられないのに、手帳には観劇予定がびっしり。
 もういいか、観に行かなくても。
 あと半年くらい、タカラヅカ観なくても、毎日しあわせでいられる気がする。
 それくらい、『ロミジュリ』がしあわせだった。

 タカラヅカファンをやめる、というのは正しくない。
 タカラヅカはずっと好きで、またいつか観に行くつもりなんだから。

 今のヘヴィな生活をやめる、てのが正しいか。
 全公演観劇なんてアホなことはやめて、年に数回、気が向いたときに観るの。
 それでも世の中的には「タカラヅカを年に何回も観るの? すごいファンなのね」ってもんだし。

 それでいいじゃん。
 もうしばらくは、タカラヅカ観なくていいや。

 

 と。

 と、思いました、マジで。

 それくらい、大好きで、しあわせでした。『ロミオとジュリエット』。
 わたしのヅカヲタ人生はじめて。
 もしもコレで贔屓退団だったりしたら、素直にヅカから足を洗っていたと思います。
 満足感、達成感半端ねえ。

 そう思っただけで、やっぱりわたしは劇団のスケジュール通りに走り続け、ヅカヲタを続けているわけですが(笑)。

 贔屓在団しているし、他組にもそれぞれ好きな人たちがいるし、人だけでなく「タカラヅカ」を観たいと思うし。

 ただ、あまりに『ロミジュリ』に傾倒していたため、他組はともかく、贔屓出演の次の公演、すなわち全国ツアー『黒い瞳』に出遅れたのは、痛かったです(笑)。
 なんつー本末転倒。贔屓がいてこそ『ロミジュリ』にハマったはずなのに、その贔屓出演の次公演にアタマが回らず、チケットをぜんぜん用意していなかったという。
 せっかくプガチョフなのに……(笑)。

 結局なにひとつ変わらずヅカヲタをやっているわけですが、己れの存在意義を問うところまでいった公演は、『ロミオとジュリエット』がはじめてだった、と。

 こんなに好きになれる作品があるって、すごい。
 作品クオリティと物語の好みと、贔屓の出演有無と出番。これらがすべて一致する公演なんて、奇跡みたいなもんだ。
 トップさんや路線さんのファンなら、奇跡というほどの確率ではないけど、なにしろわたし、脇スキーだから(笑)。良い作品、好きな作品は年に何本かはあるし、ものすごく好きな作品も数年に一度はあるけれど、そこに自分の贔屓がちゃんとした役で出演している可能性となると、一気に分母の桁が増えますよっと。宝くじ並の分母、それで当たるんだから、奇跡でしょう。

 長くヅカヲタやっていて良かった。
 奇跡に出会えた。

 幸福だった。

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